抜きゲーみたいな島に住んでいた狂犬はヒロアカ主人公に憑依したらどうすればいいんだ? 作:神剣狩刃
轟と話をしていたせいで飯がギリギリになってしまった。何とか会場に間に合い説明を受ける。最終種目は1対1のガチバトルだ。相変わらずエロすぎるミッ先がくじ引きで決める。途中、辞退するやつが何人かいて、その都合で繰り上げがなんかあったが俺には関係ない。俺の一回戦の相手は心操っていう人らしい。誰だ?
紫ワカメ
「よう、緑谷。まさか一回戦で当たるとはな」
コイツ心操って名前だったのか。ありがとう神様。俺にコイツをぶちのめす機会をくれて。
尻尾
「緑谷!! 奴に答えるな」
精
「知ってる。一回喰らったことある」
会話したら体の自由を奪われる。初見殺しの"個性"だが初見殺しなだけ、話さなければそこまでだ。それに対策もある。
精
「さて、愛しのお茶子ちゃんは誰と戦うのかな……あっ」
お茶子ちゃんの相手は爆豪だ。こっちのほうが対策を考える必要があるだろう。早速お茶子ちゃんに話しかけ──何でチアガールの衣装来てるの? てか1-Aガールズまでチア衣装じゃん。マジ? 1-Aガールズって積極的な子多くない? 周りを見るとモモパイセンがしょんぼりしている。あのモモパイセンがこう言う世俗的なことを団体でやるような人には見えない。誰かに唆されたのだろう。実とアホ電気が笑っていた。なるほどあのバカ2人がやったのか。ちょっとお説教だな。2人に詰め寄る。
精
「ヒーローが私欲で女の子に嘘をつくんじゃねえ」
俺のガチめな発言に2人がビクッとする。図星なのだろう。
精
「ヒーローに嘘をつかれたと女の子が思ったらどうなる? 今回は笑って許してもらえるかもしれないが……事と次第によっちゃあその子の未来を捻じ曲げちまう」
故郷で治安管理委員会特殊戦闘部に所属していた俺は嘘や裏切りに厳しい。組織や治安の元となる信頼はくだらない嘘の一つで容易く崩壊する。だから俺は女の子に事実を隠すことはしても嘘をつくことは基本しない。
精
「……まあ、祭りの日だからこれぐらいにしておいてやる。今度からは素直に頼め」
実
「おう……気を付けるぜ……」
アホ電気
「流石に軽率すぎたな……悪かった」
精
「……良いもん見せてくれてありがとな」
眼福ものだったのは事実だ。そこに関しては礼を言う。そういえば俺もモモパイセンの件で誤魔化したことがあったか。先輩っぽく見えたのは事実だし、何より言って良いことと悪いことがある。ともかく楽しいレクの時間も終わりだ。
通路でどうやって心操をボコボコにしてやろうかと考えていると後ろから鶏ガラのマイトが声をかけてきた。
マイト
「遅れたけど……ワン・フォー・オール掴んできたな!」
精
「ああ、まだ30%が安全に使える限界だがいつかは100%を使いこなしてみせるさ。ところで歴代継承者の調べはどうだ?」
マイト
「結構分かって来たよ。もう少しまとまったら説明するよ」
精
「使える"個性"があったらそれも鍛えたいんでな。なにせ"個性"なんて初めての概念でな……」
マイト
「それでもあそこまで立ち回れるのは中々なものだよ。胸を張って頑張れ!」
No.1の激励を受けリングに上る。
騒音公害
『一回戦!! ここまでトップで駆け抜けてきたからか自信満々の笑みだな!! ヒーロー科緑谷出久!!
ルールは白線を超えさせて
精
「8.5秒で倒す」
心操
「一度見せちまったが……お前は単純そうだからな。また引っかかると思うよ」
ああ、引っかかってやるさ。その上でお前を倒して完全勝利だ。
騒音公害
『レディィィイSTART!!』
心操
「"なあ、特待生サマ?"」
精
「これだ!」
コイツの声に反応すると、一定の衝撃を受けるまで体が動かなくなってしまいます。だから直前で跳んでから答える必要があったんですね。
心操
「"空中浮遊しろ"」
俺の体が空中で勝手に止まる。なんで? なんで? なんで?
尻尾
「アイツ"洗脳"を一回喰らったんじゃないのかよ!!」
"洗脳"? ふ──ざ──け──る──な────────! コイツの"個性"って洗脳なの? コイツの言いなりになる系の奴なの? 薄い本展開いくらでもできんじゃん。試合終わったら友達になるか。それどころじゃない。こうなったら外部衝撃の要因がなくなる。
心操
「"着地して振り向いて場外まで歩いて行け"」
コイツの言いなりになるなんて……悔しい、でも感じるわけねえだろ。マジでどうすんだ。アレだけ言っておいて初戦敗退とか恥さらしもいいところで──なんか見える。八人の人影? あっ、動く。全力で指に力を入れ──
精
「いっでえ!!!」
恐らく右手の人差し指が折れた。だが、体に自由が戻った。振り返って心操に近づく。
精
「……」
心操
「指をうごか──」
心操の喉を両手で絞める。発言をさせなければそれで十分だ。
精
「お前すごいな。この間はひどいこと言ってごめんな。めっちゃヒーロー向きの"個性"じゃん」
心操
「──っ!」
精
「特待生として玉座を温めてるんでな──いつでも挑んで来いよ」
そのまま心操を振り回し投げ飛ばす。心操は止める手段を持っておらずそのまま場外に落ちた。
ミッ先
「心操くん場外!! 緑谷くん二回戦進出!!」
騒音公害
『相変わらず派手に決めるなあ!! 両者の健闘をたたえて盛大にクラップユアハンズ!!』
会場が沸き上がる。もうちょっと辱めてから負けさせたかったが仕方ない。心操に駆け寄って握手する。
精
「特待生は学費免除に食堂の格安利用だ。狙う価値あるぜ?」
心操
「……ふっ、分かったよ。せめて……"みっともない負け方はしないでくれ"」
精
「……引っかかってやるよ。未来のヒーローさん」
リカバリーガールの治療を受け第二試合を見る。天麩羅……隣開けてあるのはありがたいが、お茶子ちゃんの隣にさせろ。いや、お茶子ちゃんとモモパイセンの間に座らせろ。なんて言ってる間に轟が誰かをバカでかい氷で瞬殺した。ドンマイ。次の試合も茨の聖女がアホ電気を瞬殺した。その次の試合も天麩羅が明ちゃんの広告をして終わった。この様子じゃ他も大した試合にならないな。お茶子ちゃんと爆豪の試合の対策会議だ。
精
「……アイツの性格上お茶子ちゃんだからって手加減はしないだろうね。言葉を選ばずに言うなら……殺す気で来ると思う」
天麩羅
「戦ったことがある君が言うならそうなのだろうな……」
何故かいる天麩羅は放っておいて椅子で悩むお茶子ちゃんにアドバイスをする。
精
「……ベストを尽くせば結果は出せる。アイツは簡単には死なないからお茶子ちゃんも殺す気で挑みな」
お茶子ちゃん
「殺す気で挑むのはどうかと思うけど……良いアドバイスだよ、ありがと!」
お茶子ちゃんが立ち上がってドアに向かう。
お茶子ちゃん
「決勝で会おうぜ!」
そう言って見せてきたサムズアップは震えていた。俺はそれを黙って見送った。お茶子ちゃんならきっと勝てるなんて言えるわけがない。
騒音公害
『中学からちょっとした有名人!! 堅気の顔じゃねえ!! ヒーロー科
試合開始と同時にお茶子ちゃんが速攻を仕掛ける。しかし、爆豪は難なく迎撃する。いくら大振りの攻撃であっても、爆破と爆豪自身の身体能力もあってお茶子ちゃんは避けれない。煙に紛れ上着を地に這わせた奇襲も素の反応速度で失敗に終わる。
精
「お茶子ちゃんの"個性"は触れることが条件……分が悪いなんてもんじゃない……」
しかしお茶子ちゃんはめげずに低姿勢での突撃を繰り返す。爆豪も爆破で迎撃を繰り返す。──妙だ。爆豪の迎撃が分かっているなら軌道を変えてやる方が決まりやすいはずだ。あえて同じ低い視線でやる必要はない。おそらく何か狙っている。ふと上を見上げる。
精
「……"個性"と戦術の組み合わせか……俺の課題だな」
上空に瓦礫が"無重力"で浮いていた。露骨な視線誘導はこれを悟らせないためか。観客達の大半は気付いておらず爆豪にブーイングしている。お茶子ちゃんの戦法はプロにも通用するということだ。これを一人で思いついたのだからすごい。
お茶子ちゃん
「ありがとう爆豪くん……油断してくれなくて」
お茶子ちゃんが"無重力"を解除し、瓦礫の流星群が降り注ぐ。流石の爆豪もこれは捌けな──会場に盛大な爆発が起こる。
爆豪
「デクのやろうとつるんでっからなてめェ……何か企みあるとは思ってたが……」
あの流星群を一撃で"爆破"しやがった。お茶子ちゃんの秘策が破られた。
爆豪
「こっから本番だ麗日!」
お茶子ちゃんがカク……と前に力なく倒れる。どう見ても限界だ。すぐに行動不能の判定が下され爆豪の二回戦進出が決まった。
小休憩をはさんで控室に向かう途中、爆豪に出会った。
爆豪
「んだてめェ何の用だ死ねカス」
精
「……お茶子ちゃんの仇を取ってやる」
それだけ交わして早く控室に──
爆豪
「てめェの入れ知恵だろあの捨て身のクソ策は」
精
「違うわ死ねカス頭の中が花火大会か?」
キレキレのカウンターを入れて控室に行くとお茶子ちゃんが笑っていた。
お茶子ちゃん
「負けてしまった」
精
「……あの作戦、俺は観客にいたから気付けたよ。俺との戦いだったら決まっていたかも。参考にさせてもらうね」
お茶子ちゃん
「考えた甲斐があったなあ……でももっと頑張らんといかんな私も!」
あからさまに強がって悔しがっている。そういう時は──お茶子ちゃんを優しく抱きしめる。
精
「次の試合までは時間がある。だから──今はこの胸をお茶子ちゃんのために貸すよ」
お茶子ちゃん
「……っうう……!! 早く……父ちゃんたち……! 楽にさせたいのに……!」
黙ってお茶子ちゃんの頭を撫でる。この優しさがお茶子ちゃんの強さだろう。
精
「……お茶子ちゃんはいいヒーローになれるよ」
俺は女の子に嘘はつかない。だからこの言葉は言える。