今日は夜から早くに起きて作業をしている。僕としてはあまり必要もない作業ではあるのだが、まあ言われてるので仕方ない。僕がやっているのは、正邪の服を縫うことだ。つまりどういうことかって?正邪の逃亡生活が一区切りついたと言うことだ。元々こいつとの出会いは中々に変だった。この家で寝てたら正邪が侵入してきたんだっけ。おかげで僕は勘違いされたりなんだったりとあった。疫病神かと勘違いしたくらいには。
「…そろそろアリスからワッペン貰わなきゃいかんか」
「んぅ…お、作れたのか?」
「んーや、まだだ。見ろこれ、結構可愛いワッペンだろ?」
「ダサいぞ」
「…そう言うんだったら、服を破くのを止めることだな。糸もワッペンもタダじゃないんだから」
「ワッペンはタダだろ?」
「そりゃあね」
「ゆーの人脈があればひっくり返すのも簡単なんだけどなぁ」
「勝手に言ってなさい」
僕が好きでやっていることにはなるが、それを頼っている時点で正邪もかなり丸くなったのだろうということを紫さんから聞いたが、こいつ丸くなったんじゃなくて計画性を身に付けただけじゃない?本当に指名手配外して良かったの?まあ僕に幻想郷を理解することは無理だから何とも言えないけどね。
「…あ、このワッペンがいい」
「もう縫うところ一つしかねえぞ。尻のところ」
「何でそこ最後まで残してるんだよ!?」
「さっき見つけたんだよ。お前、どうやったらスカートの後ろ部分が破けるんだよ。流れ弾か?」
「う、うっせ!」
ワッペンを縫い付けた服を正邪に渡す。ちなみになんだが、正邪は今僕の服を着ている。下着?知らん。洗濯したからね。しかし…妖怪の服ってのはすごいな。くたびれない。僕もそう言う服が欲しいのだけれども。紅魔館で一度頼んでみたところ妖怪の匂いがついて危ないからダメだと言われた。身の丈に合う服を、というわけか。僕はそんなふうに曲解し、正邪が服を着替えるまで待つ。
「もう良いぞ」
「ダメか?」
「あのなぁ…天邪鬼だからって反対のことしか言わないわけじゃないんだぞ?」
「それなら僕も誰も天邪鬼だな」
「と言うかお前、私の下着どこやった?」
「干してる…お前まさか」
「そのまさかだよ!くそっ」
そうしてバタバタして、嵐のように正邪は去っていった。僕が正邪を可愛がる理由として、外の世界にいた後輩が理由に上がるだろう。正邪のような子ではなかったが、世話を焼くとその分暴れる面白い子だった。寝ようとしたところにノック。この家を訪ねるときにノックを鳴らすのはかなり限られるぞ。扉を開けるとそこには青蛾さんだった。僕が知る限りで一番危険な人物だ。
「っ」
「そんなに驚かないでくださる?傷つきますわ」
「せーがは意外と繊細だぞー」
「余計なこと言わないの」
僕がこの人を危険視する理由として、こんな会話をしながらも僕に自分の着ていた服を着せてくるところに出てると言える。彼女は僕の意思をかなり無視して自分の意思を押し付けてくるのだ。一応他にも同じような人はいる。でもそれは青蛾さんのせいでタガが外れたとか、共振して同じことをやっているとかが正しい。つまり最初にこう言うことをしてきたのは青蛾さんなのだ。だから怖いし警戒している。
「…ご飯、食べる?」
「また何か仕込んだんですか?」
「仕込んでません。ここで私が食べてみましょうか?」
「…芳香は?」
「せーがが変な野菜使ってたの見たぞー」
「あっこら」
「ほら見ろ」
そう言ってご飯を押し返す。久しぶりに料理を…いや、調理器具ほぼ全てが行方不明だから作り方がないな。クソである。料理が出来て、かつ青蛾さんに強く出ることが出来る人…だめだ、咲夜とか妖夢しか思いつかない。流石に今日暇はないだろうから、じゃあどうするか…芳香にやってもらうかな?まあ流石に札があるから無理か。どーすっかな。悩んでいるとすぐ後ろに青蛾さんが。驚いたわ。
「あの天邪鬼…随分と可愛がっているのね」
「あの子は反応が面白いからね」
「そう?じゃあ…あの子を操れば、私のところに来てくれるの?」
手が止まる。正邪を操る?つまりそれは芳香のようにする、と?それはいけない。肘で突いて冗談に済ませる。しかし困ったな。僕の家には大した食材もなかった。くっそ、どうやらミスったらしい。背に腹は変えられん、青蛾さんのご飯を食べるとしよう。なんだか施しを無碍にするのは胸が痛むし、仕方がないんだよこれは。仕方がない、仕方がないねぇ。あ、でもうまい。
「…んー」
「どうしたの?」
「いやぁ…ゆー、貴方って何か毒に耐性でもついてたの?」
「毒?んー…ちょっと待てお前、まさか」
「麻痺毒よ。そんな構えないで。襲うわよ?」
「…それで?」
「全然効果が出ないのよね。どうしてかなって」
「…」
思い当たるのはメディスンだろうか。何度か会ってくうちに毒に耐えれるようになった。会いにいった理由?毒って…なんかこう、強そうだから。まあ耐えれるようになって数日したら僕の歩く場所にわかりやすく死滅した生物が現れた。風見幽香が毒気がすごいからと言って僕から毒抜きをしてくれたおかげで今はなんともない。その時の免疫か何かだろう。それ以外なら思い当たる節は何もない。まじで。
「…あ、あれ?」
「何だ、効果あるじゃない」
「っ…?っ…ゃ?」
「じゃ、連れていきましょうか」
この作品の風見幽香は旧作のような髪型です。
ゆーがそっちの方が好きだと言ったので。