抜きゲーみたいな島に住んでいた狂犬はヒロアカ主人公に憑依したらどうすればいいんだ?   作:神剣狩刃

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3-11 新精活

 午前5時、職人達の朝は早い。俺と砂藤はキッチンに立っていた。

 

 精

「さて砂藤シェフ、今回のメイン食材は~?」

 砂藤

「クリームチーズだ。チーズスフレケーキはこれで味が決まる。余計なものが入っていない、シンプルな奴がいいな」

 精

「それではさっそく作っていきましょう」

 

 下準備として卵の黄身と白身を分ける。空のペットボトルで黄身だけ吸い取ると楽なのでおすすめだ。卵白は冷蔵庫でよく冷やしておく。オーブンを190℃に予熱する。ボウルにクリームチーズを入れて滑らかになるまで混ぜ、砂糖を加えてさらに混ぜ、卵黄、牛乳を順に加えて混ぜ、レモン汁を加えて混ぜ、薄力粉を振るいながら加え、手早く混ぜる。別のボウルでメレンゲを作り、生地と混ぜ、気泡を整え型に流し入れて、5㎝の高さから落として空気を抜く。耐熱バットに濡らした布巾をおき型をのせ、バットの高さ1/3程度までお湯を注ぐ。190℃に予熱したオーブンで10から15分、表面に焼き色がつくまで焼く。

 

 砂藤

「手際いいなあ……故郷では料理人をやっていたのか?」

 精

「いや、治安を守る部隊に入っていた。体作りのために結構な頻度で自炊しててな」

 砂藤

「体バキバキだもんな……飯は想像つくが、どんなトレーニングしてたんだ?」

 

 女子達に教えたようにバーピーとランニングと筋トレと答えたら砂藤が若干引いた。

 

 砂藤

「そりゃ朝強い訳だ……今日はやるのか?」

 精

「色々片付いたらやるさ。でも、まずは俺の交際記念パーティーをしないとな」

 

 焼き色が付いたので温度を110℃に下げ、50から60分焼く。

 

 精

「折角だからココア練るの教えるよ。これだけ時間があれば皆の分練れる」

 砂藤

「それじゃあお願いするぜ、緑谷シェフ」

 

 手鍋にピュアココアと砂糖を入れ、弱火にかけながら少量の牛乳を加え、滑らかなペーストになるまで練る。ここの練りが甘いとダマになって焦げたり、粉っぽい仕上がりになってしまう。

 

 砂藤

「こっちのほうが手慣れてるなあ……良く作ってるのか?」

 精

「休日には必ず作ってるんでね。家族も毎週コレを楽しみにしているのさ」

 

 流石に20人分一気に作るのは不可能なため何度かに分けて作る。そうこうしてるうちにケーキも焼きあがってココアも人数分できた。

 

 精

「よし、砂藤は男子起こしてきてくれ。俺はガールズを起こしてくる」

 砂藤

「さも当然のように言うな……まあ、そうするしかないんだけどよ」

 

 

 ということで女子寮に踏み込む。普通の思春期の男子だったら興奮で三足歩行になるところだが、俺は青藍島育ち青藍島生まれ。ドスケベセックスを横目で追い越して道を歩くことも日常茶飯事だった。まるで自宅の廊下を歩くように平然としている。5階の梅雨ちゃんから順に起こして行くことに決めた。早速部屋前に立つ。ドア越しからでも湿度と熱気が伝わる。

 

 精

「梅雨ちゃん。朝ご飯出来ましたよー」

 

 コンコンとノックをするとガチャリとドアが開いて半目開きの梅雨ちゃんが出てきた。

 

 精

「おはよ、梅雨ちゃん」

 梅雨ちゃん

「おはよう出久ちゃん……いい匂いがするわね……ココアかしら……?」

 精

「それは降りてのお楽しみってことで」

 

 お次は百ちゃんの部屋だ。

 

 精

「百ちゃん。朝ご飯出来ましたよー」

 百ちゃん

「出久さん、おはようございます……あら、もうココアを作ったのですか?」

 

 百ちゃんはすでにお目めぱっちりだ。朝は慣れているのだろう。

 

 精

「時間がかかるから朝から作ったんだ。期待していいよ」

 

 4階におりて三奈ちゃんの部屋に行く。

 

 精

「三奈ちゃん。朝ご飯出来ましたよー」

 

 ノックしても三奈ちゃんが出て来ない。熟睡中だろうか。スマホでウェイクアップコールをかける。つながった。

 

 精

「もしもし? 俺ですけど?」

 三奈ちゃん

『んん……誰……?』

 精

「……んんっ、『芦戸、補習の時間だ』」

 三奈ちゃん

『朝から補習!? あいたぁ!?』

 

 ドタンと何かが落ちる音が響いた。

 

 精

「そんなわけないでしょ。出久だよ」

 三奈ちゃん

『あーびっくりした……最悪のモーニングコールだよ……』

 精

「『芦戸、正しく言うとウェイクアップコールだ。海外だと通じないぞ』」

 三奈ちゃん

「そうなの? 出久って物知りだね……」

 精

「朝ご飯出来たから降りてきてね」

 

 続きましてお茶子ちゃんだ。

 

 精

「お茶子ちゃん。朝ご飯出来ましたよー」

 

 かちゃりとドアがいてちょっと眠そうなお茶子ちゃんが出てきた。

 

 お茶子ちゃん

「おはようデクくん……ん、めっちゃいい匂いする……」

 精

「そういえば、いい匂いがする人とは遺伝子から相性がいいって、聞いたことがあるな」

 お茶子ちゃん

「ココアの匂いだよね……? 私ココアと遺伝子の相性がいいの……?」

 

 寝起きでもなかなかのツッコミだ。

 

 ラストフロアである3階に行く。まずは響香ちゃんだ。

 

 響香ちゃん

「おはよ、い、出久……」

 

 ノックする前に出てきた。イヤホンジャックで物音を聞いて目覚めたのだろう。

 

 精

「寝起きも可愛いね響香ちゃん」

 響香ちゃん

「な、あ、朝からそんなこと言うなし! 他の女子にも言ってるんでしょ!?」

 精

「響香ちゃんにしか言ってないなあ……」

 響香ちゃん

「っ! と、とりあえずすぐ降りるから!」

 

 響香ちゃんは見た目に反して奥手な子だ。グイグイ迫ると可愛い反応が見られる。最後に透ちゃんだ。

 

 精

「透ちゃん。朝ご飯出来ましたよー」

 

 ノックをしても出て来ない。コールをしても繋がらない。意外と朝弱いの──

 

 透ちゃん

「わあ!」

 精

「ああえおああ!?!?!?」

 

 真横から透ちゃんの声が聞こえた。流石にびっくりして故郷の例の言葉っぽい悲鳴が上がった。

 

 透ちゃん

「やったあ! 逆寝起きドッキリ大成功! すぐ準備して降りるね!」

 精

「マジで分からなかった……次回から対策しないと……」

 

 嬉しそうに部屋に戻って行ったから大丈夫だろう今服着てなかったよな? 裸で待ってたの? もしかして透ちゃん露出趣味ある? とりあえず一階に戻る。エレベーターが開いた瞬間、実が駆け寄ってきた。

 

 実

「おい緑谷ぁ……収穫はどうだった……?」

 精

「ねえよ。ノックで起こして回っただけだ」

 実

「ちっ……お前からオカズを貰ってなきゃ許さなかったぞ……」

 

 許してもらえたようだ。続々と1-Aのメンバーが揃う。

 

 精

「おはようございます。本日の朝食は『チーズスフレケーキ~泡沫の夢幻仕立て~』と緑谷シェフの十八番『ココア~甘苦の抱擁仕立て~』でございます」

 砂藤

「ハードル上げるなよ!? 本気で作ったが、そんな大層な名前つけられると思ってなかったぜ!?」

 精

「なお、口に合わなかった場合は緑谷シェフが即席で何か作りますので、遠慮なくお申し付けください」

 

 ケーキを切り分け皿に盛りココアと一緒に提供する。では、いただきます。

 

 お茶子ちゃん

「んー!!! おいしー!!!」

 三奈ちゃん

「メッチャフワフワじゃん! 口の中で溶ける!」

 透

「これ手作り!? お店出せるよ!」

 梅雨ちゃん

「ケーキもおいしいけど、ココアがとってもおいしいわ」

 百ちゃん

「滑らかな口当たりに濃厚な香り……ここまでのココアは私の家でも飲んだことがありませんわ……」

 響香ちゃん

「ヤオモモがここまで言うってことはすごい高いココア使ってるんじゃ……」

 精

「ココアはバンホーテンの物を使っております。そこそこの値はしますが、驚くほど高いものではありません」

 

 ガールズからの評価はばっちりだ。男子達の方はどうだろうか?

 

 青山

「んー、ディ・モールトベネ☆」

 口田君

「お……おいしいよ……」

 切島

「スイーツもイケるのかよ緑谷!」

 常闇

「名に恥じぬくちどけ……実に甘美だ……」

 障子

「八百万の言う通りココアも中々だな……」

 轟

「うめえ」

 爆豪

「チッ……気に入らねェ……」

 飯田

「そう言いつつもしっかり食べきってるではないか」

 瀬呂

「1-Aの台所番はあの2人で決まりだな」

 実

「チクショウ……! 緑谷に勝てる点がオイラには一つもねえ……!」

 精

「大丈夫だ実。お前には……ほら、マスコット的な可愛さがあるから」

 尾白

「無理矢理絞り出しましたみたいな言い方だな……」

 

 男子達からも概ね好評だ。これなら問題ないだろう。

 

 精

「先生たちにもお裾分け兼、袖の下の贈り物に行ってくるわ」

 

 精

「ということで、日頃の感謝を込めて先生方もどうぞ」

 セメ先

「おや、ケーキにココアとはお洒落だね」

 騒音公害(プレゼント・マイク)

「オイオイ、いい生徒を持ったなイレイザー!」

 エクトプラズム先生

「一人一ツカ……"分身"シテモイイカ?」

 澤先

「ダメに決まってるでしょう。大人げないですよ」

 ブラ先

「緑谷コイツの料理は美味い。俺とイレイザーが保証する」

 根津校長

「1年担当の2人のお墨付きかあ! これは期待しちゃうね!」

 13号先生

「これはコスチュームを外さないと……よいしょっと。*1

 マイト

「ではみんなで手を合わせ──」

 ミッ先

「んー! なにこれすっごいおいしいじゃない!」

 

 まさかのミッ先がフライングした。俺はフライングを見逃してもらっているため咎められない。

 

 騒音公害

「ずりーぞミッドナイト! じゃあ俺も、うお、めっちゃウマいなコレ!?」

 澤先

「料理の腕は相変わらずだな……あとは発言さえまともになれば文句なしだが……」

 根津校長

「ははは、若くていいじゃないか」

 マイト

「ま、まあ、そこは自信の表れということで……」

 ブラ先

「このココアも手作りか? どこかで買ってきた奴じゃないのか?」

 13号先生

「これは一から練ったココアですね……滅多にないおいしさですよ……」

 エク先

「緑谷、作リ方ヲ教エテクレナイカ? 分身ニ作ラセタイ」

 

 先生方にも好評だ。だからここで本題をぶっこむ。

 

 精

「マイト……これだけ先生が揃うこともないですから、俺の秘密を言ってもいいですか?」

 マイト

「っ!? き、君がいいなら構わないが……いいのかい?」

 精

「今言わなきゃ面倒になるでしょう。いつかその日が来るんですから」

 

 ということで俺がこの世界の人間でないことと、緑谷出久を戻せるぐらい平和にするのが目的だということを先生方に話した。

 

 騒音公害

「……本気で言ってるのか?」

 マイト

「彼の話は本当です。私は彼が変わる瞬間を間近で見ましたから」

 根津校長

「オールマイトが言うなら本当なんだろうね……」

 13号

「ですが……僕達は一体何をすれば──」

 澤先

「簡単ですよ。今まで通りに教育を続ければいいんです」

 

 澤先があっさりと答えを出した。

 

 エク先

「イレイザー……彼ハコノ世界ノ人間デハナイノダゾ?」

 澤先

「この世界の人間でなくても、雄英の一生徒であることには変わりません。俺は担任として指導を続けます」

 ブラ先

「……そうだな。別に悪事を企んでるわけでもなさそうだしな」

 ミッ先

「……良く打ち明けてくれたわね。辛かったでしょう?」

 

 ミッ先が抱きしめてくれた。

 

 ミッ先

「ここで全部話していいわ。もし、人前で言えないことがあるなら……私が個人的に面談をしてあげるわ」

 精

「ミッ先との個人面談がしたいです」

 澤先

「まずは担任である俺を頼れよ」

 精

「澤先怖いからヤダ」

 騒音公害

「俺もミッドナイトとイレイザーだったらミッドナイトを選ぶなあ……」

 マイト

「相澤くんは真面目だけど愛想がないからなあ……」

 ブラ先

「少々合理的過ぎるから心境的な悩みの相談は難しいかもしれないな……」

 

 澤先のやり方に思うところがある先生も多いようだ。澤先がピキってる。

 

 澤先

「コイツら……」

 根津校長

「ま、まあまあ。緑谷くんの悩みはかなり大きな物だから、本人の希望を尊重しようじゃないか」

 エク先

「ソレニ仮免取得モアル。解決デキル悩ミハ解決シテオイタ方ガイイダロウ」

 13号先生

「それじゃあ会議室を1つ使いましょう。ミッドナイト先生、緑谷くんをお願いします」

 

 よし。これでミッ先と2人きりになって目一杯甘えられ──ミッ先が舌なめずりをしている。

 

 精

「ミッドナイト先生?」

 ミッ先

「あら……はしたない所見せちゃったわね。ケーキとココアがおいしかったからつい……」

 

 絶対違う。獲物を狩る女の目をしている。これやっちまったのでは? ああ、ごめんなさい1-Aガールズの皆、俺の初めてはミッ先が奪うかもしれないです。

*1
素顔がめっちゃ美人でびっくりした




この作品はR-18作品ではないのでそういうことは起きないです。期待した方には先に謝ります。誠にごめんなさいでした。
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