巨人が可哀想になる物語   作:桜散る度に増える社畜

12 / 23
全ての命に感謝しいただきます

エレンside

 

つまんないな……

目の前の巨人を破裂させながら思う。

今思うとポウの修行の方がよほど辛かった。

今思い出しても気持ち悪くなる。

でも、今暇になると考えるのはアニ達だ。

特にライナーとベルトルト……

許せる相手じゃないのは頭で理解しているのに心の底では自分は負けないからどうでもいいと考えてしまう。

難しいよな……

俺はアルミンみたいに頭が良くないのに……

 

「どうすればいいのかなぁ……」

 

「珍しいね。 アンタが悩むなんて」

 

悩みの種が来た。

木の上でみんな休んでるのにこいつはわざわざ来た。

なんでか憎めない……

寧ろ好意すら抱いてる。

アニの顔を見る。

あぁ…… わかった。

こいつが嫌いになれない理由。

 

「アニ、後で話がある。 俺とお前二人きりで話したい」

 

「真剣な話なんだね。 わかった。 誰にもわからないように会いに行くよ」

 

伝えたいのはたった二つ。

それが何よりも大切で尊いものだとわかった。

だからこそ俺は……

ブレードを少し抜いて指を軽く切る。

そして木から飛び降りた。

閃光と共に俺の身体が巨大化する。

アルミンとミカサが肩に乗る。

これでいい。

 

『皆殺しと行こうか』

 

動きに歩法を使い巨人達に偽りの距離感を与えて一気に接近する。

巨人に近づいた所でアルミン達が散開する。

イメージだ。

巨人にも様々な奴がいる。

それなら俺の巨人の形が一つとは決まってないはずだ。

より俊敏になる為に四足歩行に……

より敵の居場所を知る為に耳を大きく……

より殺しやすくする為に爪と牙を鋭く……

犬だ。

その辺の犬とは違う。

殺す為だけの犬だ。

さぁ、狩りを始めよう。

 

side out

 

 

 

 

リヴァイside

 

目の前の光景をどう説明するべきなんだろう?

地獄絵図?

生温い。

殺戮だけがただ行われてる。

俺ですらあそこまではしない。

と言うよりなぜいきなり殺し始めてるんだ?

エルヴィンの野郎どうしろってんだよ……

あれは手綱を握れるような生易しい存在じゃないぞ。

 

「そういえばガスの確認がまだだった」

 

そう呟いて俺は目の前の光景から目をそらす事に決めた。

俺にはどうにも出来ない。

遠くから巨人が何かを追っているのも俺は知らない。

閃光が巨人を跡形もなく吹き飛ばしてるのも見ていない。

 

side out

 

 

 

 

一足先に目的地に着いた。

持ち物が人と違うからな。

8回ほどある場所と行き来して手に入れた戦利品。

若いのと年老いた奴を半々。

 

『モー』

 

牛である。

一度に三頭しか運べないから大変だった。

みんなきっと喜ぶぞー

四頭を血抜きする。

本当なら熟成させたいが時間が足りない。

まぁ、仕方ない。

肉を食ってこいつらを牛舎で飼えば食の改善になる。

野草もかっぱらって来たから野菜炒めにするかな。

塩もあるしー

米が恋しい……

無酵母パンも美味しいんだよ?

それでもやっぱり米が一番力になる。

・・・野菜炒めはやめてシチューにしよう。

パンに合わせるならシチューだ。

お手製圧力鍋を出して肉がトロトロになるまで煮込む。

馬の蹄の音が聞こえてきた。

巨人の足音とともに。

外を見て絶句した。

犬やん。

犬っていうか狼やん。

めっちゃ怖い。

 

「エレンはある程度巨人の姿を変えられるのか…… 刀剣解放みたいだな」

 

強くなる度に姿を変えるなら大虚じゃね?

あの状態だと中級大虚だな。

 

 

 

 

エレンside

 

この匂い。

いや、香りだな。

ポウが料理を作ってる。

楽しみだな。

荒んだ心を癒すのはやっぱり美味い料理だよ。

 

『牛? 牛がいるぞ‼︎』

 

視線が他の人より高いので見えた。

ポウが連れてきたんだろう。

 

「本当かい? それなら今日は肉を食べられるんだ」

 

アルミンは肉が大好きだ。

筋肉を作ってくれるかららしい。

だけど……

二十頭は居るけど……

残ったのは連れて帰るのかな?

目的地に近づいたので巨人から抜け出してクリスタに連れられた馬に乗る。

 

「サンキューな、クリスタ」

 

「気にしなくていいよ。 それにしても牛って……」

 

クリスタはどうやって連れてきたのかが気になってるんだろうけど、俺からしたらなんであれだけしか連れて来なかったんだろうと疑問に思ってる。

ポウが巨人化したら倍は連れて来れるのに……

あ、調査兵団の人達がいるからか。

確かに巨人化は気軽にできないな。

それにしても最近変だな。

見えないのに感じる事が多い。

死角から来た巨人を殺したし……

これが達人なのか?

久しぶりにポウと組手をしてみよう。

 

side out

 

 

 

 

リヴァイ班長から掃除を命令されたが飯の方が大事と言って断ったらオルオさんがまた食ってかかってきたので飯いらないの? と聞いたら素直に引き下がった。

大体牛を連れて来たんだから免除してくれよ。

そう言ったらエルヴィン団長がダッシュで謝りに来た。

お疲れ様です。

 

「さて、どんな具合かな?」

 

玉ねぎの代わりにネギ。

ジャガイモをたっぷり入れて作った俺特製のビーフシチュー。

小皿に入れて少し口に含んで口の中で転がしながら味わう。

肉は噛まなくてもとろけるくらい柔らかく、ネギとジャガイモの風味が口いっぱいに広がる。

ギリギリ合格かな?

玉ねぎと人参が手に入らないのが痛かった。

自作の生クリームをほんの少し隠し味に入れてまろやかにして完成。

フライパンと使ってないオタマで音を鳴らしてみんなを呼ぶ。

 

「飯だぞー」

 

アルミンが一番に来た。

掃除をし終わって暇だったらしい。

肉をちょっと多めにつけてやる。

巨人との戦闘は疲れるからな。

 

「ポウ……」

 

「どうした?」

 

「ポウが言えば僕達の同期はあのオルオ先輩を敵に回しても構わない。 だから、無理に我慢しなくてもいいんだよ?」

 

目を見開いて驚いた。

その話はエレン達には気付かれてないと思っていたから。

ぽりぽりと頭を掻きながら返事を考える。

適当な返事だと納得しなさそうだからな。

 

「俺には敵の方が遥かに多い。 壁の中の人間でも味方は極一部だ…… だからこそ誰かに言われても羽虫が文句を言ってるものだと思うって話はしたな? それに一々反応してたらきりがない」

 

「だから、僕達が君を救いたいんだ」

 

「気持ちだけ受け取っておくよ。 だが、それより早く強くなれ…… 俺よりな」

 

本音を語ったところでみんなが来た。

強くなれ……

俺に生きている実感をくれ。

戦いこそが俺の渇望。

雑魚ではつまらない強者との戦いこそが至高。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。