寵愛な幻想郷   作:覚め

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誰だって利己的にはなるさね
盛ったのは聖!


出所

「聖が居ないのに良いのか?」

 

「むしろ居ない時がいいんです。それでは、さよなら」

 

「またね〜」

 

命蓮寺を出て家に向かう。そういえば、今日は聖とは朝に会ってから見てすらいない。挨拶くらいはしておいた方が良かったか。最近は仏教に誘うことも少なかったから、挨拶くらいはするべきじゃなかろうか。なんだか星が会わせてくれなかったんだよな。あれか。最後に会わせると面倒なことになるのか。前例はないが、新たな前例になっても困る。人里を避けて家に戻ると、確かに改築がされていた。中には萃香が一人で眠っていた。

 

「おい、おい萃香」

 

「ん…ゆー…?」

 

「おう。随分と家が広くなったな。」

 

「本物か!?」

 

抱きつかれるように腹に飛び込まれ、悶絶。死にかける。腹を痛めたので寝転がりながら悶えていると、萃香が増築の話をし始めた。何やらよくわからない建築法によって小さめの館のような外観と和風の屋敷のような内装を両立させたらしい。その増築が僕の消えた日から5日間で終わり、そこからずっと飲食せずに待っていたらしい。僕が消えた、と言う言い方に少し疑問が湧く。そうだ、紫はどこだ?

 

「紫か?今はいないぞ」

 

「参ったな…手紙を渡せって言われてるんだが」

 

「…まて、お前、今までどこにいた?」

 

「どこって…命蓮寺だけど。聞いてたんじゃないのか?」

 

「紫は知らない風だったぞ?」

 

「…どう言うことだ、それ」

 

「わからん…」

 

どうやら保護ではなくただの拉致のようだった。拉致、かぁ…聖への信頼がガクンと落ちた気がしたが、まあ良い。紫を大声で呼ぶ。するとどこから聞きつけたのか出て来た。手紙を渡して読んでおけと言う。そうしてやることが終わったので寝ることとする。萃香に錫杖について聞かれたが、貰い物だと説明するとどこか納得したような顔をしていた。寝室に案内してもらい、布団を敷く。

 

「ゆー」

 

「何?」

 

「命蓮寺の連中は良くしてくれた?」

 

「あー…まあ、割と。」

 

「そう…そうね。分かったわ。」

 

「もう帰るのか」

 

「私にだって仕事はあるのよ」

 

「そうなんだ」

 

「ゆーは私と暮らすから安心して消えて良いぞ紫」

 

「お前のその態度が前の事件起こしたの忘れてないよな」

 

そういえばだが、いつのまにか首元の飾りが消えていた。萃香に申し訳なさそうに伝えると、何か満足したような顔で残念がる声を出した。あれ…なんかしつこく責め立ててくると思ったんだけど。そういや摩多羅は?結局様子見れてないよな?萃香に尋ねた所、摩多羅はもういなかったようだ。どこかに消えたか、後戸に消えたかのどっちかだろう。どっちも同じようなものだけど。

 

「ダメだ」

 

「何がだよ」

 

「呼ぶ気だろ」

 

「呼ばねえよ流石に。殺されるか犬にされるか婿にされるかの三択出してくるやつだぞ。三択ロースだよ」

 

「三択肩はおかしいだろ」

 

「くっそ、クリスマスは入ってねえのにバレンタインが入ってるの納得行かねえぞ…」

 

「…ゆー、お前はこのままで良いのか?」

 

「良いも悪いもどっちでも良い」

 

「良くない。紫も私も、お前がこのままでいるのを良くないと思ってる」

 

「じゃあどうすりゃ良い?」

 

「とっとと選べ。私がここにいるぞ?」

 

「賽子振ってやろうかな」

 

「ああばかばか」

 

僕が誰かを選ばなきゃならんのか。面倒な…摩多羅は無し、紅魔館も無し。この時点で結構限られて来たな。いやまあ、幽々子とかもいるにはいるけどね。平和な暮らしを求めるなら誰が一番か、で選ぶのは失礼にあたるだろう。親にあたるマミゾウと純孤さんは無理だろうから…うーん。やっぱ安牌は萃香なのかな。紫は嫌だ。あいつ気持ち悪いから。知ってる?あいつの家に僕のと同い年の木があるらしいよ。何をどうしたら大妖怪が人間に対してそんなに執着するんだよ。

 

「紫はお前が生まれた時からお前のことが好きだったからな。」

 

「なんだよそれぇ」

 

「…知らないだろうから教えるけど、紫には言うなよ?」

 

「何を?」

 

「お前が生まれた時、周りに対して運命とか縁が切っても繋げるしくっつけるとか言ってたからな」

 

「うわ見て鳥肌。すんごい鳥肌。笑えん」

 

「だはは!」

 

「酔っ払ってるな?」

 

何が何やら。地べたに寝転がり、もはや何もする気がわかない。敷いた布団が無駄になったな。わはは。となれば、僕が別の人を選ぶと紫は暴れるのでは?…え、不味くないか?…つまり、僕は詰みでは?本当にやばい感じ?うっわ…路地裏で困ってるからって声をかけるんじゃなかった。普通変な格好の女見かけたら声なんてかけないだろ…あの時の僕、どうかしてたな。それすらも仕組まれてたら酷いもんだぞ。

 

「まあ多分そこで声をかけなくても親代わりやってた奴らが引っ越しとか言ってただろ。可哀想なやつ」

 

「萃香が親代わりしてくれたら…いや無理だな。この小ささで母親は」

 

「お前はこんなに非力なのにな?」

 

逆鱗に触れたようだ。萃香に腕を掴まれて押し倒される。が、こう言う時こそ錫杖でど突く。寺パワーすげー、このまま僕を襲うやつ全員突こうぜ。あー危なかった。錫杖って小さく格納できたりしないかな。できないか。まあそんなもんか。錫杖を鳴らしてそれっぽく振る舞ってみる。萃香からは全然怖くないと言われてしまうが、僕が良く思えばそれでいいんだよ。そう言うものだ。

 

「ゆー、これ」

 

「紫…急に出て来て物を渡して来るな」

 

「お酒よ」

 

「しかも僕飲まないし」

 

「それとお肉」

 

「一緒に食べようか。」




ゆーの大好物
安い肉
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