どっちが先に朽ちるかな。
「…なんだっけな…」
「どうしました?」
「美鈴か。なんかこう、思い出せないんだよな。ここに来るまで何かに追われてた記憶あるんだけど…」
「えぇっと…?すみませんが、ゆーさんがここに来た時は割と落ち着いてたと思うんですけど」
「そうだっけ」
割と切羽詰まってた覚えが。あれ、じゃあ僕外に出てもいいんじゃないか?と言うと美鈴に止められる。外はかなり危険であることを忘れたのかと言われた。あれ、そうだったのか。いやしかし、外には誰か待たせているような気がする。何があったかな…誰か待たせていた覚えがあるのに、どうも思い出せない。そもそも本当に誰か待たせていたのか?むむむ…全くわからん。誰に聞けばわかるかな。
「というわけです。レミリアさん」
「だからって私?いやまあ、適任だとは思うけど…」
「仕事あるのにごめんねぇ」
「そんな気持ちがあるようには一切見えないのは何かしらね」
「元からそんなんだよ」
ある程度の世間話から運命を見てもらう。神妙な顔をした後、僕にはこの館を出ないようにと釘を刺してきた。ここに来て3日ほどだろうか。何やら忘れているものが多く感じられる。確かに追われていたはずなのに、なぜかそれを思い出せない。そのことも聞いてみるが、夢と現実がごっちゃになっているのではと言われた。困ったな、それを言われると僕もそうだとしか思えない。うーん。
「ま、本当に追われてても忘れるってことはそれくらいの内容ってことよ」
「例えば?」
「そうね…例えば、借り物を返さずにいるとか」
「割と些細なことだな。」
「ね?貴方もきっとそう言うことを抱え込んで、結果夢と現実を混合させている。それだけよ」
「ふーん…」
僕はそれを聞いて納得したんだかしてないんだかわからない返事をしてレミリアさんの部屋を出る。今朝咲夜に渡されたスーツを着たままはすごく違和感があるが、しっくり来る気がする。サイズがピタリ一緒なのが怖いな。このスーツ、というか執事服かな。咲夜の好みか?パチュリーさんのところに行って聞いてみようかな。まず知ってんのかな?
「ゆー、貴方も大変よね」
「どうしたフランドール」
「ここを出たかったら協力するわよ。地下室に来ればいつでも。」
「じゃあ忘れたこと思い出す魔法とか知らない?」
「ないわね。何せここから出れば━━」
「喋りすぎよ、フラン。そう言えばゆー、右手の指輪は?」
「指輪ぁ?…そんなのあったか?元からつけてた覚えが…」
もしかしたらそれも忘れていると言うのか。それなら相当重症だな。やはり記憶を取り戻す魔法が作られることを望むしかあるまい。しかしフランドールの言っていたことが気になるな。ありゃつまりどう言うことだ?僕はこの館から出たら何かあるのか?いやでも、美鈴が言うには外は危険らしいからな。あれ、でも僕は確かに外で暮らしてたよな?じゃあなんだ?ここに来てから危険になったのか?それとも危険なやつに追われてここに?
「あまり考えすぎるのも良くないのよ。」
「やっぱりパチュリーさんもそう思う?」
「私も魔女だから悩むこともあるわ。でも、そういう時は悩まず寝た方が進むわ」
「…ねえ、パチュリーさん」
「何かしら」
「僕がここを出るとしたら、どうなる?」
「死なずとも、五体満足は望めないわ」
「そんなに危険なの?」
「ええ。外は特に」
「嘘つきね、今危険なのは中なのに」
「フラン」
「まだいたのか。吸血鬼だろ、寝とけ」
するとフランドールは僕の膝の上で寝ることを選んだ。若干の不自由が僕を襲う。まあいいけど。話を戻して、外がどれくらい危険なのか、僕は今どんな状況なのか。いろいろ聞き出す。結果聞き出せなかったけど、それでもわかったことがある。パチュリーさんは僕に何か隠し事をしている。そしてどうもフランドールの言っていることが気になる。一回出てみてもいいが、もし五体満足の話が本当なら…嫌だよね、普通に。
「…咲夜」
「何?」
「隠し事してる?」
「…そりゃあ、私たちだもの。ゆーに対する隠し事はいくらでもあるわよ。そのグローブとか」
「あ、これ手袋じゃないんだ?」
「どう呼んでも構わないわ、貴方のものだもの。」
「いやそれはそうかもだけどさぁ…今外ってどんな状況なの?」
「今?お嬢様がたまに出るくらいには大変ね」
「ふーん」
紅魔館にいると前回の邪仙による拉致を思い出す。何やら変なことを思い出したが、それ以前に。やはりどうだろうか、僕がここに来るまでの記憶がごっそりとなくなっている。やはり外で誰かを待たせている覚えがある。夢を見たはずなのに忘れている気分。なんかモヤモヤして気持ち悪いというのが正直なところだな。フランドールの言う通り脱出した方が良いかもしれないな…うーむ、どうしたものか。そう考えていたらフランドールが部屋に乗り込んできた。
「ねえ、抜け出しましょ」
「理由は?」
「ゆーは紅魔館だけで作られた人間じゃないもの」
「…どういうこと?」
「ゆーは気付いてないでしょうけど、この館全体に結界が張られているわ。貴方の記憶を消す結界。これはパチュリーのものよ」
「いや聞いた理由としてはフランドールが僕を館から出そうとする理由なんだけど」
「え?あ、ごめんなさい…でも、好きな人がおかしくなっていくのを止めるのは普通だと思うけど?」
「えっ?」
「えっ?」
やってることの詳細は知らないが影響などは把握してるフランドール視点は好きな人の役に立ちたいし微妙に変わる好きな人に耐えられないというだけ。