寵愛な幻想郷   作:覚め

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二者択一ですらない選択肢


愉悦

「…おいこら、離せって」

 

「嫌よ。私はこのままが良いんだもの」

 

「このっ…」

 

こういう時のための萃香だろうに、何故ここにいないのか。僕が全力で暴れるも、振り解けない。魔法も使っているので本気の本気だ。どうやら桃は足りなかったらしい。どうやら紫にされるがまま、ということだ。僕が一体何をどうしたのか。知りたい所存だ。天子はやはり腹を下したのだろう。トイレから一切出てくる気配がない。クッキーは作り置きに適していない。ちゃんと学ばせてもらったぞ、天子。

 

「ほら、机に座って…そろそろ、幻想郷のためにも決めなきゃいけないことがあるのよ」

 

「…はぁ?何?弾幕ごっこの廃止?」

 

「それなら私の独断。ゆーのことよ」

 

「げっ」

 

「あなたは何度言っても全然嫁をもらわないじゃない。ここに来て何年目だったかしら?」

 

「二桁近いんじゃないかな」

 

「少なくとも。こっちに来てから四年目以降はたまに言ってるわよ。」

 

「…」

 

「でも、今年はやたらと事件が多かったわね。けしかけた?」

 

「まさか。平和主義者を自覚してるよ」

 

「まあ、良いけど。それでね?その事件を起こした主犯と関係者を除いた中から選んで欲しいの。」

 

「選ぶって…急に言われてもな。つーかいろいろと急すぎ。寝て考える」

 

「えぇ…?」

 

ただ、事件が起きすぎという点には同意出来る。僕が知らないだけであと二、三件はありそうな雰囲気だ。ドレミーに押し付けてやろうかな。全部。解決するまでは起きないとか言うと手伝ってくれるんだよな。優しい夢魔だよほんと…あれ、獏だっけ?まあとにかく、この状況が悪夢でありますように。少しだけそう祈って眠りにつく。着いたはずだ。じゃあこれは夢の世界か。毎回入れ替わるタイミングがわからないんだよな、

 

「…いやぁ、貴方も罪な方です」

 

「ドレミーはそういうのないもんね」

 

「いえ?ありますけど?」

 

「は?」

 

「なんなら貴方の恥じらいの感情を夢の世界に置いて行かせるほどには」

 

「…ドレミーまで壊れちゃったか。もしもし世界の管理人?」

 

「やめてくれます?」

 

「はいはい」

 

だから射命丸とか萃香とかと風呂入っても恥ずかしくなかったわけだ。変なの。僕は夢の中でのみ得られる恥じらいを感じようとしてみたが、結果できず。あれ?じゃあ僕の恥じらいって今どこにあるの?ドレミーの?後ろに背負われてるカバンの原材料?あ、ふーん…そう、なんだ。いや大丈夫だよ。嫌ったりしないから。ただちょっと、その、遠ざかってもらえる?ありがと。これが僕とお前の絶対領域ね?なんで近づくの?

 

「僕は何をすれば良いんだい」

 

「あの状況を?目覚めたら窒息しないように体ごと後ろに引くと良いですよ」

 

「抱きしめられてんの?」

 

「いえ、えっと…うーん、伝えるのは無しですね」

 

「え、何それ怖いんだけど」

 

「いやね、うん。…私は言葉で言い表したくないです」

 

「本当に怖いんだけど。紫は何やってんの?」

 

「いや本当に…言いたくないです…」

 

「ドレミー…話を変えよう」

 

「そうしましょう」

 

世間話を混ぜつつ、誰を選べば良いのかをさりげなく聞いてみる。すると、ドレミーは誰でも良いと言ってきた。なんだ。結局ドレミーは紫達と同類ではなかったのか。そう思ったのだが、夢の世界では僕を独占できるからと言って他の連中は敵とは思ってないらしい。なんだこいつ、なんだこいつ?何やら訳がわからないが、とにかくドレミーの中ではそう言うことになっていた。紫連れてこようか?

 

「でも、確かに八雲紫は困りますね。その気になればこの夢の世界にも来てしまう。困りました…」

 

「呼んでみるか。紫〜」

 

「そんな呼んだからって来るわけないですよ。同じ時間に寝て、夢の中での境界を操ることでここに来れるんですから。」

 

「…本当だ、来ない」

 

「でしょう?少し心配でしたけど」

 

「そうね、確かに心配よ」

 

「なんでいるんですかこの馬鹿は!!」

 

「わーお」

 

「え!?現実世界の貴女寝てませんよね!?は!?だ、誰ですかこれ!?」

 

「最近は藍に私の格好させてるの。私は私で仕事があったし。」

 

「…ああ、アレですか。良くないですよ。バレたら確実に嫌われます」

 

「バレないんです」

 

何やら紫は画策をしていたようだ。しかしここまで紫が来るとなればドレミーでもどうしようもなさそうだ。仕方ない、ドレミーの迷惑はなるべく避けるためにさっさと起きるとしよう。起きる方法?知らんが、ドレミーに頼むと起こしてくれる。ドレミーに頼んで起こしてもらい、言われた通りに頭を勢いよく下げる。目の前には紫が。…寝ていた。なるほど、最近は藍に自分の格好をさせているだけだから嘘は言ってないな。

 

「起きて〜」

 

「んっ…あ、あら…?起きちゃった…」

 

「僕たちが寝てる間に天子も帰ったっぽい」

 

「…そうね。トイレも扉を開けっぱなしで…はしたない」

 

「良し、じゃあ帰れ」

 

「嫌よ。それに答えてもらってないんだもの。今この幻想郷にいる少女から、ただ一人。」

 

覚えていたか。一回寝たから寝起きに仕掛ければ帰ってくれると踏んでたのに。しかし、さっきの言い方的に恐らく純孤さんはダメだろう。面倒な。萃香の言い方的に紫の目の前で紫以外を選んだら面倒なことになるのは分かってる。だがしかし。本当に紫で良いのか?という点もある。ぶっちゃけ好感度で言えば…萃香の方が…高い…かな…?とにかく。選ばれるならまだしも選ぶなんて面倒すぎる。

 

「選ばないって言ったら?」

 

「…まあ。そもそもこの幻想郷にいる少女なんて、もう一人しかいないのだけれど。」

 

「…は?」




藍「なんで私が夢の世界まで…」
ドレミー「かわいそうに」
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