ムラサメさん家のイチバン=サン   作:星乃 望夢

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第12話 まったく、なにがどうなっているのやら

 

 報告書の最終送信から三時間後。

 

 艦内の時刻表示は、グリニッジ標準時で朝六時を過ぎていた。

 

 ゼロは自室で湯を沸かし、アインは簡素な軍用ベッドの脇に腰掛けて、折り畳まれたブランケットを丁寧に畳み直していた。

 

「……これで、ひとまずは一段落、でしょうか」

 

 アイン・ムラサメは微かに安堵の息を吐いた。

 

 未明の戦闘、救助、報告──すべてが終わったわけではないが、いまは僅かな休息を許される時間だった。

 

 その静寂を破るように、艦内通信が響いた。

 

「こちらブリッジ、ゼロ・ムラサメ中尉、アイン・ムラサメ少尉へ通達。最高機密コード認証完了、Echelon-A通信。直通指令回線を開きます」

 

 ゼロは即座に立ち上がり、作戦服の上着を整える。

 

 アインも無言で後に続き、二人は並んでブリーフィングルームへと足を向けた。

 

 ──室内モニターに、冷徹な威厳を纏う男の顔が浮かび上がる。

 

 ジャミトフ・ハイマン准将。

 

 地球連邦軍の中でも稀有な、政策と軍務を両立する現実主義者。

 

 ティターンズ創設者の一人にして、その影を支える者だ。

 

「ムラサメ中尉、少尉。よくやった」

 

 ジャミトフの声音は静かだったが、その背後にある重みは圧倒的だった。

 

 二人の報告書が、ジャブローの軍中枢まで届いていた証だった。

 

「貴官らの報告内容、ならびに現地通信ログ、戦闘映像──すべて拝見した。私の目に狂いはなかったと確認できたよ」

 

 ゼロは直立不動のまま一礼する。

 

「恐れ入ります、准将閣下」

 

「本日付で、ムラサメテストチームを私直属の技術実証部隊として正式認可する。バスク・オム及びジャマイカン・ダニンガン少佐を含む、いかなる現場司令官も貴官らに指揮権を行使することは許されない」

 

 言葉の端々に、明確な「壁」があった。

 

 それは、ジャミトフの権限でのみ触れ得る存在として、彼らを“囲った”という意味でもある。

 

「さらに、本来予定されていたグリーンノア1への帰還命令を即時通達する。テスト項目再開に必要な設備・技術班の優先割当も承認済みだ」

 

 アインが小さく口を開いた。

 

「僭越ながら、グリーンノアの設備群は一部戦闘によって損傷していると存じますが……」

 

「問題ない。整備枠は確保させた。必要ならジャブローから部材を空輸させる。今後は、お前たちの判断で行動してくれ」

 

 ゼロはアインに目配せしたあと、再び正面のモニターへ向き直った。

 

「……感謝致します、閣下。ですが、お言葉ながら申し上げます。今回の件──バスクやジャマイカンの行動は、ただの逸脱に留まりません。ティターンズという旗に……」

 

「ゼロ」

 

 ジャミトフはそこで制するように口を挟んだ。

 

「それ以上は不要だ。私も……怒っている」

 

 その言葉には、稀有なほど明確な怒気が滲んでいた。

 

 戦略のために民間人を犠牲にし、報告責任を部下に転嫁し、秩序を壊す存在。

 

 それが誰であろうと、組織に不要な人間だ──そう、准将は理解している。

 

 数秒の沈黙の後、ジャミトフは短く言った。

 

「良い仕事だった。引き続き、君たちの報告を待つ」

 

 画面が消えた。

 

 薄明かりのブリーフィングルームに、わずかな静寂が戻る。

 

 ゼロは無言で拳を握った。

 

 アインはその様子を静かに見つめていた。

 

「……独立とは、すなわち、責任を引き受けるということですね」

 

 その声は優しく、しかし強く響いていた。

 

「僕たちは試されている。あの人が、我々に“未来を託す”という選択をしたのなら──その覚悟に、応えなければなりません」

 

「そうだな」

 

 ゼロの瞳は曇りなく、まっすぐに前を見据えていた。

 

 新たな辞令は、単なる任務の変更ではない。

 

 それは、ティターンズの内側にある別の意志──。

 

 すなわち、「正気」の火種を繋ぐ者たちへの試練でもあった。

 

 そして、彼らムラサメテストチームは、これからも戦場へと立ち続ける。

 

 命じられたからではない。自らの信じる未来を、守るために。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

U.C.0087年3月3日、昼。

 

 グリーンノア1外縁軌道。

 

 ティターンズ所属アレキサンドリア級巡洋艦《アレキサンドリア》艦内――。

 

「辞令……? これは、どういう意味だ」

 

 ブリッジにてジャマイカンは一枚の電子ペーパーを手にしていた。

 

 その前で、アインが冷静に応じる。

 

「ジャミトフ准将閣下より、本日付で正式通達が発されました。我々ムラサメテストチームは、ティターンズ上層部の実験・実証任務を統括する独立部隊指定を受け、以後の作戦行動・補給・指揮系統は閣下直属となります」

 

 そう言ってアインは淡々と続けた。

 

「つきましては、現在負傷し昏睡状態にある隊員ドゥー・ムラサメの後送処置を優先すべく、貴艦所属のランチ1艇を徴用させていただきます。医療用ストレッチャー、酸素供給、ナビシステムの補正を依頼します」

 

 ジャマイカンの顔が引きつる。

 

「……言ったな? “徴用させていただく”と。貴様、少尉の分際で、我が艦から勝手に艦艇を持ち出す気か」

 

 アインは微動だにしない。

 

「指揮権を持たぬ上級将校の命令は、独立部隊には無効です。規則に従った申請と通達に基づく運用です。少なくとも“勝手”ではありません」

 

「……青二才が!」

 

 ジャマイカンの怒声が室内に響く。

 

「貴様らは、ちょっと本部の覚えがよくなったからといって、特権を振りかざし、命令を無視し、己を軍の中枢とでも勘違いしているのか!? 軍というのはな、組織と階級で動いているんだ!」

 

 アインは睨み返さなかった。だが、静かに言葉を置いた。

 

「ならば、その組織と階級が戦死者を出し、要人を失い、現場に混乱を与えた責任は、どなたが取るのですか?」

 

 沈黙。

 

 数秒後、ジャマイカンはランチの運用申請書を叩き返すようにアインの方に置いた。

 

「持っていけ。ただし、俺の許可ではなく、お前の責任でな」

 

「……了解しました」

 

 アインは一礼もせず、書類を手に取り部屋を後にした。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 ジャマイカンからランチの申請書をもぎ取ったその足で、通信ブース内で端末を操作していたアインは、上申書の確認と通信暗号の整合性を三度見直した後、静かに署名を記入する。

 

 その文面には、次のように記されていた。

 

 

---

 

> 艦艇再配備申請書

指令番号:D-0087-0323-AIN

 

要請艦種:ペガサス級強襲揚陸艦〈アルビオン〉

艦籍番号:PF-78-3

配備目的:独立実証部隊(ムラサメテストチーム)におけるMS運用・戦術試験、および戦力展開指揮中枢の確保

指定艦長:ブライト・ノア中佐

 

申請責任者:アイン・ムラサメ少尉(ムラサメテストチーム副隊長)

機密等級:TITANS/Echelon-B(戦略運用指定艦)

 

 

 

 

---

 

 ペガサス級──その名は、一年戦争における「ホワイトベース」の伝説から始まった。

 

 そしてアルビオンは、その後継にして悲運の艦。

 

 U.C.0083年、連邦軍内の闇である「デラーズ・フリート決起事件」に深く関与し、ガンダム試作2号機の核攻撃、コロニー落としを経て、多くの戦後処理の責任とともに、艦も艦長も「歴史の裏側」へと封じられた存在であった。

 

 アインは、それを敢えて引きずり出す。

 

「“曰く付き”で結構。必要なのは、正しさより“折れない人間”だ。……僕たちの部隊には、それが要る」

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 その晩。

 

「……ペガサス級〈アルビオン〉の再起動だと?」

 

 グリプス宙域の管制ログを見たバスク・オム大佐が、端末越しに低く呻いた。

 

 しかも、艦長には「ブライト・ノア」とある。

 

「ホワイトベースの……忌まわしい名を、今さら掘り返すつもりか」

 

 さらに追い打ちをかけるように、秘書官が告げる。

 

「申請者、ムラサメテストチーム副隊長──アイン・ムラサメ少尉です」

 

「何?」

 

 怒りが頭に登る。

 

「……貴様ら、何様のつもりだ。ペガサス級を上申し、しかもあの“曰く付き”の艦を、外様の部隊が……!」

 

 その時だった。

 

 通信端末が点滅した。Echelon-A──ジャミトフ・ハイマン准将からの最優先直通である。

 

 通信が繋がる。

 

「バスク。報告は受け取っているな」

 

「ジャミトフ閣下。これはどういう──」

 

「通達だ」

 

 遮るように、ジャミトフの声が響いた。

 

「ムラサメテストチームは、本日付で私の直属独立部隊に認定した。命令系統において、君も、君の指揮下も、彼らに一切の命令権を持たない。艦艇の選定、戦域の移動、搭乗人事も──全て、私が裁可している。問題はあるか?」

 

「……!」

 

 画面越しに、バスクの目が怒りを湛えた。

 

「アルビオン再配備も、私の裁可によるものだ」

 

「いえ……閣下の御判断であれば」

 

「では、そう伝えておけ。それと。君の部下──ジャマイカン少佐の動きには報告が多い。部隊間の緊張、現場介入、軍規逸脱の懸念。今後も報告書を監査対象とする」

 

 通信は、それだけを言い残して切断された。

 

 バスクは数秒の沈黙の後、机を拳で叩いた。

 

「……貴様、アイン・ムラサメ……。あの若造が、小癪な真似を!」

 

 怒りの矛先は、現場にいないアインへではなく──その場にいないジャマイカンへと転じる。

 

「ジャマイカンめ……勝手に暴れた結果がこれか……!」

 

 紙束を握り潰しながら、バスクは唸った。

 

「“アルビオン”と“ブライト・ノア”……そして“准将直属”だと……。そういう布陣で来るというのか──いいだろう、“見せてもらおうか”、その覚悟とやらを……!」

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 その頃、アインはランチの準備を整えつつ、ゼロに一言だけ言った。

 

「……結局、今の僕たちはまだ“便乗”する立場に過ぎません。ですが、次に進む準備は始まっています。“あの艦”で、本当に独立するのです」

 

 白き艦──アルビオン。

 

 出来ればブライト・ノアにはエゥーゴへと渡って貰った方が良いと思っているが、優秀で信用と信頼の置ける宇宙の艦長は、この時代驚く程に少ない。 

 

「アルビオンの艦長には、“ブライト・ノア”を指定しました。彼でなければ意味がありません。……彼なら、あの人なら、正面からこの組織の歪みと向き合える」

 

 ゼロは少し驚いたようにアインを見た後、小さく頷いた。

 

「……そうか。信じよう。俺たちの“未来”を、託してみよう」

 

 白き艦は、遠き基地の中で、静かに再起動の準備を進めていた。

 

 そこに乗り込むのは、過去の亡霊ではない。

 

 新しい“何か”を始めるための──それを拒絶されながらも、なお歩みを止めぬ者たちだった。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 ジャブロー地下要塞。常に人工照明に照らされた執務室の空気は、無機質に整えられすぎていて、かえって神経を疲弊させる。

 

 その静寂を破ったのは、秘書官が恭しく差し出した1枚の電子パッドだった。

 

「アイン・ムラサメ少尉より、ペガサス級〈アルビオン〉およびブライト・ノア中佐の運用要請がございます」

 

 その報を受け取ったジャミトフは、一瞬、目を細める。

 

 その名を聞いて即座に思い浮かぶのは──厄介者という三文字。

 

 アルビオン──かのデラーズ・フリート事件にて中心を担い、軍の上層部と連邦士官学校双方から忌避された艦。

 

 ブライト・ノア──ホワイトベースの元艦長にして、反骨の象徴。今や左遷同然に軍閥の縁辺に放り出された男。

 

 ──その二つを、あの若造が自らの手駒に引き入れるとは。

 

「……ホワイトベースの伝説を、再現するつもりか?」

 

 思わず漏らした呟きは、皮肉交じりではあったが、その裏に僅かな期待も滲んでいた。

 

 しかし、アイン・ムラサメはその種の“英雄志向”には見えない。

 

 老練な者にはそういう“読み”が利く。型に嵌らない若者であることは確かだが、熱に浮かされた理想主義者とは根本が違う。

 

 口数少なく、だが冷静に戦況を捉え、功も焦らず、意図を秘めながら局所で着実に成果を出す。

 

 ──私が見誤ったか?

 

 椅子にもたれながらジャミトフは報告書の裏面を確認する。

 

 そこにはアルビオンを再稼働させる具体的な理由と、ブライト・ノアを提案した戦術的理由が簡潔に並んでいた。

 

 その中で、ジャミトフが注視したのは以下の一節である。

 

> 「多目的運用が可能なペガサス級艦は、現場の柔軟対応において他艦を圧倒します。加えて、ホワイトベース艦長時代より前線指揮官としての実績を持つブライト・ノア氏は、現地対応と状況判断において最も適任と判断しました。ティターンズの枠外にあるからこそ、内外ともに『監視役』として機能しうる存在です」

 

 ──反骨の艦と指揮官を、あえて“道具”として活用するか。

 

 アインの狙いが、見えてきた。

 

 ただ単に味方を増やすためではない。

 

 ティターンズの枠に染まらず、だからこそ一線を越える者たちへの牽制として、外からの視線を導入する。

 

 アルビオンという“不沈艦”の戦歴は、他の艦には持ち得ぬ説得力を持ち、またその艦長の名は、信頼と反発の両方を喚起する。

 

 しかも──。

 

「……サラブレッドも、ブランリヴァルも、あれは私の管轄では動かん」

 

 ペガサス級はその多機能性ゆえに量産が困難で、艦隊に配備された艦も一握り。

 

 現存艦のうち、大半は指揮権が軍閥や政治ブロックに分散している。

 

 その中で唯一、放置され、死蔵されていた艦──それがアルビオンだ。

 

 無論、0083年の事件以来、表立って動かすことなど難しい。

 

 にも拘らず、あの若者は敢えてそれを引き摺り出してみせた。

 

 ──問題は、使い方だ。

 

 ジャミトフはゆっくりと椅子から立ち上がり、長机の上にある地球連邦軍組織系統図を見やる。

 

 ムラサメテストチーム、アルビオン、そしてブライト・ノア。

 

 この三つを手中に収めたアイン・ムラサメの意図は──ティターンズの膿に対して、外科手術を施すメスとして、あえて異物を組み込む判断にも見えた。

 

「……覚悟はあるか、若きムラサメ」

 

 僅かに唇の端を吊り上げ、老将は椅子の背凭れに身を預ける。

 

 アインが何を成すか。それを試すのもまた、戦略のうちだった。

 

「……アルビオンか。ペガサス級の中でも、最も“厄介な”遺物を引っ張り出してくるか」

 

 誰にともなくそう呟いたジャミトフは、報告書の末尾──アイン・ムラサメによる上申を再確認した。

 

> 「艦長にはブライト・ノア中佐を指名。

宇宙世紀0079年、ホワイトベース艦長として複数の戦闘海域を突破。特にサイド6宙域戦・ア・バオア・クー強行突破における戦術判断と回避操艦は比類なきものと評価。同氏を艦長に任命することで、本部隊の機動性と指揮系統の確立が期待されます。──ムラサメ・アイン 少尉」

 

「ならば試すか、アイン・ムラサメ。ホワイトベースの亡霊ではなく、あの艦を“道具”として使うつもりならば、……それができるなら、君はティターンズの未来にとって“真に使える戦術屋”となるだろう」

 

 そう呟いた彼は、決意したように回線ボタンを叩く。

 

「……大本営人事局。直通回線Echelon-A──コード承認、ジャミトフ・ハイマン准将。辞令を発令する。聞き取り式は不要、即時文書処理で構わん」

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 グリーンノア1・外縁:補給ドックE-17/ムラサメテストチーム臨時バース

 

 アレキサンドリア級からのランチ降着後、グリーンノア1の軍港には束の間の静けさが戻っていた。

 

 だが、ゼロとアインにその余韻を味わう暇はなかった。

 

「──手続き完了。ドゥーの医療搬送はこのまま第三隔離区画へ。エアロック解放、時間差0.7秒で確保完了」

 

 淡々と状況を確認するアインの声が、ランチの搬入チャンネルに響く。

 

「それにしても、あのジャマイカン少佐……最後まで文句だけは大声だったな」

 

 ゼロが苦笑を漏らす。

 

 思い出したのは、アインがランチ徴用の際に食らったあの捨て台詞だ。

 

> 「何が“独立権限”だ。貴様のような青二才が特権を振りかざすから、組織が腐る!」

 

 それに対してアインは冷然と答えたのだった。

 

> 「命令ではなく通達です。書類も押印済み──形式に従って運用しています。それとも少佐、ティターンズの命令系統を否定なさいますか?」

 

 ──それを思い出すと、ゼロは苦笑を深めるしかなかった。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

宇宙世紀0087年3月6日

 

 サイド1・グリーンノア1軍政区域/ブライト・ノア私室(仮待機室)

 

 ブライト・ノアは静かに文書を手に取っていた。送付されたそれは、電子署名と物理記録が併記された──

 

 

---

 

連邦軍 軍務局通達

 

辞令書

 

宇宙世紀0087年3月6日付けをもって、以下の通り任官を命ずる。

 

 

 

---

 

被任命者:ブライト・ノア(Bright Noa)中佐

 

新階級:大佐(Captain)

 

任務内容:特務艦艇【アルビオン】艦長に任命する。

 

並びに、ティターンズ特別戦技実証部隊〈ムラサメテストチーム〉における艦隊運用支援および指揮補佐を命ずる。

 

所属:地球連邦軍本部直轄・ティターンズ外郭部門

 

発令者:ジャミトフ・ハイマン(地球連邦軍准将/ティターンズ戦略統括官)

 

 

---

 

「……まったく、何がどうなっているのやら」

 

 眉をひそめつつも、どこかで“戻るべき場所”を見つけたような感覚を抱く。

 

 これが再び地獄の釜の蓋になるのか、それとも最後の責任の舞台か──。

 

 だが今はただ、あの艦に再び乗り込むことだけを考えるべきだった。

 

 

 

 

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