寵愛な幻想郷   作:覚め

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お気楽大好き


楽々

「起きろー!」

 

「うおっ!?」

 

「なんだ!?」

 

「私の服!!」

 

どうやら正邪は今日も服を縫いに来たようだ。正邪、起こすならもっと穏便に頼む。萃香が面倒だから。ほら見て。すごい睨んできてる。多分この後同じようなこと要求されるぞ。紫からアリスのワッペンは手に入りづらくなったことを聞いていたので縫うしかないのに。布はまだあったかな。安物の布ではあるが外の世界産で丈夫な布。紫経由の入手にはなるが、まあそこは仕方なく。正邪の服はよく横腹とか背中に穴が空いているんだ。

 

「だからお前寝る場所は選べって言ったでしょ!」

 

「やぁだぁ!」

 

「おい天邪鬼」

 

「なんだよぉ」

 

「下着姿で喚いて恥ずかしくないのか?」

 

「萃香、やめてやれ。天邪鬼だからそれにも抗ってるんだ」

 

「何やってんだこいつ」

 

「うぁ〜!」

 

なんで僕に矛先が向かうんだ。おかしいだろう。僕が塗ってやってるんだぞ。こいつめ、嫌がらせに合わない色で塗ってやる。…センスがないからどれが合わない色なのかわからないな。なので…緑とか入れとけばいいだろ。あれだ。最悪消えるはず。あれ、青だっけ。まあなんでもいいわ。縫い皺を作らないように縫う。下手なりに頑張ってるんだ。前紫に見られた時はワッペンでも隠せない下手さとか言われたが。

 

「ほれ、正邪」

 

「…全部緑色?」

 

「お前が嫌がるからな。後スカートはほとんど切れかけてたからな。どんな生活してんの?」

 

「ば、お、おま」

 

「萃香、正邪のパンツは破けてるか?」

 

「あー…逃亡生活してる割には綺麗、かな」

 

「ぎゃっ!?」

 

「…」

 

正邪は逃げるように帰っていった。萃香と二人で今日の来客は誰が来ると思うかで話をする。二人だけで過ごすと話題もないのでこれくらいしかないんだ。なんか幽々子が来た。妖夢も一緒に。萃香が威嚇をするのでそれを宥めつつ、僕も威嚇する。あんな出来事があった後だぞ威嚇するに決まってんだろ。と、妖夢の刀を見て思い直したので僕が威嚇した時間は0.2秒に満たない。がるるる、死にたくない。

 

「今日は何しに来たんだ?」

 

「前はあの尼さんのところにいたのでしょう?順番で言えば次は私たちのところじゃないかなって」

 

「アホ言うな、どうなってんだよ」

 

「がるるる」

 

「なんですかこの鬼は」

 

「紫派遣の番犬」

 

「あら、韻も踏めるのね。私の家で詩でもどうかしら?」

 

「ねえなんでこの人話聞いてくれないの」

 

「…そもそも、私達は紫様の許可を得てここに来ています。ゆーに断られるならまだしも、そこの鬼に断られるのはおかしいわけで。」

 

「じゃあ断る理由ないなぁ」

 

と言うわけで萃香に家を頼んで出発。移動手段は妖夢だ。何を隠そう僕は空は飛べるんだが、どこかに行こうとするとふよふよとあらぬ方向へ進み、結果的に紅魔館に向かっていたはずが地面に突き進んでいたり山に向かったはずが何やら木々に突っ込んで枝の上で仮眠をとることになっていたりと中々に悲惨な目に遭う。なので徒歩以外はずっと誰かに乗せてもらっているのだ。決して冥界への行き方がわからないわけではない。

 

「なあ幽々子」

 

「何?」

 

「僕ってそんなに好かれる?」

 

「…え?」

 

「最近さ、紫とか萃香からさっさと誰か一人選べって言われるんだよ。なんかもうそれが面倒で面倒で」

 

「贅沢な悩みですねぇ」

 

「ま、まあ…私を選べばもう終わりよ?」

 

「亡霊になるよね、それ」

 

「あはは」

 

「…おい?」

 

幽々子の家に着く。その中でスイカが用意されているとのことなのでありがたくいただくことに。スイカと萃香を混合しかけていたのは内緒だ。僕は幽々子に連れられて居間に。この屋敷、結構広くて好きな屋敷だ。僕としてはこんな感じの屋敷に住みたい物だ。ただ問題があるとすれば、やはり手入れだろう。妖夢はそこらへん苦じゃないのかな。座っているとすでに分けられたスイカが出される。八切りかぁ、風流でいいのかな?

 

「ゆーの俳句が聞きたいわ」

 

「…ゴミムシの 盃交わし 食べ歩く」

 

「相変わらずのカスみたいな俳句。盆栽の才能とは違って輝くことがなくておもしろいわ」

 

「妖夢、こいつ切れる刀ある?」

 

「私としては答え難い質問になりますね」

 

「ちなみに答えは?」

 

「あります」

 

あるんだ。幽々子を見ると笑顔が引きつっていた。おそらく本当にあるんだろうな。丁度いい、貸してくれ。切り殺すから。ダメ?そっかぁ。僕が出した俳句を幽々子が笑いながら書き記し、そのまま掛け軸に。お前は何がしたいの?意味わからんよ?あ、妖夢も笑った。お前は物理攻撃が効いただろ。錫杖で突く。鞘で腹をど突かれる。そういや力は妖夢達の方が上だった。

 

「妖夢。やるならお腹じゃなくて股よ」

 

「えっ良いんですか?」

 

「良いわけないだろ。幽々子は適当言うな」

 

「適当じゃないわよ。お仕置きなら痛い方がいいでしょ?」

 

「ちなみに妖夢はどこやればいいの?」

 

「あご」

 

「小さいな…」

 

「妖夢は小顔だから狙いにくいのよねぇ」

 

もしかして幽々子、一回か二回妖夢の顎狙ったことがあるのか?それは主人としてどうなんだ?…あーでも、妖夢って確か幽々子の剣道の指南役とかやってたか。その時だな。妖夢お前…大丈夫か…?主人殺したくなったりしてないか…?あ、顔を背けるな。それってつまり思ったことがありますって言ってるようなものだからな。こっち向けよ。顔に出るくせに。

 

「あ、そういや盆栽だけどさ」

 

「壊れたの?」

 

「いや、どっか行った。んで僕の家の横にでかい木がいつのまにか生えてんだよね」

 

「…盆栽ってそこまで大きくなるのかしら」

 

「なるんじゃないのか?結局のところあれも樹木だろ?」

 

「私が整えに行っても良いですが」

 

「…その刀でやるとか言わないよな」

 

「流石にしませんよ」




庭師「刀ではやりません。間引きたい木は幽々子様の力で殺して取りますから」
幽々子「(この子は何の説明してるの?)」
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