抜きゲーみたいな島に住んでいた狂犬はヒロアカ主人公に憑依したらどうすればいいんだ? 作:神剣狩刃
後に"神野の悪夢"と言われるようになる事件が終わった。俺は警察に引き渡されて色々事情聴取された。その際に九玉さんについても話した。
塚内
「平行世界の脳無……信じがたい話だが……」
精
「あとはマイトに聞いてください。ついでにマイトに腹一杯ピザ食わせろって伝言を」
塚内
「……分かった。とりあえず大変だったね。家に帰ってお母さんを安心させてやりな」
ということで警察から解放された俺は真っ先に家に帰っ──
母さん
「出久ぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!」
部屋が水没するほどの涙に押され溺れかけた。とりあえず色々謝ったが涙が全く止まらなくて不安になる。
精
「まあ、その、変な事はされませんでしたから。しばらくは大丈夫だと思います」
母さん
「……どうしても雄英に行かないといけませんか?」
精
「今回は例外中の例外ですって。同じことがもう一度起きたら考えてください」
息子が誘拐されたとなればこれぐらい不安になるのも無理はない。しかし、俺はまだ雄英に居なければならない。取るべき責任があるからだ。スマホにメッセージが入る。マイトから夜のお誘いだ。ピザを奢ってくれるらしい。ということでいつぞやの海浜公園に到着する。包帯巻きの鶏ガラがピザーラの箱を抱えている。
精
「マイトォ! 何ピザ準備してくれたぁ!? パイナップル入りの奴だったら怒る!」
マイト
「君の好きそうなお肉がいっぱいのってる奴とアンチョビの奴、テリヤキチキンにシーフードと色々あるよ」
精
「コーラは!?」
マイト
「あー……そこの自動販売機で好きなだけ買っていいよ」
コーラをしこたま買ってからピザを食べながら現状を話し合う。
マイト
「彼女のあの発言……分かりやすい敵となることで世間の視線を自分、ひいては敵連合に誘導する……AFOを倒した後の事もしっかり考えていたようだね。」
精
「あるいは俺に向けての挑発でしょう。元の世界に戻りたかったら我を倒せと言わんばかりです」
俺に明白なゴールを作ってくれた。俺のモチベーション維持のためだろう。ありがたい。
精
「で、マイトが引退するって本当ですか?」
マイト
「ああ、本当だ。戦えなくはないが……活動限界が10分位になってしまってね……」
精
「雄英の教師は続けるんですよね? だったら別にいいんじゃないんですか?」
マイト
「……自分で言うのも何だが、その時代の象徴が無くなるというのはとても大きなことなんだ」
故郷の象徴が襲撃された時は大いに焦ったものだ。それが全国単位で起きるとなると確かに大事だ。
精
「んじゃ、後進育成……というか俺の育成お願いします。OFAを調べる事ができるのはマイトとグラントリノしかいませんから」
マイト
「君のその物怖じしない態度が頼もしいよ。一緒に頑張ろうな」
マイトがギュっと俺を抱きしめる。これが金髪碧眼のムチムチ美女だったら大興奮なんだけどなあ。口の中のピザをコーラで流し込んで言葉を返す。
精
「頑張りまゲフゥ……」
マイト
「……頑張ってくれよ?」
精
「デザートも付けてくれるなら頑張ります」
帰りにコンビニスイーツを満足するまで奢ってもらった。後日、マイトが家庭訪問にやって来た。雄英の全寮制についての話でよかった。ピザの件でどうこう言われたら笑いが止まらなかったかもしれない。
母さん
「私、嫌です……が、出久を取り戻すためなら受け入れます。二度とこのようなことを起こさないと誓ってください」
プリントを貰った段階である程度話を付けておいてよかった。母さんの言い分ももっともだったが、『やりたいようにやれ』ることが出久を戻す近道だと言ったら納得してくれた。
精
「事前に事情を話してなかったら一悶着あったぞ? 感謝してくれよマイト」
マイト
「本当にすまない……この命に代えても君を立派なヒーローにするよ」
マイトが土下座して誓う。元No.1ヒーローの頭を地につけさせるって結構なことな気がする。しかし、俺としては見逃せない点があった。
精
「俺の目標はヒーローじゃない。緑谷出久に戻すことだ。命の賭け方を間違えないでくれよ?」
マイト
「……肝に銘じるよ」
8月も中旬になって俺の寮生活が始まる。思い返せば故郷の学園の寮は先輩関連で行くことがあるぐらいで、寮生活はした事がない。
精
「校舎から徒歩五分……築三日の超新築物件……夢か?」
澤先
「夢を見ている所に悪いが現実の話をしよう」
相変わらず重い雰囲気の澤先が話を始める。
澤先
「芦戸、蛙吹、麗日、切島、八百万……この5人は
1-Aの皆がなんとも言えない顔をしている。
澤先
「その様子だと行く素振りは皆も把握していたワケだ……色々棚上げした上で言わせてもらうよ。オールマイトの引退と九玉って敵の存在が無けりゃ俺は、緑谷・耳郎・葉隠以外全員除籍処分にしてる」
理由どうあれ社会の決まりを破り、それを黙認した。非情と思われるかもしれないが真っ当な判断だろう。状況が状況だから見逃してもらったようなものだ。
澤先
「正規の活躍で信頼を取り戻してくれるとありがたい。以上! さっ! 中に入るぞ。元気に行こう」
無理だろ。そこは一芸披露して場を盛り上げろよ。仕方がない。ここは『金色の狂犬』として場を盛り上げるか。
精
「……んんっ……『合理的に言って合理的だな』」
1-A大半・澤先
「「「っ!?」」」
結構なクオリティの澤先のモノマネができた。
精
「『オイ緑谷、女は胸じゃねえ。ケツだ』」
1-A大半
「「「んっふ……」」」
精
「『分かってねえなマイク……ミッドナイトは隠れMなんだよ』」
1-A大半
「「「ぶはぁ!」」」
流石に吹き出した様だ。こんなシリアスな状況で澤先が絶対言わないことを3連続で言ったら、雄英生だったら笑うしかないだろう。
澤先
「オイ緑谷……」
精
「んふっ、な、なんですか……?」
直後に本家が言うと面白すぎる。俺も堪えられなかった。
澤先
「ミッドナイトは超が付くほどのドSだ。Mな訳がない」
精
「んぶっふ! で、でしょうね! ダハハハ!!!」
まさかのマジレスで爆笑してしまった。シリアスな雰囲気はどこかへ行き寮の案内が始まる。名前は"ハイツアライアンス"。1棟1クラス分で右が女子棟で左が男子棟、1階は共同スペースで食堂や風呂・洗濯などはここで済ませる様だ。
実
「聞き間違いかな……? 風呂・洗濯が共同スペース? 夢か?」
精
「『混浴がしたかったら事前に生徒同士で話し合え』」
澤先
「ややこしいことをするんじゃねえ。男女別だし混浴もするな。おまえらいい加減にしとけよ?」
混浴の上で自由恋愛するのはどうなのだろうか? 後でミッ先に聞いてみよう。2から5階は部屋で1フロア4部屋だ。一人一部屋のエアコントイレ冷蔵庫クローゼット付きの贅沢仕様だ。俺は2階で実と青山に挟まれている。
精
「実……お前が女子に手を出さないと約束したら……毎日オカズを提供すると約束しよう」
実
「分かった絶対に手を出さねえ」
百ちゃん
「サイテーですわ……」
梅雨ちゃん
「でも峰田ちゃんの手綱を握ってくれるのはありがたいわ」
コイツには先に根回しをしておかないと碌なことにならないだろう。早速部屋作りだ。あのオールマイティーな部屋とはおさらばだ。
精
「いいけど……‥女子の皆も披露してくれよ?」
トップバッターである俺の部屋を紹介する。ベットと本棚とハイスペックPCと高いペンタブと冷蔵庫ぐらいしか特筆する物がない。
実
「意外だぜ……もっとアダルトグッズがずらっとしてるかと……」
精
「人様に見せびらかす物じゃないだろ。そういうのはクローゼットの中だ」
お茶子ちゃん
「あるんや……そういえば何で凄いパソコン使ってるの?」
精
「エロい絵をハイクオリティで描くため」
梅雨ちゃん
「だと思ったわ」
百ちゃん
「解剖生理学、武術、手品、推理小説……色々な物をお読みになって、ん、こちらの本は……?」
精
「ああ、それはBL。美しい男性を描く時の参考にね。あと普通に感動する」
耳郎
「……その、もしかして……」
精
「残念ながら男は興味ないね。女が一番だ」
芦戸
「あー! 冷蔵庫に水羊羹入ってる! これ美味しかったよね!」
葉隠
「ホントだ! ねえねえちょうだい! 一口でいいから!」
精
「それじゃあ後でガールズにはあげようか」
砂藤
「あっ、しまった! 部屋でケーキ焼いてたんだった! 悪い! 見てくる!」
いつの日か砂藤シェフとの合作も試したいものだ。男子の部屋には興味がないのでスルーして女子の部屋に移る。一応、実がやらかさないように黒鞭でしばる。
耳郎ちゃんの部屋はパンクでロックだった。
耳郎ちゃん
「ハズいんだけど…………」
精
「おっ、結構いい楽器使ってるね……メーカーとか詳しくないけど、いいブランドの物でしょ?」
耳郎ちゃん
「そういうの分かるの?」
精
「男だったら一度はロックに憧れるのさ。ちなみに俺が得意な楽器はサックスだ」
実
「今なんつった?」
精
「サックスだよバカ。名前が似てるから得意になったとでも言いたいのか? その通りだよ」
上鳴
「その通りなのかよ!?」
次の葉隠ちゃんの部屋はいかにもな女子っぽい部屋だった。大小さまざまなぬいぐるみがかわいい。今度俺の故郷の鳥のぬいぐるみでも作ってプレゼントしようかな。芦戸ちゃんもお茶子ちゃんも可愛い部屋ですね。今度お邪魔します。
梅雨ちゃん
「今度は私の部屋ね……ちょっと驚くかもしれないわ」
扉を開けるとそこは加湿器と暖房がフル稼働している質素な部屋だった。
精
「サウナに来たみたいだぜ。テンション上がるなぁ~」
梅雨ちゃん
「"個性"の都合でこうしないと体調を崩しちゃうのよ」
精
「なるほどね。毎日掃除に来るから待っててね」
梅雨ちゃん
「なるべく自分でするつもりだけれど、必要な時は呼ぶかもしれないわ」
実
「じゃ、じゃあオイラも──」
梅雨ちゃん
「峰田ちゃんはダメよ」
実
「なんで緑谷は良くてオイラはダメなんだよ!?」
梅雨ちゃん
「日頃の行いね」
お茶子ちゃん
「日頃の行いやね」
百ちゃん
「日頃の行いですわ」
葉隠ちゃん
「日頃の行いかな」
響香ちゃん
「日頃の行いだろ」
芦戸
「日頃の行いだね」
精
「背が低いからだろ」
実
「緑谷お前なあ! 言って良いことと悪いことがあるだろ!?」
精
「背が低いと高所の掃除が大変だろ? もぎもぎは掃除に活躍できそうだが、お前のリーチじゃ無理だろ?」
実
「めっちゃ真っ当な理由じゃねえかよチクショウ!」
飯田
「背の高さで言ったら俺が行くべき……いやしかしそんな理由で女子の部屋に入るのは少々不健全な」
最後に百ちゃんの部屋だ。大きなベッドと豪華な本棚や机が所狭しと並んでいる。
精
「お嬢様って感じだね。いやー、あのベッドで寝てみたいなあ……」
百ちゃん
「よろしかったら寝てみますか? とてもいい寝心地ですの」
精
「いや、交際関係も無いのに女性のベッドに寝るのは……お付き合いしたら試すよ」
三奈ちゃん
「相変わらず言うねえ緑谷……何で妙な所で理性的なのかな?」
響香ちゃん
「ホント不思議だよ……それがアイツと峰田の大きな違いだろうね」
投票結果はシフォンケーキを焼いていた砂藤が一位になった。一同解散の流れとなったが……
精
「あー、ちょっと待ってくれ皆。言わなきゃいけないことがある。爆豪も起こしてくれないか? ちょっとマジな話をしなきゃいけなくてな……」
俺が待ったをかける。"神野の悪夢"の中心となった俺としては、責任を取らなければならない。そして、それにまつわる色々なことも話さなければならない。
精
「実は……俺はこの世界の人間じゃないんだ」
1-A大半
「「「……は……?」」」
梅雨ちゃんの部屋の描写があるシーンを知っている方は教えてください……どこかにあった気がするんですけど覚えていないんです……