「い、いず、出久ー!!来た、来たわ!雄英から合否の手紙が来たわよー!!」
引子がドタドタと慌ただしく出久の部屋に突撃してくる。手に持っているのは雄英からの手紙のようだ。渡そうとやってきたのはいいんだが、慌てすぎて、ドアのスロープに足を引っかけて勢いよく転ぶ。足元注意。
引子起こすついでに落ちた手紙を拾う出久。確かに雄英から出久宛ての手紙だ。中を確認する。
『わーたーしーが、投影された!!』
「オールマイト!?」
まさかのオールマイトが投影された。
『いやあ色々手続きがあってね!切り出せずにいてすまない!私がこの街に引っ越していたのは他でもない、来年度から雄英に勤めることになったからさ!』
「オールマイトが雄英に?そんな事を言ってなかったぞ!」
『まず緑谷少年!君の合否発表だがあえて先に言おう!合格だ!!教師全員引いていたよ』
オールマイトのその宣言に後ろで見ていた引子が歓声を挙げる。
『筆記も上々だったが、実技試験も見事の一言だ!君が獲得したヴィランポイントは驚異の826!これでも大したものなのだが……もしや、君はこの試験の隠された内容に気付いていたのかな?』
『実はこの入試、見ていたのはヴィランポイントのみにあらず!!大小関係なく誰かを救ける、そんなきれい事を命がけで実践できるかも、ヒーローの絶対条件だ!
もうひとつ我々が見ていたのはずばり、"レスキューポイント"!それも審査制!!これによって君が得たポイントは342P!合計で1168P!
おめでとう緑谷少年、合格……それも首席だ!まぁ…君の個性に理解がある人がいたのもあるがね、』
首席合格。それを聞いた途端、引子が幸せそうな顔で気絶した。それを見ていた霊達も、脳内で騒いでいる。
『第一関門の突破だな』
『流石だね緑谷くん』
『あんだけ血を、消費したんだ当たり前だろう』
「いいいずぐううう!!よがっだあ!よがっだねえええええ!!」
「おわっぷ!?母さんちょっと危ない!?いくらなんでも大袈裟……いや、大袈裟でもないのか」
―――――――――
ここは雄英にある会議室、そこではヒーロー科合否の確認と組み分けが行われていた。実技の総合成績が表示され教員たちの話し合いが始まった。
「今年の試験はすごかったな。配点をいじってはいたがまさかヴィランポイントだけで500P越えが出るとは思いもしなかった」
「余裕ヲモッテ戦イツツ他ノ受験生ヲ援護、一人ノ動キデハナイネ」
「一人ではないだろ、ここを見ろ、登録されていないものがいる…それも、首席から出てきたように見えた」
「個性は何だって?」
「〈死命連装〉死者の魂と血液を利用、及び紡ぎ力と変える。死者の数と個性については記載されていないが飛べる個性は持っているだろうな」
あるものは称賛し、あるものは懸念を覚えて、
もちろん三位以下も高い評価を得ている。バランスよくポイントを稼いだ者、避難誘導を自ら行った者、ヴィランポイントよりも他受験生の救援を優先した者。様々だ。推薦組も~、いやいやこの生徒の根性が~、普通科に滑り込んだがこいつの個性も~、とあちこちで盛り上がりをみせている。
そんな中ヒーロー科の教師である二人、イレイザーヘッドとブラドキングは組み分けの話をしていた。
「悪いがブラド首席はもらうぞ」
「まて、血を操るんだ俺のところでもいいだろ、理由をいえ」
「個人的にだが、緑谷出久には懸念点が多い、周りに被害はなかったが全ての仮想敵が粉砕されていた。人なら確実に死んでいる。俺達はヒーローだ。力は確かに必要だが、だからといってやりすぎていい理由にはならない。それじゃあ敵と変わらん。手遅れになる前にそのあたりを矯正するべきだし荒療治になりそうなら個性を封じる手段のある俺の方が向いている」
「……世の中には公に暴力を振るいたいからヒーローになったなんて馬鹿もいる。そういう類の可能性も捨てきれない以上正当な倫理観への矯正ならお前の方が向いてるか。だが諭すのなら俺も得意だぞ?」
「お前の場合は親身になりすぎて相手を尊重しすぎてしまう。こういうじゃじゃ馬の扱いは割り切れる俺のが適任だ」
「同じ血を操る個性持ちだから是非来て欲しかったがそこまで淡々と並べ立てられたら仕方がない。だが首席を二人も譲るんだ、推薦他何人か目をつけていた奴は俺に優先してもらうからな!」
「まあその話はひとまず置いておく。次は推薦だが俺はこの―――」
そうしてあれよあれよと組み分けが決められ、ほどなくして会議は終了した。
―――――――――
組分けが決まったところ、出久友達に連絡をしていたがものの数秒で、文脈がいろいろとおかしい、メールが大量に送られて来ていた。
『流石出久さん!!一緒にヒーローになれますね!でも私は分かっていましたわ、出久なら心配はいらないと。入学手続きと家の都合で会えないのは辛いです。ぜひ2人っきりで別荘などでお祝いをしたかったのですが?今度ぜひ! 出久さんが好きな食べ物などは把握しております!最近は特訓で寝不足な感じでしたね!特注品のベッドを送らせていただきますね! 何かあったらなんでも創造しますから!!私が出久さんを支えますから、
出久さんは私のこと“だけ”を支えてくださいね…?』
「……なんで最近少し寝不足だって知ってるんだろう?」
『出久おめでとう! 私も合格したから今度からは2人で同じ学校だね!嬉しいな! 雄英に通い始めたら、一緒に登校して一緒に勉強して、一緒にご飯食べ合って、一緒に帰って、楽しみだよ! ヒーローになるための特訓をする時は私を呼んでよ。だって出久の格闘術で対応できるのは『私だけ”なんだからね?他の人はダメだよ?出久のことを誰よりも分かっているのは私だもの…』
「ご飯食べあってって…誤字かな?特訓相手にはなってくれるんだ、ありがと〜」
『こっちも合格したよ。ウチも出久と同じエリアにいたんだけどさ、カッコよかったよ…流石“ウチの”出久だね。あのでっかいロボット倒したところなんて本当にロックだったよ!あの日さ、本当は一緒に帰りたかったんだけど、早く帰っちゃうんだから…それよりさ、同じ試験場にいたあの女は誰なの? まさか付き合ってるの?違うよね? 初対面って感じだったよね?たぶんそうだと思うけどさ、いきなり初対面の女に対して近すぎるには良くないよ。あんなのダメ、許せない……もし女子と話したいならウチがいつでも話し相手になるからさ…ね?』
「あー、確かにお茶子さんとは初対面なのに距離が近かったな…気おつけないと……」
『私も合格したわ出久ちゃん。でも流石出久ちゃんね、首席はとっても誇らしいことよ。私も出久ちゃんの隣に立てるように頑張らないといけないわね。ぜひ入学してからは特訓に付き合って欲しいわ。同じ学校に行くのだから、今までまともにできなかった食事に行ったり遊んだりしたいわ。2人っきりでね…』
「梅雨ちゃんとは別の地域だからあまり遊べなかったもんなぁ」
『おめでとう出久君! 首席だなんて本当にすごいよ! こっちでも焦凍と燈矢はもう万歳するくらい喜んでるよ!まあ私もだけどね…。焦凍のお祝いと出久君のお祝いを同時にしようと思ってるんだ!出久君のお母さんも呼んでこっちの家出するのはどうかな?出久君が好きなものたくさん作るからね♪雄英では焦凍のことよろしくね』
「お祝いしてくれるのか…嬉しいなぁ…眠い… そろそろ寝よう…」
『なあ…これ大丈夫か?』
『まともな恋愛はしてないからな、一人を除いて』
『え?!そこで私に振るかい?』
『既婚者及び恋愛経験者は志村さんだけでしょう』
『私はヒーロー活動にかまけて、関わりはほとんどなかったよ、途中で子供も突き放してしまったからね』
『…………』
『…………』
『やめにしようか、』
『そうだな』
出久と共にメール内容を見ていた霊達は、内容の歪さに心配になっていたが、恋愛経験がないため尺度が測れず、諦める。恋心に気づくのはいつになるのでしょうね
書いてて、キャラ崩壊が酷くて笑ってしまった。もう少し抑えます