「僕は指輪をもらうような間柄の奴を知らないぞ」
「でもそうしたいと思われてる間柄は?」
「…いっぱい知ってる…」
「だはは!」
小突く。指輪を撫でる…も、何やら。この指輪、よくみたら少し変な模様をしている。なんか見た覚えのある模様…まあ見覚えがあるってことはつまり、僕の知ってる誰かか、何かのものだろう。多分害はない。多分。萃香から見ても何もないんだから、おそらく。しかし薬指に付くか。色々と誤解を生むことになれば厄介なんだけど…いやまあもう厄介なやつばかりだから良いか。弁明する萃香がいれば良い。
「そう言えば…明日紅魔館の奴らがパーティ開くから来いって言ってたぞ」
「いつ?」
「私たちが寝てる間。私の分身が聞いた」
「…それはつまり、夜明けまでに指輪を外せと?」
「…」
外そうとするも外せない。くっついているようだが、僕からすれば食い込んだ感触はない。魔道具か何か?床に手を置き、布を口に噛ませる。萃香の馬鹿力を今発揮する時だろう。指が取れないように指の根元を掴んでもらい、思いっきり引っ張らせる。あ、思ったより痛い。激痛と共に萃香の腕が勢い良く振られる。指輪を外せたか?僕の指を見てみると、そこには指輪が何もなかったかのように付いていた。
「どうする。手段を選ばなかったら…」
「指ごとか?」
「ゆーにそんなことしたら私が死ぬ。ゆーを傷つけずにこの指輪を取る」
「…まずは指輪を変形させることから始めよう」
「よし来た!」
無理だった。そうした夜は過ぎ去り、玄関前に寝転がっていた妖が去り、咲夜が手鏡を見ながら髪型を整えているのを確認。萃香と共にどうするやばいどうすると喚き合う。しまいには萃香が指輪に嫉妬する始末。なんと角を切って形を整え指輪にするなどと言い出した。まずい、とても。萃香の手を止めさせ、咲夜にそのことがバレないように…でも弁明する奴が欲しい。あれ、これもしかしてやばい?
「失礼…」
「咲夜!」
「あ」
「…えっと、色々と聞きたいけどその指輪は何?」
説明する。信じてくれたかどうかはわからないがとにかく説明する。萃香がいつの間にか消えていたが、まあ、うん。多分しないよな…多分しないよな…!?そこまであいつも狂ってるわけじゃないだろう。やり過ぎで僕に一度怒られてるんだ、流石にしないだろう?咲夜、それはお前も同じだよな?爪全部剥いで指輪にとか言い出さないよな?この指輪を取りたい僕のこの気持ちはわかってくれるよな??
「とにかく紅魔館、ね」
「萃香は!?」
「招かれてないんだもの」
「おー!ゆーさ…その指輪は??」
「美鈴さんも…」
「それについては後で。まずはパーティが先よ」
「あー…そうでしたね!」
紅魔館の中へ。レミリアさんに会ってもフランドールに会っても指輪のことを聞かれ。パチュリーさんにはこの指輪を見られた途端に縋られた。説明するとわかってはくれた。しかしこの指輪、一体誰がいつ付けたのか…考えられる候補は何人かいるが、指輪を作れるかと言われると知るわけがない。はぁ…ゴッケロもどっか行ったし。この指輪がゴッケロということも考えて魔力を流してみたが、スキマは開かなかったし。
「なるほど、そういう手が…」
「やめてね??」
「何言ってるのよ、そこまで阿呆じゃないわ」
「良かった…」
「お姉様は指輪よりも欲しいものがあるものね?」
「フラン、やめなさい」
「私はそれをいうことができる。臆病者と違ってね」
「言ってみなさいフラン」
「ゆーのたい」
「死になさい」
喧嘩が始まった。パチュリーさんは喧嘩を止めるどころか指の大きさを測り始めた。もう僕は何をすれば良いのかわからない。測られてない手で目の前に運ばれるステーキを食べるだけだ。咲夜の飯は美味いな。美鈴の飯もなかなか。だが中華と洋風が合わさると流石に堪える。炒飯にステーキを乗せてるんだぞ、今の僕は。話し相手もいないし。いやまあパチュリーさんもいるけど…今度は手と腕測り始めた…
「どう?料理は」
「美味かったよ」
「わた、わたしの料理は!?」
「美鈴のも。腹一杯」
「お嬢様と妹様の喧嘩を止めてくるわ」
「うい」
「パーティと言うか、連れて来ただけですね」
「美鈴もそう思うなら料理より話し相手になって欲しかった」
「言ってくれればいつでも、ですよ?」
「…パチュリーさんは何やってるの?」
「採寸が終わったから作るために模型を作ろうとしてるのよ」
「…もう寝ようかな」
「あ、美鈴。皆から髪の毛少し貰うけど、良い?」
「別に良いですよ」
髪の毛で何か作ろうとしているのか?フランドールを膝上に乗せ、レミリアさんを対面に座らせる。嫌そうな顔してんなぁ…気持ちはわからんでもないけど。美鈴は僕の背中に手を置いて…何やってんのか知らんけど、多分体調を良くしてくれていた。咲夜はそんな美鈴にナイフを刺していた。怖いよ、みんな。腹の隙間にブドウジュースを流し込み、フランドールにも飲ませる。酒は嫌いだからね。
「ねえ、最近物騒でしょう?どうかしら、またここに住むのは」
「嫌だ」
「どうして?ここなら門番もいるし、安全ならパチェが結界を張ってくれる。咲夜もいるし、フランも…それに私もいる。充実した生活を送れると思うのだけれど。」
「今の生活も嫌じゃないからね。誰かのものになるのも別に構わないんだけど…そうしたら色々と問題じゃん?」
「そんなこと、あのスキマ妖怪がなんとかするでしょうに」
僕が下手すぎて出る人が限られてる。
これはもう、割り切っていくしかない。許して欲しい。