A.消すわけねえだろ波打ち際の孤島みてえな幻想郷の管理人が私情で。見えなくしただけだよ。ゆーから。
なにもわからない。紫が何やら考えていたのに、急に顔が明るくなったので何だと身構えたら抱き着かれた。言い寄ってきたときの図体とは違い、何やら少し小さい。よくみたらこいつ、子供みたいな図体してる。少し考えて、少しして納得する。やっぱこいつきもいな。小さくなった理由については聞かないでおこう。面倒だから。
「紫、これから何すんの?」
「とりあえずゆーに憑けた式をとるわね」
「えっ」
「心配だったのよ?ゆーが誰かを選ぶって私の知らない場所で起きた時用に、式で制限つけてたんだから。一部の奴らには気付かれてたみたいだけど。」
「誰が?」
「それこそ隠岐奈は。ほかで言えば…、ほら、死体操る仙人」
「ああ」
何やらそういうことらしい。となればおそらく神霊廟の奴らは気付いていただろうな。言ってくれればよかったのに。まあとにかく、僕はようやく紫の支配下を抜けた…のかな?残念ながら全然実感がない。式が取れたのは確からしい。と、気が付けば辺りから変な声が。天子の声だ。トイレから聞こえる。…なるほど。どうやらクッキーが当たったらしい。帰っていたわけではなかったようだ。しかしでかいな。
「何が何やらわからんが、みんなが見えなかったのも紫の仕業か?」
「正解。ゆー目線で私だけだったってお話。聖白蓮もレミリア・スカーレットも摩多羅隠岐奈もちゃんといるわよ」
「へ~」
「さ、あんな万年桃暮らし女は放っておいて」
紫に連れられそのまま紫の家へ。そこで何やら変なものを渡される。指輪でもない。何か変な物。なんかきもいっつーか、なんだこれ…?何かの内臓かな。それとも…脈打ってるし、紫のスキマでどっかから取り出した脈打つ何かかな。そうであれ。そうであって欲しいな?紫、どう?…そういえばお前、これどこから取り出した?なんか、ポケットから出すような感覚で取り出してたよな?
「それはね、私の心臓よ。」
「えっ」
「これを食べて、私と同じ隙間妖怪になってくれる?」
「…え、何、どういうこと…?」
「んー…そうね。私の心臓に限った話にはなるけど、心臓を食べさせると私と同じ妖怪になるように改造したのよ」
「えっと…それで?」
「それを食べたら私と同じような妖怪になれるわ。効果はそれだけ」
「てっきり婚約指輪でも渡されんのかと」
もしかしたら紫からしてみれば隙間妖怪は苗字的なものかもしれないな。つーか食べるって。結構小さいけど…どうやって食うのさ。僕そういうの苦手だよ。口の中のゲロ飲み込もうとしたらさらに吐くくらいには無理だよ?紫わかってる?これ食わせようとしてる意味本当にわかってる?少し勇気を出して舌で触れる。なんでお前の心臓もビクッとしてんだよ。頭…いや、心臓おかしいぞお前…ていうか人間が妖怪になったらまずいのでは?
「…あれは外来人には適用されないのよ」
「なるほど。それでは…ねえこれ料理とかできない?」
「じゃあ直接胃に送るわよ」
腹にどすんと何かが落ちる。瞬間、なんかこう、変な感覚が。吐き気というかなんというか。気持ち悪い。のたうち回っていると、紫に体を抑えられた。逃がさないぞ、吐き気が。とうとう限界を迎えるかと思った時、吐き気が急に治った。頭にハテナを浮かべるも、紫からは何も言われない。なんだろうか。僕が初めての実例だからわからないのかな。紫の顔を見つめていると、急に抱きしめられた。情緒おかしいな、こいつ。
「私の妖力を貴方から感じれた!成功よ!」
「…どうでもいいけどさ、これ他の連中に何言われるか考えてた?」
「そんなの気にする必要ある?」
「あー…ないな。ない」
そう言って紫に論破…論破?された。それから摩多羅だったり紅魔館だったり命蓮寺だったりを巡り、そのまま喧嘩を売ってきた。紫が。特に酷かったのは紅魔館。レミリアさんとフランドールが手を組んで殺しに行ってた。パチュリーには縋られるどころかその場で僕の同人誌を描くとまで言われた。勝手にやってろ。僕は知らない。ジャンルは純愛らしい。どこかで脳が壊れてNTR描いてそう。
「楽しかったわね、ゆー」
「それなら何より。」
「さて、ゆー。妖怪流の結婚式は終わったけど、ゆーは結婚式やりたい?」
「お前あいつらの反応見てなかったの?鬼?」
「全員平伏させて漸く花嫁の座に私が座るのよ。それは不変の理だわ」
「ゆがんでるなぁ」
しかし僕は結婚式を挙げず。心臓食ってから何故か急に使えるようになったスキマを使って我が家に居座る。…これ多分だけどスキマの中でバッタリ紫と会いそうだな。萃香に会いに行くと、萃香は酒に浸されていた。比喩なしに。風呂場で値段の高そうな酒に浸っていた。何リットルあるんだろうか。萃香はこちらに気づいて抱きついてきた。裸で。萃香の後ろから紫が睨んでくる。もう嫉妬されてんのか。嫉妬のスイッチ早すぎるだろ。おかしな奴め。
「…おい、指で突くな」
「あら、ごめんなさい」
「紫ぃ…私、ゆーの養子としては」
「ダメよ」
「…じゃあ義兄妹…」
「貴女年齢で言えば姉でしょ」
「今は甘えたい気分」
「…はぁ。」
「そう言えば純孤さんは?」
「あの人は、私じゃどうもできないから来るなって願ってただけよ」
「気を遣ってでなかっただけよ。で、挨拶が遅れてるわ。」
「ごめん」
「ごめんなさいね」
純孤さんまで後ろから出てくるのか。もはやこの家は珍妙摩訶不可思議な忍者屋敷となったらしい。いや元々か。出入りするたびに家が広がることを考えれば十分摩訶不思議だ、純孤さんが僕の手を握り、結婚祝いの言葉を述べる。おかしいな…今初めて出てきたのにあたかも結婚については元から知っていたような口ぶりだぞ…?
「とにかく。私の息子をどうか幸せに、な?」
「え、ええ」
「これで不幸せにさせたら…」
「さ、させたら…?」
「幻想郷は跡形もなく消し飛ぶものと思え。」
「…は、はぁい」
「良し。じゃあゆー、私は帰る」
「あいよー」
「…怖っ…」
「で、これからどうすんの?」
「うーん…とりあえず当分はゆーの妻であることをを見せつけて、それが終わったら本格的に愛し合いましょう」
「お前、やっぱ鬼だろ」
最終回〜。
紫はこういうことしそう。
僕本人の後悔としてはもう少し湿度多めが良かったな。キャラをもう少しでも上手く扱えたら良かったな、と思いました。でも、嫉妬深い女の子は好きなのでOKです