最強の消防官になりたくて!   作:生徒会長月光

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前回読んでくださった皆様ありがとうございます。

期間空きましたが続きになります!

それではどうぞごゆっくり!




最強の消防官は幼き英雄の末裔の姫のため焔をもって魂を安らかに弔う

あれから泣きじゃくるリリムを宥めた紅丸。

 

「そのごめんなさい…汚しちゃって」

 

「ガキが遠慮すんじゃねェ。」

 

がしがしと頭を乱暴に撫でられるリリム。

 

「その…神様助けてくれてありがとうございました!」

 

「だから神様じゃねェ。新門紅丸だ。」

 

「じゃあ紅様!」

 

「…まぁいいか。お前たちの仲間分かるか?」

 

「う、うん。」

 

「まだ生きてる可能性もある…がどうする?」

 

紅丸は事情は知らないが最初にあった時の母親の消耗具合を鑑みて速くここから離れた方が良いとリリムに暗に見捨てることも視野に問い掛けた。

 

「それでも…生きているなら…助けたいです。」

 

「ならここからまずは離れる。弟背負えるか?母親は俺が背負う。っとそういやぁ名前を聞いてなかったな。」

 

「は、はい!リリムです!」

 

「よしリリム、行くぞ。」

 

ぶっきらぼうに言い放ちながらもリリムの母を優しく背負いリリムの歩幅に合わせて歩く紅丸。

 

そうして金豹族の…自身の生まれた地へ戻ってきたが

 

風は冷たかった。

 

鼻を突くのは血と、焼け焦げた木の匂い。

 

新門紅丸は立ち止まり、目の前に広がる村を見渡した。

 

家々は崩れ、柵は薙ぎ倒され、地面には無数の足跡と血痕が残っている。

 

戦いは終わっている。

 

だが、その静けさだけが、かえって惨劇の大きさを物語っていた。

 

(…間に合わなかったか。)

 

背後で、小さく息を呑む音が聞こえる。

 

母親を支え、弟の手を握ったまま、彼女は村を見つめていた。

 

「……うそ。」

 

その一言は、あまりにも弱々しかった。

 

ゆっくりと一歩踏み出す。

 

見慣れた家。

 

幼い頃から駆け回った広場。

 

父に狩りを教わった森の入口。

 

そのどこにも、生きている者の気配はない。

 

代わりに横たわっているのは、見知った顔ばかりだった。

 

(こいつはひでェな…男連中もだが女、子供まで徹底的にヤッテやがる…)

 

その光景はまだ幼いリリムにとってみれば残酷なものであった。

 

紅丸はリリムから弟を抱え上げて背中を擦る

 

「おじさん……。」

 

返事はない。

 

「おばさん……。」

 

誰も起き上がらない。

 

「……みんな。」

 

足が震える。

 

胃の奥が締めつけられた。

 

「ぅ……。」

 

耐えようとした。

 

だが限界だった。

 

「ぅえっ……!」

 

その場に膝をつき、吐き出す。

 

胃の中はほとんど空だった。

 

それでも苦しそうに何度もえずく。

 

弟のリンは泣きそうな顔で姉の背中をさするしかできない。

 

紅丸は何も言わなかった。

 

ただ黙って近づき、大きな手でリリムの背中をゆっくり叩く。

 

「無理すんな。」

 

それだけだった。

 

慰めの言葉ではない。

 

励ましでもない。

 

だが、その短い一言には、不思議と温かさがあった。

 

「……お前はここにいろ。」

 

リリムは何度も涙を拭きながら立ち上がる。

 

「……ごめんなさい。」

 

「謝ることじゃねェ。」

 

紅丸は村を見渡した。

 

「このまま放っとくわけにはいかねェ。」

 

誰かが弔わなければならない。獣も寄る。病も広がる。

 

何より、この人たちは家族に見送られる資格がある。

 

紅丸は静かに羽織を脱いだ。

 

「俺がやる...リリムは二人を見ててやれ。」

 

リリムは唇を噛む。

 

怖い。近づきたくない。見たくない。それでも。

 

「私も……やります。」

 

震える声だった。

 

「家族ですから。」

 

紅丸は小さく頷いた。

 

「そうか。」

 

それだけで十分だった。二人は村を歩き始める。亡くなった者を、一人ずつ抱き上げる。

 

若者、老人、戦って散った男、幼い子ども。

 

誰も彼も、最後まで必死に生きようとした痕跡が残っていた。リリムは途中で何度も立ち止まった。知っている顔ばかりだからだ。一緒に遊んだ友達。狩りを教えてくれた青年。

 

いつも笑っていたおばあさん。そのたびに涙が溢れる。紅丸は急かさない。泣くなら泣けばいい。

 

悲しいなら悲しめばいい。それでも手だけは止めなかった。黙々と亡骸を運び続ける。

 

その姿に、リリムも再び立ち上がる。やがて村の中央には、多くの亡骸が静かに並べられた。紅丸は一人一人の顔を見た。

 

「……立派だったろうよ。」

 

誰に聞かせるでもない呟き。そして右手を掲げる。炎が灯る。だが、それは戦いの炎ではなかった。

 

柔らかく、穏やかな炎。夜を照らす篝火のような色だった。

 

「せめて死後は安らかに」

 

炎は静かに広がった。決して遺体を傷つけるような激しさではない。優しく包み込み、空へと昇っていく。

 

リリムは涙を流しながら、その光景を見つめていた。

 

炎は恐ろしいものだと思っていた。焼き尽くすもの。奪うもの。けれど今、目の前にある炎は違う。まるで魂を天へ送り届ける灯火だった。リリムの母リリンも途中で目を覚ました。共に生活していた者たちの亡骸に涙を流し

 

「…皆を…弔ってくれて…ありがとうございます。」

 

自然と口から漏れた。紅丸は腕を組んだまま、静かに炎を見つめる。

 

「死んだ奴ァ帰ってこねェ。」低い声だった。

 

「だから生きてる奴が忘れねェことが大事なんだ。」

 

リリムは炎から目を離さない。

 

「忘れません。」

 

「あぁそれでいい‥」

 

紅丸はそう言うと、炎へ軽く頭を下げた。リリムも母リリンも弟も、それに倣う。村は静まり返っていた。だが、その静寂の向こうから、小さな泣き声が聞こえた。

リリンとリリムはすぐに駆け寄り紅丸は弟のリンを担ぎ紅丸の耳がぴくりと動く。

 

「……生き残りか。」

 

森の陰。崩れた倉庫の奥。恐る恐る姿を現したのは、小さな獣人の子どもたちだった。母親に抱きしめられながら、怯えた目でこちらを見ている。

 

その数は十数人。戦える大人は一人もいない。生き残ったのは、幼い子どもと母親たちだけだった。

 

リリムは目を見開く。

 

「みんな……!」

 

その声に、子どもたちが泣きながら駆け寄ってくる。

 

「リリムお姉ちゃん!」

 

「生きてたぁ……!」

 

抱きつかれたリリムは、その小さな温もりを抱き返した。今度こそ、涙が止まらなかった。

 

紅丸はその様子を静かに見守る。そして炎が消えゆく空を見上げ、小さく息を吐いた。

 

「……さて。」

 

ここからが、本当の仕事だった。

 

夕暮れが村を赤く染めていた。

 

先ほどまで静かに燃えていた弔いの炎は、もう細い煙を空へと昇らせるだけになっている。

 

その煙を見つめながら、紅丸は腕を組んだまま黙って立っていた。

 

亡くなった者は帰ってこない。

 

だからこそ、生き残った者をどう生かすか。それが今、自分の役目だった。

 

背後では、リリムが泣きじゃくる子どもたちを一人ひとり抱きしめていた。

 

「リリムお姉ちゃん……」

 

「怖かったよぉ……」

 

「お父さんが……」

 

幼い声が胸を締めつける。

 

リリム自身も家族を失いかけ、まだ悲しみの渦中にいる。それでも彼女は涙を拭き、子どもたちの頭を撫で続け安心させようとする。

 

「もう大丈夫……」

 

その言葉は、子どもたちに向けたものでもあり、自分自身に言い聞かせる言葉でもあった。紅丸はゆっくりと振り返る。

 

生き残った者は二十人にも満たない。戦える男はいない。母親たちも疲弊し、怪我を負っている者ばかりだった。

 

この村は、もう村として生きてはいけない。

 

「……全員、聞け。」

 

低い声だった。

 

だが、その一言だけで皆の視線が集まる。

 

リリンから事情を聞き金豹族の姫でもあるリリムたちを助けてくれた恩人。ぶっきらぼうな人族だと皆思った。

 

紅丸は生き残った者たちを見回した。

 

「ここは終わった。」

 

誰も反論しない。事実だからだ。

 

「家も畑も、守る奴もいねェ。このまま残れば獣に喰われるか、また同じ連中が来る。」

 

母親たちは俯く。分かっている。それでも故郷を捨てるという決断は、簡単にはできなかった。

 

一人の年配の女性が震える声で尋ねた。

 

「……それでも、この土地には皆の墓があります。」

 

紅丸は首を横に振る。

 

「墓は逃げねェ。」

 

皆が息を呑む。

 

「死んだ奴は、てめェらにここで死ねとは言わねェ。」

 

静かな口調だった。怒鳴るでもない。説教でもない。

 

ただ、当たり前のことを口にするように続ける。

 

「生きてる奴が、生き延びる。それが一番の供養だ。」

 

その言葉は、重く胸へ落ちていった。長い沈黙が流れる。やがてリリムが一歩前へ出た。

 

まだ幼い少女。

 

それでも、その瞳には先ほどまでとは違う光が宿っていた。

 

「私は……」

 

皆が彼女を見る。

 

「怖いです。」

 

正直な言葉だった。

 

「また襲われるかもしれない。また大切な人を失うかもしれない。」

 

拳を握る。震えは止まらない。それでも顔だけは上げた。

 

「でも……」

 

脳裏に浮かぶ。赤い月。空を裂いた炎。

 

そして、自分の頭を不器用に撫でてくれた大きな手。

 

「あんなふうに守れる人になりたい。」

 

紅丸は何も言わない。リリムは続ける。

 

「もう誰も泣かせたくありません。だから私は、生きます。みんなで、生きる!」

 

子どもたちが彼女の服を握る。母親たちは涙を流しながら頷いた。

 

「……リリムちゃんの言う通りだ。」「生きよう。」「子どもたちだけでも。」

 

少しずつ、声が重なっていく。

 

絶望だけだった空気に、小さな希望が灯った。

 

紅丸は鼻を鳴らした。

 

「決まりだな。」

 

そう言うと、近くの倒木へ腰を下ろした。

 

「明日の朝、この村を出る。」

 

「歩ける奴は歩く。歩けねぇ奴は俺が担ぐ。」

 

母親たちが驚く。

 

「そこまでしていただくわけには……」

 

「遠慮してる場合か。」

 

ぶっきらぼうに返す。

 

「生き残る気なら意地張るな。」

 

その一言で誰も口を閉じた。夜になると、村の広場へ小さな焚き火が灯された。子どもたちは疲れ果て、母親の膝で眠っている。紅丸は火の番をしていた。

 

その隣へリリムが座る。しばらく二人とも黙って炎を眺めていた。

 

「……紅様。」

 

「なんだ。」

 

「強くなるには、どうしたらいいですか。」

 

迷いのない問いだった。紅丸は少し考え、焚き火へ薪を一本放り込む。火の粉が夜空へ舞った。

 

「強くなりてェ理由はあるか。」

 

「あります。」

 

即答だった。

 

「守りたい人がいます。」

 

「なら十分だ。」

 

リリムは目を丸くする。

 

「力ってのはな。」

 

紅丸は炎を見つめたまま話す。

 

「誰かを見返すために振るうと長続きしねェ 誰かを守るためなら、何度でも立ち上がれる。」

 

その言葉は静かだった。だが、一つひとつが胸へ深く刻まれる。

 

「明日から歩く。歩いて、生きる。その先で戦い方を教えてやる。」

 

リリムは思わず顔を上げた。

 

「本当ですか?」

 

「嘘ついてどうする。」

 

ぶっきらぼうに答える。

 

「弟子になる覚悟があるならな。」

 

その瞬間、リリムの目から再び涙がこぼれた。悲しい涙ではない。未来を見つけた涙だった。

 

「お願いします……!」

 

深々と頭を下げる。

 

「私を……強くしてください。」

 

紅丸は照れくさそうに頭を掻く。

 

「泣きながら言うことじゃねェ。」

 

そう言いながら、大きな手で彼女の頭を軽く叩いた。

 

「まずは飯食って寝ろ。強くなるのは、それからだ。」

 

その夜、リリムは久しぶりに安心して眠ることができた。

 

翌朝

 

朝日が焼け跡を照らしていた。

 

紅丸は簡単な荷を背負う。

 

「重い荷物や食料になりそうなもんは俺が持つ。」

 

母親たちも動き始める。保存できる木の実。水袋。毛布。壊れていない道具。

 

もう帰る家はない。

 

それでも、生きるために必要なものだけを選んでいく。村を出る前、全員が一度だけ振り返った。

 

故郷

 

笑い声に満ちていた場所。もう二度と戻ることはない。リリムは胸の前で手を組み、小さく目を閉じた。

 

「ありがとうございました。」

 

風が吹く。

 

灰が空へ舞い上がり、朝日に溶けていく。

 

まるで村人たちが背中を押してくれているようだった。朝日が森を照らす。

 

生き残った者たちは、それぞれ小さな荷物を背負い村の入口へ集まっていた。

 

誰も振り返らないわけではない。故郷への未練は消えない。それでも立ち止まる者はいなかった。

 

紅丸は先頭へ立つ。

 

肩には疲れて歩けない幼子を乗せ、もう一人の子どもの手を引いている。

 

「行くぞ。」

 

その短い言葉を合図に、一行は歩き始めた。リリムは村を一度だけ振り返る。もう煙はない。静かな朝だけが広がっていた。

 

胸に手を当て、小さく呟く。

 

「みんな……見ていてください。私は、生きます。必ず、強くなります。」

 

その瞳に宿る光は、もう怯える少女のものではなく未来を切り拓こうとする、静かな決意の光だった。

 

その一歩が、やがて「七陰第六席ゼータ」と呼ばれる少女へ至る、長い旅路の始まりとなる。

 

そして、その先頭を歩くのは――。

 

かつて「最強の消防官」と呼ばれた、一人の男。

 

新門紅丸だった




今回はここまでになります!

原作では皆殺しされてしまった金豹族でしたが紅丸が襲ったペトスたち教団を殲滅したので幼い子どもたちやその母たちは生き残ることが出来ました。

紅丸は不器用ながら必死に生きようとした者たちを焔で弔いました。

リリムは金豹族の姫として皆を守りたいと決意を新たにしました。
あとまだリリムの悪魔憑きは治っていません。

そこに関してはまた次回で触れられたらと思います。

さてカゲマスでは水着アウロラと水着ラムダが登場!

更に次のイベントは誰が水着で来るのか楽しみですね。

それでは亀更新でありますがこれからも続けていけるようにしたいと思います!
感想、評価など頂けるとモチベも上がって更新頻度も多くなるかもしれませんので是非お願いします!
今回も読んで頂きありがとうございました!

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