抜きゲーみたいな島に住んでいた狂犬はヒロアカ主人公に憑依したらどうすればいいんだ?   作:神剣狩刃

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2-07 情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ!そしてェなによりもォ―――――速さが足りている!!

 ギリギリまで休んでいたおかげで戦えるぐらいの体調になった。最後に角砂糖3つを口に放り込んでガリガリ噛み砕く。

 

 精

「よーしよしよしよしよし……次の相手は誰かな!」

 

 駆け足でリングに向かう。

 

 騒音公害

『あの大怪我からもう復帰したのかよ! リカバリーガールもすげえがこいつもすげえ! 緑谷出久!! 対!! 騎馬戦で一矢報いたからここでもやってくれ!! 飯田(いいだ)天哉(てんや)!!』

 

 何と天麩羅が相手だ。これはやばい試合になる。なにせ俺はコイツの速度に一度も勝てていない。戦いながら作戦を考えるしかない。

 

 精

「初めての戦闘訓練にさっきの騎馬戦……考えてみればお前には一度も勝ってないな」

 天麩羅

「君に挑戦する……ここで決着を付けようじゃないか!」

 

 天麩羅が手を差し伸べる。その手を力強く握り返す。

 

 精

「負けたら勝った方に天丼を腹いっぱい奢るでどうだ!」

 天麩羅

「君は特待生待遇でいつでもできるだろ!? それにヒーローともあろうものが賭博などやってはならない!」

 精

「青春を分かってねえな堅あげ天麩羅! そこはみそ汁も付けてなって返すんだよ!」

 

 こんな堅物だが言い換えれば堅実な戦いをしてくるということだ。とりあえず友情のハンドシェイクはここまでだ。手と距離を離してお互い構え、試合開始に備える。

 

 騒音公害

『天丼かー!! 久々に食いてぇなあ!! 体育祭終わったら食い行こうぜイレイザーヘッド!!』

 澤先

『私情を挟むな。早く試合開始の宣言をしろマイク』

 騒音公害

『おっとそうだった!! それじゃSTART!!』

 

 

 ドルルルンとエンジン音が響く──来る。

 

 飯田

「はあ!」

 

 飯田の右蹴りを両手で受け止めるがこらえきれず転がる。これ受け続けてたら話にならない。回避しないと──

 

 

飯田

「まだだ!」

 

 後ろから蹴りをくらう。速すぎる。目で追うのがやっとぐらいだ。そこから反応して防御や回避ができない。

 

 精

「っだらあ!」

 

 10%の力で跳び一度距離を取る。ここで空中浮遊で逃げてもいいが、それだと"個性"と戦うことができない。決勝は常闇か爆豪と当たる以上、少しでも"個性"との戦いに慣れないといけない。

 

 精

「流石に空中には来れないよな! 喰らいな!」

 

 地面の飯田目掛けて連続で指を弾く。30%の衝撃の雨が降り注ぐ。流石の飯田も回避しきれず両手で受けている。

 

 飯田

「くっ……! だが、これしきで止まるほど俺は甘くないぞ!」

 

 喰らいながら動いて的を絞らせないようにしてきた。流石に指を弾くだけの威力じゃ足りないらしい。

 

 精

「だったらこれはどうだ! Smash!!」

 

 30%の力で拳を地面に向けて振り抜く。リングの一部が砕ける。そこに着地し土煙が巻き上がる。これで視界を狭められたはずだ。お茶子ちゃんのようにジャージを地面に這わせて投げる。それに乗じて飯田の背後に回って──

 

 飯田

「ここだろう!」

 精

「ごはぁ!」

 

 飯田の回し蹴りが俺の腹部を捕らえた。エンジンの勢いが乗っていなかったのは幸いだが、それでもいいダメージになった。

 

 飯田

「先の轟くんとの戦いで麗日くんの戦法を真似ると思って──」

 精

「これで十分」

 

 その足を両手で掴んで回転しながら倒れ込む。所謂ドラゴンスクリューだ。咄嗟の出来事に対応できず飯田も回転しながら倒れる。すかさず馬乗りになってマウントを──

 

 飯田

「ふん!」

 

 寝ながらエンジンを吹かした反動で蹴り飛ばされ、マウントを取るに至れなかった。ジャージを着直しながら次の一手を考える。

 

 精

「くっそ……コスチュームありだったらなあ……!」

 飯田

「かなりの戦闘技術だが……俺だって兄さんみたいなヒーローを目指しているんだ! 半端な戦いはできない!」

 

 

 騒音公害

『凄まじい攻防!! つーかあの緑谷が決めきれないってヤバくねえか!?』

 澤先

『緑谷の"個性"は瞬間的な身体強化と空中浮遊……高速移動する相手に決定的な一撃を与えるのが難しいだろうな』

 

 澤先の言う通りで、今の俺の"個性"の扱いでは常人離れした速さに反応できない。心操も轟も"個性"は強くても身体能力そのものは人間の範疇だった。しかし飯田は"個性"によって身体能力が人間離れしている。

 

 飯田

「どうだ!」

 精

「ちぃっ……! もっと身長があればな……!」

 

 何よりリーチの差がキツイ。俺の元々の体は180㎝と結構恵まれていたが今の体は166㎝で結構小さくなっている。そして飯田の身長は170㎝後半だ。身長が約10㎝も違えばそれだけリーチの差が生まれる。

 

 精

「格上相手に有利を取られた段階で負け……! その言葉の意味が身に染みてわかりましたよ先輩……!」

 

 身体能力も身体そのものも飯田が上。だとしたら俺がアイツに勝っているもので勝負するべきだ。それは──

 

 精

「遠距離攻撃しかないか!」

 飯田

「何っ!? ぐっ!」

 

 両手の人差し指から小指の8本を広げるように30%の力で弾く。避けれないほどの広範囲の攻撃なら速さは関係ないし、体格が大きければそれだけ当たる。見事に当たったが、指への反動が大きい。広範囲30%を連発するのはヤバそうだ。20%に抑えて連発する。

 

 飯田

「くっ……! だが、威力が落ちてきたな!」

 

 20%では足止めしきることができず攻撃を許してしまう。飯田が俺に向かってくる。計算通りだ。

 

 精

「動けるようになったら動くよなあ!」

 

 飯田は確かに速いが直線的な動きしかできない。どこから来るのかが見えれば十分だ。大振りの右を構えて迎撃する。

 

 

飯田

「遅い!」

 

 飯田が左から俺の後ろに回り込む。エンジンを2回吹かして折れ線を作って軌道を変えたのか。しかし──

 

 精

「──計算通りだ」

 

飯田

「な、ぐはぁ!?」

 

 後ろにいる飯田をノールック20%後ろ蹴りで蹴り飛ばす。

 

 騒音公害

『ああっと緑谷が飯田の動きを読み切って一撃入れたあ!!!』

 澤先

『分かりやすい偽装(ブラフ)で軌道を誘導し本命(メイン)を入れる……メジャーな戦法だが判断と行動が早すぎる……アイツ本当に高校生か? 下手すりゃ引っかかるプロ居るぞあれ』

 

 かなりの一撃が入ったはずだが行動不能も場外も判定されない。後ろを振り返ると白線ギリギリで飯田が持ちこたえていた。理論上0.5マイトの力だというのに耐えやがった。

 

 精

「ちっ……流石に捉えきれなかったか……」

 

 轟との戦いで右足を折った手前、右足に必要以上に負荷をかけられなかった。しかも次の決勝の事を考えると、左足も折ったら治癒で体力がなくなりかねない。常闇と爆豪のどちらに当たるにせよ、万全のコンディションじゃないとまともに戦う事すら難しくなる。色々考えた結果20%の左脚を選択したが、その選択はベストではなかった。

 

 飯田

「エ、エンジンを全開にしてなんとか持ちこたえられたが……かなりの一撃だな……」

 精

「もう一発喰らったらアウトって感じだな……でも、アレがあるだろ?」

 

 トングオーバーレシピバースト。天麩羅にピッタリの名前だ。通常時でさえ目で追うのがやっとのスピードが分かってても見えないスピードになる。持続時間は短いが文字通り一瞬で勝負が決まりかねない。

 

 

飯田

「アレはとっておきだ……! まだ使うわけにはいかない!」

 

 再びエンジン音が響き飯田が俺に向かってくる。しかし、今度は左右にステップを刻みながら来ている。

 

 精

「くっ……! 分かんね──」

 

飯田

「ここだ!」

 

 飯田のラリアットが直撃する。脚ばかり警戒していて上半身での攻撃が頭から抜けていた。スピードが上がれば脚だろうと腕だろうと威力は上がる、単純だが効果的だ。

 

 精

「くそ……あとは反応できれば十分なのに……!」

 

 目で追えないほどのスピードではないがそこから反応するのがどうしても間に合わない。元の体でも反応できるかどうか怪しい。せめてもっと神経間の伝達スピードが上がれば──

 

 精

「"()()"()()()()()……」

 

 俺の受け継いだ"個性"は身体能力の強化。単純に破壊力の増加だけだと思っていたが、それは"個性"に常識を当てはめた考え方だ。常識を"Plus Ultra"しろ。身体能力の強化だったら『反応』の強化だってできるはずだ────中枢神経から末梢神経全てに"OFA"を作用させろ。

 

 

 

デクくんも飯田くんも頑張ってお茶子ちゃんが応援している負けんな緑谷轟が応援しているどうした緑谷動きが止まってるぞ騒音公害が一層うるさくなる飯田さんまだベイビーの宣伝を明ちゃんは相変わらず宣伝意欲がすごい行くぞ緑谷くん

 

 精

「──なんだこれ」

 

 ありとあらゆる情報が入ってき過ぎて脳が痛い。でも飯田が迫ってくるのがゆっくりに見える。これならいける。飯田が拳振るうのに合わせて拳を掴む。

 

 飯田

「何っ!?」

 精

「やっべ──これ脳が感じすぎてイク……」

 

 凄まじい脳の負担に耐え飯田の顔に一撃──

 

 飯田

「トルクオーバーレシプロバースト!!!」

 精

「脳イキってこういう意味じゃないと思うんだけどな……」

 

 再び神経にOFAを使う────

右足見える左足見える見える二回ステップで左足見える見える見える裏に回って回し蹴り見える見える見える見える何もかも余裕で避けれる

 

 騒音公害

『なんだあの緑谷の動き!? 飯田の攻撃を見てから避けてるじゃねえか!?』

 澤先

『何か掴んだな……これは勝負あったか……』

 

 飯田

「うおおお!!!」

 精

「見えるなら──掴める」

 

 飯田が振り抜いてきた足を両手で掴み、神経へのOFAを切る。

 

 精

「ドラゴンスクリュー改め──昇天回転木馬(ヘヴンメリーゴーラウンド)!!!」

 

 30%の力で地面を蹴り、倒れながら回転をする。ヒュオオオと竜巻が吹き荒れる。

 

 騒音公害

『再びドラゴンスクリューだが回りすぎじゃねえか!?』

 澤先

『三半規管にダメージを与えてまともに動けないようにする気か……こりゃ将来が楽しみだ』

 

 俺と飯田は地面に叩きつけられる。その衝撃よりも平衡感覚がバグってるのがヤバい。

 

 精

「お茶子ちゃんと鍛えたんでなあ……!」

 

 しかし、俺は立ち上がって右手を突き上げた。対し飯田は──

 

 飯田

「クソ……た、立てない……こ、こんなところで……」

 

 レシプロバーストの効果時間も切れ、この様ではもう無理だろう。

 

 ミッ先

「飯田くん行動不能!! よって緑谷くん決勝進出!!」

 精

「っし、うっ

 

 その声を聞いて安堵したせいか一気にこみあげてきた。こらえきれ──

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