馬が平原を駆け抜ける。
その馬に引っ張られながら必死にリヴァイ兵長が走っている。
後ろには鞭を持ったアルミンが追いかける。
少しでもサボれば鞭が襲う。
ちなみに俺を化け物呼ばわりしたオルオさんはクリスタから破門を言い渡され絶望に染まっていた。
ザマァ。
「ほら、スピードが落ちてるよ」
「クソっ、悪魔かテメェ‼︎」
パァンといい音が鳴り響く。
凄い音だな。
それにしても……
エレンとアニの雰囲気が違う。
羨ましいな、妬ましいな、爆発しないかな。
兄貴はホモォだし……
味方が少ない。
しょんぼりしてるとクリスタが近づいてきた。
「アルミンは最初から飛ばしてるけど平気なの?」
「んー、危険だったら止めるよ。 そしてペトラさんは何の用?」
クリスタの後ろからペトラさんが近づいてきたので質問した。
ちなみにアニ達の巨人化が出来ることは兵長以上には極秘を条件に伝えた。
それと新しい修行を課した。
巨人化後の姿の変更。
エレンを師匠に必死に修行している。
気付かれる事はないと思うが警戒していて損は無い。
「お願いがあるの…… 私を弟子にして欲しい」
鴨が葱を背負ってきた。
また楽になるな。
顔を隠しながら新世界の神様みたいな笑いを浮かべる。
「大歓迎です‼︎」
次の瞬間にクリスタから延髄蹴りを決められた。
滅茶苦茶痛い。
抗議の目で見ると頬を膨らませて『私怒ってます』って無言の重圧がきた。
素直に謝った。
小動物には勝てんよ。
アルミンside
技術があるのに力が無い人間のいい例だな。
ポウが基礎が大事って言ったのがよく理解出来る。
確かに技だけなら体が持たないだろう。
3m級が近づいてきた。
ちょうど良い、リヴァイさんの目指すものを見せるかな。
「今から見せる戦い方がリヴァイさんが目指すものですからちゃんと見ていて下さいね」
「はぁ、はぁ、わかった」
疲れ切った表情で返事をするリヴァイさん。
大丈夫かな?
まだ準備運動なんだけど……
二足二手で仕留める。
一足目で巨人の目の前に飛び、一手目で両目を虚弾で潰す。
二足目で首の横に飛び、二手目で虚弾でうなじを吹き飛ばす。
安全第一の面倒な手順で殺す。
「面倒だけどね。 安全第一で殺しましたけど一番覚えやすいですよ」
「お前は人間だよな?」
失礼な言葉が飛んできたのでとりあえず鞭で引っ叩いた。
僕達四人ならこれは出来て当たり前なんだからリヴァイさんもちゃんとこの域まで来てもらわないと。
全く……
手間のかかる弟子だな。
師匠を化け物みたいに言うなんて……
「さっさと走る」
「クソがぁ‼︎」
side out
最短距離で壁に向かった。
そうするとベルトルトが蹴り壊した穴が無くなっていた。
疑問に思ったが無いものは仕方ないし、寧ろいい事だ。
馬を二頭づつ壁の向こうに運ぶ。
先に行ったエレン達が馬の面倒を見る。
響転が使える奴が少ないのが問題だな。
ある程度運んだ所で壁の上からアルミンが兵士達を纏めて引き上げる。
念には念を入れてガスは節約しないとな。
残った馬をさっさと運んで休みたいな。
馬を運び終えて一休みする時、壁の上から世界を見た。
生前は見る事の出来なかった巨大な木がまず目に入った。
その後に世界の広さを実感し恐怖した。
きっと居る。
アニ達より強い巨人が……
そしてそれが死闘になる。
まぁ、先の話だな。
「おーい」
「ん?」
下からエレンが呼んでるな。
もう休憩終わりか?
下に飛び降りるとリヴァイさん達が待っていた。
なんぞ?
「悪いが回復頼めるか? 足が限界でこっから先の戦いに参戦出来ない」
「構わないけど俺とアルミンの位置を変えたい。 アルミンのペースだと馬が先に倒れる」
「確かに馬も辛そうだな。 馬も回復させてから行くか」
その意見には賛成だな。
大半が馬が無いと無理があるからな。
さて、さっさと回復しちまうか。
結構限界なのが居るからな。
・・・馬が強くなったりしないよね?
それから30回程戦闘があったが特に被害は無い。
被害もないが成果もない。
これ以上の探索はガスを考えると無理だな。
一旦戻ったほうが良いな。
「エルヴィンさん」
「わかってる。 全軍帰還準備に入れ‼︎」
無理をすれば行けないことは無いが……
無理をして被害が出たら馬鹿らしい。
さて、帰るかな。
次は少数精鋭で挑むか。
先輩達には悪いが…… とりあえず疑問が解決するまで待機だな。
弟子がもっと増えればなぁ……
帰りには巨人が居なかったのでスムーズに壁までついた。
とりあえずばらけて実家の様子を見に行く事になった。
流石に壁の中に巨人の秘密は無いだろうから死んだ人達の供養が目的だが。
グリシャさん。
貴方は何を知っているのですか?
何故、エレンに巨人の力を渡したのですか?
偶然見かけたあの光景を思い出しながら馬と共に走る。
俺の相棒はクリスタとペトラさん。
この二人に関しては我流を教えるつもりだ。
そして二人共が静の気が合っているのも理由だ。
色々考えながら走るとエレンの家が見えてきた。
さて…… 久しぶりの家だな。
瓦礫を退けて地下に入りやすくする。
これでエレンが来るのを待てばいい。
「そういえばポウ。 リヴァイ兵長が貴方達クラスになるまでどれくらい?」
「そうだな。 基本を完全に出来るようになって基礎筋力をつけるから…… ざっと三ヶ月かな」
クリスタの顔が引きつる。
そりゃそうだろ。
一番弱いエレンでも素手で巨人を嬲り殺せる。
それがたった三ヶ月……
成長が早いなんてレベルじゃないが理由がある。
それは実践の経験だ。
それがあるから早い。
まぁ、それなりの無茶はするが寧ろ技をやる時はエレン達の倍くらい辛い目にあうんじゃないか?
それを理解してるなら構わないが知らないなら体験したほうが早いな。
満面の笑みで問いかける。
「クリスタ達もやる?」
「やる」
「やらせて」
予想外です。
てっきり断ると思ったのに……
まぁ、早く強くなる事に越したことは無いな。
俺も楽だし。
そして崩れた家を椅子にエレンを待った。
エレンside
コニーに付き合ったら動けない巨人を見つけた。
その巨人はガリガリで目だけが俺達を見ていた。
気味が悪い以前に疑問が浮かんだ。
何故ここまで痩せ衰えたのか?
それが疑問だった。
コニーを見た瞬間に巨人は聞き取り難い言葉で確かに言った。
『オアエリ』と……
あれは何だったんだろう?
あれも人が操る巨人だったのか?
わからない事が増えた。
これは重要機密で報告だな。
それは後にしてもまずはコニーを慰めないとな。
「大丈夫かコニー?」
「おかえりってなんだよ…… 俺の顔見てだぞ…… それじゃあ、俺の家族は……」
「考えすぎんなチビ」
ユミルが険しい表情でコニーを諌めた。
しかし、それは逆効果だった。
「うるせぇ‼︎ お前に俺の気持ちがわかんのかブス‼︎」
「わかんねぇな。 抱えてるものなんてな吐き出さなきゃわかんねぇよ」
正論だった。
正論だが今突き放したら……
「そうだよな‼︎ 強い奴に俺の気持ちなんて吐き出しても伝わんねぇよ‼︎」
「強いか…… 言葉に気を付けろよ。 強くさせて貰ったんだ。 自分で頼んで辛い修行をしたんだ。 参加しなくて弱い自分を棚に上げてものを言うな」
辛辣だな。
確かにコニーはあまり修行に参加してなかった。
言い過ぎだな。
止めるか。
「二人共止めろ」
動の気を解放しながら止める。
二人共力量差がわかってるので直ぐに言い争いをやめた。
まったく……
喧嘩してる暇なんて無いのにな。
「二人共、確かにこの状況は異常だ。 だからこそ冷静にならないと」
ポウに口酸っぱく言われた。
大事な所でこそ冷静になり、見極めろと……
だから、俺は混乱しそうになっても直ぐに冷静になれた。
確かに冷静になるのは大切だな。
この状況はポウかアルミンに相談だな。
二人に言ってポウと合流する事になった。
そういえばこの鍵を使うチャンスだな。