【Blue Archive】──あまねく奇跡の分岐点──   作:メビウスの輪

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プロローグ──①

 

 

 

 

 

 「ん?なんだこれ」

 

 

 学校から帰宅して、趣味であるゲームをするために家庭用ゲーム機を起動すれば、見慣れないゲームアイコンがホーム画面上にあった。

 

 

 「………【ブルーアーカイブ】?」

 

 

 そんなタイトルと共に、マフラーを巻いた狼耳の美少女が堂々とアイコンに鎮座していた。

 

 インストールした覚えのないデータ。ただ、この【ブルーアーカイブ】というタイトルには聞き覚えがあった。

 昨今人気が沸騰している青春学園RPG。動画の広告ではよく見るし、最近だと駅前にもポスターが貼られていたりするから、自分のようにやっていなくても存在は認知しているという人も多いのではなかろうか。

 

 

 「……【ブルーアーカイブ】ってアプリゲームじゃなかったっけ?」

 

 

 そんな疑問もさる事ながら、好奇心に背を押されて美少女アイコンにカーソルを当てて選択する。

 表示されるのは真っ暗な画面。しかし、次第に白い文字と共に、ゴーグルのような機体が画面上に浮かび上がってくる。

 

 

 「え?これってVRゲームなの?」

 

 

 指示された通りVRヘッドセットを本体に接続し、すぐさま装着。すると、真っ暗な世界の中で文字の羅列が表示される。

 パッと見たところこのゲームの詳細のようだ。

 

 

・本作はオープンシナリオ・アドベンチャーを採用しており、貴方が取る選択・行動・発言によって行き着くエンドが変わります。

 

 

・選択イベントごとにオートセーブポイントが設けられており、再度その選択時からやり直すことも可能です。また、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

・本作には【ステータス】という能力値が存在し、イベントや育成を通してそれらの数値を上昇させることが出来ます。

 

 

・【ステータス】は引き継がれます。

 

 

・数多の選択肢の中から正解を選び取り、先生や生徒たちと協力しながらより良いエンドを目指しましょう。

 

 

 重要な説明はこれぐらいだろうか。

 他には【ブルーアーカイブ】の世界観や常識といった基礎的な知識が記載されており、それらもある程度頭に叩き込んでおいた。

 学生たちが平然と銃を振り翳す世界観というのはかなり驚きだが、同時になかなかない設定だと感心する。そういった意外性が世の男性女性に刺さったのだろうか。

 

 そして、何よりオープンシナリオ・アドベンチャーシステムという点に目を惹かれる。

 自分の選択によってエンドが変わる、というのはなかなかに面白いと素直にそう思った。

 それに、各所でセーブポイントが設けられているから、もしバッドエンドに進んでも選択時点に戻って違うエンドに進めることも可能という親切設計。正直ありがたい。どうせなら色んなエンドを見てみたいしね。

 

 

 「………普通に面白そうじゃん。そりゃ俺もインストールしてるわな、全然記憶にないけど」

 

 

 おそらくただ単に忘れているだけだろう。きっと過去の俺が衝動買いをしたに違いない。それほどまでに俺好みで魅力的なゲームだと思う。

 

 開始前から大きな期待感を抱かされながらスタートボタンを押すと、そのタイミングと同時に黒の世界は崩壊し、代わりに青と白の世界が広がる。

 はい、やって来ました、MMORPG恒例のキャラメイクのお時間です。体格、身長、種族等を自分好みに選ぶことができる恒例のアレね。

 

 

 「種族……種族と言っていいのかは分からんけど、とりあえず“生徒”以外選択できないな……ただ身長、性別、アクセサリー、羽、角、猫耳、狼耳と付属品は自由に付け加え可能か」

 

 

 俺はキャラメイキングの自由度に目を見張る。これまで数々のゲームでこの道を通って来たが、ここまで多種多様にできるゲームを俺は知らない。

 ま、だからといってこれまでの定型を崩したりはしないが。無論俺のキャラはこれまで通り黒髪黒目、容姿もできる限り自分の顔に近いものに。性別も男だ。だって俺、男だし。

 

 

 「名前か……」

 

 

 キャラメイクを設定し、最後にプレイヤー名を決める欄が残されていた。

 しかし、ここが一番の難所だと説明の概要を見て思った。なんせ、『苗字+ナマエ』という謎の縛りを要求されているからだ。

 いつもなら『サン』だとか『シン』だとか、俺の名前にちなんで二文字の良い感じの語彙を使い回していたが、今回それが通用しない。

 

 

 「………しゃーない、本名でいっか」

 

 

 現段階では思い浮かばなかったため、最終奥義である本名を使うことにした。

 色々と不用心じゃないかって気持ちも分かるけど、あくまで現段階での話だから安心してほしい。どうせ幾らでも名前なんて変更できるんだし、今はじっくり考えて後から変えようと思っている。

 

 俺はプレイヤー名に『驪翔ライ』と記入し、『NEXT』ボタンを押すと、画面中央に紅い文字が表示された。

 

 

 

 

……我々は望む、七つの嘆きを。

 

 

 

 

……我々は覚えている、ジェリコの古則を。

 

 

 

 

 ……なぁにこれ。何かの暗号ですか?

 

 そんな小並感な感想を抱いていると、一瞬で場面は移り変わり、気づけば薄日が差し込む電車内で座っていた。

 目の前には血だらけの女性。その白く丈夫な服を自身の血で濡らし、その光のない瞳がもはや風前の灯となった命であることを訴えかけてくる。

 それでもなお姿勢を崩さずにいられるのは彼女の矜持ゆえか、それとも意地か。

 

 

 「……私のミスでした」

 

 

 彼女は語る。

 これらの結末に至ったのは、全て自身の選択のせいであると。

 こんなにも傷ついて、血に塗れて、何もかも失ったような目をしていてもなお、自身を責め立てる彼女に憐憫の情を抱かざるを得ない。たとえそれがゲーム上のキャラクターであるとしても、だ。

 

 

 「大事なのは経験ではなく、()()

 

 

 「貴方にしかできない()()()()()

 

 

 「貴方が()()()()()()であるならば、この捻じれて歪んだ先の終着点とは、また別の結果を……」

 

 

 「そこへ繋がる()()()は……貴方にならきっと見つけられるはずです」

 

 

 電車の窓から見えるのは、崩壊した街並み。これがこの世界が辿った末路、その悲劇なのだろう。

 

 

 「きっと私の話は忘れてしまうでしょうが、それでも────」

 

 「忘れないさ。きっと、君のことは忘れない」

 

 「────ッ」

 

 

 メタ的に言えばゲームだし、たった今起きたことを次の瞬間には忘れているなんてそうそう出来やしないだろう。

 もし忘れようものなら、それは健忘症の疑いがあるから一度病院に連れて行ってもらった方がいい。

 ただまぁ、目の前で涙を流す子に向かって水を差すような発言はしたくないから黙っておくけど。

 

 

 「だからライくん、どうか……」

 

 

 世界が崩壊していく。

 何を言いかけたのか、何を伝えたかったのかは分からないが、最期に見えた彼女の顔はとても美しく、花のように可憐な笑顔だった。

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

 

 

 「始まったか」

 

 

 場はまたしても一転。めちゃんこ重要そうな伏線的プロローグみたいなものを終わらせ、次に目を覚ましたら街中にいた。

 ただ、あちこちボロボロで、なんか暴動かテロでも起きたん?と言いたくなるぐらい悲惨な状況である。

 

 

 「うおっ、スッゲー銃声聞こえるじゃん。音もやけにリアルだし……」

 

 

 本当に映像内に入ったような感覚だ。流石はVRMMORPG、現代ゲームの最先端を征くだけはある。

 

 それに、この状況もすぐに理解できた。

 つまり、さっきの世界観の説明通りだと、俺と同年代の学生が今も銃を乱射していて、この世紀末のような状況を作ったのも其奴らの可能性があるというわけか……結構ハードな世界だな、【ブルーアーカイブ】って。

 

 

 「悪くない……いや、むしろ良い。ようやく面白くなってきたって感じだ」

 

 

 息を呑むほどに圧倒的なグラフィック、細部にまで拘った街、迫力のある戦闘音。何よりこれから何が始まるのだろうかという未知からくる高揚感。

 まだ始まったばかりだから何とも言えないが、既に神ゲーの予感がプンプンする。

 

 

 「よし、さっそく闘いの中心地へ向かうとしますか」

 

 

 そんなこんなで戦場へ赴こうとしたその瞬間、俺の目の前に二つの選択肢が何の前触れもなく浮かび上がる。唐突にイベントに突入したことに困惑はすれど、このゲームの説明を思い出してすぐに受け入れた。

 つまり、これが俺にとっての最初の選択であり、文字通り分岐点となる選択肢なのだろう。いや、流石に初っ端も初っ端からそんな重要な選択をさせるわけもないか?やってみなきゃ分からんな。

 

 さて、まさしくチュートリアル───もしくはプロローグと呼ぶに相応しい幕開けだ。いや〜、楽しめるといいな〜。

 




チュートリアルに従ってご選択ください。

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  • 戦場へ向かう
  • 周囲を探索する
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