紅丸の規格外っぷりは炎炎ノ消防隊本編完結後に魂の世界に変わっても変わらずそこに発火能力が戻ったのでより規格外っぷりに拍車を掛けております
それではどうぞごゆっくり!
朝靄の中を、紅丸一行は黙々と歩いていた。故郷を失った者たちの足取りは重い。
宛のない旅路に幼い子どもたちは眠気と疲労で何度も足を止め、そのたびに母親たちが優しく抱き上げる。
リリムもまた、弟のリンと歩幅を合わせながら歩いていた。
母のリリンは左腕を失ってなお気丈に振る舞っていたが、その額には隠し切れない疲労が滲んでいる。
紅丸は先頭を歩きながら、周囲の地形を眺めていた。森、川、風向き土の匂い。
長年、浅草を守ってきた勘が自然と働く。
「……ここだな。」
ぽつりと呟いた。
一同の前には、小高い丘と広い草原が広がっていた。
すぐ傍には澄んだ川が流れ、その先には黄金色に揺れる穂や辺り一面とうもろこしが実っている。
「すごい……」
リリムが思わず声を漏らす。
「麦がこんなに沢山群生してるなんて…」
母親たちも目を見開いていた。ここまで群生しているのは珍しい。川の水も綺麗だ。森も近く、薪にも困らない。紅丸は地面を軽く踏み鳴らした。
「悪くねェ」
そう言うと両肩の羽織を脱ぐ紅丸
「少し下がってろ」
「え……?」
リリムたちが後ろへ下がると、紅丸はゆっくりと息を吐いた。
「まとめて済ませる」
その瞬間だった。地面を蹴ると轟音とともに土が舞い上がり、大地がまるで生き物のようにうねりながら地面がひっくり返しかえった…リリムたちは感じた。
紅丸は炎ではなく、魂の力であがった圧倒的な身体能力で、一息に巨岩を砕き、大木を押し倒し木の根っこをまるごと引き抜いていく。
倒した木は無駄なく一定の長さに折り揃えられ、石は壁材に適した大きさへ砕かれていく。
「う、うそ……」
リリムは呆然と見つめるしかなかった。森を切り開く作業を、一人で行っている。しかも、まるで何十人もの職人が同時に働いているような速さだった。
紅丸は汗一つかかない。倒木を肩へ担ぎ、そのまま柱を組み上げる。木槌など使わない。
手刀一つで木材を寸分違わず加工し、柱を打ち込み、屋根を組んでいく。昼を迎える頃には、小さな集落が出来上がっていた。
簡素ではある。だが雨風は十分凌げる。
「これで今日は寝られるな」
紅丸は満足そうに頷いた。子どもたちは歓声を上げ、小屋へ駆け込んでいく。
「おうちだ!」
「ベッドもある!」
無邪気な笑い声が響く。それを聞いた母親たちは、堪えていた涙を流した。
「ありがとう……ございます……」
深々と頭を下げる。紅丸は照れくさそうに頭を掻いた。
「礼なら、ちゃんと生きて返せ」
短い言葉だった。だが、その場にいた誰もが意味を理解していた。生きることそれが何よりの恩返しなのだと。
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日が傾き始める頃、紅丸は森へ向かった。
「紅様、一人でどこに?」
リリムが慌てて声を掛ける。
「飯がねェ」
それだけ言い残して森へ消える。一時間もしないうちに戻ってきた彼の肩には、大型の魔物が二体腰には数匹の野兎のような獣。更に肩から下げた袋には見慣れない山菜まで抱えている。
「……全部、一人で?」
「歩いてたらいた」
紅丸は平然としていた。その後また集落から離れ10分後には狩った魔物のうち換金できる素材は近場の街で売り払い、鍋や包丁、椀、箸など最低限の道具を揃えて戻ってきた。
さらに、丘に広がる小麦を見つめる。
「小麦を粉にする。手伝ってくれ」
母親たちが協力し、小麦を収穫して挽いて粉を作る。リリンも片腕ながら懸命に手伝っていた。
「無理すんな」
紅丸が声を掛ける。
「でも……何もしないわけには」
「なら、できることをやってくれ。こいつは固定したから片腕でも出来る‥擦るように削ってくれ」
その一言に、リリンは静かに頷いた。
誰も、役立たずではない。
それぞれができることをすればいい。
その空気が少しずつ集落に根付いていく。購入した大鍋に湯が沸いたので紅丸は持ち帰った乾物を取り出した。
「これは……?」
「鰹節だ……ガキンチョ共削り方見せるから覚えろ」
硬くて食べられたものではないと思ったリリムだったが、紅丸は薄く鰹節を削りそれを鍋へ入れる。手本を見せたので子どもたちにもやらせると、削る音が楽しいのか、はしゃぎながらも手伝った。
香ばしい香りが立ち上り、皆が顔を上げた。続いて昆布も沈める。暫く煮込んでいると黄金色の澄んだ出汁が出来上がる。
「いい匂い……」
子どもたちのお腹が一斉に鳴った。紅丸は思わず笑う。
「待ってろ」
町で購入した塩を水と合わせ、粉をこね、長く伸ばし、また水を含ませ伸ばして、均等な太さへ切っていく。そして鍋へ入れると、白いうどんが湯の中で踊った。出汁を合わせ、柔らかく茹で上げる。そこに紅丸が狩った鴨のような生物から取れた鴨肉のようなものを焼いて、塩コショウで味を整え、うどんの器へ盛り付けたり、個別に大皿で分けていく。
「消化もいい。まずは食って腹を満たす…鴨肉も意外に味がしっかりしてるしさっぱりしてやがるからうどんと楽しめる…」
器へ盛り付け、一人ずつ手渡していく。湯気が立ち上る。
「熱いから気を付けて食え」
子どもたちは恐る恐る麺をすすった。
「……おいしい」
その一言で空気が変わった。夢中ですする音、熱いと言いながらも箸が止まらない
子どもたちの無邪気な笑顔、泣きながら食べる母親。
リリンも両目から涙を流していた。
「温かい……」
「生きていて……よかった。」
その言葉を聞き、紅丸は何も言わず空を見上げた。悲しみは消えない。故郷も戻らない。
それでも、人は温かな食事を囲み、明日を迎えようとする。その営みこそが、生きるということなのだ。
そして、その様子を見守っていたリリムは、自分の椀を置くと紅丸の前へ歩み出た。
「紅様」
真っ直ぐな瞳だった。
「約束、覚えていますか」
紅丸は口元を少しだけ緩める。
「ああ」
立ち上がり、彼女の前に立つ。
「腹も満たした…なら身体を休めて寝ろ。明日から始めるぞ」
リリムは大きく息を吸い、深く頭を下げた。
「よろしくお願いします!」
その声が、新しい集落に力強く響き渡った。
夕食を摂り英気を養い、夕暮れの熱気がようやく引き始めた頃。
新しく築かれた小さな集落には、子どもたちの笑い声が戻っていた。温かな食事を終えたことで、皆の表情にもわずかな余裕が生まれている。
その輪から少し離れた場所で、紅丸は腕を組みながらリリムを見つめていた。
明日からのことを思い、リリムのその瞳には恐れもあった。だが、それ以上に「強くなりたい」という意志が宿っていた。
その姿を見た母親たちも、自然と集まってくる。リリンも左腕の袖を結んだまま娘の背中を見守っていた。
「紅様……リリムのことをお願いします」
「任せろ」
短い返事だった。
だが、それだけで十分だった。
紅丸はリリムの前まで歩み寄る。
「だがその前にリリムのそれだ」
そう言うと、彼はリリムの右腕へ視線を向けた。
袖口から覗く肌。そこには黒い紋様のような変色が腹部から右腕にまで広がっていた。
「何だって黒くなっていやがる…何かしら灰病みてェなもん患ってんのか?」
「私のこれは悪魔憑きの証です」
リリムのその言葉を聞き、後ろで様子を見ていたリリンも静かに俯いた。
「その子が生まれてからではありません。ある日突然、肌が黒く染まり始めて…私たちは…治そうとしました」
悪魔憑き。この世界ではそう呼ばれる、不治の症状
魔力が制御できず暴走し、やがて身体を蝕んでいく。
教会は穢れを禊ぐ「救済」と称して命を絶つ。誰も治せない。だからこそ、人々は絶望するしかなかった。ある日突然友人を、両親を、子供を喪う。そんな冷たい現実。
リリンは苦しそうに俯く。
「……その痣は、日に日に広がっていました」
「薬も……魔力による治療も効かなくて」
「この子は悪くないのに………」
周囲の母親たちも沈痛な表情で頷く。
悪魔憑きは治らない。それが、この世界の常識だった。
「亡くなった夫はミドガル王国という国に悪魔憑きを治せる者がいると言っていました…そして悪魔憑きとは穢れではなく祝福である…大昔魔人ディアボロスを討伐した英雄の一人リリ様の子孫でもあると しかし…それが本当だとしても…リリムの症状は…」
紅丸は黙って黒く変色した腕を見つめる。
「なるほどな」
薬師を訪ねた。旅の治療師にも診てもらった。
それでも答えは同じだった。
治らない、悪魔憑きは呪いだ。いずれ全身へ広がり待つのは苦痛と死であると。
その言葉を聞くたび、リリンは胸を締めつけられた。娘を救えない自身を悔いた。金豹族の生き残った母親たちも、静かに頷く。
誰もが知っている。悪魔憑きは恐れられる存在。助からない。救えない。それが、この世界の常識だった。リリムは袖を握り締める。
「紅様も……気味が悪いですよね」
その声は震えていた。
次の瞬間、ごつん。
紅丸の拳が軽く彼女の頭へ落ちた。
「いてっ……」
「馬鹿言ってんじゃねぇ」
ぶっきらぼうに言い放つ。
「病気で気持ち悪いも何もあるか」
リリムは目を丸くした。
紅丸の目が鋭くなる。黒く染まった肌をじっと見つめる。そこから漂う力は、自分の知るものとは違う。
魔力と呼ばれる力、その暴走…だが本質は理解できた。
「暴れてるだけか」
「え?」
「流れが滅茶苦茶だ」
まるで暴走した炎だ、と紅丸は思った。炎も制御を失えば周囲を焼き尽くす。だが、制御できれば人を温め、命を繋ぐ。ならば理屈は同じ。
「少し我慢しろ」
「は、はい」
紅丸は静かに右手をかざした。
次の瞬間。彼の掌から、小さな炎が灯る。戦いで見せた豪炎ではない。蝋燭ほどの、小さく穏やかな炎。
「え……」
母親たちが息を呑む。炎が熱くない、優しく揺れている。紅丸は第二世代の炎の操作で、その炎を極限まで繊細に操る。
炎はリリムの腕へ触れる。しかし焼ける痛みはない。むしろ、春の日差しのような温もりだった。
「熱く……ない」
「動くな」
紅丸の目が鋭くなる。暴れる魔力の流れを、炎で少しずつ整えていく。まるで絡まった糸を一本一本ほどくように。
慎重に、丁寧に。
リリムは驚いていた。
黒く疼いていた部分が、不思議なほど静かになっていく。胸の奥を締めつけていた重苦しさも薄れていく。
炎がリリムの身体の奥深くへ入り込み、何かを溶かしていくような感覚。
「んっ……」
リリムは小さく息を漏らす。黒い痣が、少しずつ薄れていく。まるで墨を水で洗い流すように身体の内側に渦巻いていた嫌な圧迫感も消えていた。
数分後。
紅丸は手を離した。
「終わりだ」
「う、嘘……」
リリンが母親たちも信じられないものを見るように目を見開く。
「消えてる……」
「悪魔憑きが……」
「そんなこと……」
誰もが治らないと思っていた。だから隠し、逃げ、怯えて生きてきた。それが今、目の前で消えた。
黒い変色はすっかりなくなり、白く健康な肌が戻っている。リリムは何度も身体を見返した。
「治った……?」
握ってみる、開いてみる。
「身体が……軽い」
誰もが呆然としていた。紅丸だけが平然としている。
「治せるもんは治しゃいい」
それだけだった。まるで当たり前のことを言うように。リリムはその背中を見つめる。また助けられた、命だけじゃない。絶望まで救われた。
「紅様、ありがとうございます!」
深く頭を下げる。紅丸は立ち上がる。
「暴れてた力を少し整えただけだ」
さらりと言ってのける。しかし、この世界の者からすれば、それは偉業であり奇跡だあった。リリンはその場で膝をついた。震える手で娘の腕に触れる。
温かい
生きている肌だった。
「リリム……リリム!!」
母の目から涙が溢れ娘を抱擁する。そんな当たり前の日常を奪う悪魔憑きという冷たかった現実を炎は…日輪は照らし切り開いた。
「ありがとうございます……」
涙が止まらない。娘が助かった。もう娘が怯えなくていい。その事実だけで胸がいっぱいだった。紅丸は困ったように頭を掻く。
「礼より身体を休めろ、まだ本調子じゃねェんだ、身体壊したら意味ねェ。…だが嬉しいことは皆で分かち合いな。それが浅草流儀ってやつだ」
その言葉に、ぶっきらぼうながらも優しい人柄が周囲に希望を抱かせた。重苦しかった空気が軽くなり、希望を抱いたのであった
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翌朝
まだ朝露が残る草原で紅丸は一本の木の枝を手に立ちリリムは紅丸が作った木刀を持っていた。
「今日から修行だ」
リリムは緊張した面持ちで頷く。その様子を、リンと子どもたちが少し離れた場所から見守っている。
「お姉ちゃん、頑張れー!」
「リリムお姉ちゃん、負けるなー!」
リンも胸いっぱいに息を吸い込んだ。
「姉様!頑張って!!」
その声にリリムは笑顔で手を振る。
「うん!」
紅丸は枝を肩へ担ぎ剣の手本を見せる。
「まず構えからだ。やってみろ」
リリムは見よう見まねで構える。
「違う」
枝が肩へ当たる。痛くはない。だが姿勢が崩れる。
「力み過ぎだ」
「はい!」
もう一度
「違う」
また枝が飛ぶ
「足運びもだ。地を感じろ」
「はい!」
「腰が引けてる、恐怖するのは悪いことじゃねェ、だが臆するな」
「はい!」
「目線もだ、余所見すんな」
「はい!」
何度も、何十回も、同じ動きを繰り返す。子どもたちは最初こそ不思議そうに見ていたが、次第に声援を送り始めた。
「あと少し!」「頑張れ!」
汗が額を流れる。腕は震える。それでもリリムは立ち続けた。紅丸は決して甘やかさない。できない理由ではなく、どうすればできるかだけを教える。
「あとは身体だけじゃない」
枝で自分の胸を軽く叩く。
「ここで動け」
「心……ですか?」
「守りてぇもん思い浮かべろ」
リリムの脳裏に浮かぶ。母、リン、子どもたち…燃え落ちた故郷、そして、不器用に頭を撫でてくれた男。自然と身体の力が抜けた。
「そうだ」
紅丸が初めて笑う。
「今の感覚を忘れるな」
リリムは深く息を吸った。
「はい!」
その返事は、昨日よりもずっと力強かった。
朝日が二人を照らす。
こうしてリリムは新たな未来へ踏み出した。紅丸はその様子を見て、小さく笑う。
「……先は長ぇな」
だが、その表情には確かな期待が宿っていた。
やがてリリムは「七陰第六席ゼータ」と呼ばれる存在になる。そのずっと前の――師と弟子の、静かな修行の日々が始まる。
今回はここまでになります!
紅丸が新天地を見つけて一人で開墾しながら簡素な小屋を作り出しました。
圧巻的な、圧倒的なマンパワーに金豹族の皆さんは呆気に取られ子どもたちはパワフルな紅丸に凄いとはしゃぎました。
そして手頃な魔物をハントして町にまで行き交渉して値切ってなどして材料や器具を揃えた紅丸。小麦を金豹族の皆さんと一緒に加工しそしてうどんを作り鴨うどんを全員に作りました。
久しぶりの暖かな食事に心から温まる。
そしてリリムの修行を付ける前にリリムの症状について紅丸が聞き悪魔憑きのことをリリムが話しました。
紅丸は荒れ狂う炎のようだと表してならいけるかと傷付けない炎を出して第二世代の炎操作にてリリムの魔力暴走を身体に馴染ませることにより治療しました。
第二世代…特に第八のマキなら悪魔憑きを治せそうかなと思う作者。
治らないと思っていた悪魔憑きが治りリリンは感極まってリリムを抱き寄せました。他の皆も良かったと自分のことのように喜びました。本来悪魔憑きは家族から一族から嫌悪され迫害され、教会へ捨てられるのが陰実世界の常識ですが金豹族の者たちはリリムを治したいと心から思っていました。
そしていよいよ修行が始まり厳しくも的確に教える紅丸にリリムも食らい付いて行きます。リリムの才能は陰実本編で異名として天錻と付くぐらいなのでメキメキ実力を伸ばしていきます。紅丸が剣を扱えるのか疑問な方もいると思いますが炎炎ノ消防隊最終回にて紅丸が腰に刀を差していたので多分使えるのと紺炉が使えるので色々紅丸も教わっていたのではと思います
紅丸もそんなリリムの将来が楽しみなよう。
さて陰実ではホロライブとのコラボが発表され風真いろはが登場する予定…
また新しいサマーイベントやシャドウフェスで魔人化アルファが来ることを考えると引こうかは迷いますね。
出てから考えます。
さて次回は紅丸がとあるキャラと邂逅する予定です。
果たしてどんな出会いになるのか
前話からお気に入りや評価頂けて大変嬉しいです。
今後も投稿していきますのでまた次回楽しみにして頂けると幸いです
今回も読んで頂きありがとうございました!