抜きゲーみたいな島に住んでいた狂犬はヒロアカ主人公に憑依したらどうすればいいんだ? 作:神剣狩刃
1-01 土口精:オリジン
……視界が滲んでいる。そして地面に向いている。
???
「君はヒーローになれる。」
渋い誰かの声に驚いて見上げる。金髪の鶏ガラ碧眼男がいた。俺は立ち上がって尋ねようとした。しかし、自身の体への違和感が発言を止めた。
明らかに身長が低い。十数センチ縮んでいる。そして体に筋肉がない。黒い学生服を着ている。明らかに俺の学園の服じゃない。
???
「君なら私の"力"受け継ぐに値」
精
「すまねえ……ここはどこであんたは誰で……俺は誰だ?」
???
「……え?」
鶏ガラ碧眼が色々と事情を説明してくれた。何でもコイツは敵に襲われたクラスメイトを助けるために無茶をした。それに惚れた鶏ガラ碧眼が"個性"を渡そうとしていたらしい。
精
「なるほど……サンキュー、鶏ガラ碧眼。」
オールマイト
「鶏ガラ碧眼!? 私にはオールマイトという名前があるんだよ!?」
オールマイト……すごいヒーローの名前だったような気がする。ということは……この世界に覚えがある。一度飛ばされたことがある。
精
「なあ、鶏ガラ、西村英堵か相心創ってやつ知ってるか?
ヘロスとか、ハンドレットって呼ばれてるかもしれないが……」
鶏ガラ
「と、鶏ガラは止めてほしいな……
だが……うーん……そのような人物やヒーローは知らないなあ……」
どうやら二人がいる世界ではないらしい。別の平行世界か。
精
「じゃあマイト、今度は俺が知ってることに関して説明するぜ。」
マイト
「ま、マイト……まあ、それぐらいなら呼ばれたことあるからいいか……」
俺の名前は土口精(とぐちせい)。ちょっと過激な島に住んでいる学生だ。訳あってこの世界の平行世界で大きな事件に関わった。それで平行世界から元の世界に戻ろうとしたら、こいつに憑依してしまった。
マイト
「……信じられない話だな……だが、人の変わりようから言って信じるしかないな……」
精
「まあ、"個性"はもらっておきますよ。面白そうだし」
マイト
「いや、面白半分で渡せるものじゃないんだよ……」
マイトの"個性"『
精
「きついトレーニングならよくやってましたんで、大丈夫だな。」
マイト
「いや……雄英志望だろ? 残り10ヵ月で器を完成させる必要がある」
とりあえず、後日マイトと会う約束をし、この場は解散となった。さて、家に帰って……
精
「家……どこだ?」
知るわけもない。この世界に関してはぼんやりとしか知らない。まして、どこのどいつかも分からないコイツの家なんか本当に知らない。コイツのスマホを取り出す。
精
「……あぶねえ、スマホのロックが顔認証で助かった。
……ひでえ待ち受け……弩級のマイトファンかよ……
とりあえず、プロフィールを見て……こいつの名前は『緑谷出久』か……
連絡先から家族に電話だ。家族には事情説明した方がいいだろ。」
母さんと書いてある連絡先に電話をす
???
「出久!!! 大丈夫!?!?!? ニュース見」
思わず電話を切ってしまった。鼓膜がジンジンする。即座に電話がかかってくる。
???
「お母さん本当に心配で心配で!!!」
精
「あー……だから迎えに来てくれない? 場所は……」
意外と近いらしく、母さんと思われる人物は徒歩で来てくれた。若干年を感じるポチャッとした体は、俺の島のやばいアイツを予感させた。
母さん
「出久ううう!!! 無事でよかったあああ!!!」
精
「うおおお!? すげえ涙!?」
辺りを水浸しにしながら母さん(推定)がやってきた。この人もヤバい人か? とりあえず、受け止めて、頭を撫でて、宥める。
精
「大丈夫だよ母さん……マ、オールマイトが助けてくれたから。それより……早く家に帰りたいな。話したいことがあるから。」
とりあえずここで事実を明らかにしたら、この人は脱水で死んでしまうだろう。なんとか家に帰って、早速真実を話す。
母さん
「……嘘でしょ……出久、敵に襲われた後遺症かなんかじゃ」
精
「『俺』は出久じゃない。……信じがたいとは思うがな。」
その一言で母さんは悟ったようだ。
精
「だが、必ず母さんの出久を取り戻す。それだけは信じてくれ。」
家族とよく似た別人と受け入れるのはかなり難しい。
だからこそ、連れ戻さなければいけない。
母さん
「……分かりました。どなたかは存じませんが、出久を取り戻してください。」
出久はいい母さんを持っているな。ヒーローを目指す理由がよくわかった。とりあえず、周りの人間に別人だと悟られないよう、出久の練習をした。
二日後、マイトと一緒に海浜公園で訓練をする。
精
「うだらあ!!!」
オールマイト
「オイオイマジかよ……その体で冷蔵庫を引っ張れるのかよ……!?」
マイトの見立てでは、ちょっとしか引っ張れないと思っていたらしい。そこで俺は自身の自信の根性論を放つ。
精
「体は心に引っ張られるんです。元のコイツはかなりの軟弱者らしいですが……俺は戦闘部隊で地獄を見てきましたから。中にはドアノブをねじり切るゴリラがいましたから。」
オールマイト
「君の故郷はどんなところなんだい……?」
精
「あまりにも危険すぎて、表舞台から消されました。」
オールマイト
「とんでもないところ出身だね!?」
嘘は言っていない。そのせいで俺は監獄に行ってきたんだから。マイトから『目指せ合格アメリカンドリームプラン』を渡される。マイト曰く超ハードらしいが……
精
「ヒーローってこんなもんなんですね。俺の部隊の方がよっぽど厳しいや」
オールマイト
「……What?」
精
「7ヵ月だ。7ヵ月でこのプランを仕上げてやる」
オールマイト
「おいおい、冗談はほどほどに」
精
「というわけで7か月経ちました」
オールマイト
「本当に仕上げやがった!? それも、想像以上に!?」
マイトが驚いて俺の体をベタベタ触る。キッショ、なんでわからないんだよ? 極限まで鍛え上げた体には鬼が宿っているというのに。ちなみに背中に鬼の顔ができるわけじゃない。イメージするなら名演の三連覇を阻んだ黒い刺客のほうだ。
精
「あと3か月で追い込みかけます。前日に"個性"を貰いますからね。」
オールマイト
「そ、そうだね……万全の体で渡した方が」
精
「というわけで3か月かけて仕上げました。"個性"ください」
オールマイト
「もはや何も言えないよ……ほら、食べるといい」
オールマイトが自身の髪を一本抜いて俺に渡す。
オールマイト
「別にDNAを取り込めるなら何でもいいんだけどさ!」
精
「よかった、『自主規制』しなきゃ受け渡せないとかじゃなくて……」
オールマイト
「何を想像していたんだい君は!?」
精
「ああ、すみません。故郷だったらこれぐらいするかなって」
オールマイト
「君の故郷が知りたいよ!? 本当に日本なんだよね!?」
俺の故郷は恐ろしいことに日本だ。常夏の楽園だが、異常なディストピアでもあった。多少はましになったが、まだまだ改善するところも多い。
……そうだな、本来の出久を連れ戻すためにも、故郷に戻るためにもいろいろ頑張らないとな。
土口君は故郷でも上澄みでした。なので、トレーニングはお茶の子さいさいです。
多機能フォームってすごいですね。感動しました。頑張って使いこなして見せます。