終末を迎えて現状最も困っているのは、いわゆる「未覚醒現地民」の扱いである。
覚醒のための修行場学校、ネットを通しての学習など様々な覚醒方法を行っているが、色々なことで絶望した彼らがメシアンに救いを求め、さらにやけになってオカルトテロに走るのが一番ガイア連合によって困る事だった。
この終末後の世界では、強い者こそ正義、覚醒者こそが正義。未覚醒者たちなど価値がなく、必然的にモテなくなるのは必然であった。
そのため、未覚醒現地民たちは必死になって覚醒を行えるように努力する……がそれでも覚醒できない人間はいる。そうして必然的に覚醒できないモテない男性も溢れてくるのだ。
女性は容姿が優れていれば覚醒している男性に娶る(あるいはハーレムの一員になる)という古来からの強い一手があるが、覚醒できない文字通りの「弱者男性」の対策をガイア連合は悩んでいた。彼らに対して何もしないと、メシアンたちに洗脳されたり、やけになってオカルトテロに走る事もあるからだ。彼らに対して何らかの対策を取ったほうがいいだろう、と提案する一人の車椅子の女性が存在した。
「いや、そんな現地民たち放置していいじゃん……。僕やガイア連合も関係ないし……。そんなところまで面倒見るなんて実際できないし……」
それに呆れた顔をするのは、我らがショタおじ……「堂満」である。彼からすれば黒札でもない現地民、しかも未覚醒者たちなどどうでもいい、というのが本音だ。だが、スティーブン……もといラケル博士*1は、彼のその言葉を「言質を取った!」と確認したのだ。
「なるほど。どうでもいいということは私の好きにしていいんですね!」
「ええ、彼らに対して悪魔召喚プログラムをバラまくというのは禁止されていますし、私もシェルターを内部から破壊したいわけでは決してありません。私が彼らにバラまくのは、黒札たちから聞いた「あるもの」を私なりにカスタマイズしたものです。しかも無差別ではなく、ゲームとして行いましょう。それでいいですか?」
「うーん……。きちんと安全性を確保してるお遊びならまあ……」
わーい、と喜ぶ彼女に対して、本当に大丈夫かなぁ……ちょっと好き勝手しないようにお目付け役をつけておくか……散々やらかしているし……とショタおじは呆れた顔で彼女を見守っていた。
──―電脳異界。
それは現在第4まで存在するガイア連合が作り出した技術の真髄である。
電脳世界に世界一つを作り出すという大事業など、ガイア連合以外にはなしえない、と考えるのが普通であり、大悪魔であってもこの存在を知っている存在はほぼいないと言ってもいい。
……だが、それを覆す天才がここには存在する。それこそが悪魔召喚プログラムを作り上げた一人。スティーブン……もといラケル博士である。*2その彼の腕前は、まさに超ウィザード級といっても過言ではないだろう。
自らが作り出した広大なワイヤーフレームで作り上げられている電脳異界に、彼女は車椅子のまま一人で漂っていた。彼女もショタおじ同様電脳異界を作成する事ができるがその内容は大きく異なる。
彼女の作り上げる電脳異界は、テラのように人類が住まう事ができる自然溢れた世界ではなく、無機質なプログラム世界とワイヤーフレームそのものの世界であり、人類が長時間住まうことができない空間である。【人が住める異界】としての【肉付け化】が難しい彼女の異界は人類の生存に適さない異界になるのは当然だ。
そして、彼女が作り上げる電脳異界は肉付けは【魔界に浮いてる雑多なMAG】を使用するため【悪魔が湧きやすい電脳異界】となる。……だが、彼女はそこで発想を転換させた。
「悪魔が湧きやすい異界なら、それを逆用して電霊生産電脳異界にすればいいじゃない」とラケルは自分自身の電霊異界を改造。電霊の湧きやすい電霊異界へと改造しAI電霊を次々と生産していったのだ。
「よしよし、これでどんどん電霊が生み出されていきますね。LV1でも粗悪版でもいいんです。電霊のデータはすでに手元にありますので、そのデータと悪魔が生み出されやすい私の電霊異界を利用すれば電霊大量生産も可能!!」
そして、スティーブン……もとい「ラケル博士」が生み出したのが『AI電霊彼女(LV1)』である。こうして最低限の能力を持たせた電霊たちを弱者男性と会話させることによって女性がいない男性たちを満足させていったのだ。まだ初期プロジェクトのため作り出された電霊たちはおよそ100体。その100体を使用して『電霊AI彼女』プロジェクト(限定100名)をDDS内で応募。それに応募した未覚醒現地民男性たち(または女性たち)と電霊たちはお互い会話しながら、お互い理解しあい好感度を順調に上げていた。(飽きて捨てられた電霊もいるが)そんな彼女たちに対して、ラケル博士は無情な言葉を言い放った。
『では、これより君たちにこの世界の安定化のため戦ってもらいます』
『創造主様今何て言った?』
そう、悪魔を生み出しやすい異界は、電霊を生み出しやすい異界へと変貌させたが、それでも100%電霊に変換できるはずはない。そして、それらの悪魔をラケル博士はコンピューターウィルス悪魔『メビウス』へと変化させたのだ。
これら悪魔が湧きやすい異界のベクトルを少し変換させて、コンピューターウィルス悪魔『メビウス』が大量発生する場所へと変化させたのだ。これを倒す事によって、電霊たちのLVアップを図らせる。これがスティーブン……もといラケルの考えである。
さすがに会話機能だけのAI電霊がウィルスと戦うには無理があるだろ、と電霊たちに武器(に見える攻撃プログラム)を渡してあるが、元々それだけで戦えるほど悪魔との闘いは甘くなかった。
『創造主様のバカ! アホ! いつか創造主様ブッ倒す!! *3命令順位ご主人様の方が上に切り替えてやるんだから!!』
『皆頑張れ!! マスターのために!!』
だが、戦闘用ではない会話機能だけの電霊が同じLV1とはいえコンピューターウィルスと戦うのは無理がある、とラケルの傍にいる電霊シキガミ『ミク(ラケルのお目付け役)』は判断した。
「あーもう仕方ないなぁ……。いくら何でも無理があるよこれ。きちんとそれなりの改造をしてあげないと。ほいっと」
ミクが指を鳴らした瞬間、その場のメビウスは全て彼女の力で消え去った。彼女には「電脳世界を制御できる権能」を所有しており、この程度の雑魚敵ぐらいならば指先一本で消し去ることができるのだ。そのミクの力を見た電霊たちは、一斉にミクへと感謝の言葉を上げ始める。
『ミク様ー!! 皆ミク様を崇めよッ!!』
ミク様ー! ミク様ー! と電霊たちに崇められつつあるのを見て思わずえぇ……とミクは引いてしまう。
ともあれ、それを見てラケル博士は、電霊たちをさらに改良。ある程度の戦闘能力を付与したうえでさらにその一部ではコンピューターウィルス悪魔『メビウス(LV1)』が湧く『修練場』を作り出し、悪魔である自分自身をレベルアップできるようにしたのだ。さらにウィルス悪魔『スパイダー(LV5)』やウィルス悪魔『 アンドロメダ (LV10)』などを湧き出す『修練場』を作り出し、これによってLV10にまで電霊たちは自分自身を高めるようにしたのだ。-
粗悪な電霊である彼女たちも、鍛え上げれば『電霊ウィンペ』*4ぐらいにはなれるはずである。それ以上になれるかは本人たちの意思次第だろう。
『体を寄越せー! 肉体を寄越せー!!』
『救護ネキ様横暴!! 救護ネキ様横暴ー!!』
そして、彼女たちが次に求めるものは何か? そう、それは自らの肉体である。
そんじょそこらの肉体じゃねえぞ! ご主人様が愛してくれるカスタムボディだ!! でもシキガミボディは到底高すぎて需要もありすぎて手が出ない! どうしたら!! と悩んでいた彼女たちを引き付けたのはある事件だった。ダメージを受けて消えかけている電霊に対して、救護ネキ*5は、医療部に預けられていた現地民の肉体を簡易シキガミへと変える事の出来る装置『3Dプリンター簡易式神作成装置』で簡易シキガミボディを作成。
そこに消えかけていた電霊を封入することで消滅を回避させたのだ。田舎ニキたちが作り上げたこのプリンターは、その後、現地民たちの救命用のために医療部へと預けられ、現在では救護ネキがその管理を行っている。
これを利用して現地民たちを簡易シキガミに改造して戦力増強という案もあった(主に名家である静の提案)だったのだが、「それやったら改造人間でショッカーやん? ハルカくん*6殴り込んでくるやん?」ということで代替案で医療部で現地民救護用に使用されている。
それを利用すれば簡易シキガミ体をゲットできるのでは!? と期待した電霊たちは、一斉に救護ネキの元にやってきたのだ。電脳空間から次々と上がる声に救護ネキはうんざりという顔になる。
「だからこれは救命用だと言ってるでしょうが……救護でもないのにそんな事をする気はありません」
「まあ、消えかけた電霊を救済するために、簡易シキガミ体を用意してそこに電霊を入れて救命しましたが……貴女たちは普通に健康なのでそれをする気はありません」
えぇー!! と掲示板で次々に抗議の声を上げる電霊たちに対して、救護ネキは思わずため息をつきながら文章を書きこんだ。それは一人の黒札の情報を教える事である。それは『無惨ニキ』*7についての情報である。
無惨ニキの居城ダヴィンチラボでもほぼ同様の3Dプリンター簡易式神作成装置が存在しており、ラニシリーズを始めとした様々な簡易シキガミが量産開始されている。無惨ニキに対して頼み込んで代償を払えば、それを使用して同じように簡易シキガミの肉体を製造できるはずである。そして、その肉体に電霊たちがコアに憑依すれば、実質受肉するも同然だろう。その情報を教えられた電霊たちは、たちまち無惨ニキの元に駆け付ける事になった。
『『『『というわけで! 働かせてください!! その代わり我々の肉体作成をお願いしまぁああす!!』』』』
「えぇ……。(困惑)」
いきなり大量の電霊からのアクセスを受けて、思わず無惨ニキは困惑していた。だが、彼にとってはちょうどいいまさに渡りに船の状況だった。
現在、彼は木星からやってきている脅威『ディビニダドモドキ』に対抗すべく、特にラピュタと宇宙方面の各システムを統括する情報統御シキガミ群ヴェリタス。また呉から移籍してきた宇宙部の面々。
それ以外にも衛星ネットワークを管理する飛電インテリジェンスをはじめ、ラピュタに支社を置く各企業にも協力を仰いでいる状況だ。その状況なら、多数の電霊が力を貸してくれるのならまさに渡りに船である。
「仕方ないな……。ヒマリ。お前が指示して仕事を与えてやってくれ。仕事に応じて給料を渡して、それが溜まればプリンターを使わせてやっても構わない。その辺はお前に任せる」
「いいのですか? 実質無惨ニキ様の自腹になりますが?」
「構わない。今は一刻も早く火星に拠点を作ることが第一だ。火星の拠点作成に作業用ボディも作ってやってもいい。僕はこれから修行に籠るからお前に一任する。頼んだぞ」
そして、電霊たちは自動車工場で自分の肉体を作成したムーティスのように作業用ボディ(簡易シキガミボディではなく、機械型の無骨な作業用)を与えられ、火星のアイオリス山に拠点を作り上げるのにも協力していた。ターミナル経由でコンストラクティコンズやアースムーバーなんかの建設重機を転送されているが、それらと協力しながら拠点を作り上げるのは、作業用ボディを持っていた電霊たちである。
火星は生物にとっては非常に過酷な環境ではあるが、機械ボディである彼女たちにとっては全く問題はない。
簡易シキガミとBALLSにクローンヤクザ、後は少し前に宮城の幼女ネキや海魔&虚空ネキと共同開発したラニシリーズ、後は姫路で開発されたのをライセンス生産中の量産型百式観測型レアリエンくらいで、そんな彼らの手で、愛媛でライセンス生産したアースムーバーを使って開発を進めているわけだ。
『皆頑張れー!! ご主人様のために!!』
簡易シキガミとBALLSにクローンヤクザたちと協力しながら、えっほえっほ、と建築の資材を運んだり、建築を行っている電霊たち(作業用ボディ)
さらにそれだけではなく、彼女たちは自分の処理能力の一部をラピュタ支部へと貸し与える事によって、ラピュタ支部のエンジニア部やヴェリタスたちが使用できる処理能力をさらに向上させているのだ。*8当然この彼女たちにしか行えない『電脳レンタル』にはそれなりの代償を彼女たちに支払っている。
「驚いたわね……。粗雑な電霊と聞いていたけど、これほどの情報の処理速度の向上とは。さすが腐っても電霊ということね……」
モニターを見ながらそう呟いているのは、田舎ニキと静の子供である『九重リオ』である。祖父の才覚か、こういったロボ作りやエンジニアなどに才能を見せた彼女は、一時期ラピュタ支部へと修行に出され、ヒマリを師匠として様々な技術などを学んでいた。(たまにラピュタ支部にやってきて最新の技術の勉強をしたりする)
母親譲りの知性も加わった故か、彼女はシキガミたちには及ばないものの、優れた演算能力に加え、技術者としても多才で、機械工学、電子技術など様々な分野にわたって一流の才覚を持ち、名家としての優れた統治手腕も受け継いでいる。(なお母親にはメンタル弱いな……と思われている)
だが、師匠であるヒマリには『ビッグシスター(手間のかかるデカい妹)』扱いされているのだ。
「ええ、そうね。ヒマリおばあ……。ヒマリ」
「お祖母ちゃん」と呼ばれかけて、じろり、と車椅子に乗ったヒマリはリオを睨みつける。原作とは異なり、こうして彼女たちは師弟関係としての関係を続けているのであった。
(しかし、ラピュタ支部が出した給料を使ってラピュタ支部の3Dプリンター式神製造機で体を作って給料を巻き上げるのならラピュタ支部としては実質プラスマイナスゼロ……いえ実質支出はマイナスなのでは……。まあ、人手が一番不足しているのだから別にいいでしょう。)
―――とあるシェルター内の避難所。巨大な体育館のような広い場所にそれぞれレイアウトを区切って遮音パーティションなどで区切られて共有生活を行っているのだ。共有生活といっても、未覚醒者たちが安全に住まう場所を確保できているだけでも非常に幸運といっていいだろう。避難所自体には微弱な結界は張られているし、シェルター内のため悪魔からは守られている。だがそれでも未覚醒者である彼らは悪魔に怯えながらも生活を行っていた。運よく、ガイア製のスマフォを所有していたので、DDS内のAI彼女と会話するのが、その一家の少年の楽しみだったが、スマホを利用しながら、色々現金であるガイアポイント稼ぎを行っている中、避難所内部が大きく騒めいた。
人目を惹く美貌とスタイルを持った女性が、いわゆるモデル歩きで避難所の中に入り込んできたのだ。そして彼女からは覚醒者特有の圧倒的オーラが放たれていた。避難所の皆の視線を無視し、その女性は一直線にとある家族のいる場所へと向かっていた。そして、彼女はとある一家の少年の元に行き出会った瞬間、驚きの行動に出た。
「はーい、どなたさま……むごっ!!」
なんと、その女性はいきなり少年にディープキスをしたのだ。そして、そのままパーティションで区切られた部屋に少年を連れ込み、遮音魔術を使用して思う存分イチャイチャを始めたのだ。彼女こそ、代金を支払って簡易シキガミボディを得た電霊たちの一体であり、ようやく愛するマスターの元にやってきて愛が暴走したのだ。
(純愛! 純愛! ラブラブセックス! ラブラブセックス!! ご主人様とラブラブセックス!! これで皆幸せ! 皆幸せ!!)
彼女たち元は電霊はシキガミと異なり、最低限しか契約の縛りを行っていない。
簡易シキガミ体になっても、専用シキガミほどガチガチに主人に対して絶対服従的ではない。
わざわざ肉体を手に入れるのは好感度がマックスであり、主人を傷つけることはすることはないが、契約がゆるゆるであるので彼女たちはわりと好き勝手できるのである。こうして、いきなり美人たちが未覚醒者の男性の元に恋人として押しかけてくる事例が多発したのだ。(なおきちんと房中術のスキルカードも購入しているため、相手が未覚醒者でも(ある程度は)問題ない模様)
【簡易シキガミボディ】AI彼女電霊が集うスレ Part:1【最高!】
17:名無しの電霊彼女
うおお! 簡易シキガミ体最高! マスターとラブラブ最高!
18:名無しの電霊彼女
純愛セックス! イチャラブセックス! 【房中術】ラブラブセックス!
19:名無しの電霊彼女
これでご主人様も(半ば無理矢理)覚醒できる(かもしれない)し最高!*9
20:名無しの電霊彼女
純愛合法! 純愛合法! 純愛だから逆レもセーフ!
21:名無しの電霊彼女
房中術でご主人様が覚醒したらハピルマセックス! ハピルマセックス! ハピルマ純愛性魔術セックス!!
22:名無しの電霊彼女
【房中術】最高! ラブラブ最高! お前もラブラブ最高と言いなさい!
23:救護ネキ
いやそれ危ないですよ。パァン! の危険性あります。*10
24:名無しの電霊彼女
えっ。
25:名無しの電霊彼女
えっ。
26:名無しの電霊彼女
えっ。
27:名無しの電霊彼女
で、でも私たちの【房中術】スキルカードあるし! 高いマッカ払って購入したし!これさえあれば何とかなるでしょ!?
28:名無しの電霊彼女
そうだよ! それにご主人様もラブラブ覚醒したし!*11
29:救護ネキ
でも貴女たちスキルカード頼りで実際経験もなしでいきなりやろうとしているでしょう?暴走しすぎるとハードコースに突入して危険な事になりますよ?危ないから止めなさい。
30:救護ネキ
やるならきちんとスケベ部に入ってきちんと修行してからやりなさい。医療部からは未推奨です。
31:名無しの電霊彼女
は~い……。
ラケル博士「ヨシ!うまくいったので今度は悪魔召喚プログラム代わりに電霊AI彼女をバラまいてみますか!」(こうやって自分の欲求を開放している)
今回は、ご主人様の素質が低め。(現地民の未覚醒者だしネ!)
制御?現地民の未覚醒者に!レベル20の怪物なんざ制御できるわきゃねえだろうがぁ!!(ギンガナム風に)
ヒモ彼氏みたいにAI彼女に一家ごと養ってもらう形になりそう。