最強の消防官になりたくて!   作:生徒会長月光

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今回は前回からデルタが度々遊びにくるようになったことと陰の園との出会いとなります。

そしてリリムにも変化が起こります

それではどうぞごゆっくり!


最強の消防官は陰の園と出会い 金豹の姫は守るための新たな境地へ踏み入る

デルタが村に訪れて数日

 

その日も、朝から澄み切った青空が広がっていた。

 

新しく築かれた集落に少しずつではあるが活気がでてきた。

 

小麦畑は風に揺れ、子どもたちは元気よく駆け回る。

 

母親たちは笑い合いながら畑を耕し、リリンも片腕で工夫しながら子どもたちの世話や炊事を手伝っていた。

 

そして――

 

「ベニー!」

 

元気いっぱいな声と共に、黒髪の獣人の少女が集落へ飛び込んできた。

 

「……また来たのか、ガキンチョ」

 

紅丸は薪を割る手を止めもせず答える。

 

「来たのです!」

 

「見りゃ分かる」

 

「魚ある?」

 

「ねぇ」

 

「じゃあ肉!」

 

「あとで狩る」

 

「やったなのです!」

 

デルタは満面の笑みを浮かべ、そのまま子どもたちの輪へ飛び込んでいった。

 

「デルタ姉ちゃんー!」

 

「遊ぼー!」

 

「今日は鬼ごっこ!」

 

「負けない!」

 

一瞬で草原を駆け回る黒い影。

 

その速さに子どもたちは必死についていき、転んでは笑いまた立ち上がる。

 

リンもすっかりデルタを姉のように慕っていた。

 

「デルタ姉ちゃん待って!」

 

「遅い!」

 

そう言ってリンを抱き上げると、そのまま肩車をして走り出す。

 

「わあぁぁぁ!」

 

歓声が集落に響く。

 

その様子を眺めながら、リリンは自然と微笑んでいた。

 

「デルタちゃんは本当に自由ですね」

 

「腹いっぱいになる場所覚えただけだろ」

 

紅丸はぶっきらぼうに返す。

 

「……でも」

 

リリンは遊ぶ子どもたちへ目を向ける。

 

「子どもたちもあんなに笑うようになりました」

 

紅丸は何も答えない。

 

ただ、小さく鼻を鳴らしただけだった。

 

それでもリリンには十分だった。

 

彼は決して優しい言葉を多く口にはしない。

 

だが、その背中は誰よりも温かい。

 

紅丸に拾われてご飯を食べたデルタは何度も集落へ顔を出すようになった。

 

デルタは大人たちのしていることにどうしてしてるのです?と聞きながら色々なことを知っていく。

 

肉を好んで食べたりしているので野菜はあまり好きではないのだろうと、リリンは甘い玉ねぎやニンジンを使ったスープでデルタに飲ませたり、肉と共に玉ねぎやレタス、トマトを輪切りにして紅丸が試行錯誤で作ったパンズに挟んで食べたところ、とても美味しいと喜びながら子供たちとお腹いっぱいになるまで食べた。

 

そうしてデルタは来るたびに子どもたちと遊び、飯を食べ、日が暮れる頃にはまた森へ帰っていくを繰り返すのであった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

陰の園side

 

森を歩いている4人の少女たち。彼女らに共通しているのは皆エルフということであろう。

 

彼女たちはある目的のために森へ調査に赴いていた。

 

「それにしても広大な森ね。ここから奴らのアジトを見つけるのは難しいけれども…やるしかないわね」

 

「アルファ様が事前に調べ七陰の私たちもこうして現地に来ているのです。見つかるのは時間の問題でしょう」

 

そう話すのは七陰のリーダー、第一席アルファと第三席ガンマ

 

「問題は私たちが4人しかいないことね。人海戦術は取れないからどうしても時間が掛かってしまう…」

 

「鼻の効く肝心のデルタがいないのが痛いです」

 

七陰第五席イプシロンと七陰第二席ベータは行方知れずな第四席デルタを心配する。

 

「そうね。あの娘、最近遅くに帰ってくることが多いから心配だわ」

 

「流石にデルタに金豹族の行方を任せたのは早計だったかしら?」

 

(なお、本人はきっちり金豹族を見付けていたことを、まだ4人のエルフは知らない)

 

そうして進む内に、彼女らはここ100年辺りで急速に増えた死因に出くわすこととなる。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

場面は戻り

 

また朝を迎えて

 

「今日もデルタお姉ちゃん来るかな」

 

リンが尻尾を振りながら呟く。

 

「来るんじゃねぇか」

 

紅丸が木刀を肩へ担ぐ。

 

「飯時にな」

 

「それ絶対ご飯目当てですよね?」

 

修行着姿のリリムが苦笑する。

 

「だろうな。ガキ共と遊んだら飯を食えるからな」

 

「……否定できません」

 

二人は笑い合った。

 

その笑顔も、以前よりずっと自然になっていた。

 

そして、いつもの朝の修行で、紅丸は木刀を構えリリムと向き合う。

 

「構え」

 

「はい!」

 

リリムが木刀を握る。

 

最初の頃とは比べ物にならないほど隙が少ない。踏み込みも鋭く呼吸も安定している。

 

「行きます!」

 

木刀が一直線に紅丸へ迫る。

 

しかし。

 

コツ!

 

木刀で受け流される。

 

「まだ軽い」

 

「もう一度!」

 

「来い」

 

何度も、何度も打ち込み続ける。

 

汗が地面へ落ち、呼吸は乱れそうになる。

 

それでもリリムは「命の呼吸」を思い出す。

 

己の命、仲間の命、敵の命。

 

全てを感じる。焦るな、恐れるな。

 

緊張に呑まれるな。

 

紅丸の教えが身体へ少しずつ染み込んでいた。

 

「……よし」

 

紅丸が初めて頷く。

 

「今日はここまで――」

 

その時だった。

 

キィィン――!

 

鋭い金属音が森の奥から響いた。続いて何度も、剣が激しくぶつかる音が響く。

 

紅丸の目つきが変わる。

 

「……リリム」

 

「はい」

 

「行くぞ」

 

二人はほぼ同時に地面を蹴った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

木々を駆け抜ける。

 

音は近い、悲鳴も混じっている。

 

やがて開けた場所へ飛び出した。

 

そこには四人の幼いエルフがいた。

 

金色の長い髪を揺らしながら剣を構える少女。

 

銀髪の少女は震えながら仲間を守ろうとしている。

 

黒髪の少女も必死に剣を振るい、水色の髪の少女は後方で援護していた。

 

だが――。

 

「……なんだ、ありゃ」

 

紅丸の目が細くなる。

 

四人が相手にしていたのは、人ではなかった。

 

全身が炎に包まれた異形、黒く焼け焦げた身体。

 

燃え続ける頭部。

 

「焔ビト……だと…!」

 

思わず漏れた声。

 

あり得ない。

 

人体発火現象は終わったはずだった。魂の世界となったあの世界を、自分は見届けた。

 

なのに、なぜ。

 

この世界に焔ビトがいる。

 

その一瞬の困惑

 

「なんで……」

 

焔ビトが咆哮を上げ炎が弾ける。金髪の少女――アルファが剣を振るう。

 

「アルファ様!」

 

黒髪の少女――ガンマが叫ぶ。

 

炎にはまるで効かない。

 

焔ビトが腕を振るうと爆炎が辺りを包み込み四人が吹き飛ばされる。

 

「ベータ!」

 

アルファが叫ぶ。

 

銀髪の少女だけが立ち上がれない。

 

炎を見た瞬間から身体が震え、呼吸も乱れていた。

 

「いや……」

 

剣を取り落とす。

 

「こないで……」

 

目には涙。

 

「いやぁ……!」

焔ビトは銀髪の少女――ベータへ狙いを定めた。

 

「ひっ……!」

 

恐怖で足が動かない。炎の拳が振り下ろされる。

 

「ベータ!!」

 

アルファが叫ぶ。だが間に合わない。

 

焔ビトが拳を振り上げた。

 

「危ねェ!」

 

紅丸が踏み込もうとした。

 

しかし、その前に。

 

「させない!!」

 

リリムが地面を蹴った。想起するのはあの夜…紅丸が来なければリンを弟を失っていた…

 

もう二度と大事なものを手放し損ねないために……もっと速く…速く……速く!!

 

魔力が爆発し身体中から熱が溢れ出す。

 

それは焔となりそこから一対、二対、三対と肩と背中に掛けて

 

六枚の巨大な炎の翼が、一斉に広がった。

 

黄金にも紅にも見える、美しい炎。

 

「えっ……!」

 

アルファたちが息を呑む。

 

リリムは空を滑るように飛び、ベータを抱き寄せる。

 

直後に轟音が響き焔ビトの拳が大地を砕いた。

 

間一髪だった。

 

ベータは呆然と炎の翼を見上げる。

 

「きれい……」

 

思わず漏れた言葉。

 

リリム自身も驚いていた。

 

「と、飛んで……る?」

 

背中から伸びる炎は揺らめきながらも安定している。

 

紅丸はその姿を見て、小さく目を細めた。

 

「第三世代……か」

 

リリムは知らず知らずのうちに、新たな力へ目覚めていた。

 

一方、焔ビトは再び咆哮を上げる。

 

炎がさらに膨れ上がる。紅丸はゆっくりと前へ出た。

 

「リリム良くやった…」

 

「はい!」

 

「そいつら連れて下がれ……あとは俺がやる」

 

そう言って羽織を肩から滑らせると、かつて「最強の消防官」と呼ばれた男は、静かに焔ビトへ向き直った。

 

その瞳には、敵意ではなく――鎮魂の意志だけが宿っていた。

 

リリムは頷きながら、腕に抱いた銀髪のエルフを抱えながら三人のエルフの前へ立ち

 

「大丈夫」

 

息を整えながら言う。

 

「紅様なら」

 

アルファが驚いた顔を向ける。

 

「あなた何を言って……!炎人相手に一人で挑むなんて無茶よ!」

 

「あの人なら、大丈夫だから」

 

その言葉には絶対の信頼があった。

 

紅丸は静かに焔ビトの前へ立つ

 

燃え盛る炎が熱風となって吹き荒れ、周囲の木々を焦がしていく。

 

それでも紅丸は眉一つ動かさない。

 

「……辛かったろう」

 

ぽつりと漏れた一言に、アルファたちは思わず顔を向けた。

 

敵へ向ける言葉ではない。まるで苦しむ誰かを労わるような声音だった。

 

焔ビトは理性を失い咆哮し、全身から火柱を噴き上げる。

 

次の瞬間、大地を砕く勢いで紅丸へ飛び掛かった。

 

「危ない!」

 

アルファが叫ぶ。

 

しかし、紅丸は動かなかった。

 

燃えさかる拳が届く寸前…

 

「遅ェ」

 

身体を半歩だけ開く。

 

轟音とともに焔ビトの拳は空を切り、地面へ深い穴を穿った。

 

更に大きな炎が紅丸の方へ殺到し、アルファたちは身構えるが

 

「後ろからでるんじゃねェぞ」

 

そう言い炎を打ち消しその隙に紅丸は懐へ入り込む。

 

「悪ぃな」

 

右手を静かに構える。

 

「せめて苦しまないように一撃で…」

 

炎が宿る。

 

荒れ狂う爆炎ではない。

 

夕焼けのような、どこか優しい炎だった。

 

「居合手刀──壱ノ型……火月」

 

一閃。

 

赤い弧が静かに描かれる。

 

焔ビトの身体は大きく揺れ、その瞳から苦しみが消えていく。

 

そして紅丸は焔ビトのコアへ鎮魂の一撃を捧げる。

 

暴れていた炎も次第に穏やかになり、やがて夜空へ溶けるように消えていった。

 

最後に残ったのは、小さな火の粉だけ。

 

風に乗って空へ昇るそれを見届けるように、紅丸は静かに目を閉じた。

 

「……安らかに眠れ」

 

辺りは静寂に包まれる。

 

アルファたちは言葉を失っていた。

 

倒したとも違う。

 

"弔った"

 

そう表現する方が相応しい光景だった。




あとがき

投稿遅れましたが何とか出来ました!

今回はデルタが金豹族の里に遊びにくるようになったこと。
シャドウガーデン七陰メンバーと邂逅しました。

更に紅丸の世界にいた焔ビトが出現しアルファはそれを炎人と呼んでいました。

謎が深まりますがベータが焔ビトに襲われる寸前リリムに発火能力が発現しベータを救出。

紅丸は初めての発火能力に無理をさせぬようアルファたちと共に下がらせ焔ビトを鎮魂しました。

最強の消防官とシャドウガーデンの邂逅により物語はどう進んでいくことになるのか?

さて本日はカゲマスニュースが発表されるので新たなコラボイベントなのか外典ラストの予告なのかなど楽しみですね。

アトミックイプシロンも明日実装だとは思うので性能など楽しみです。

感想、評価、お気に入り登録などありがとうございます!

次回も遅くならないようにするのでお楽しみにしていただけると幸いです!

それでは今回も読んで頂きありがとうございました!
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