抜きゲーみたいな島に住んでいた狂犬はヒロアカ主人公に憑依したらどうすればいいんだ?   作:神剣狩刃

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4-02 土口精:レイジング

 週明け、学校に来た俺の顔を見るや否や皆がヒッっと小さな息を漏らした。

 

 精

「…………どうした皆……? 俺の顔に何か付いているか……?」

 実

「付いているっていうか、憑いているっていうか……」

 百ちゃん

「その、インターンで何がありましたの……?」

 精

「……嫌なことがあったとだけ」

 三奈ちゃん

「その……おっぱい揉む?」

 精

「いらない」

 飯田

「これは異常事態じゃないか……?」

 

 胸に抑え込んでいる激情の割には授業は真剣に行えた。いつも以上のパフォーマンスを発揮し、先生たちから心配された。

 

 澤先

「……緑谷、もし辛いことがあったのならいつでも相談に乗ってやる」

 精

「相談よりも発散に付き合ってくれた方がありがたいですね。先生の中にどれだけ暴行を受けても死なない"個性"の人っています?」

 澤先

「……もっといい方法で発散できないか?」

 精

「ミッ先の膝枕で眠ってみます」

 

 ミッ先に頼んだら頭を撫でるサービス付きでやってくれた。気持ちよく眠れたがまだまだ収まらない。こういう時は体を動かすに限る。体操着に着替えてランニングをする。OFAS10%で走り込んでいると、鶏ガラのマイトが走っていた。折角だから声をかけるか。

 

 精

「よう、マイト」

 マイト

「緑谷少年がき顔が怖い!? 何があったんだい!?」

 

 インターンで起きた事を色々話す。ついでに気になっていたことも聞く。

 

 精

「サーさんがOFAを知っていて、ミリオ先輩が候補だった……言うべきだったんじゃないか?」

 マイト

「言う必要……あったかな」

 精

「今から俺が聞くから言う必要がある」

 

 マイトは意を決したように口を開く。マイトがAFOとの戦いで大怪我を追った際、サーさんはマイトの未来を"見た"そうだ。それによるとマイトは今年か来年に敵と戦って死ぬそうだ。それでサーさんはマイトと袂を分かち、ミリオ先輩を後継にすべく育成をしていたそうだ。そこでマイトが緑谷を見つけて後継にしたが、俺が憑依して今に至るということだ。

 

 マイト

「君に渡した時はどうなるかと思ったが……最終的にはあの緑谷少年に渡ることになるからよかったよ」

 精

「そうですか……んじゃ、未来を変えられるように頑張ってください」

 マイト

「え? それだけ? 私、結構凄いこと話したと思うけど……」

 精

「別に人が一人死ぬってだけの話でしょう? 皆大げさなんですよ。たとえNo.1ヒーローだろうが人に変わりはありません。後継も出来たし言うことないじゃないですか。余生を楽しく過ごすための努力は大切ですよ」

 

 俺は別にマイトに特別な情を抱いているわけではない。ただ一人のヒーローぐらいにしか思っておらず、ヒーローだったら殉職もよくある話だろう。それぐらいで大げさすぎる。それよりも俺の治崎に対しての怒りの方が問題だ。

 

 マイト

「…………やはり君はこの世界の人間ではないんだね」

 精

「だからこそ出来ることがある。この世界の人間では思いもよらぬことがね」

 

 例えば1-Aガールズ全員と付き合うとか、と言ったらマイトが血を吹き出した。こいつまさか女性経験ないのか?

 

 

 数日たってサーさんから呼び出しがかかった。早速行こうと思ったら切島が挨拶してきた。

 

 切島

「お!!? 緑谷ァ!! おはよ!! お前も今日行くんだ!? キグーだな!」

 精

「手土産の菓子作りが大変だったぜ。今日はプリン──」

 お茶子ちゃん

「あれー!? おはよ──!! ふた──」

 精

「あっ、お茶子ちゃんと梅雨ちゃん!!!*1おはよう!!! プリン作ったの!!! 食べる!?!?!?」

 梅雨ちゃん

「嬉しいけれどインターン先への手土産じゃないのかしら?」

 精

「今この瞬間に2人の分になったから大丈ー夫!!!」

 切島

「俺の分はねェのか!?」

 精

「しょうがないなあ……5人分作ったからお茶子ちゃんと梅雨ちゃんが2つずつで、余りは切島にやるよ」

 

 と言う訳で皆でプリンを食べながら目的地に向かう。道中でお茶子ちゃんと梅雨ちゃんにあーんをしていたら、羨ましそうに見ていたのであーんしてやった。そうじゃねェんだが……とか言っていたが乗ってくれるあたりいいやつだ。だから先日起きたインターン先の事件でも大活躍だったのだろう。

 

 精

「……アレ? そういえば皆のインターン先ってこっちだったっけ?」

 

 俺の疑問に皆がプリンを飲み込んで答える。

 

 切島

「なんかいつもと場所が違くてな」

 梅雨ちゃん

「先輩と現地集合なのよ」

 お茶子ちゃん

「ナイトアイっていうヒーローの事務所に行くの!」

 精

「えっ、俺のインターン先じゃん」

 

 ナイトアイ事務所前にはビッグ3が集まっていて、事務所の中にはいろんなヒーローがいた。グラントリノに澤先もいる。サーさんの案内で2階の会議室で死穢八斎會についての協議が始まる。サーさんのサイドキックのバブルガールとムカデっぽいセンチピーダーさん曰く、強盗団の事故から死穢八斎會をマーキングし調べていたところ敵連合と接触があったそうだ。

 

 ヒーローA

「話が進まねえや、本題の"企み"にたどり着く頃にゃ日が暮れてるぜ」

 デカくて丸っこいヒーロー

「ぬかせこの二人はスーパー重要参考人やぞ」

 

 立ち上がりながら発言したヒーローの名前はファットガム。"脂肪吸着"というなんでも吸着し沈められる俺の天敵みたいな"個性"を持っている。そのファットさん曰く、切島こと烈怒頼雄斗のデビュー戦で"個性"を壊す"クスリ"が天喰先輩に打ち込まれたらしい。それを聞いてミリオ先輩が心配そうに天喰先輩に尋ねる。

 

 ミリオ先輩

「環、大丈夫なんだろ!?」

 

 環先輩は魅せるように右腕を牛の蹄に変えた。朝からヌき家とは分かっているなこの先輩。撃たれた直後に病院で検査した所、"個性"を使うのに必要な"個性因子"傷ついていたそうだ。切島のおかげで手に入った一発を調べた結果、人の血や細胞が入っていたという。

 

 精

「そんなことできんのか……治崎の"個性"もすごいな……」

 サーさん

「いや、治崎の"個性"は『オーバーホール』。対象の分解と修復が可能なだけだ」

 

 分解と修復。原料が人の血や細胞。原料になる人間がいれば幾らでも作れるわけだ。じゃあその原料はどこから────エリちゃんが包帯を巻いていた。俺に助けを求めていた。治崎の事を以上に恐れていた。これはもう、そういうことだろう。

 

 精

「その弾の原料がエリちゃんだと言いたいんですね? それを治崎が売りさばこうとしていると言いたいんですね?」

 ナイトアイ

「実際の所は分からないが……もしも弾の完成形が"個性"を完全に破壊するものだとしたら……悪事のアイデアがいくつでも湧いてくる」

 

 なるほど?

 

 一同

「「「ッ!!!」」」

 

 皆が俺の方を向く。

 

 ファットガム

「な、なんやこの殺気は……!? 子供がだしてええもんやないで……!?」

 グラントリノ

「比較対象がアレだが、あの時のヒーロー殺しに勝るとも劣らねぇ……!」

 ナイトアイ

「……気持ちは分かるが落ち着け。そう殺気を立てられては話が進まん」

 精

「……ちょっと離席します」

 

 徐に立ち上がり会議室を後にする。トイレに行き個室に入り鍵をかける。

 

 精

「まともに殺してもらえると思うなよ治崎いいい!!!!!!!!!!」

 

 一度殺すだけでは足りない。出来る限り惨たらしく痛めつけた上で、一生苦痛を味わい続けてもらえないと気が済まない。思いつく限りの罵倒を叫び散らかす。

 

 精

「…………いい加減外出るか。会議が進まねえ」

 

 個室から出る。

 

 澤先

「流石にアレは見逃せない……何があったのか話してもらうぞ」

 

 澤先が洗面台前にいた。

 

 精

「……故郷での出来事が関連しているんです」

 

 俺の故郷はヤクザの手によって一度壊されかけた。いいヤクザもいるが治崎は悪いヤクザだろう。しかも、己の悪事のために人を利用している。まして、あんな小さな女の子を虐げている。治崎は俺の怒りの地雷にハットトリックを決めた。殺意を覚えても仕方ないだろう。それを聞いて澤先が頭を掻きながらため息を吐いた。

 

 澤先

「…………お前の怒りは真っ当なものだ。だが、ヒーローの仕事は人助けであって人殺しではない。それは忘れるな」

 精

「……善処します」

 澤先

「……連合が関わるからインターンの中止を言おうと思ったんだが、今のお前にそれを言ったら間違いなく飛び出すだろうなからな。会議は終わった。この資料持って皆と少し話せ」

 

 澤先から資料を貰って皆と合流する。

 

 精

「……トイレで何をしていたか聞きたい?」

 切島

「漢が一人でいた時の事情なんか聞いちゃいけねえ……だろ、皆?」

 梅雨ちゃん

「そうね。出久ちゃんが言動以上に熱い心を持っているのは皆知っているわ」

 お茶子ちゃん

「だから……一緒に頑張ろうねデクくん!」

 

 皆から励まされて俺の心は少し落ち着いた。やはり持つべきはこういう仲間だ。

 

 澤先

「気休めを言う。お前はあの場で正しい選択をした。そこはプロヒーローイレイザーヘッドが認める」

 

 作戦が決まるまでは待機だ。エリちゃんを何としてでも助けないと。そのためにもしっかり準備をしないと。

 

 

 待機中の俺の学業への取り組みはすさまじかった。振り切った怒りは俺に莫大な力を与え、他を圧倒していた。

 

 響香ちゃん

「インターン組の動きがキレてるけど……出久がヤバい……アレ人間の動き?」

 

 怒りの衝動で間違えてOFASを15%で発動した所問題なく扱えた。そのおかげで黒鞭も動きながらある程度扱えるようになってきた。

 

 精

「黒鞭を何本か地面や壁や天井に突き刺して固定し、それを起点に変則的に動き回る……反応で圧倒する極点領域に対し、動きで圧倒するこっちは"金色領域(ゴールデンテリトリー)"って所か……」

 爆豪

「外で何か掴みやがったんだ……! コラオイ何を掴んだか言え!!」

 精

「……不倶戴天の怒りとだけ言っておこう」

 

 そしてユニフォームにもあの機能を付けることができた。これで俺の戦力はぐっと上がった。あとは待つだけだ。

 

 飯田

「その……食べ過ぎではないか?」

 

 食堂で食事をしている時、飯田がやんわりと俺に指摘した。まだ定食5つしか食べてないのに。

 

 精

「ヤケ食いでもしないと収まらねえ」

 轟

「……俺のそばやるから終わりにしてくれ。見てるこっちが気持ち悪くなっちまう」

 精

「締めはラーメンにする」

 

 シメの豚骨ラーメンを流し込んで昼食を終える。さて、夕食は何にしようかな。

*1
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