抜きゲーみたいな島に住んでいた狂犬はヒロアカ主人公に憑依したらどうすればいいんだ?   作:神剣狩刃

19 / 109
2-12 金色極点の初任務

 三日目でやっと敵退治に出動だ。コスチュームに着替えて外に出る。

 

 精

「そうだ。何かあってからじゃ遅いので"個性"の使用許可貰って良いですか?」

 グラントリノ

「おお、そうだったな。お前さんはOFA……フルカウル? だかを常に使いたいらしいからな」

 精

「スタンドアップです。バイクじゃないんですから」

 

 お弁当を食べながら新幹線で渋谷に向かう。駅弁より安上がりで何よりおいし──

 

 CRASH!!!

 

 凄まじい音と共に誰かが車内に入って来た。コスチュームを着ているからヒーローか? ぶち破ってきた穴から脳がむき出しの怪人、確か脳無って名前だったか、がいる。車内が混乱していく中、二人の男が動き出す。

 

 グラントリノ

「行くぞ小僧! 早速実戦だ!」

 精

「元よりそのつもりです!」

 

 グラントリノと共に脳無に突っ込む。脳無をクッションにしてそのまま市街地に着地する。さて今回はどうやって立ち回──脳無が炎に包まれる。

 

 エンデヴァー

「存じ上げませんがそこの老人と少年、ここは俺に──」

 精

「あー!? ベンドバー!? それにロゼショット!? 何でここにいるんだよ!?」

 轟

「それはこっちのセリフだ。あとロゼショットって何だ?」

 

 紅白混ぜてピンクにしてロゼワインがあるからそれの一口分ショットが由来、ってそんなのはどうでもいい。情報がほしいからロゼショットの質問に答える。

 

 精

「脳無がいたから突撃してここに着地した! 今度はお前が答える番だ!」

 轟

「俺と親父はヒーロー殺しを追ってここに来たんだ。そしたら脳無が現れて──」

 精

「いやな予感がするからちょっと失礼するぜ!」

 

 OFAS10%で走りながらωセンスを使って情報を集める。

 

 ああなたはマジなんでここに天哉くーん何でこんな時に限ってどっか行っちゃうんだこら邪魔だよさがあれもういないこの大事で飯田がいなくなる倒れているバスから見てここは保須市ヒーロー殺し兄の復讐インゲニウムお前を倒すヒーローの名だ

 

 精

「アイツ…………! だから正しく復讐しろっつったのによ!!!」

 

 声の聞こえた方の路地裏に進んでいく。おそらく、もう始まっているのだろう。

 

 

 包帯にマフラーにマスクといかにもな奴(ヒーロー殺し)が、飯田を足蹴にして殺そうとしている。OFAS10%でビルの壁面を蹴り──

 

 精

「俺の友達に手を出してんじゃねえぞ!!!」

 

 ヒーロー殺しの顔を殴り抜ける。

 

 飯田

「緑谷……くん……!?」

 精

「友達の忠告ぐらい素直に聞いとけよ飯田ぁ!!」

 

 普通の人間だったら気付かないような路地裏で、ヒーロー殺しの事件が多発するシチュエーションそのものだ。もし俺にωセンスがなかった飯田は死んでいたかもしれない。

 

 精

「手前は逃げろ! ヒーロー殺しコイツは俺が足止めする!」

 飯田

「体を動かせない……! 切りつけられてから……おそらく奴の"個性"……」

 

 切ったら発動。つまりノーダメで飯田を、いや、向こうにも誰か1人倒れているから2人を守る。しかも相手はプロの殺人者だ。コイツはヘビーだ。増援がほしい。スマホで位置情報だけ一斉送信する。

 

 ステイン

「仲間が『俺の友達に手を出してんじゃねえぞ』、良い台詞じゃないか。だが俺はこいつらを殺す義務がある。ぶつかり合えば当然……弱い方が淘汰されるわけだが、さァ、どうする

 飯田

「やめろ!! 逃げろ!! 君には関係ないんだから!」

 

 どいつもこいつも話が分かっていない。俺の行動理念を知らないらしい。

 

 精

「言いたいことは色々あるが……一言だけ言わせてもらう──『やりたいようにやれ』。俺は友達を救けたいからそうする。たとえそれがお前のためにならなくてもな」

 

 俺はヒーロー殺しに両手でファイティングポーズをとる。

 

 精

「つーわけで、どっちかが淘汰されなきゃいけないな」

 ステイン

「ハァ……」

 

 ヒーロー殺しが嬉しそうに笑う。思想犯特有のお目当ての物が見つかった狂気の笑顔だ。情報が少ない今、迂闊に攻め込むわけにはいかない。動かないで物事に対処するのにうってつけの"個性"がある。

 

 精

「"黒鞭"!」

 

 構えた拳を広げ、まずは右手から黒鞭を射出する。まずは奴の長物を奪えばかなりの有利が取れ──

 

 ステイン

「良い判断だ。だが、まだ不慣れだな」

 

 逆に距離を詰められ脇腹に携えていたナイフに手を伸ばしてきた。

 

 飯田

「ダメだ切りつけられたら……」

 精

「手品ってのは視線誘導が大事なんだ」

 

 左手を開き黒鞭をナイフに巻きつけ奴より先に引っ張る。見えるすべてのナイフ4本を奪い取り、奴に向けて振り下ろす。

 

 ステイン

「なるほど……」

 

 ステインがいったん距離を取る。余った1本で刀を取ろうとしていたのに気づいたらしい。流石現代を生きる凶悪犯だ。その辺りの勘が良いのだろう。

 

 精

「ああ、十分だ」

 

 右手の黒鞭を奥で倒れていたヒーローに巻きつけ、引き寄せて受け止める。

 

 ヒーロー

「す、すまない……プロである俺が助けられるなんて……」

 精

「修羅場を潜り抜けてきた回数ならステインあいつの方が上です。奴の"個性"に関しての情報はありますか?」

 ヒーロー

「血を……舐められてから動けなくなった……」

 

 なるほど。飯田の情報より的確だがノーダメ必須なのには──体が動かなくなる。ステインがナイフを1本持って血を舐めている。背中にもう1本あったのか。俺の左手の指先から血が滲んでいる。左手で黒鞭を放つ際の一瞬で切り付けられたのか。

 

 精

「やっちまった……!」

 ステイン

「手品は視線誘導が大事だと言われたからなあ……ハァ……」

 

 ヒーロー殺しが俺の横を歩いて飯田とヒーローに向かって歩いていく。

 

 ステイン

「口先だけの人間はいくらでもいるが……おまえは生かす価値がある……こいつらとは違う」

 

 飯田に刀の切っ先を向ける。

 

 精

「……すまない、飯田──」

 

 ステインに向けて炎と氷が走る。

 

 ???

「緑谷、こういうのはもっと詳しく書くべきだ……遅くなっちまっただろ」

 精

「……流石イケメン、俺が女だったら惚れちゃうね」

 轟

「意味も無くあんなことするやつじゃないから……"ピンチだから応援呼べ"ってことだろ? 数分もすりゃプロも現着する」

 

 俺が一斉送信した位置情報から意図を察してくれたのだろう。助けを呼んだうえで、駆け付けてきてくれたようだ。

 

 轟

「こいつらは殺させねえぞヒーロー殺し」

 精

「気を付けろ轟! そいつは血の経口摂取で自由を奪ってくる! 血を流すな!」

 轟

「俺なら距離を保ったまま……」

 

 ヒーロー殺しがマフラーに隠していたホルダーからナイフを投げ飛ばす。どんだけ暗器仕込んでるんだよ。轟は咄嗟に避けたが、避けきれず左頬に傷を負った。炎と氷で凌ぐもヒーロー殺しの猛攻は止まらない。

 

 飯田

「なぜ……二人とも……やめてくれよ……兄さんの名を継いだんだ……僕がやらなきゃ──」

 精

「できもしねえくせに復讐しようとすんなよ!」

 

 飯田の身勝手さへの怒りのあまり立ち上がってしまった。ヒーロー殺しの"個性"には時間制限があるのか。だがそんなことは後回し蹴りだ。

 

 精

「手前の抱く憎しみは人として当然だ! 身内に酷い目あわされて何も思わないのは人間としてどうかしている! でもなあ! その感情だけで復讐して許されるほど世間は甘くないんだよ! 誰にも迷惑をかけない正当な方法でやんなきゃダメなんだよ!」

 

 俺の発言にヒーロー殺しが凄まじい敵意を向けながら反応する。

 

 ステイン

「貴様……ヒーローの復讐を認めるつもりか?」

 精

「ヒーローである以前に人間なんでな! 復讐は人間の正当な権利だ!」

 ステイン

「贋物」

 

 ヒーロー殺しがナイフを飛ばしてきたが、愛刀チューベローズで弾き落とす。

 

 ステイン

「目先の憎しみに捉われ私欲を満たそうなど……ヒーローから最も遠い行いだ」

 精

「その憎しみ生み出してる奴が説くんじゃねえよ。道徳習ってねえのか小学校通ってないのか? 轟、後方支援頼む────このホイ卒を分からせてやる」

 

 

 兄さんがヒーロー殺しに再起不能にされてから、俺はずっとヒーロー殺しへの復讐を考えていた。そんな中で職場体験を利用し保須市に行くことができた。

 

 緑谷

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 あっさりと背中を押され驚きはしたが、俺の復讐は正しいと思って職場体験へ望んだ。三日目にしてヒーロー殺しと対峙したが、成すすべなく伏せられた。

 

 ステイン

「自らを顧みず他を救い出せ。己の為に力を振るうな」

 

 復讐は正しいはずなのに。なぜ──

 

 緑谷

「手前の抱く憎しみは人として当然だ! 身内に酷い目あわされて何も思わないのは人間としてどうかしている! でもなあ! その感情だけで復讐して許されるほど世間は甘くないんだよ! 誰にも迷惑をかけない正当な方法でやんなきゃダメなんだよ!」

 

 俺を見送ってくれた時の言葉の意味が分かった。復讐のそのものの是非ではなく、倫理や道徳を無視して復讐をしてはいけないということだ。

 

 轟

「なりてえもんちゃんと見ろ!!」

 

 轟くんの言葉に己の不甲斐なさを思い知らされる。インゲニウムの名を継いでおきながら、友に守られ血を流させている。彼らの足元にも及ばない未熟者だ。それでも──今ここで立たなきゃ二度と、もう二度と彼らに兄さんに追い付けなくなってしまう!!

 

 飯田

「レシプロバースト!!!」

 

 ヒーロー殺しに向かって蹴りを放ち刀を蹴り折る。

 

 精

「やっと動けるようになったか飯田ぁ!!!」

 轟

「解けたか……意外と対したことねぇ"個性"だな」

 飯田

「二人にこれ以上血を流させるわけにはいかない」

 

 刀を折られなおヒーロー殺しは戦意を失っていない。

 

 ステイン

「お前は私欲を優先させる贋物にしかならない"英雄"を歪ませる社会のガンだ。誰かが正さねばならないんだ」

 精

「だとしても手前にそれをやる権利はねぇ──」

 飯田

「いや、言う通りさ。僕にヒーローを名乗る資格など……ない」

 

 左手を力強く握りしめる。先につけられた傷から血が伝う。しかし、それでも──

 

 飯田

「それでも……折れるわけにはいかない……俺が折れればインゲニウムは死んでしまう

 ステイン

論外

 

 俺はインゲニウムの名を継いだ。たとえ誰に何を言われようと、その信念と覚悟を貫いて見せる。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。