抜きゲーみたいな島に住んでいた狂犬はヒロアカ主人公に憑依したらどうすればいいんだ?   作:神剣狩刃

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2-08 ちょっと早めの大決戦

 スッキリした俺は飯田に手を差し伸べ──凄まじい頭痛に頭を抱える。大急ぎでリカバリーガールの元に運ばれる。何があったのかリカバリーガール簡単に説明する。

 

 リカバリーガール

「うーん……脳を酷使した反動じゃないかねえ……病院で精査した方が良いけど……戦いたいんだろ?」

 精

「病院での検査はいつでもできますけど決勝はこの時だけですから」

 

 リカバリーガールがやれやれという顔で治癒を施してくれる。角砂糖の点滴割りもだいぶ慣れたものだ。一礼をして控室に向かい準備をする。

 

 精

「……今の俺で勝てるヴィジョンが見えねえ。戦いの中で何かを掴むか……()()を使うか……出し惜しみはしたくないが、()()を発動しても終わらせる方法がないんだよな……」

 

 あれこれ悩んでも仕方がない。両手で頬を叩いて気合いを入れ、会場に向かう。

 

 騒音公害

『さあ!!! 頂上決戦だ!!! 同郷のライヴァル対決だ!!! 緑谷!!! 対!!! 爆豪!!!』

 

 ついに俺と爆豪がリングに立つ。

 

 精

「優勝を決めるにしちゃせこいリングだ」

 爆豪

「それだけは賛同するぜクソデクゥ……!」

 

 セメントス先生が何も言えない顔になっている。もっと柱とか装飾を施せばいいのに。

 

 精

「……先に言っておく。俺の本気はコスチュームありきだ。"個性"とコスチュームを組み合わせて最大限のパフォーマンスができる」

 爆豪

「だから負けても仕方無ぇって言いてぇのか!? 随分とビビってんなぁクソデク!」

 精

「いや、違うけど?」

 爆豪

「あ゛あ゛!?」

 

 コイツの目はどこまで吊り上がるのだろうか。目と目がくっつくまで吊り上げてみたい。

 

 精

「そんな俺に負けたらお前は本気の俺には一生勝てないってことだ。さあ、煮えた辛酸の苦汁を飲む覚悟の準備をしてください!!!」

 爆豪

「ブッ殺す!!!」

 騒音公害

『ファイト!!!』

 

 

 お互いフライング気味に攻撃を仕掛ける。爆破を30%の指弾きの衝撃波で相殺──しきれない。爆風をもろに受ける。

 

 精

「マジかよ!?」

 爆豪

「オラオラオラァ!!!」

 

 連続の爆撃が目前に迫る。"浮遊"で空中に逃げ──

 

 爆豪

「逃げてんじゃねェ!!!」

 

 爆破で飛んで追いついてきた。空中戦はやったことが無いがやるしかない。指を弾いて体当たりをする。

 

 爆豪

「見えてンだよ!!!」

 

 爆破で迎撃される。空中では見てから反応したのでは遅い。俺の"個性"での空中移動は指を『構えて』『弾く』という二手が必要だ。対し爆豪の"個性"は『爆破を起こす』という一手で済む。この一手の差があまりにも大きい。だったら反応速度を上げれば――

 

 爆豪

「遅っせェ!!!」

 

 対応するために神経にOFAを使うが閃光と爆音をもろに受けてしまった。本能的に怯んでしまう。

 

 爆轟

「っだらあ!!!」

 精

「ごはあ!」

 

 ゼロ距離で爆破をくらい地面に叩きつけられる。受け身もまともに取れないほどだった。

 

 騒音公害

『凄まじい空中戦を制したのは爆豪! 緑谷ダウンかー!?』

 澤先

『1年の試合でこのレベルになるとはな……来年は観客の首が痛くなりそうだ』

 

 本当にやばい。身体能力、"個性"、戦闘のセンスとあらゆる面で爆豪の方が上だ。どの距離でも攻撃してきて空中でも戦える。しかも何も躊躇うことなく全力で放ってくる。

 

 爆豪

「どうしたクソデクゥ……! これで終わるんじゃねェだろうな……!?」

 精

「はあ、はあ……何言ってんだ終わりなわけ──」

 

 俺が立ち上がるや否や爆破を放ってくる。こうなったら仕方がない。あと10発でケリを付けてやる。

 

 精

「SMASH!!!」

 爆豪

「ぐっ!」

 

 100%の力で左手の小指を弾く。今の俺の"個性"でやれる限りをやらないと勝負にならない。爆破を貫き爆豪に衝撃波が届く。これでいくしかない。そのまま残った左手の指を全部100%の力で弾く。

 

 爆豪

「があああ!!! ざっけんじゃねェ!!!」

 

 何と爆豪は手を後ろにやって爆破で堪えるつもりだ。衝撃波の威力は相当なはずだが、あいつ自身の身体で耐えるつもりだ。この機を逃してはいけない。右手の全ての指を弾いて衝撃波を叩き込む。これで決着がつかなかったら()()に頼るしかない。頼む、場外に出ていてくれ。

 

 爆豪

「はあ……はあ……どうしたクソデク……! もう終わりか……!?」

 

 マジか。かなりふらついてダメージは入っているのだが耐えきりやがった。こうなったらやるしかない。爆豪なら簡単には死なないだろうし、最悪プロヒーローが止めてくれるだろう。一応警告は入れておくか。

 

 精

「爆豪! 今から俺はとっておきを使う!」

 爆豪

「最初っから使えやクソデク!」

 精

()()()()()()()()()()()()!」

 爆豪

「最初っから殺すつもりだ!」

 

 なら問題ないだろう。俺は息を一つ吸い、ある言葉を呟く。

 

 

 ガキの頃からデクには勝ち続けていた。何も出来なけりゃ"個性"もない、ただの石コロみてェな奴だった。

 

 デク

「一般入学者は黙っていろ!*1 俺は特待生である!*2

 

 だが、ある日を境にアイツは変わった。金髪になって口調が変わるどころか人が変わったようだった。

 

 デク

「手前の"個性"じゃどうにもならねえよ。あと、動くな。四肢欠損モノじゃ俺は抜けない。いくら手前でもかわいそうすぎるんでな」

 

 そして初めての戦闘訓練で完膚なきまでの敗北を喫した。あの技術はデクが身に着けれるのもじゃない。俺はあることを想定した。『誰かがデクになりすましている』と。

 

 デク

「……本名は『土口精』。こことは別の世界からやってきた。なんかの拍子でこいつに憑依した。本来の出久に体を戻したいと思っている。俺も元の体を取り戻したい。このことはお前と一部の人しか知らない」

 

 俺の想定通りの回答が返って来た。それでも、俺がコイツに負けたことに変わりはなかった。だから二度と負けたくなかった。一番になりたかった。

 

 デク

「それと……優勝したら言いたいことがあります!!!」

 

 コイツの眼中に俺は映っていないようだった。そんな奴を決勝戦でぶちのめせるからいいと思っていた。

 

 デク

「お兄ちゃんは弱いよね?」

 

 その言葉と同時にデクの様子が明らかに変わった。瞳孔は際限なく開いていて、口は歯をむき出しにするような笑顔を張り付けていた。

 

 爆豪

「そんな虚仮威(こけおど)しで俺に勝てると──」

 デク

「ぐるるるぅぅぅ!!!!!!」

 

 犬のような唸り声と同時にデクが迫っていた。爆破で迎撃──

 

 

デク

「きぃああああ!!!!!!」

 

 爆破の構えを見てからデクが俺の後ろに回った。そのまま地面に爆破を叩きつけ空中に逃げ──

 

 デク

「ぅばっしゃああああ!!!!!!」

 

 衝撃波をもろに喰らう。デクは掌底の要領で衝撃波を出していた。

 

 デク

「おおおあああぁぁぁ!!!!!!」

 

 連続の掌底による衝撃波を空中で回避──しきれない。一発一発の間隔が短く避けようがない。

 

 爆豪

「だったらコイツはどうだああああ!!!」

 

 一度着地して爆破で勢いと回転を付けデクに突っ込む。最大限の爆破で一気にケリを付けてやる。

 

 爆豪

榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)!!」

 デク

「ぁおおおおおおん!!!!!!」

 

 俺の爆発とデクの右足がぶつかる。凄まじい衝撃が会場に放たれた。

 

 プレゼントマイク

『お前のクラスの奴は会場を壊さないと気が済まないのか!?』

 イレイザーヘッド

『お互い全力なんだ。しかし……あの緑谷、妙だな……』

 

 衝撃波で吹っ飛ばされたが白線ギリギリで踏みとどまる。デクはどうなった? これに耐えられたらしばらくは素の身体能力で──

 

 デク

「あああいいいぃぃぃ!!!!!!」

 

 目前に狂気の笑みを浮かべたデクが迫っていた。すでに右手を構えており回避のしようがない。また俺はコイツに負け、いや、殺され──

 

 デク

「ぃぃぃ……」

 

 デクがかくりと倒れる。近くにはスーツの左肩を破ったミッドナイトが立っていた。

 

 プレゼントマイク

『おいおい!? 何してんだよミッドナイト!? まだ試合は──』

 イレイザーヘッド

『緑谷が踏み込んだ場所をよく見てみろ。半歩分だが白線の外に出ている。夢中になって気が付かなかったんだろう』

 ミッドナイト

「緑谷くん場外!! よって────……爆豪くんの勝ち!!」

 

 俺の勝ち? あそこまでされて勝ち? 敗北どころか死を間近にされて勝ち? こんなの、こんなの────眠るデクの胸ぐらを掴んで叫ぶ。

 

 爆豪

「ふっ、ふざけんなよ!! こんなの!! こんっ……

 ミッドナイト

「まったく……2人ともやんちゃすぎよ」

 

 

 隣がめっちゃうるさいから目が覚めた。横を見ると爆豪がめっちゃ拘束されていた。

 

 精

「うお!? そういう癖!?」

 爆豪

「んんん!!!」

 リカバリーガール

「2人ともミッドナイトに眠らされたんだよ。彼の方が早く起きたんだけどずっと暴れっぱなしでね……」

 

 爆豪が暴れるような結果か。コイツは性格は控えめに言ってクソだが勝負に関しては真剣だ。負けたらどんな負けであれ素直に負けを認めるし、普通に勝ったら大喜びする──つまり納得のいかない勝利をしたから大暴れしたのだろう。

 

 精

「マジかー……俺負けたかー……」

 爆豪

「んんんんんん!!!」

 リカバリーガール

「折れた脚はオペをしただけで治癒してないよ。その体力で治癒したら死んでしまうからね」

 

 とりあえず1位と2位がここにいたのでは表彰式はできないだろう。俺は松葉杖をつきながら、爆豪は拘束されながら会場に向かった。

 

 騒音公害

『やっと来たぜ──って包帯巻きと拘束具付きが2トップでいいのかよ!』

 澤先

『表彰できりゃなんでもいいだろ。早く終わらせるぞ』

 

 オールマイトが空からやって来てメダルを授与していく。3位は常闇と飯田なのだが飯田は家庭の事情で早退らしい。俺が心配したってしょうがないのでマイトから2位のメダルを受け取る。

 

 マイト

「緑谷少年おめでとう!」

 精

「いやー、厳しいもんですね。まだまだ鍛えないと」

 マイト

「その心意気があれば来年は1位になれるさ!」

 精

「来年ねえ……できればあってほしくないんだけど……」

 

 なるべく早く故郷に戻りたいが、今の所その方法の手掛かりは全くない。もう少し自由に動ける年齢になってからじゃないと碌に調べられない以上、それまでは青春を謳歌するのも悪くないのか?

 

 オールマイト

「さて爆豪少年!! っとこりゃあんまりだ……優勝おめで──」

 爆豪

「オールマイトォこんな1番……何の価値もねぇんだよ世間が認めても(じぶん)が認めてなきゃゴミなんだよ!!」

 

 コイツの品性の悪さから降格処分になったりしないだろうか。ともかく全員にメダルを渡して無事に閉会する。明日明後日は振り替え休日になるので、色々な物事を片付けていくとしよう。特に──

 

 爆豪

「おいクソデク!!! 分かってんだろうな!?!?!?」

 

 コイツには色々と説明しなければならないだろう。

*1
豹変

*2
大胆な告白




ちなみにミッドナイトが止めなられかった場合、爆豪の顔は木っ端みじんになっていました。
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