【カオ転三次】雑多な黒札や現地民の短編集   作:名無しのレイ

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「【カオ転三次】世界が終わるまでのバイク旅」様の「銃器博物館」のキャラバンたちの話を読んで書きたくなったもので……。


少女よ荒野を歩め。

 ―――終末からそれなりの時代が立ち、人々はシェルター内部の生活の環境に慣れつつあった。そして、シェルター内にこもる未覚醒者たちや低レベルの覚醒者たちはシェルター内こそ安全地帯であり、外に出るなどとんでもない!という意識が熟成されつつあった。

 ……だが、どの世界でも変わり者は存在する。安全なシェルター内よりも外の世界を一目見たいという存在はそれなりにいるのだ。とあるシェルターに住まう「少女」もその一人だった。

 

 (誰しもが皆、安全なシェルターの中で過ごせばいい、という。危険な外に好んで出ることはない。特に女性は危険だ、と。だけど、ボクはどうしても外の世界を旅してみたかった。これは理屈や理論じゃない。純粋な衝動だ!! やりたいからやるんだ!!)

 

 ともあれ、未覚醒者で悪魔との交戦経験もないのに、シェルター外に出るなど無謀極まりない、と彼女も現実を正確に把握していた。まずは何とか覚醒し、低レベルのデビルバスターとして活躍し、ショットガンを買ってそれなりに活躍し「LV5」まで自分のレベルを上げることができ、ハンターランクにも所属し『カッパー』クラスになった彼女は、悪魔を倒す&自衛のための武器を買い求めた。

 彼女の購入したのは、ショットガン『モスバーグM500』*1

 ショットガンならば散弾を使用することによって命中率を高める事ができるし、この銃は約3000発もの連射に耐える耐久性から、アメリカの一般部隊で広く採用された銃でもある。

 銃器は弾薬代……特にガイア弾ならなおさら……になるが、それでも自分の命を守る武器そのものだ。

 ショットシェルをできる限り買い込み、さらに怨嗟鋼*2製の銃剣である「M7バヨネット」や防具なども購入して接近戦にも備える。属性弾?そんな高価なものが買えるわけないだろいい加減にしろ!

 

 そこまで行った後で、ただのお荷物ではなく、きちんとキャラバンの一員として戦えます!! と証明してキャラバンの一員へと申し込んで(溜息をつかれながらも)彼女はキャラバンの一員としての参加を許可された。そして、キャラバンの護衛隊のメシアンお下がりの防魔スーツ*3に身を包んだ先輩の一人から忠告を受けた。

 

「仕方ないなぁ。まあいいけど……。あ、そうだ。これセクハラじゃないんだけど……ハマ系の下着は絶対につけておいたほうがいいぞ」

 

「それは……初陣で漏らすからということですか?」

 

「まあ、それもあるな。低レベルの悪魔なら大丈夫でも、大悪魔の威圧がかかれば例外なく大小漏らすからな。でもそれだけじゃない。例えば、外でトイレなんて存在しないだろ? 外でそのまま……そのトイレをすればその……無防備な状態で「穴」に悪魔が体内に入り込んで……な」

 

 oh……と彼女は思わず声を上げる。確かに排泄中は人間の最も無防備な状態である。外で排泄を行えば「穴」に悪魔が入り込んでそのまま体内を食い荒らされるのもあるあるだろう。それを防ぐためのハマ術式の下着である。

 これがあれば、その場でも大小を漏らしても自動的に浄化してくれる優れものである。おまけにこの下着ならば排泄物だけでなく、汗なども風呂に入らなくても清潔にしてくれるという優れた点があるため、キャラバンの人員たちには手ばなせないものである。

 

「後はいざとなったらあそこを使わせてもらうという手もある。まあ大抵大人気だけどな」

 

 そういって彼が指差すのは、いわゆる『終末対応キャンピングカー』や『終末対応マイクロバス』である。

 これらはキャラバンの『移動拠点』として利用され、気が休まらないシェルター外であってもぐっすり休める安息地としてキャラバンの人間たちが交代で休憩に入っている。

 これらに入れない人間は、外での簡易結界テントで周囲を警戒しながらの休息になってしまうので、気が休まらないというのが正直なところだ。この内部には「他のシェルターに行きたい」という未覚醒者を載せて移動するのが基本的だ。覚醒しているのでも危険なのに、未覚醒者が外にいくのは非常に危険なのはいうまでもない。

 そんな状況でも他シェルターにいきたいという人間は、こういった乗り物に乗せられて、結界に守られた状態でそのまま移動しなければならないのである。そして、この内部は、キャラバンの人々の安全地帯として睡眠をとれる場所でもある。

 

 まず彼女に叩き込まれた事。それは『絶対に一人で飛び出さない事』である。キャラバンの護衛部隊は基本的に連携して戦う。一人だけ飛び出して戦う奴らは大体足手まといになるのだ。さらに、先輩からは『火炎瓶』*4『ハンドグレネード』*5などと低レベルのCOMPを渡された。これは『銃反射』や『銃無効』といった敵や、あるいは火炎弱点、衝撃弱点の敵に対しての切り札でもある。*6

 

「金の余裕があれば属性弾の購入は絶対お勧めなんだが……。まあ仕方ない。火炎瓶やハンドグレネードで何とかしろ。COMPでアナライズを行って敵の弱点を把握しろ。」

 

 そして、彼女の役目としては、荷物けん引用ゾイド、『RMZ-07ハイドッカー』*7の護衛役である。

 ハイドッカーは、荷馬車役として大量の様々な荷物を載せた荷車を牽引して移動していく交易を重視するキャラバンの最重要ともいえる存在だ。そのコンテナ内には空間が歪められた状態で内蔵されている北神奈川支部で購入した極めて大量の多種多様の銃火器、そして同様の極めて大量の弾薬や属性弾が内蔵されている。これらを大型ターミナルがない各シェルターへと搬送し、交易を行う。銃は高価な代物ではあるが、『銃が弱点の悪魔』や属性弾によって相手の属性によって弾を切り替えることができるため、どこのシェルターでも常に求められている武装である。

 

「いいか。俺たちの役割は『荷物を運ぶこと』だ。霊道から基本的に一歩も外に出ないこと。霊道内部なら比較的安全……なはずだからな。出た奴らがどうなっても俺たちは責任取らんからな」

 

「……ここだけの話、いざとなったらハイドッカーを盾にしてくれて構わないからな。女の子が貪り食われるところも犯されるのも見たくないからな。隊長の特別配慮ってヤツだ」

 

 ハイドッカーは武装・装甲ともに貧弱ではあるが、それは黒札たちからしてみたらの話である。ガイアレベル5の彼女からすれば、ハイドッカーはまさに守護神そのものの頼もしい存在。キャラバンや先輩からしても新入りの彼女に死なれると後味が悪いから、傍から見たら贔屓と言われない程度にいろいろと手をまわしてくれているのである。

 そして、そのハイドッカーやキャラバンの皆と一緒にシェルターの外に出た彼女は、そのどこまでも広がる青空と白い雲、そして多種多様の自然に美しさに驚嘆した。

 

「うわぁ……! これが……外の世界!!」

 

 基本的にシェルターの中に籠っている彼女たちにとっては、外の世界……自然豊かな世界、どこまでも広い空に広い大地はその美しさに心を惹かれて当然だった。だが、ここは天国ではない。

 力ある悪魔が支配するまさに弱肉強食の地獄ともいえる場所である。

 そして彼女に指示されたのは「絶対に霊道の外から出るな」と「ハイドッカーから絶対に離れるな」この二つである。これは彼女を守りたい、というキャラバンたちの好意からなるものだ。

 

 ともあれ、キャラバンはついに北神奈川支部から出発を開始した。交易の荷物としては、北神奈川支部で仕入れた大量の銃火器とその弾薬である。そして護衛としては魚沼シェルターで作られた『AT』や北神奈川支部で作られた『ランドワーカー』そして、荷物を運ぶ&護衛用の『ハイドッカー』たちである。

 さらに、切り札である『中古デモニカ』ですら有しているデモニカユーザーすら存在している。これだけの戦力を有せるキャラバンは、大キャラバンであると言っても過言ではないだろう。

 

 そしてその中でも異様なのは、『足が生えた神社』としか形容しようがない物体『神輿ガーディアン』である。

 これは見た目のままの『移動神社』であり、内部には道の神である『サルタヒコ』に加え、塞の神……守護神としての権能を持っている『アラハバキ』が祭られている。

 霊道には定期的な霊的メンテナンスが必要であり、これを行わないとどんどん結界が弱くなってしまう。

(実際に馬ニキが霊道のメンテナンスを行っていた)

 そのため、キャラバンの移動の際にこれを引き連れる事によって、結界の強化&霊道のメンテナンスを同時に行おうという役目である。大体のキャラバンの人間たちは、朝にこれに一礼するのが礼儀となっている。

 

 そして、儀礼となっている一礼を捧げた後で、キャラバンたちは一斉に動き出した。未覚醒者の人間はマイクロバスなどに入れられるがそれは特別。基本的に覚醒した人間たちであるため、その速度はかなり遅い。

 荷物だけではなく『ほかのシェルターに移動したい』という人間たちもターミナルなどという超々高級品を使用できない一般人たちは、キャラバンと一緒に移動するのが他シェルターに移動するほぼ唯一の方法だ。

 自分の荷物を背負った彼らは、徒歩で歩きながらキャラバンへとついていくが、その旅はやはり過酷である。

 

 大量の荷物を荷車に乗せて牽引しているハイドッカーに張り付くようにしながら、彼女は武器を構えて必死で歩く。キャラバンでは乗り物に乗っている人たちも多くいるが、それはそれだけの稼ぎがあるという証明である。借金をして装備を整えた彼女に、そんな余裕はない。ひいこら言いながら皆についていってただひたすら歩く。いわゆる軍隊の「行軍」に近い。初めは外の世界のあらゆる物の物珍しさに大はしゃぎできょろきょろしていた人間も、そのうち歩くことで必死になる。誰もかもそんなものである。

 

 霊道の外には多数の様々な異界なども存在する。だが異界をどうにかするのは彼らの役目ではない。それらの異界は基本的に全て無視するのがキャラバンの基本である。

 

「いいか。ルーキーのお嬢ちゃんに教えてやる。どんなに綺麗でも生水は絶対に飲むなよ? 生水を飲んで体の中に悪魔に巣食われてポン! した奴らは山ほどいるからな。基本的にキャラバンのアクアストーンの配給の水を飲め。それが一番安全だからな」

 

 ようやく休憩に入って疲れた体を休めている彼女に対して、先輩デビルバスターはアクアストーンで配給された水を水筒に入れて差し出してくる。外の世界では綺麗に見える水ですら信用はできない。そこには魔蟲や悪魔の卵などがうようよしているので、それを飲んで体中に寄生されたという事例は山のようにある。基本的にアクアストーンからの水を飲むように、と彼らには徹底されている。

 

「休めるうちにしっかりと休んでおけ。それも仕事だからな。俺たちの本番は夜だぜ」

 

 キャラバンのデビルバスターたちは基本的に24時間交代制で周囲の警護に当たる。歩きながら警戒し、キャラバンが休んでいるときにも順番に交代し警護に当たる。テントを張ってキャンプを行えば当然のことながら焚火や明かりなどによって、飢えた悪魔たちを引き寄せることになる。彼女は与えられた携帯食料……カロリーメ〇トを齧りながら周囲の警備に当たっていた。この栄養補助食には【対悪魔忌避剤】*8が含まれており、高位霊能者にはクソマズだが、彼女レベルでは十分甘くて美味しい、しかも悪魔よけになるとなれば喜んで食べるのが普通だ。

 

そんな風に栄養補助食をもそもそ食べながら周囲の警戒に当たっていると、先輩が保存食の干し肉と干し米、そしてアクアストーンの水や味噌で作られたスープを容器に入れてもってきてくれていた。

 

「暖かいもの食べると気力が全然違ってくるからな。食える時に暖かいものは食っておけ。体力が全然違ってくるぞ。」

 

自衛隊……旧自衛隊にはガイア連合製の「戦闘糧食」なども与えられることもあるが、キャラバンには大きなキャラバンでもなければそんなものはそうそう入ってこない。ならばこうやって自分たちで何とかするしかないのが実情だ。先輩が持ってきてくれたスープを口にしながら、彼女は気力を回復させて徹夜の見張りを終了した。

今回はそれなりに運はよかったらしく、夜に何もなかったキャラバンたちは朝になりそのままゆっくりと霊道を歩いていく。そんな中、先輩は霊道の横にあるとある石像を見て、少女に声をかける。

 

「おっ、道祖神様か。きちんと道祖神様は拝んでおけよ。俺たちを守ってくれる霊道の守護神なんだからな。」

 

霊道には、定期的に道祖神の石像が祭られておりこれは霊道を守護する文字通りの守護神である。これら道祖神による力や移動神社による霊道のメンテナンスによる結界の再強化などにより、霊道の安全性を確保しているのだ。

アクアストーンから配給された水筒に入れられた水を含みながら、彼女たちはただひたすら前へと霊道内部を前進していく。

 

 ともあれ、霊道を歩いていく大量の人間は、悪魔たちにとって餌が大量に歩いている状態である。

 何もなければ良い方。下手な時は異形の怪物たちが道沿いにずらりと並び、霊道の結界を叩いたり色々わめいたりすることもたびたび存在する。

 そのたびに、キャラバンの護衛団は武器を構えながら慎重に通り過ぎ、一般人たちは必死で目を伏せながら通っていく。だが、それだけではない。時には露出度の高い美女・美少女・美少年たちがずらりと道沿いに並んで誘惑することすらありえる。ほぼ裸の美女美少女たちが霊道に沿ってずらり、と並んでこちらを誘惑しているのを見て、先輩は舌打ちする。

 

「クソッ!今回は「外れ」か!いいか新入り。絶対に目を合わせるなよ。」

 

 運が悪いときには、キャラバンなどを狙って淫魔の類が霊道沿いにずらりと並んでこちらを誘惑することがある。それは風俗町もかくや、という状況である。彼女たちは霊道内部には侵入できないし、外からこちらに魔法を振るうこともできないが、外からこちらを誘惑することはできるのだ。

 

 皆目を伏せて粛々と前進していく中、一人の限界に達した男性は咆哮を上げながら、霊道から飛び出して、道沿いに並んでいる美女美少女たちに突撃していった。霊道は悪魔は通れないが、人間は容易く通過することができる。その男性に対して、美女美少女たちが次々とのしかかっていき……まあ快楽の中死ねれば幸運だろう、という末路である。その男性の末路を見ながら、うわぁ……と少女は思わず声を上げた。(当然だが助けなどあるはずもない)

 

 そして、そんな中進んでいくうちに、一人のボロボロの少女が霊道の傍で叫びを上げていた。

 

「助けて!!助けてぇ!!皆が死んじゃう!皆が死んじゃうよ!誰か助けに来てぇ!!」

 

露出度の高い服に身を包んではいるが、見た目は普通に見える少女。だが、こんなところに女性が一人で助けを求めているはずもない。シェルターからの避難民も、この辺にシェルターにあるはずもない。護衛の戦闘員たちがCOMPで彼女を確認して叫ぶ。

 

「エネミーソナーレッド!! アナライズ完了!! 【屍鬼ボディコニアン】だ!!」

 

「下がれェ!!」

 

キャラバンの先輩はとっさに【火炎瓶】を取り出すと、それを次々にボディコニアンに投げつけていく。恐らくはボディコニアンは霊道からキャラバンをおびき寄せて彼らに襲い掛かるつもりだったのだろう。

火炎瓶の炎に堪え切れられず、彼女は炎の塊へと変貌するが、その煙を見て一斉にバイクのエンジン音と共に突っ込んでくる一団がある。これはいわゆる【外道 モヒカン】たちである。

モヒカンたちはかなり人間要素が強いので、『霊道の結界を突破しやすい』という利点がある。*9

恐らくはボディコニアンで誘導して出てきて戦力が分散したところを叩く予定だったのだろう。

 

「「「ヒャッハー!! キャラバンだー!! メシに水にお宝に女!! 何もかも置いていけー!!」」」

 

だが、キャラバンたちの反応は異なっていた。バイクに乗って襲い掛かってくる彼らを見て、キャラバンの戦闘員たちは一斉に叫び声をあげる。

 

「「「ヒャッハー!! モヒカンだぁあああ!!!バイク置いていけぇえええ!!」」」

 

「ボーナスステージ来たぁあああ!! モヒカンを狙え!! バイクには傷一つつけるなよ!!」

 

「なあお前モヒカンだろ!! バイク置いてけ! なあバイク置いてけ!!」

 

えっ?何?何なの怖いよぉ!と周囲の反応に少女は銃を手にしながら困惑する。恐らく敵に襲われているこの状況で大盛り上がりしているのは困惑するしかないだろう。

これは、「モヒカンのバイクは乗れる=金になる」*10ということが認知され始め、「モヒカンを倒したらそのバイクは自分のものにしていい」という不文律が自然に成立したからである。そしてそのバイクを売れば当然のごとく金になる……つまりキャラバンの護衛たちに対する「ボーナスタイム」ということだ。

 

「いいからモヒカンを撃て!いいかモヒカンだけだぞ!バイクは傷つけるなよ!価値が下がるぞ!!」

 

こっちは獲物がショットガンなのにそんな精密射撃を言われても困る。だがそれが仕事である以上やるしかない。彼女は、モスバーグM500を構えてこちらに迫ってくるモヒカンの一人に狙いを定める。

 

「このぉ!! ならコイツをくらえ!!」

 

 彼女が放ったのは普通の散弾用の弾丸……ショットシェルではなく、単発の一粒弾……スラッグショットである。いかにレベルが低いといっても、バイクに乗っている最中に頭部にまともにスラッグショットを食らえばまともにすむはずもない。ダメージは受けなかったものの、スラッグショットを受けてそのモヒカンはそのまま吹き飛ばされていく。

 

「よっしゃ!!よくやったぞ新入り!撃ちまくれ!!モヒカンだけ狙えよ!!」

 

先輩も手にした銃でモヒカンたちを集中砲火を仕掛けていく。そして、モヒカンたちを迎撃した彼らはヒャッハー!とバイクを回収に走った。……とはいえ、霊道から出るのはさすがに怖いため、COMPからの悪魔を使用しての回収になる。少女も契約した「魔獣 グリフォン(LV3)」を使用して回収してくる。これはいざとなったらグリフォンに乗って移動するために先輩と相談して契約した悪魔である。(ほかにもピクシーと契約している)

ともあれ、先輩は回収された少女が倒したバイクを確認しながらふむ、と声を上げる。

 

「うーん、こいつは「アタリだけどハズレ」だな。まあレア物だし金にはなるだろうしそういう意味ではアタリか。」

 

「……どっち?」

 

「つまり『レア物で高く売れるからアタリだけど、普段乗る分にはハズレ』という意味だな。

 こいつは『500SSマッハⅢ』モンスターバイクであるこいつの特性は『止まらない、曲がらない、まっすぐ走らない』の三重苦だ。お前さんの体格からしても普段乗りするには不向きではあるが、非常に高い希少価値があるからもの好きな黒札様が買い取ってくれる……と思う。相場はその時によって上下するからなぁ」

 

 ともあれ、今回はモヒカン狩り……バイク狩りはうまく言ってくれてホクホクである。毎回モヒカンども襲い掛かってきてくれないかなぁ……と思うが、それでも大悪魔の支配下に置かれている可能性があるから注意である。彼女もいざというときに乗るための「魔獣グリフォン」と契約している。普段乗りで不便なものに乗るよりも、売り払ったほうがいいと判断した。……問題はバイク好きな黒札たちがどれくらいの値段を出してくれるかだが。

 

ともあれ、そんな風に霊道を進んでいる彼らは目の前に不審な人物を発見した。それは一人でバイクに跨って優雅に霊道内部を走っている中性的な女性。こんなところでキャラバンも組まずに一人で旅をするのは、他人をひっかける罠であるか、そうでなければ……。

 

「黒札様だ!!銃仙キノ様*11だぞー!!各員銃を下げろー!!」

 

COMPを確認して友好的であり、その霊力から黒札である事を確認(キャラバンには騙されたり同士討ちしないように旅を好む黒札の霊的波動がインプットされている)した彼らは、大歓声を上げて彼女を歓迎する。

彼女はえっ?なになに?と疑問符を浮かべるが、キャラバンとの交渉で途中まで一緒にいくことを決定した。そして、高レベルの黒札と一緒に旅をするということは、もはや安全は確保されたも当然である。

彼女としても大勢をぞろぞろ引き入れて旅をするのは(なんか違うな……まあちょっと合流しただけだし少しぐらいいいか)程度の感覚なのだろう。

 

ともあれ、順調に旅が進んでいる中、休憩中に少女が一息ついていると、その高位の黒札であるキノネキが彼女に声をかけてくる。自分より遥かにお偉いさんに対して、彼女は絶句しながらガチガチになる。

 

「少しいいかな?君変わったバイクをモヒカンから手に入れたんだって?見せてくれていい?」

 

「ハイヨロコンデー。」

 

ふむ、とキノネキは彼女が持っている500SSマッハⅢ(元モヒカン所有)を見てふむふむ、と面白そうに見える。

 

「うーん、カワ〇キかぁ……。中々面白そうなバイクだね。とりあえずちょっといい?」

 

キノネキは、マッハⅢに跨るとエンジンの上死点を探って一気に踏み下ろして瞬時にエンジンを起動させる。その見事な手順に、先輩は思わずヒューと口笛を吹くほど見事な技術である。

 

「なかなか面白そうだし、この子ボクが購入してもいいかな?まあ保存するだけになるかもだけど……。純正ではないけど貴重な物は即購入!とりあえずこれだけね。」

 

ポン、と今まで手にしたほどのない大量のマッカを手渡され、少女は思わず気絶しかかりそれを見て先輩は、思わず笑い声を上げながら軽口を叩いた。

 

「おいおいすげぇ大金だな!!この金で俺たちキャラバンを雇うか新しいキャラバンでも作ってくれよ!アンタなら従ってもいいぜ!!」

 

HAHAHA!!と先輩は少女に向かって冗談めいて声を出す。こうしてキャラバンの重役になったこの少女がのちにキノネキの弟子になる「皐月」の先祖に当たる……のかもしれないがそれは謎である。

*1
女神異聞録ペルソナ

*2
沖縄支部の名産品。【銃火暴風怨嗟域】から産出されるスクラップをオカルト加工した対天使用武器の素材

*3
小ネタ 現地人覚醒者仮面ライダーあかり!から。外見はストームトルーパーであり多少の魔法も防げたりするらしい。メシアンでないと証明するために、両肩にガイア連合のマークが刻み込まれており、ムド効果で悪魔を退ける漆黒の魔力塗装で表面装甲を黒く塗装している。

*4
戦闘用アイテム。アギと同効果。真・女神転生

*5
戦闘用アイテム。ザンマと同効果。真・女神転生

*6
火炎瓶やハンドグレネードは若い女性が死ぬところを見たくないという先輩がキャラバンに頼み込んで特別支給してもらったもの。COMPは支給品。

*7
「【カオ転三次】幼女ネキの謎を解明するため、黒札調査隊は宮城県の奥地〇〇町出張所へと向かった――。」様から。 ブロントサウルス型ゾイド。主に兵員輸送車として用いられ武装・装甲共に貧弱だが高い再生能力を持つ

*8
☆【悲報】ガイアの支給飯がまずい、から。

*9
小ネタ 終末後の地方異能力者組織の現在」から、【半端に悪魔化】し【ゾンビとも人間とも、なり損なったやつ】たちや人間や人間以外になった存在なども存在する模様。

*10
【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録」様から。セツニキがモヒカンのバイクを奪って修復して乗っているところから。

*11
【カオ転三次】世界が終わるまでのバイク旅」様の主人公

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