アルミンの報告を聞いて溜息を吐いた。
よりにもよってオルオさんかよ……
あの人絶対にロクなことしないだろ(確信)
面倒が増えた。
「出来るだけ早く戻ろう」
この言葉でアルミンは失策に気付いたんだろう。
オルオさんは俺に敵意以上のナニカを持っている。
それだけは確実だった。
「僕が迂闊だった。 どうするポウ? もしも人類が敵に回ったら……」
「そん時には俺は外で巨人を調べる。 わからなかったら皆殺しだ」
面倒事は無くならないもんだな。
とりあえず余計な真似をしたらちょいとお仕置きが必要だな。
「走れ、答えは街に戻ればわかる」
「そうだね、何をするにもまずは情報だよね」
「リヴァイさんは俺とコンビな」
「神は死んだ」
絶望に染まるリヴァイさんと真っ白に燃え尽きてるエルヴィンさん。
無言で特殊配合した増毛剤を渡すとブワッと泣き始めた。
「リヴァイは色々迷惑かけるだろうが頼んだ」
「はい、怪我をしたらちゃんと
「ちょっと待て、字がおかしい」
「それはありがたい。 君みたいな実力者が増えるのはこちらにとっても利益になるからね。 存分にやってくれ」
「エルヴィン⁉︎」
更なる絶望がリヴァイさんを襲う‼︎
頭を掻き毟りながら今後を考えて勢いよく髪が抜ける。
増毛剤お代わりかな?
もう少しで壁が見える位置まで来ると馬が放置されていた。
血の跡や戦闘した様子が無いからオルオさん達は無事に入ったのかな?
馬を落ち着かせて隊を止める。
一応アルミンと奇行種には話をして置かないとな。
最悪が現実になるかもしれん。
「アルミンとハンジさん、ちょっと良いか?」
「どうしたんだい?」
「うん? 何かな?」
最悪の場合を告げ、その時にやって欲しい事を伝える。
内部調査と牛を内地に連れて行かれない様にする事。
最後にウォール教を調べてもらう。
さて、外の秘密も知りたいが先に内部の秘密だな。
「じゃあ先を急ごう」
奇行種の号令と共に進み始める。
そして門に近づいて絶句した。
門に巨人が殺到している。
破壊はされてないがいつ壁を乗り越えるかわからないほどの巨人の山。
ありえない光景だ。
頭がいるのか?
しかも、俺達の情報を持ってる奴が……
虚閃が封じられた。
アルミン達にとっては少し面倒だろう。
それにしても他の兵士は何をしてるんだ?
この状況で縮こまってんのか?
面倒だが仕方ない。
これも修行にしちまうか。
「アルミン、エレン、ミカサはフォローに回れ、残りの弟子は俺と共に殲滅だ」
「了解」
「虚閃が使えないから仕方ないか」
「無様な戦いをしたら修行を厳しくしてやる」
アルミンやめてやれよ……
これから戦いなのに士気を下げるのは……
同期達とリヴァイさんが飛び出すのを見て俺達も走り出した。
「全員聞けぇ‼︎ 一番多く殺した者には俺から褒美をやる‼︎ 一匹でも多く殺せ‼︎」
士気がみるみる内に上がっていき戦国時代の合戦の様に雄叫びをあげながら突っ込んで行く弟子達。
んー、兵士らしいな。
巨人がこちらに気付き、突っ込んで来る。
ブレードが一振りされる度に巨人の上半身が消える。
剣圧で吹き飛ばす。
初歩だな。
「褒美は俺のものだぁ‼︎」
「させないよ‼︎」
「殺す、殺す、殺す、殺すぅぅ‼︎」
「吹き飛ばす、バラバラ、殲滅」
弟子はやっぱり可愛いなぁ……
アルミン達が仕留め切れなかった巨人を殲滅してるのが目に入らなかったらね……
戦闘時間は一時間。
トップはクリスタ嬢ちゃんでした。
死亡数は0。
千を超えた巨人を駆逐して門を潜ると憲兵団と駐屯兵団が囲んで来た。
オルオさんが先に帰った事で危惧していたが……
捉えに来たか。
「ポウ、貴様には逮捕状が出ている」
「逮捕状? 解剖準備の間違いだろ?」
「抵抗するな。 これが王の意思だ」
「ふん、動かない王様の命令に従う義理はねぇな」
睨み合う。
こちらの準備が出来るまであと少し。
許せよクリスタ嬢ちゃん。
褒美はまた今度だ。
「ヤルかい? 雑魚共」
完全な臨戦態勢。
周りを確認してどこにトップがいるのかを確認する。
その時、一人が他の兵士に隠れる様に下がっていった。
あれか。
「抵抗すれば家族が死ぬぞ」
「そういや、質問の一つもせずにプチるのは可哀想だな?」
「何を言っている?」
「さて質問です…… 足りない人員は誰でしょう?」
兵士が周りを確認するとアルミンとクリスタ嬢ちゃんがいない事に気づく。
顔を歪めてブレードを抜き放つ。
「貴様ぁぁ‼︎」
「ハッ、やっと気付いたかマヌケ‼︎」
ブレードを振り被るのが見えるが避ける必要がない。
そのまま身体で受け止めた。
金属音に似た音が響いた。
「情報をちゃんと確認してないな? 拷問ですら傷付かなかった俺にブレードが効くと思ってんのか⁉︎」
「バケモノめ……」
「バケモノ上等。 生きる為なら喜んでバケモノになってやろう‼︎」
ちなみにアルミンとクリスタ嬢ちゃんはスピードがトップクラスなのでカルラさんを助けに行ってもらった。
仁王立ちしながら周りを睨み付ける。
憲兵の一人が信号弾を放つが遅い。
既に救出は済んでいる。
オルオさんがあることないこと言ってるのが予想出来たから直ぐに指示出来た。
アルミンお手製の信号弾が上がった事を確認してから俺は門の外に逃げた。
アルミンside
さてエレンのお母さんとお爺ちゃんは助けたからみんなの所に帰らないとね。
睨み倒しで気絶する雑魚には用は無いしね。
「変わったのぅ、アルミンや」
「変わらなきゃポウを支えられないんだよ」
「ポウか…… 彼は誰かに頼るかの?」
以前クリスタ達と話していた事を思い出した。
あの時は明確な答えが得られないままお開きになった食堂での一幕。
ポウが誰も恨まないのは何故か?
「ポウについてわかるの?」
「あそこまで不器用な愛情は見た事がない。 いや、我儘な愛情だな」
我儘な愛情?
お爺ちゃんは何を言ってるんだ?
ポウは僕達の為に戦い、育ててくれる。
それが我儘?
「あやつは楽をしたいんじゃよ。 既に心が疲れ切っておる」
「心が?」
確かに僕達はポウに頼り過ぎてたかも知れない。
だから疲れ切ってしまったのか……
「まぁ、子供の頃にあった違和感の正体がわかったわい。 あやつは死人じゃ」
「死人ってポウは生きているじゃないか」
「生きておるが、流されておる。 あるがままを受け入れ過ぎておる。 それでは生きているとは言えん。 なんせ自分で環境を変えようとしておらんのだから」
確かにポウは周りを……
評価を変えようとしていない。
言われたら自分が不利にならない限りは断らない。
気にしてないと言っていたが本当なのか?
本当にポウは強者なのか?
強者が弱者からの罵倒に傷つかないのか?
『面白い事を考えるな』
へ?
『反応したって事は声がもう聞こえてるのか…… 充分バケモノの域に入ってるな』
誰だ⁉︎
『儂の名前は◾︎◾︎◾︎だ』
聞こえない。
もう一度言ってくれ。
『まぁ、それは後々わかるだろう。 それより儂の産みの親の事だろう? 奴については普通に聞いた方が良いぞ。 戦闘になるだろうが……』
どうして?
ポウとはいずれ戦うけど話を聞いたら戦闘になるの?
『奴の秘密は他人には絶対にわからない。 そしてそれを奴は語りたくはないだろう』
お前は知ってるの?
『まぁな。 伊達に奴から生まれた訳ではない…… だが、絶対に儂の口からは語らん』
それだけ普通じゃない話なんだね?
『ああ、これだけは儂は折られようが語らん。 語るのは儂を使うにあたっての基礎だけだ』
わかった。
強くなる為に協力してもらうよ。
『幸い敵は腐る程いる。 休まず戦え…… 儂を使い続けろ』
うん。
夢もあるから戦い続けるよ。
「アルミンどうした? 急に黙り込んで」
「お爺ちゃん。 僕は強くなる…… ポウが楽になるくらい」
「そうか…… 戦う道を選んだか。 なら、無様な戦いはしてはならんぞ」
「もちろん‼︎」
全てを聞くからね。
待っててポウ……