寵愛な幻想郷   作:覚め

9 / 51
8時って、夜中とは言えないですよね。


夜中8時

「天子…か」

 

「何?不満?生意気ね」

 

「いや、今何時かわかってる?」

 

「夜」

 

そう言って意気揚々と家の中へ入り、そのまま寝てしまった。困った、僕の寝床がないぞ。仕方ない、椅子で眠るか。少し身体が痛いが問題はない…いや眠れねえわ。全然眠れない。身体が疼く。机が欲しいと。仕方ないので天子を端に寄せて同じ布団で眠る。つい最近まで眠れてたはずなのに、悲しいな。明日は一応アリスが来る予定だ。僕の予定はよく崩れるが、約束の上に立つ予定はあまり崩れないのだ。

 

「で、そうなっていると」

 

「すまん…」

 

「その子、そんなに大変なの?」

 

「ちょっとゆー!何よこの女!友達がいないからって人形に友達頼むような奴と関わっちゃダメでしょ!?」

 

「宜しい、ならば死になさい」

 

「まあ待てよ」

 

アリスを止めてさっさと本題へ。僕とアリスが今日約束していたことは、魔法とお菓子だ。お菓子に関しては、あれだ。つい最近幻想郷にもバレンタインが流れ着いたらしい。紫さんが輸入したのだろうが、それを知ったのはレミリアさんとの会話の最中だった。バレンタインは確か聖ウァレンティヌスに由来する記念日だったかなんだったかの記憶があるのよね〜とか言われても残念僕は知らない。僕とはそう言う人間だ。

 

「そのお返しってわけね。」

 

「バレンタインとは別のホワイトデーだな。勿論、教えてもらったからにはアリスのは何か特別なものにするさ」

 

「嬉しいわね…ハート付けて日付付けて貰えれば私は結構よ。その日を式の日に」

 

「話の飛躍が過ぎる。」

 

前回無理矢理帰したのがまだ記憶に新しいようで、少し怒っているような声色をされている。もう片方の魔法というのは、あれだ。作る際の加熱と冷却。これをスムーズに行う魔法が欲しいのだ。パチュリーさん?残念だがあの人にも特別を施すと面倒臭いことになる気がするのでやめておく。気付ける限りの時間には出来る限りの対策と回避が大事なはずだ。多分。見えない限りは事件を起こすが。

 

「ちょっと、これじゃ強火よ」

 

「おっと」

 

「…ねえ、もしかしてだけど」

 

「?」

 

「ゆー、料理下手?」

 

「…いや、そんなことは」

 

「弱火と強火間違えるのに?」

 

「…正直なところ、台所を使われた後は大体見知らぬ台所になるから…その…」

 

「ああ、そういうこと。あの子は?」

 

「天子は…台所に入ったことはないはずだけど」

 

そう言うと天子が料理はできると主張してきた。ほざけ、こちとら使ってた調理器具はもうないんだぞ。前見た時は何故か簪があったし、調理器具をチラリと見れば使っていいのかわからない衛生的にやばい腕で作られたであろうヘラがあった。多分これは青蛾さんのものだと思って捨てたが違ったらしい。今僕の隣にいるアリスのだと判明した時はかなり恐怖したものだ。人形の手だったようだが。いやだとしても怖えな?

 

「と言うわけで試作品ね。天子」

 

「私が味見役?」

 

「手伝えばゆーから特別なものがもらえるらしいわよ」

 

「まずは匂い…」

 

「クッキーだぞ、何やってんだお前」

 

「そうね…さながら、九月の不安定さを選んだ上で挙式したような…意外な匂い…」

 

「やべえ天子のスイッチ入った」

 

「まずいわね」

 

その後も長々と話し続けられたのだが、要約すると意外な匂いで見た目とは違った楽しみ方、そして食べると甘味にクッキーの水気を奪う感触が合わさり美味、らしい。後味を語ろうとしたところで口を掴んで黙らせた。食うなら食え。そう言うともそもそと食べ始めた。そうして僕たちは三人揃って僕のお菓子を食べながら暇を潰していた。全員が美味しいと感じているならいいんだけど。

 

「…ねえ、ゆー」

 

「なんだ天子」

 

「私もそれやりたい」

 

「あー…これ?」

 

「誰の服縫ってるの?」

 

「…いや、これは僕の趣味だ。そもそも誰の服でもない」

 

「嘘ね。世話焼いてる天邪鬼の服でしょう?」

 

僕の手が止まる。違うことは違うのだが、いや…うん。僕の今縫っている服は正邪の服だ。が、正邪に着せるものではない。僕が縫っているのは…その、一応だけどアリスの作っている人形に似合うよう作っているものだ。いやまあ、僕の一番見慣れている服は天邪鬼なんだけれどもね。とは言え、出来は悪い。うーん、裁縫の才能はなかったようだ。あ、今韻を踏めた。まあそれはそれとして、だ。この空気どうしよう。

 

「へぇ…あの天邪鬼の服なのね」

 

「ちげーって馬鹿、アリスの人形のやつなんだわ」

 

「…着させないわよ。あんな女の服なんか」

 

「これだよ」

 

「ま、私はこのクッキーで満足だけど」

 

「奇遇ね、私も同じよ」

 

「…バレンタインが怖いな。」

 

そうして時が流れクッキーがなくなったところで。魔法の話に。簡潔に言われた中身を言うとそんな微調整のある魔法なんかないとのこと。ふーむ、パチュリーさんが使っていた覚えがあることを伝えると、あれは微調整ができるパチュリーさんだからこそのことらしい。やっぱりあの人はすごいなと感心しているとアリスさんからの視線が怖くなった。なんでそんなガン開きの目でこっち見るの。

 

「…そこまでして紅魔館が良いの?」

 

「今はそこまで。僕がこっちにきた時の雰囲気が好きだったんだよ」

 

「何?天界の方が良いと思うけど?」

 

「お前、最近天界は刺激がないとか言ってたよな?」

 

「貴方が紅魔館を出る時にどんな経緯があったのか知りたいわね」

 

「パチュリーさんに聞けば良いよ」




風見幽香はどうやって出そうかな。
出すならメディスンとセットだけど。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。