今回は寄生虫の話ですので、苦手な人は気を付けてください。
──―とあるメシアン穏健派シェルター。そこは元々スラム街だったのをメシアンたちが協力して立て直したシェルターである。極めて治安が悪く、かのメシアンたちも治安悪化に苦戦していた地域だ。
そして、そのシェルターは自然とメシアンたちの左遷地域となり、どんどんシェルター自体が悪化しているという悪循環に陥っていた。そうなれば当然起こるのが、覚醒者による弱者たちへの圧政である。質の悪いメシアンたちがそれを止めることもなく、むしろほかの穏健派からの物資を独占し、さらにそれらの圧政は加速していった。
「オラオラ!この未覚醒の無能野郎どもが!!お前らは大人しく選ばれた覚醒者である俺たちに従っていろ!!」
「死ぬまで俺たちの奴隷にしてやるからな!!このクソガキどもめ!!」
そういいながら、調子に乗っている青年たちは、少年たちを殴りつけながらそれを楽しんでいた。だが、彼らはこれから奴隷にするため、死なれたら困ると手加減はしていたが、それでも少年たちにとっては十分なダメージだった。殴られた少年たちは、大人しく彼らのもとで働くことを選んでいた。
そんな中、殴られて地面に倒れていた一人の少年は、一匹の干からびかけたナメクジを見つける。彼はそのナメクジに対して奇妙な同情心を寄せた。近くの水たまりの水をかけて、適当なところに放してあげたのだ。
「あ……ナメクジかぁ。干からびかけてる……ほら。水をかけてあげるからさっさと逃げて」
―――これが彼の運命を変えるとは、だれにも思わなかったのである。
―――それからしばらく後、一人のメシア教穏健派のテンプルナイトの美少女がやってきて状況は一変した。
メシアンシェルターは一変し、暴力的な覚醒者たちも腐敗した上層部も一変し、住まう人々は大歓声を上げた。
そして、そんな中、メシアンシェルターを変えた美少女テンプルナイトに呼び出された少年は、彼女の自室で困惑しながら小さくなっていた。何の力もない彼がこんなところに呼び出されている理由が全く分からないのだ。
「あ……あの、どうして俺はここに? 俺は覚醒もできない何の取柄もない人間なのに……」
そんな少年に、テンプルナイトの少女は彼を抱きかかえてよしよし、と優しく頭をなでる。少年はずっとテンプルナイトの女性に抱きかかえられたままの自分自身に対して困惑する。だが、そんな事を無視しながらリィナと名乗ったテンプルナイトの女性は、微笑みながら少年の服を脱がせて、一緒に風呂へと入浴する。いきなり目の前で裸になった美少女に対して、その行為は少年にとって刺激が強すぎたが、裸のリィナはそんな少年を見てニコニコ笑いながら一緒に抱き着きながらゆったりと湯舟に使っていた。
「よしよし。君は何も心配しなくていいんだよ。人間のオスはメスの体が大好きなんでしょう? うんうん、君がこの体を気に入ってくれたようで何より何より。私も満足ですよ」
いきなり綺麗な裸の女性と一緒に広い湯舟に入るなんて、少年にとっては刺激が強すぎたのはいうまでもない。湯舟にのびのびと体を伸ばしている彼女は、少年を後ろから抱きしめてだいしゅきホールド状態になる。裸の女性の胸を押し付けて少年はさらに顔を真っ赤にしながら慌てるが、女性は不思議そうにする。
「ん? やっぱりこのメスの胸は不足ですか? 確か人間のメスは脳をいじればホルモンが胸が大きくなると聞いた気が……。妊娠してなくても母乳も出せるようになれるといいますし、脳をいじって色々試してみますか」
その不思議な言葉に、少年は不思議そうな顔をするが、リィナは気にすることなく、少年を抱きしめながら優しく頭を撫でる。その心地のよさに、少年はうとうとと眠りにつきそうになりながらも、彼女の声が響き渡る。
「人間のオスはメスと交尾するのが幸せなんでしょう? 私もまだこの体に慣れていないけど、慣れたら沢山交尾させてあげますからね。どこかで房中術を勉強しないと……。少年がボン! となるのは嫌ですからね」
「よしよし、何も考えなくていいんですよ。ただ私に全てを委ねればいいんです。これから二人で沢山幸せになりましょうね♡」
一方、鎮圧されていたならず者覚醒者たちは今まで好き勝手やっていたのが禁止されたのは面白くないのは当然だった。さらに自分たちがいじめていた少年が優遇されて呼び出された、と言われて彼らの我慢は限界に達した。
「クソッ! なんであんな何の力もないクソガキがテンプルナイトに気に入られてるんだよ!! おかしいだろ!!」
「いい考えがあるぜ。こっそりと侵入してあのクソガキボコってやろうぜ。あのクソガキが大したことないと知ればあのテンプルナイト様を目を覚ましてくれるはず……!?」
その瞬間、その男の腹部がボコボコと膨らんでいく。そのあまりの異常な膨らみ具合に周囲の男たちは悲鳴を上げる。
「な、何だこれ!! た、助けて!! 助けて……!!」
次の瞬間、男の腹から大爆発が起きて、肉体の大半が吹き飛ばされる。そこからキィイイ……と奇声を上げながら誕生したのは『邪龍ふくちゅうむし(LV10)』*1である。彼らの体内に巣食っていた寄生虫が体内から魔術を使用したせいで、男は腹部から爆発を起こして死亡したのだ。そして、それは彼だけではない。次々とほかの男たちの腹がボコボコと膨れ上がり、まるでクラッカーのように爆発していく。それはやはり彼らの体内に寄生していた「ふくちゅうむし」の仕業である。そして、その破裂した肉体を、『邪龍ふくちゅうむし』は貪り食らっていき、肉片すら残さずに食らいつくされる。そして、そんな彼らを、ふくちゅうむしの視界を支配しながらリィナは確実に把握していた。
(ふむ、やはり自在に人間を操る能力ももたせたほうがいいですか。少年の身を守るためにも、メシアンシェルター全員に『邪龍ふくちゅうむし』を寄生させておいたほうがよさそうですね……)
(脳と筋肉を全身寄生虫に置換して強化した人間……強化寄生人間というのも研究するのもいいですが、穏健派に目を付けられるとまずいので我慢するしかないか……)
……これよりしばらく前、とあるテンプルナイトがこの辺鄙なシェルターが左遷されてやってきていた。この薄暗い雰囲気のメシアンシェルターに対して派手なことが大好きな彼女は思わず毒ついてしまう。
「はぁ~……。ったく何で私がこんなクソド田舎に……。こんなんじゃ贅沢も何もできないじゃないのよ。
さっさと世俗派の中枢部に返り咲かないと……。まずは貧乏くさいここのメシアンから根こそぎ吸い上げないとなぁ……」
ショートボブの髪型にピンク色の髪をした美少女ではあるが、高慢さが顔からにじみ出ている女性。彼女はメシア教穏健派のテンプルナイトの一人「『リィナ・ブランシュ』*2である。
彼女は穏健派の中でも俗に言う『世俗派』に属している人間であり、世俗派のイメージを絵に書いたような人物であり、生粋の努力嫌いであり度を越した贅沢好きであり、隠す気もなく思うがまま贅沢三昧を行っていたが、それを他の穏健派に糾弾され、あえなく左遷させられたのである。
そして、彼女が左遷されたのは辺境のとあるメシアンシェルター。治安が悪く、素行の悪いメシアンたちの追放地である。世俗派であり贅沢三昧を行っていた彼女はこんな貧乏くさい辺境シェルターなど我慢などできなかった。さっさと自分の実力で他のメシアンから搾り取るなり、穏健派からの支援をすべて搾り取るなどと考えている中、彼女はメシアンシェルターの中心部へと威風堂々と歩きながら招待されていく。
(どいつもこいつも貧乏くさい顔辛気臭い顔ばかり!! まったく嫌になる!! 早くまた世俗派に帰り咲かないと!!)
そんな中、彼女はメシアン教会内部の奥深くへと招待されていく。自分がこのメシアンシェルターの頂点に立てばせいぜい私のために役立ててやるというのに!!
ああ! 適当な理由をつけてこいつらの首を刎ねて私が乗っ取ればいい! 私は選ばれた聖戦士!! テンプルナイトだ!! こんな貧乏人どもが私に逆らうなんて許されるはずがない!! と彼女は心の中でほくそ笑みながら、このメシアンシェルター教会の中心部につく。
そして、そこの司教であるはずの男に出会った瞬間、彼女は絶叫した。
その司教であるはずの男の両目から飛び出していたのは、うじゅるうじゅると蠢く触手だったのだ。それはカタツムリを操り、目玉を飛び出させる寄生虫『ロイコクロリディウム』を連想させる気味悪さだった。
両目から触手のようなものを飛び出させている司教を見た彼女は、悲鳴を上げて腰を抜かして逃げようとする。だが、それより早く触手が伸びて、彼女の耳に触手が入り込んで、半霊体化して耳から脳内へと入り込み、少女の脳に触れてそこからうじゅるうじゅると脳に寄生していく。
「い……いやぁあああ!! 私の脳に入りこまないで!! 脳に寄生しないで!!」
脳に触手……寄生虫が入り込んでいくおぞましい感覚に、リィナは絶叫する。しかも脳に入り込んだ瞬間、半霊体から実体化し、脳に直接寄生虫が入り込んでいくのだ。めりめりと人間の思考、判断、言語、感情、行動などを司る重要な脳の領域である前頭葉に異物が入り込んでくる感覚は筆舌に尽くしがたい。その彼女の脳にめり込んだ触手……寄生虫から彼女の脳内に思念が伝わってきた。
『ふむ、精神的に辛いか。ならばちょっとリラックスさせるか。【パピルマ】【マリンカリン】』
「ああああああ!! き、気持ちいいぃいいいい!! 気持ちいい!! 好き好き好きぃ!! 寄生されるの好きィ!! 脳が寄生虫に侵されるの好きぃいいいい!!」
その瞬間、彼女の脳に爆発的な幸せと恋愛感情が洪水のように流れ込む。白目を向いて、体中からあらゆる液体を撒き散らしながら彼女は一瞬でその幸福感と魅了の虜になる。こんな快楽などに半覚醒の少女が耐えらえるはずもない。そうしてリィナの不快感を抑え込みながら、寄生虫は脳の運動機能を乗っ取り、両手をめちゃくちゃに動かしていく。
「私のがらだ……私の体好きにしないでぇ……」
脳を乗っ取られ、自分の体すら好き勝手に動かされるおぞましさと恐怖、そしてハピルマとマリンカリンの精神操作によってリィナは混乱に陥りながら涙を流す。だが、それに対して寄生虫はさらに完全に洗脳するべく、脳にうぞうぞと入り込みながら、ハピルマとマリンカリンを連打していった。
「好きィイイイイ! 好き好き好き好き幸せ幸せ幸せ幸せぇえええ! もうやめて! 私をおかしくしないでぇ! 渡します!! 体も魂も何もかも渡すからおかしくしないでぇええええ!! 脳みそ犯して! 犯して犯してもっと犯してぇええ!!」
その絶叫と共に、リィナは体のあらゆる穴からあらゆる体液をまき散らしながら、白目を向いて自らの体液にまみれた床に倒れこむ。それと同時にぐじゅるぐじゅると完全にリィナの脳に寄生虫が入り込んで、両眼が空洞になった空っぽの司祭の肉体も、どう、と床に倒れる。そして、床に倒れて白目を向きながら不気味に体を痙攣されていたリィナは、急に正気に戻ったように、ぎゅりんと黒目になる。
「『ハマ』」
床に倒れていたリィナは、ハマで自分の体と床を綺麗にする。そして、何とか立ち上がろうとするが、体が全くいうことを聞かずに、両手両足が変な方向にねじ曲がってしまう。それを何とか回復魔法で直しながらあれやこれやと苦戦しながら彼女? はようやく立ち上がる。それはまるで全く体の動かし方を知らなかった人間がようやく何とか体を動かすのに成功したようだった。自分の腕を動かしたり手のひらを握ったり開いたりと完全に脳の寄生虫は彼女の肉体を支配して動かす事に成功していた。
「ふむ。ようやくそれなりの美貌の女性の肉体を得たか。これなら少年も喜ぶだろう。おっと、口調もきちんと女性らしくしないとですね。笑顔笑顔。これから少年をきちんと私が永遠に幸せにしてあげますからね♡」
──―司教に寄生し、リィナの脳内を完全に支配した寄生虫『妖虫パラサイト』*3は満足げに彼女の肉体を操作して頷いた。
長かった。ここまで来るのは本当に長かった。元はメシアンたちの天使の羽に代わる洗脳手段である洗脳寄生虫『天使の囀り』の一体だった霊的寄生虫は、全滅を逃れて何とか一匹のナメクジに寄生。だが、そのナメクジも水もなく干からびて死にかけていた所を少年に救われ、彼に対して一目惚れをしてしまったのだ。
そして、その寄生虫はナメクジから何とか人間へと寄生。ガイアカレーなどがないメシアン系シェルターというのも大きく、次々と人間の脳内に寄生していきメシアンシェルターにどんどん浸食していったのだ。
元々、メシアンの手で生まれた彼は、メシアンの聖水など効くよしもない。そうして人々への寄生でMAGを得て力を増した彼は、メシアン寄生虫『天使の囀り』ではなく、霊的寄生虫『妖虫パラサイト(LV30)』へと変化した。そして、ここの指導者である司祭の体を乗っ取った妖虫パラサイトは、ついに美少女であるリィナの肉体を支配したのだ。下手をすれば脳がボン!と破裂する危険性も多いにあったが、寄生虫なので親和性があったか、それともテンプルナイトなのでこの肉体が優秀だったのか、ともあれ妖虫パラサイトは安心していた。
(私の体! 私の体返してオボボボボ幸せ幸せ幸せ好き好き好きィ!!)
また逆らってくるテンプルナイトの少女の魂に自分自身の少年への恋愛感情を叩き込んでさらにハピルマとマリンカリン漬けにしながら、脳内に寄生して彼女の肉体を完全に支配した妖虫パラサイトは体のあちこちを動かしたり、笑顔を浮かべたりして完全に制御できているか確認を行う。
「よし! では今から私は「テンプルナイト『リィナ・ブランシュ』」です。皆いつも通り私に従うように」
「「「はっ!!」」」
メシアンやテンプルナイトたちは、一斉にピナに対して触れ伏す。当然のごとく、彼らの体内にも同じ寄生虫悪魔である『邪龍ふくちゅうむし(LV10)』が寄生されている。ふくちゅうむしは腹の中に寄生し、そのふくちゅうむしは腹の中から相手の感情などをコントロールし、妖虫パラサイトの言いなりにする力をもっている。
古代より「腹の虫が悪い」と言われたり道教には「三尸」と呼ばれる体内の虫が天帝にその宿主の罪悪を告げ、その人間の寿命を縮めるとされている。その概念を利用してメシアンたちを腹の中から操っているのである。
スラム街が平穏になっているのも、パラサイトの力によって魔蟲が半覚醒者や一般人たちに寄生するという性質に代わっており、そこから人間たちを妖虫パラサイトの言いなりにしているからだ。
言うなれば、このメシアンシェルターもスラム街もすでに寄生虫によって支配されていると言ってもいい。
そして、寄生虫に支配されたこのシェルターは穏健派に寄生し、穏健派の物資や資金を吸い取って肥え太るという色々な意味で寄生虫シェルターへと変貌してしまっているのだ。
「さあ、少年。これから私とずっと二人で幸せに過ごしましょう。何もかも全てから貴方を守ってあげますからね♡」
こうして、少年に対して恋をした寄生虫は、美少女の肉体を手に入れ、穏健派に寄生して物資供給を受けている寄生虫シェルターが完成したのだ。少年以外の人間たちは、上層部には脳に『妖虫パラサイトの分身』、ほかの全住民たちは『邪龍ふくちゅうむし(LV10)』が寄生され完全服従している。寄生虫が入り込んでいないのは、リィナが愛する少年のみである。こうして、少年と妖虫パラサイトの愛の巣が完成したのだった。
「というわけで……ガイア連合に逆らうつもりはありませんのでどうぞご容赦を……」
「えぇ……。(困惑)そんなん言われてもワイも困るでぇ……」
あちこちのメシアンシェルターなどを探索している忍者であり諜報員である『森田』*4は、最近いきなり治安が良くなったとされたこのメシアンシェルターへとやってきたのだが、いきなりリィナに土下座をされて思わず困惑していた。森田は高い忍者スキルを有し、さらにガーディアンシステム(真)を所有している実質不死であるため、諜報員として最適な人間なのだ。そのため、あちこちのメシアンシェルターの調査などを行っているのである。彼は、リィナ……もとい、寄生虫である「妖虫パラサイト」に全て明らかにされて困惑するしかなかったのである。
「とりあえず、そっちの転がせる飴玉はどれくらいあるの?」
「そうですね……。まず人間たちの『更生』ですかね……。質の悪い人間の脳内に私の分身を寄生させて、いいことにはハピルマ、悪いことには痛みで「パブロフの犬」方式で更生ができます」
例えば素行の悪い人間や悪性の悪い人間の脳に妖虫パラサイトの分身を入れて、脳内で良い事をしたらハピルマ、悪い事をしたら苦痛を与えて「パブロフの犬」方式で素行の悪い人間たちを調教しようというのだ。
……基本法則としては「天使の羽根」を入れるのとほとんど同じではあるが、元となった寄生虫「天使の囀り」自身が天使の羽根の別バージョンのようなものなので、似たような感じになるので仕方ないだろう。
「ああ、あと私は『天使の羽』を食らう能力を有しています。私を脳内に寄生させていただければ天使たちの洗脳から防ぐことができるでしょう!!」
「……で? お前さんがそいつを洗脳しない可能性は?」
それに対して、リィナはそっと目をそらす。今の彼女は天使の羽根が変化して自我を持って悪魔になったような物だ。同じ天使の羽根のようなものなら同じ天使の羽根を食らえるのは当然である。しかも、彼女はあらゆるセーフティを解除された悪魔であるため、例え天使の羽根を食らったところでその対象者を洗脳することも可能だ。
やはり彼女も悪魔であり、少年以外の人間などただのMAG発生装置ぐらいにしか考えていない。
彼女からすれば、自分の本体と少年さえいれば、このメシアンシェルターがなくなっても別段構わないのだ。それに対して、森田ははぁ~と深いため息をついた。
「しゃーない……。ガイア連合に内容を連絡だけはしてやるで。向こうがどう判断するかは知らんがな。ただここからの移動は禁止。特に山梨は絶対禁止にしておいたほうがお互いのためやで。」
「?なんですか?」
「ヒント:日本住血吸虫症」*5
「あっ。(察し)」
山梨県には地方病といわれた「日本住血吸虫症」が存在しており、人々を長く苦しめていた。日本は普段の努力によってこの寄生虫を撲滅させたが、この終末後の世界では、妖虫パラサイトが山梨県に入り込めばその伝承などもありどうなるか不明である。(そもそも、山梨県内に悪魔が入り込むなど黒札たちがそうそう許すわけもなく、彼らの逆鱗に触れる行為である)
ここで彼らを怒らせると徹底殲滅されるであろう、ということは火を見るより明らかだ。ただ土下座外交をするしかないのである。
「あの……それでガイア連合の性的スキルや高位変化スキルを……私も修行しているのですが中々……」
「甘えんなボケ。黒札様たちでもひぃひぃ言うとるんやで? 大人しくガチャあたりで勝ち取れや」
しれっと図々しい要求をしてくるリィナに対して、森田はそれを一蹴する。彼からすればそんなことなど行うメリットが欠片も存在しないからである。
「あと一つ忠告しとくけど、ガイアカレーとか悪魔忌避剤とか持ち込まん方がええで。絶対悲惨な事になるからな」
天使の羽などを排除するガイアカレー。そして悪魔が嫌がる悪魔忌避剤。これらは普通の人間にはありがたいことこの上ないが、この寄生虫シェルターに持ち込むと、脳内の妖虫パラサイトや邪龍ふくちゅうむしが外れ、寄生虫によって完全な秩序が保たれているシェルターは、自我を取り戻した民衆によって大混乱に陥るだろう。そして、その矛先はリィナや少年になることは間違いない。
(救護ネキ様になんぞ見つかったら間違いなく「救護」されて壊滅させられるからなぁ……。あの方には黙っている程度の情けぐらいはかけてやるか……)
そんなこんなしながら、森田はさっさとメシアン寄生虫シェルターから脱出していった。こんなところに長くいて体中に寄生虫に入られるのになんてまっぴらである。(寄生虫で操られている女性を抱いていったらどうか?という案もあったが、そんなもの彼が受け入れるはずもなかったのである)
「頭も腹の中も虫まみれの女何か抱けるかい。くわばらくわばら。寄生虫持ち帰った何て言ったらメスガキも元ゾンビも切れるからなぁ。……しかし何であいつら、ワイの家に住み着いとるんや? さっさといい男見つけてイチャラブしろや、と100万回ぐらい言ってるんやけどなぁ……」
・メシアン寄生虫シェルター
寄生虫、『妖虫パラサイト』が作り上げたメシアン穏健派に寄生している寄生虫シェルター
全ての人間たちにパラサイトの分身かふくちゅうむしが寄生しており、意思を操ったり監視している。
元々は天使の羽根の代用品である寄生虫『天使の囀り』が何とか生き延びてナメクジに寄生して脱出したが、死にかけていたところを少年によって生き延びて『妖虫パラサイト』へと変化し、シェルターを支配。少年だけは寄生虫には操られていないが、内臓にはしっかりとマーカー用の寄生虫が存在している。
なお、ガイアカレーや悪魔忌避剤には極めて弱く、使用されてしまうとあっさりと壊滅してしまう。(そのため、悪魔忌避剤は周囲のシェルターへと供給されている)位置は特に指定していない。
元ネタはえっちぃ漫画で「冴えない青年にサキュバスが来たけど、実は寄生虫で……」という漫画だったんだけど、名前忘れてしまったんごねぇ。