抜きゲーみたいな島に住んでいた狂犬はヒロアカ主人公に憑依したらどうすればいいんだ?   作:神剣狩刃

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8-12 ドスケベの園より沢山のアイを込めてやってきた狂犬

 轟

「俺に先にいかせてくれ。緑谷には色々と世話になったから全力でぶつかりてえ」

 爆豪

「いいぜ。俺はもうちっと汗を溜めておきてェ」

 

 談合が無事に終わり轟が先に来ることになった。凛としていながらも心に熱い炎を宿したイケメンがこちらに向かってくる。俺が女だったら股を開いてでもアプローチするだろう。

 

 精

「お前との馴れ初めは体育祭だったな。あの時のお前はなんとも危なっかしくて……アレはアレでかっこよかったな」

 轟

「あの時の俺は親父や血筋に囚われていた……そんな俺を助けてくれたのは緑谷、お前だったな。いや、俺だけじゃなくて轟家まで助けてくれた……感謝してもし足りねぇ」

 精

「俺としては家族持ちだから放っておけなかっただけだったりするんだけどな。それでも感謝しているってんなら……今回も本気でぶつかってきてくれよロゼショット!」

 

 俺はOFAS85%を、轟は赫灼熱拳"燐"を発動して臨戦態勢をとる。俺の高い身体能力を維持し続けるためには炎による熱傷よりも、氷による体温低下を警戒しないといけない。ならば轟の炎を出す方である左側に立って────

 

 轟

「"冷炎白刃"」

 

 轟の左から冷たい炎の刃が振り抜かれた。寸での所で後ろに回避できたが、かいた冷や汗が凍って地面に落ちて砕けた。

 

 精

「……俺の故郷に来たらいい冷房係になれるぜ? 忘れがちだが常夏の楽園なんだ」

 轟

「軽口叩く余裕はあるみてえだな」

 

 口撃も立派な戦法だぜと微笑んでさらに後ろに────足が動かない。轟はすでに足元を凍らせて俺の機動力を奪っていたようだ。両手の指を地面に向けて氷を砕き、"浮遊"で咄嗟に地面から離れる。

 

 精

「地上戦は良くないってことか?」

 轟

「空中にも逃げ場はねえぞ────"膨冷熱波"」

 

 轟が左手を空に向けて炎を出す────途端にすさまじい爆発が起こる。冷えた空気を加熱させて起こす急激な空気の膨張だ。体育祭の時よりも規模が大きく、一瞬で視界が封じられ、"危機感知"が全方位から鳴って役に立たない。

 

 精

「範囲攻撃に関しては俺以上かもな……! っとお!?」

 

 頬を鋭く冷たい何かが掠める。咄嗟に掴んで確かめたがただの氷柱だった。ならば上方を一掃して────違うこれはブラフだ。地面を殴ると同時に巨大な氷壁がせり上がってきた。上の氷柱に貫かれて体中にグローリーホールが開く自体は防げたが、周囲が氷で囲まれて状況が確認できなくなった。本能的に恐怖を覚え全身を黒鞭で覆う。その直後に背中から凄まじい熱を受ける。

 

 轟

「赫灼熱拳"噴流熾炎"」

 精

「俺はサウナ―だがよお! 普通熱してから冷やすもんじゃねえか!?」

 

 このまま戦えば整うこともできるかもしれないが、下手をすれば自律神経の急激な変動から体調不良をきたすかもしれない。長期戦は危険だ、一気に決めるしかない。

 

 精

「"精爛島(ヒートアイランド)"」

 

 全身の黒鞭を擦り合わせて全身に熱を与え発火させる。コスチュームは当然体も燃えるが、体は"超再生"で治りながら燃料になり続ける。炎に"変速・一速"を付与させて消えないように留めれば完成だ。

 

 精

「これで氷対策はばっちりだぜ!」

 轟

「氷だけ対策すればいいってもんじゃねえだろ」

 精

「低体温症はどうにもならないが、暑いのは根性で耐えるさ!」

 

 燃える体で氷を溶かしながら轟に近接格闘を挑む。轟の"個性"が強いのは言うまでもないことだが、身体能力は常識的に鍛えた範疇でしかない。俺には鍛えヌいてきた体に、体に合うように変えてきた技術がある。ついに轟が防御や回避を選んできて、受けの選択肢を取り始めてきた。

 

 轟

「遠距離戦で封殺したかったが……やっぱこうなっちまうか……!」

 精

「ほらほらどうした轟! 俺のSQCと燃える鞭を味わいな!」

 轟

「くっ! "牙天氷壁"!」

 

 轟が氷壁で自身を打ち上げて上空に逃げる。それを見逃す様な俺ではない。即座に跳んで追い抜き、轟の頭上を取って右手を構える。

 

 精

「空中戦はお茶子ちゃん仕込みでな! まあ仕込むのは俺の方なんだがね!」

 轟

「ッ────」

 精

「100%アイランドインパクト!!!」

 轟

「"大氷海嘯"!!!」

 

 全力の一撃と全てを凍てつかせる冷気がぶつかる。轟が背中から地面に激突し、俺の右半身がパキパキと音を立てて砕け、吹き出す血が凍った。"超再生"ですぐに再生したからよかったものの、普通の人間だったらシャーベットになっていてもおかしくない。体がうごかなくなる前に地面に降りて轟に歩み寄る。

 

 精

「ひ、冷え切って痛覚がマヒしててよかったぜ……温めてくれないか?」

 轟

「俺は結構痛かったぞ……後が控えているからな、すぐに温めてやる」

 

 轟がケホケホせき込むながら立ち上がって炎を纏って抱きしめてくれた。熱い抱擁とはよく言うがこういう事ではないと思う。しかしイケメンが裸の俺に抱き着いて温めてくれているという事実に、俺は妙な高揚感を覚えてしまう。

 

 精

「どうしよう1-Aガールズ! 俺ロゼショットのこと好きになっちまう!」

 轟

「男に浮気したら殺されちまうんじゃねえか?」

 精

「好きになる事は否定しないのね! 誰か俺かロゼショットを女の子にしてくれえ!」

 

 俺の叫び空しく女の子になる事は叶わなかったが、轟は俺の体がまともに動くようになるまで抱きしめてくれた。

 

 

 色々な意味でヒートアップしていく中、ついにアイツと戦う時がやってきた。

 

 爆豪

「最後は俺だ」

 

 爆豪が俺の前に来た。前より落ち着いてはいるが、その中にはち切れんばかりの敵対心と向上心を秘めている。

 

 精

「入学当初からぶつかり続けてきたから分かるが……この学校で二番目に強いのはお前だよ」

 爆豪

「ここでてめェを超えて一番になるわバカ」

 精

「……あり得るかもな。"個性"、戦闘のセンス、何より心の強さは俺以上だ」

 爆豪

「……ハッ、そいつはどーも」

 精

「だからこそ────本気でぶつかって超えたいって思っているのかもな」

 

 傍若無人に振舞い、際限のない剥き出しの闘争心、それに伴って伸び続ける実力────かつてのギラギラしていた頃の俺を思い出す。今の俺は昔より強くなっているだろうが、それでも若い頃の自分に勝ちたいと思わずにはいられない。

 

 精

「"不俱戴天"じゃなくて、ただ土口精としてお前を倒したい……口上言わせてくれねえか?」

 爆豪

「それでてめェが満足すんならいいぜ」

 

 爆豪からも許可をもらったので一つ深呼吸をして目を見開く。

 

 精

「切って結ぶ蒼碧の檻を打ち破れ!!! 睦言に狂乱する悪鬼を噛み砕け!!! 礼賛以って三途の川を渡り世界を糺せ!!! 精卵交わりて生まれる命の限りを尽くせ!!! 俺は土口精!!! 異世界だろうが『金色の狂犬』だ!!!」

 爆豪

「俺は!!! 大!!! 爆!!! 殺!!! 神!!! ダイナマイトだ!!! てめェをぶっ潰してやる!!!」

 

 名乗り上げるや否や、お互いの右拳が爆発を起こしながらかち合う。この程度で怯んでいては勝ち目がないのですかさず左の拳を叩き込む。爆豪も同じことを考えていたらしく、また爆発を伴って拳が正面衝突する。

 

 精

「いってぇなこの爆竹野郎! 引退後は手作りポン菓子屋でもやってろ!」

 爆豪

「まずはてめェに吐くまで喰らわせてやるよ! "爆破"をなあ!」

 

 爆豪は非情にクレバーな男だ。拳がぶつかる寸前に爆発を起こし、俺の拳の威力を抑えながら自分の拳を叩き込んでいる。しかも俺に対して一切の遠慮をしないおかげで、俺の拳はすでに数回砕けている。対し爆豪の拳は常日頃から爆破され続けているからか頑丈で全く傷ついていない。予想に反して近接戦は不利かもしれない、100%の力で両手の指を開いて一気に後ろに飛び退く。

 

 精

「"爆破"の広範囲に対抗するにはこれしかねえな! 反動を気にしない全力ブッパだ!」

 

 緩めることなく全力で連続で指を爆豪に向けて弾く。

 

 爆豪

「弾く動作が必要だから余裕で見えるぜ! 相変わらずてめェは一手おっせェんだよ!」

 

 爆豪は邪悪な笑いを浮かべながら衝撃波を回避していく。上下左右に停止を交えて読みずらい動きではあるが、治安管理委員会委員長兼特殊戦闘部リーダーである俺にそんな甘えは許されない。"ωセンス"を活用してさらに深く読む。

 

 精

「一手遅いなら一手先を読めばいい……戦況を読むのは昔から得意なんでな」

 爆豪

「の割には度々ろくでもない目に────がっ!?」

 

 爆豪に衝撃波が直撃した。そこから連続で攻撃を当て続け爆豪の体勢を崩す。しかしここで踏み込むのは軽率と言わざるを得ない。このまま衝撃波で消耗を狙って────衝撃波を貫いて爆破が俺を襲った。

 

 爆豪

「俺の汗は"爆破"と普通で二種類ある。普通の汗で"爆破"の汗をコーティングすれば衝撃波から守ることが出来る……近距離も遠距離も通用しねェとなったらどうするンだ?」

 

 "ωセンス"中に喰らったので五感に来るダメージは大きいが、俺の戦法が通じなくなりつつある現実による精神へのダメージも大きい。爆豪との戦闘は時間をかければかけるほどこちらの負担が大きくなる。かと言って"変速"で短期決着を仕掛けた所で、5分間を凌がれたら反動という大きな不利を背負いかねない。しかし、出し惜しみをしたところでコイツに勝てるはずがない。

 

 精

「……やるだけやってみるか────"変速・五速"」

 

 

 つま先を上げ"変速"を発動し、"金色領域"を張り巡らせる。

 

 精

「ここでどうにかしてやる」

 爆豪

「どうにかしてみろよ」

 

 人間では反応できるはずのない速度で攻撃する。流石の爆豪も縮こまって防御に徹するしかなくなるが、防御できてしまっている。いや、防御していると同時に汗を溜めている。このまま凌がれたら反撃で痛手を喰らいかねない、"黒鞭"をうねり蠢かせ爆豪の掌を無理やり開かせる。その手の中で汗がキラリキラリと輝いていた。

 

 精

「一杯溜まってんなあ! 一回出してスッキリしようぜ!?」

 爆豪

「気色悪くまさぐって来るじゃねェ! 趣味が透けて見えるぞ!」

 

 開かせた掌を鞭で叩いて強制的に爆発させる。これでクラスターのチャージをリセットできた。そのまま手を開かせ、チャージと防御をさせないまま攻め込む。

 

 爆豪

「しゃらくせェんだよ! っだらあ!」

 

 爆音を轟かせながら爆豪が跳び上がった。空中戦なら機があると踏んだか────上空で爆破を利用して回転を始めた。

 

 精

「"ハウザーインパクト"か!」

 爆豪

「分かったところで遅えんだよ!」

 

 そのまま回転しながら爆豪が投下される。迎え撃つべく両手に黒鞭を巻いて即席ガントレットを作る。

 

 爆豪

「"ハウザーインパクト"────」

 精

「アーマードアイランドスマッシュ!」

 

 ハウザーインパクトを両手で受け止めた────

 

 爆豪

「"デュミナスクラスター"」

 次の瞬間、目の前で煌めく爆発が起こった。そのまま見事に吹き飛ばされてしまう。起き上がって爆豪を見たら上裸になっていて、俺に勝るとも劣らないバキバキの体が露になっていた。

 

 

 爆豪

「てめェのコスチュームすら武器にする戦いから思いついた技だ。コスチュームがダメになるが一発限りで瞬間的にクラスターを打てる……不意打ちにはちょうどいい」

 精

「なる……ほど……お前も……なりふり構って……られないと……」

 

 クラスターの直撃と"変速"の反動も加わり、ぐらつく視界と意識の中で爆豪の勝利への執着を垣間見た。ならばこちらも奥の手を出すとしよう。

 

 精

「お前がそこまでするなら出さざるを得ないなぁ……とっておき」

 爆豪

「まだ何か隠してンのか? これが最後なんだから早く出せや」

 精

「これを使うにはちょっと仕込みが必要なんでね……1-Aガールズ! 後で盛大にリクエストスイーツとマッサージするから耳を塞いでくれ!」

 

 俺の頼みと誘惑によって透ちゃんも含め、皆で耳を塞いでくれた。これなら俺の本当を打ち明けられる。俺は大きく息を吸い込んで、心の中を大きく叫んだ。

 

 精

()()()()()()()()()!!!!!!」

 

 礼への想いが拍動と血流にのって全身を駆け巡る。心臓が、魂が、原点(オリジン)が燃え上がる。次第に体が赤熱し怒張し、まるで全身が勃起したかのように硬くなる。

 

 精

"漢勃ち"────さぁ、ファイナルラウンドだぜ」

 

 AFOS100%と漢勃ちのダブルスタンダードで爆豪に迫る。

 

 爆豪

「何を言うかと思えば惚気かよエロ坊主!」

 

 クラスターの直撃を喰らうが、全く怯むことなく爆豪に詰め寄る。流石の爆豪も驚きを隠せず身を退いて距離を取ろうとした。

 

 爆豪

「顔面直撃だぞ!?」

 精

「顔で何か受けるのは色々得意なんでね! これで"爆破"攻略完了だぜ!」

 爆豪

「これでも言えるか!?」

 

 爆豪にしては珍しく蹴りを放ってきたが、左手で余裕を持って受け止める。

 

 精

「手数が足りないから足を足しましたってか!?」

 爆豪

「"デュミナスクラスター"」

 

 すでに左手には爆豪の脚はなく、コスチュームだけが俺の手に残っていた。それが爆発を起こし俺の左手を────軽く跳ね除けただけだった。爆豪は分かりやすく歯ぎしりをしながら無理矢理笑った。

 

 爆豪

「……へっ、面白れェ、それだったら俺の全力をぶつけても耐えられそうだな?」

 

 コスチュームを失った爆豪の体は冷えていく一方で、ここから先はピークを過ぎて出力も落ちていくはずだ。ならばここでお互いの全力をぶつけての決着が美しいだろう。俺は右拳でストレートを繰り返し放って"発勁"を溜める。

 

 精

「先に言っとくが……お前の拳がどうなっても慰謝料しか責任取らねえぞ」

 爆豪

「ンなもん耐えられなかった俺の責任だ。てめェが気にかけるモンじゃねェ」

 

 爆豪の右手から橙色の輝きがバチバチと鳴りながら溢れ出る。お互いに準備が整った。後は後先を考えずにありったけを出し切るだけだ。爆豪が回転しながら飛び込んで来る。

 

 爆豪

「"ハウザーインパクトクラスター"!!!!!!」

 精

「191945458585%アイランドスマッシュ!!!!!!」

 

 衝撃波と光と音が辺りをカッと包み、俺の意識はそこで途切れた。

 

 

 目を覚ますとそこは保健室だった。右を見るとリカバリーガールが呆れた顔をしながら、眠っている爆豪の右腕にキスをしていた。

 

 精

「そりゃそうなりますよね……」

 リカバリーガール

「私が不思議なのは君の方だよ。彼の右腕は綺麗に骨折したっていうのに、君はヒビの一つどころか治った痕跡すらないんだよ? 何をすればそうなるんだい?」

 精

「愛の奇跡ですよ」

 

 身体を極めた状態で漢勃ちをすると爆破直撃でも傷一つすらつかないようだ。今度淳之介君に教えてあげよう。ベッドから起き上がり爆豪の頬をぺちぺちと叩いて目を覚まさせる。

 

 精

「今回は俺の勝ちでいいな?」

 爆豪

「……ああ。リベンジが果たせねェのがムカついてしょうがねェ」

 精

「"二倍"の俺は堪え性がないからなあ……勝ち逃げっていう形になるのは俺としても悔しいぜ」

 

 出来る事なら挑み続ける爆豪を返り討ちにし続けたい。しかし、新学期が始まり新たな環境になるというのは、俺が元の世界に帰るのにちょうどいいタイミングになってしまっている。

 

 精

「お前の手が治ったら送別会の続きだ。盛大に祝い殺してくれ」

 爆豪

「……チッ、わーったよ。出久が"OFA"を上手く扱えるようになったら八つ当たりしてやる」

 

 口ではこう言っているが、間違いなく出久は半殺し近くに遭わされるだろう。緑谷が俺より強くなれるかどうかは分からないが、俺と同じぐらい強くならないと一生どやされ続けるかもしれない。俺が心配したってどうにもならないので、俺は寮に戻って送別会の準備を始めることにした。

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