「…暑い」
「二人に囲まれて寝てたらね」
「ゆ〜…」
「萃香も酒で体温高めだしな」
布団から出て純孤さんを探そうとした時、食卓用の机に料理があった。純孤さんはどこへ行ったのだろうか?案外トイレだったりして。朝食を食べながら待つも、全然出てこない。一応紫と萃香の分らしき朝食もあるが、純孤さんの分はない。母親ってこう言うものなのかな。マミゾウがどんな感じだったか思い出せない。着替えて覗きを退治して今日は何をするか。摩多羅の様子でも見に行こうかな。純孤さんを連れて。
「外に出るの?」
「摩多羅あたりの様子を見に行こうかなと」
「えぇ…?あれも相当暴れたんでしょ?ゆーの安全を鑑みるとやめといた方がいいと思うけど。」
「そんなに強かったんだ」
「今の私と萃香でも隠岐奈が連れ去る気ならわからないわよ」
まあなんにしろ外に出て摩多羅の様子くらいは見ておきたいと伝え、扉を開ける。見知らぬ光景が広がっていたが、まあそう言うことは以前一度だけあった。永琳が日曜大工ならぬ深夜大工で三軒ほど新たな家を建てていた。二週間近くかけて全部壊したが、今回はそれとは比にならない。景色が違う。妖怪の山すら見えない。右を向けば中華風の建物が一つ。永琳が月の建物は中華風って言ってたな。じゃあこれ永琳の仕業か。
「…ん?」
「あのね、外に出るならこっちよ」
「スキマだろそれ。ここが幻想郷とは違う世界って言いたいのか?」
「そうだけど」
「…あ、そう…」
「ちなみに、貴方のお母さんは外で待機してるわ。三人くらい地面に伏せてるけど」
「嘘でしょ!?」
外に出て純孤さんに問い詰める。すると出てきた言葉は自衛だと言う。僕が寝ている間に訪問者が五名、追い払ったのが二名、地面に倒れているのが六名。あれ、残りの三人どこから湧いた?聞くと僕が目覚めてから三人来ていたのだとか。え、気持ちわる。紫に頼んで全員帰らせる。ちなみに六人の中に優曇華がいた。お前何やってんだ。ちなみにだけど寝ている間に来た訪問者と地面に倒れていた六名と追い払われた二名は全員別人らしい。
「おい!なんでゆーの家消えてんだ!?」
「正邪!久しぶりだなぁ!」
「ふざけんなよ!昨日の夜忍び込もうとしたらこいつに追っ払われたんだぞ!」
「まだ生きてたのね」
「うわ八雲紫」
「気持ちはわかるが表には出すな」
「そこまで親身となると…まさか番?」
正邪が純孤さんを反転させ、頭から落下させた。うーわまじかよお前。まあいいけど。正邪はそんなものじゃないと憤慨し、僕ははぐらかす。そんな僕を見て紫と萃香はとんでもないことを知ってしまったかのような目でコチラを見ていたが、実際そんな関係ではないので嘘はついていない。紫に睨まれた正邪は僕の後ろに隠れた。愛でるべき天邪鬼め。博麗の巫女につき出してやろうか?あ、本当に嫌っぽい。
「ゆー、私はもう帰る」
「さよならー」
「…ゆー、もうあの人呼ぶの遠慮してもらえる?胃がキリキリしてしょうがないのよ」
「あ、多分それ私。喧嘩した時から腹に小さい私を入れて爪楊枝でチクチクしてた」
「萃香?なんで今まで黙ってたの?ていうかいつのまにそんなえげつない攻撃するようになったのよ。」
「勝つためには相手の調子を落とす。これ鉄則な」
「なるほど…」
「やめなさい正邪、そんなもの学ばないの。」
さて今後の話をしようと紫が場を仕切り始めた。僕の護衛という名の役得立場を誰が占拠するのかというドストレートな話し合い。しかしそこに突如現れた影が二つ。ぼくの家周辺はテレポート地になったようだな。どうなってんだ?ちなみに出てきたのは聖と幽々子だった。幽々子は先日の件を知ってるのか?まあでも…そうか。そもそも新聞が配られる範囲にいないか。
「…ちなみに幽々子のところに行くとどうなるの?」
「まずは私が殺して」
「論外では?」
「え…ゆーを拉致する奴に対する手段よね?」
「ええ、そうよ。でも幽々子の力は蓬莱人には通用しないでしょ?」
「その点魔法ははっきりしていますよ。コチラには外の世界で親代わりをしていたマミゾウもいますし」
「それならこっちも藍がいるわ」
「…正邪の逃亡生活ってどんなの?」
「基本マジックアイテム頼りだけど、基本バレるまではその場待機だな」
「真似しないほうがいいですよ、それは」
「生存者バイアス…」
三人の話が盛り上がっているのを横目に追いやり、僕は純孤さんに家を元に戻してもらうようお願いする。そう、今の会話は全て家の外で行われていたことなのだ。ようやく帰ってきたぞ我が家が。家の中に入り、布団を片付ける。ちなみに萃香は力しかないからなという理由でまず妖怪の山にカチコミしに行った。ガチで指詰めさせてくるよ、と言われた。薬指にしてもらえれば移植できるかもしれない。それでよろしく。
「…なあゆー、山の方から轟音が聞こえるけど」
「多分萃香だな。こっちに飛び火はしないから安心しろ正邪」
「後服…」
「はいはい」
「…ゆーの心の安泰のためにあの天邪鬼もいるのかしら…」
「丁度いい、彼女も素直になるよう命蓮寺で面倒を見ましょうか」
「あれはゆーへの甘えから来る態度でしょう。ゆーとの関わりを断って矯正すべきよ。元々お尋ね者でしょう」
「怒らないでよ幽々子」
「怒ってないわよ。ただ冥界に招待してあげようかと」
「こんな短気な人が守るのですか?逆にゆーを殺しかねませんよ?」
幽々子「なんだァ…?テメェ…」