寵愛な幻想郷   作:覚め

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幽々子が大食いだと誰が言った。
幽霊が現実のもの食って腹満たすわけがないだろう。普通に考えて。
それはそれとして大食いの方が可愛いので。


爆食少食

「…どうした妖夢」

 

「…ゆーって意外と大きいなぁって」

 

「どういう意味か今言ってみろほらおい」

 

「紫様と並んで立ってたところをよく見たので」

 

錫杖で腹を三回突く。妖夢からの鞘を錫杖で防ぐ。舐めんな、と思ってたら蹴り。腹を下した。僕はその場で呻き声をあげ、腹を気遣うように座り込んだ。流石の妖夢も気にはしてくれたのか、腹に冷えた半霊を押し当てられる。僕はその場で妖夢を突き飛ばし、記憶を頼りに厠へ一直線。何とか間に合った。間に合ったと思いたい。畜生、妖夢も妖夢だ。妖怪なんだから少しは手加減を…ダメだ、腹痛い。

 

「ごめんなさい」

 

「厠の扉越しに言われても伝わらん…っ、ちょっ、とりあえずトイレットペーパーだけくれない?」

 

「足りませんか?」

 

「足りる足りないじゃなくて、あの、ちょっとお前の声を聞きたくないというか」

 

「ぁ…すみませんでした」

 

キツく言いすぎたか?だが残念なことにこちらも余裕はない。僕の腹には余裕がないのだ。蹴りが鳩尾ではなく下腹部に入ったのが悪い。あ、少しマシになってきた。いやダメだ、今朝食った物まで出てきそう。一回一回の波が過ぎ去るまでに何時間経ってるんだろうってレベルで腹が痛いしキツい。少しずつ波が小さくなり、出た物全てを流し、外に出る。妖夢が土下座して待ってた。嘘でしょ?排泄音全部聞かれてたってこと?…えっ?

 

「この度は出過ぎた真似を…」

 

「いやあの、今後は蹴りじゃなくて鞘で」

 

「しかし鞘では防がれてしまいます」

 

「マジで何なんだこいつ」

 

「妖夢を育てた方針は『斬られても斬り返せ。斬ればわかる』よ」

 

「…とにかく身長のことは二度と言うなよ」

 

「肝に銘じます。」

 

「小さいの気にしてるの?」

 

「妖夢、刀」

 

「こちらに」

 

「えっ!?」

 

腹に温かいものを乗せながら居間に横たわる。お腹痛い。お前ら体温低い。くっついたら腹壊す。良いな?良くない?マジ?はぁ…僕は腹に布団を巻きつけて最低限の自衛を試みる。蹴りはやっぱりいかんよ。蹴りは。だって本当に痛いんだもん。いまだに痛む。こんなものはふくらはぎを攣ったとき以来だ。痛すぎる。何で並ぶくらい痛いんだ。おかしいだろう。

 

「…弱いんですね」

 

「妖夢…自分の家だと随分調子が良いんだな」

 

「…へぇ?」

 

「何を言ってるんですか。私は幽々子様の前だろうと人里の八百屋の前だろうと態度を変えることはありません」

 

「僕と二人きりの時は随分とあ」

 

「それ以上喋るなら鞘が真剣になることをお忘れなく」

 

「そんなことしたら私が妖夢ちゃんを殺すわよ」

 

「…私の大事な秘密をバレるよりはまだ…!」

 

突き出された鞘と妖夢の目からして恐らく真剣で刺してくるのはほんとうだ。一瞬怖くて腹痛が蘇ったが、何とか抑え込めた。もう無理…ここ怖い…嫌だよここ。もう帰ろうかな。空を滑空するだけなら僕だってできるんだぞ。どうやって帰るのかは知らないけど、多分降りていけば帰れるんだろ。どうやって降りていくんだろう…?わかんないな…と思っていると、昼飯の時間に。デザートはスイカ。お前まさか大量に買ったのか。

 

「…いつ見ても、幽々子の顔が見えないのは驚きだよなぁ」

 

「これで見えるかしら」

 

「行儀良く食べなさい」

 

「…」

 

「そうですよ幽々子様、早く食べた影響で米が焦げてますからね」

 

「摩擦熱でそんなことになるの?」

 

「はい。ほら、これなんか少し」

 

「本当だ…ゆっくり食えよ」

 

「…はぁい…」

 

少ししょんぼりとした幽々子を横目に、帰る方法を考える。結局安心できるのはあそこなんだ。我が家はいいぞ?飯は何故か自動で出てくるし、鬼は何故か僕と同じような生活リズムで暮らしてるし、風呂は何故かいつも三人か四人で入ってるし。最近は紫と萃香だけだな。たまに正邪も入るが。それに、何故か日用品がどこからともなく湧いたり消えたりする。主に消えるのはタオルとか服。代わりに新品が入ってる。多分紫だろう。

 

「…なんだよ」

 

「いえ、紫様は本当のことを言っていたんだな、と」

 

「何かあったのか?」

 

「気付いてなければ教えるなとも言われております」

 

「…?」

 

「まあ、紫の性格なら気付かせるようなことはしないでしょ。あの紫よ?」

 

「まあ、同意はするが…」

 

「紫も今のところは相手を選んでるみたいよ」

 

「…さっきから幽々子は何言ってんの?」

 

「それは私もわかりません」

 

昼食を食べ終えたのでそろそろ帰ることを伝えると、僕を出入り口まで見送ってくれることに。空を飛ぶことは大丈夫かと聞かれたが、滑空程度なら問題はないことを伝え、それでも不安だからとデカい傘を持たされた。…あの、人って傘を持つだけじゃどうにもならないんすよ…手と傘の摩擦力を超えた力で落ちるから、あの…いや2個あればいいとかじゃないから。わかる?あ、こいつ聞いてねえわ。ええい、どうにでもなれ!

 

「で、このザマ?」

 

「笑えよ天子」

 

「笑わないわよ。好きな人を笑う乙女はいないわ。私が断言してあげる」

 

「あの、それはどうでもいいから早めに助けてくれない?傘のせいでうまく滑空もできないからキツくてさ」

 

「…別に傘を開く意味なかったでしょ?」

 

「いやあの、これ留め具がなくて落ちたら開いたんだよね」

 

「あ、そういう?まあ…私の要石に乗れば?」




要石「筋斗雲みたいに人を運べます!筋斗雲と違うところは人を選ばないところ!あと重いので落ちたら地震を溜め込ませちゃうところ」
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