【カオ転三次】雑多な黒札や現地民の短編集   作:名無しのレイ

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今回はセツニキが主役だけど、平均より下の無才の人たちをどうにかしようとしているのでセーフ!(そうか?)


無才現地民覚醒チャレンジ。

―――半終末のとある時代。

愛宕ネキと協力して岩手支部を立ち上げたセツニキは、それらを全て愛宕ネキたちに任せて、彼女たち独自で岩手支部を運営できるように形にした後は、基本的にノータッチのつもりだった。

だが、星祭として忙しく活動している彼に対して、愛宕ネキは再び連絡を取ってきた。その内容とは……。

 

「……ん?おいおい。愛宕ネキ。もうお前たちの手で何とかできるようにしただろ?俺は関わる気はないんだが……。え?無才の未覚醒者をどうにかしたい?」

 

愛宕ネキから相談されたのは、どんな修行をしても覚醒できないいわゆる『無才』の未覚醒者である。

こういった彼らには『ペルソナ』修行を重点的に行われるのだが、それでも覚醒できないという筋金入りの『無才』だ。霊的修行を積んでもペルソナ修行を積んでも、ほかに様々な覚醒チャレンジを行っても全く覚醒しない「無才」の未覚醒者たち。終末を過ぎても覚醒しない彼らは岩手支部としても大きな問題である。

それを聞いて、セツニキも仕方ないな……と岩手支部に向かって未覚醒者たちと対面した。色々な修行を試したとのことなので、試しに未覚醒者たちに霊視ゴーグルをつけさせて、ガイア銃などでスライムを倒させてみたが、それでもやはり覚醒しないというかなりの無才っぷりに、セツニキは思わず笑い声をあげる。

 

「ううむ、ここまで才能がないとそれ自体が才能だな。終末がなければ何も問題なかっただろうに。いやあ、まいったいった。」

 

はっはっは、とセツニキは頭を掻きながら笑うが、当の本人たちにとっては全くもって笑いごとではない。レベル1でも覚醒すれば鬼手一族としての様々な活躍ができる。だが、覚醒しない状態では、基本的に彼らは無駄飯食らいと白眼視されてしまう傾向にある。(実際は未覚醒者でも行える仕事はしているが)

ともたれ、セツニキの本霊的には「人類救済」に対して強い衝動があり、アメリカで【屍鬼 レディーゾンビ】を転生術式*1で転生されたように、それが人類のためになるのなら、彼の衝動的にも解消できるというものだ。

セツニキは、ふむ、と顎を撫でながら色々と考え込んで知識を引き出す。

 

「外法の中の外法としては、復讐ニキが考案した『精霊との悪魔合体による悪魔人間化』*2があるが……こちらにしても最後の最後の手段だな。常に戦場な外国ならともかく、保護されている状態ならそこまで切羽詰まった状況でもないし。」

 

ふーむ、と顎を撫でながら考え込むセツニキに対して、愛宕ネキは不思議そうに問いかける。

 

「……ちなみにセツニキが使った転生術式は?」

 

「ありゃあコスパも手間も何もかも最悪な禁呪だからな……。人一人にかけるには到底釣り合わん。ましてや大人数ともなるとなぁ。」

 

そもそもあの術式はすでに悪魔化した存在を生まれ変わらせた術式である。そもそも覚醒していない未覚醒者には使えない。しかも無才の未覚醒者はセツニキの予想以上に多い。

これら大量の無才の未覚醒者を手早くどうにかする手段を考えなければならない。

 

「まずは……『半吸血鬼化』だな。吸血鬼に血を吸わせて『サーヴァント』『スレイブ』と呼ばれる存在にする。そして、その後で吸血鬼化を治療する。これにより吸血鬼の因子が体内にある程度残るから、これである程度覚醒できる……はずだ。多分。」

 

「……で?それで呼ばれたのが僕かい?まあ、いいんだけど……。」

 

そこで呼ばれたのが星祭の黒札の一人、『阿良々木ニキ』である。*3

彼は、メシア教に狩られかけたヴァンパイアに血を吸われてを助けて覚醒、屍鬼から人に戻る為にショタオジを頼り、修羅の道を進むという道を歩んできた黒札だ。そのため強力なムド系の力と吸血鬼としての能力を有しているが、それらを完全に使いこなすことができる。吸血衝動もほとんど存在しないが、吸血鬼としての能力も使用できるので、普通の人間をグール、あるいはサーヴァント、スレイブへと変貌させることもできる。

 

「でも一言言っておくけど、吸血鬼から血を吸われたらその吸血鬼に絶対服従するのがルールだからね。つまり、自分自身を全て吸血鬼に捧げるという意味でもある。治療されても吸血鬼としての因子が残っていてその影響で覚醒するのなら、当然親吸血鬼からの影響は強く生きるだろうね。」

 

「……つまり?」

 

「治療して覚醒しても、親吸血鬼が一声かければたちまち言いなり。何も命令しない善良な吸血鬼がいればいいけど、そんな都合のいい吸血鬼がいるかといえばそうそう……ねぇ?」

 

吸血鬼に吸われたものは、基本的に親吸血鬼に絶対服従になる。完全治療されていたらそんなことはないのだが、吸血鬼としての因子を残して覚醒しておいて、その部分もなくせるほど吸血鬼の繋がりは甘くなかった。

 

「うーん、月架手町に吸血鬼がいるらしいからその辺と相談してみるか……。」

 

ともあれ、半吸血鬼化・半グール化によっての治療→覚醒は比較的うまくはいったが、それでも吸血鬼としての因子のため、親吸血鬼の言いなりになる、という大きな欠点もあるが、それでも無才の人間が覚醒できる&大量の人間を即座に覚醒できるというのは大きい成功だと言えるだろう。

 

「他には『半獣人化』とかあるかな……。人間の肉体には獣の因子が存在する。それはどんな人間でも例外ではない。その因子を活性化して『半獣人ワードッグ』へと変貌させる。」

 

「獣人ワードッグ」は真女神転生Iで登場している獣人である。どんな無才の人間の中でも、進化の過程上獣としての因子は体内に保有している。その因子を覚醒させて『獣人ワードッグ』へと変貌させて、それを治療するというプランである。この因子を活性化させるためには、特殊な薬物投与や術式などが使用される。

……なお余談ではあるが、この実験にはわりと多くの黒札が協力したらしい。それは……。

 

「犬耳!!犬耳!!犬耳最高!!美少女でも美少年でも犬耳はいいものだ!!」

 

という黒札たちの欲求である。なお、獣人ワードッグのイラストを見て「ダメだこりゃ」と大抵踵を返す模様。(実験には手を貸す模様)

原作によると獣人ワードッグは、『オリアスの改造手術により生まれた獣人』らしいが、人を変身させるのではなく、特殊な薬により、未覚醒者たちの体内の獣因子を活性化させて、一種の『祖先帰り』に変化させる。

 

「一説によると「熊野那智秘文集」という本に中国から伝わってきた『人の中に眠る獣の因子を呼び起こす方法』があったらしい*4がそれに似てるかもな。」

 

ともあれ、こうして半獣人化させて半ば無理矢理覚醒されたはいいが、当然のことながら割と大きいデメリットも存在した。それは『本能の強化』である。半獣人になるということは、当然人間の理性を捨てて獣に祖先帰りするようなもの。そうなれば理性が弱くなっても当然といえる。半吸血鬼化といい、無才の人間を半ば無理矢理強化しているのだ。比較的デメリットが大きくても当然という感じである。そこらへんはもうどうしようもない。自分たちで何とかしてくれ、というのが本音である。

 

……なお協力している黒札たちの中には「半獣人ワーキャット作ろうぜ!性欲の強いワーキャットとかご褒美です!!ぜひ!!」などと鼻の下を伸ばして愛宕ネキたちに呆れられているのもあったとかないとか。

 


 

「他には、ちょっと試してみたいことがある。それは女神転生・覚醒編の『薬物によるトリップ』だ。」

 

女神転生覚醒編には覚醒の方法は大体九つある。

・薬物によるトリップ・悪魔の一時的憑依・悪魔に襲われたショック・魔力を秘めたアイテムに触れる・事故・祖先霊の出現・導師との出会い・前世の夢の暗示・修行を体験するである。

当然、彼らはこの中でも簡単な「薬物によるトリップ」「悪魔に襲われたショック」「魔力を秘めたアイテムに触れる」「導師との出会い」「修行を体験する」は行っているが、それでも覚醒はできなかった。

だが、セツニキはこの中の「薬物のトリップ」を多少いじってみてより効率よく覚醒できないか?と実験しようというのである。

 

「これは簡単に言えば『薬物によって脳の一部を活性化させて『変性意識状態』にさせて霊的高位存在を接触させる』……と俺は解釈している。そして、変性意識状態は理性的な前頭葉が静まり、脳の深部が活性化される状態……らしい。つまり、その部分を刺激してやればいいのではないか?と俺は解釈する。」

 

トリップ状態になって高位存在と対面する。いわゆる「神がかり状態」である。これは古今東西様々な巫女やシャーマンなどが行っている技術である。アメリカでもネイティブアメリカンのシャーマンが、マヤアステカでもシャーマンたちが行っている。セツニキ的にも神懸かり……神降ろしや憑き物など非常に慣れている技術だ。

 

「……まさか、脳を手術していじるとか?」

 

「まさか!……でも文明の利器は便利なんだぜ?『経頭蓋超音波刺激』と言ってな。低強度の超音波で脳の奥深く(深部)を局所的に刺激可能技術がある……らしい。この辺は救護ネキの分野だけどな。これに様々な薬物と組み合わせて、より効果的にトリップさせる。」

 

無才の人間たちに様々な幻覚剤や薬物を飲ませて、低強度の超音波で脳の奥深く(深部)を局所的に刺激させるという方法だ。……ほかにも脳の深部に電極を植え込んで刺激させる『脳深部刺激療法』も併用しようかと思ったが「脳手術とか頭メシアンかよ」と言われてしまうため、そちらは避けている。で、その結果としては……。

 

「うーん……。効果が不安定すぎるな……。普通の「薬物によるトリップ」より少しマシ程度か……。やっぱりアルコールでトリップするのが一番安全かな……。」

 


 

ともあれ、色々試してみた結果、「こういった手段はそれなりに大きいデメリットがある」となった。普通に修行を積んで普通に覚醒できるのならそれが一番いい、という非常に無難な理屈になったのである。

 

「まあ色々やってみたけど……やっぱり結論としては『無覚醒者にはデモニカ、覚醒したけど霊才の無い人間にはシキガミ移植』が一番コスパがいい感じか。わりとデメリットが重めなのは仕方ないってところか。普通に頑張って覚醒したほうがお得だから無才以外には非推奨かな。」

 

そのセツニキの言葉に、ですよねーと愛宕ネキも深く頷いた。

 


 

「……ところで、セツニキやたら手馴れてない?どこかでこういう実験したの?」

 

「まさか!気のせいだろ気のせい。」*5

*1
「【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録」様、術者の抱える業

*2
「なろう系な俺たち」様、復讐ヒャハーな俺たち

*3
「【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録」様、終生の親友 壱

*4
漫画「瀧夜叉姫 陰陽師絵草子」から。

*5
ちなみにLilyalaさんによると「本編で削ったんですが、多神連合やメシアンの神や悪魔や人間で実験した後に魂砕いたりしていた」との事。

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