抜きゲーみたいな島に住んでいた狂犬はヒロアカ主人公に憑依したらどうすればいいんだ?   作:神剣狩刃

41 / 109
4-03 理不尽な理と真っ当な怒り

 我と死柄木は死穢八斎會所有地の地下に案内された。ソファーとテーブルと代紋が掲げられたシンプルな部屋だった。ソファーに座って話を始める。

 

 九玉

「いい部屋だ。飾ればいいという美学は我の好みではない」

 小さい組員

「先日の電話の件本当なんだろうね? 条件次第でウチに与するというのは」

 死柄木

「都合のいい解釈をするな。お互いのニーズが合致しているだけだろ」

 

 死柄木がテーブルに足を乗せて威嚇する。こういうところが幼い。我が左手で足を下ろさせる。

 

 九玉

「お前こそ勝手に話をこじらせるな死柄木。我々は協力してもらう側だ」

 オバホ

「なるほど、敵連合は死穢八斎會の"傘下"に──」

 九玉

「まずは"計画"について教えてもらおう。その内容次第では"傘下"も考えよう」

 

 治崎が小さな注射器のようなものを取り出す。

 

 オバホ

「個性消失弾だ」

 九玉

「効果と生産体制はどうなっている?」

 オバホ

「現状は一時的に"個性"を止めるだけだが、いずれは完全に消失できる計算だ。生産体制は完成形になってから言わせてほしい」

 

 我の求めている物その物ではないか。ならば答えは一つだ。

 

 九玉

「トガちゃんとトゥ、トゥワイスとコン、プレスをやろう。我や死柄木や荼毘では小回りが利かぬ。マグネとスピーナは少々力不足だし、黒霧は所用で渡せぬ」

 

 全てを渡せるほど信頼できないが、乗るには悪くない話だ。

 

 オバホ

「その3人をくれるなら十分だ。では向かい入れの段取りを──」

 死柄木

「いい加減にしやがれ九玉!!!」

 

 死柄木が我の喉を両手で絞める。苦しくはないが崩壊と再生の繰り返しで非常に痛い。

 

 死柄木

「てめえは敵連合をどうしたいんだ!? 俺たちの居場所をどうしたいんだ!?」

 

 死柄木は敵連合がどうなるのか見えていないようだ。ならば我が説明しよう。

 

 九玉

「先を見ろ死柄木……死穢八斎會と組めば我が理に一気に近づく」

 死柄木

「そういう話じゃねえんだよ!」

 九玉

「そういう話だいい加減現実を見ろ餓鬼が」

 

 死柄木の腹部に拳を入れ怯ませる。そして両腕をひねり上げ地に伏せさせる。

 

 九玉

「我は敵連合の理……理に従わぬというなら――理不尽に殺してもいいぞ?

 死柄木

「この……! クソッ……! 分かったよ……!」

 

 死柄木が抵抗を止めて我に屈した。それを確認し死柄木を解く。

 

 九玉

「では、段取りが決まり次第連絡を頼む」

 オバホ

「そちらもしっかりと交渉を済ませてくれ。くれぐれも怪我だらけでよこすなんてことがないように頼む」

 九玉

「帰りは要らぬ。我の"世界移動"で帰れる」

 

 

 世界移動で拠点に帰り、トガちゃんとトゥワイスとコンプレスに話をする。

 

 コンプレス

「うーん……俺はいいけれど……活躍できそうかい?」

 九玉

「お前ほど向いている男はいない」

 

 コンプレスは問題なさそうだ。

 

 トゥワイス

「お前は敵連合を何だと思っているんだ!?」

 九玉

「我が理を成すために必要な存在だ」

 

 トゥワイスは反対のようだ。

 

 トガちゃん

「私にとっては連合は気持ちが良い。生きやすい世の中に出来るものならしてみたいと思うのです。ねェ九玉さん何のために辛くて嫌なことしなきゃいけないの?」

 

 トガちゃんはもっと反対のようだ。くるくると回りながら我に近づいて、我の喉元にナイフを突きつける。これが彼女なりの問い方なのだろう。だから我自らが動いて喉にナイフを差し込む。

 

 九玉

「全ては理のため……理がなされれば我の、そして敵連合の思い通りになる。我にはもう敵連合しか居場所がないのだ。だから敵連合をより良い場所にしたい。そのために必要なのだ」

 

 ナイフから我の首をスポンと引き抜く。あっという間に傷がふさがり血も止まる。

 

 トガちゃん

「なら最初からそう言ってください。理がなんとかじゃよく分からないです」

 トゥワイス

「お前の話は分かり辛いんだよ! もっと簡単にしろ! いや、複雑にしな!」

 

 2人も分かってくれたようだ。

 

 死柄木

「クソッ……説得失敗して焦ればよかったのに……」

 マグネ

「私とスピナーが力不足って……九玉ちゃんが優しいのか厳しいのか分からないわ……」

 スピナー

「まて……俺のことをスピーナって言ってなかったか? 俺はスピナーだぞ?」

 

 こちらの3人は微妙に納得しきって無い様だ。

 

 九玉

「3人は敵連合のために死穢八斎會に行く……くれぐれもそれを忘れないでくれ」

 

 そして3人が出向する日がやって来た。コンプレスにお守りとしてあるものを圧縮して持たせる。

 

 コンプレス

「お守りとしては完璧だねえ……」

 死穢八斎會組員

「お迎えに来ました……おや、九玉さんは?」

 トガちゃん

「超極秘重要任務で席を外しています」

 トゥワイス

「いない奴の事はどうだっていいだろ!? 重要だぜ! 早く連れていけよ!」

 

 以前よりも遠回りのルートを通って死穢八斎會の本拠地につく。治崎が話の船頭を取り、別の男の声が出向組の"個性"を喋らせた。

 

 トゥワイス

「何で……違う! これはいつもの俺じゃない……!!」

 トガちゃん

「……!?」

 コンプレス

「マジシャンが種明かしをするのはショーの後なのになあ……」

 

 恐らく自白させる"個性"がいるのだろう。その声の持ち主が再び質問をする。

 

 自白させる男

「九玉から裏切りの予定を聞かされたか?」

 トゥワイス

「No……」

 トガちゃん

「いいえ」

 コンプレス

「いいや?」

 

 我が言ったのはあくまで『敵連合のため』であって、『裏切れ』とまでは言っていない。この言葉が決定打となり出向組は死穢八斎會の一員となった。とはいってもしばらくは地下の居住スペース内の半軟禁生活のようだ。それでも奴らとはある程度の信頼関係を築けた。さて、ここからは我の理に染め上げていくぞ。

 

 

 あの会議から2日経ち、ついに作戦決行日が決まった。サーさんの"予知"の結果、エリちゃんは死穢八斎會の本拠地にいるということだ。その情報に笑顔がこぼれる。

 

 精

待ってろよ治崎ぃ……泣いて殺してくださいって懇願するまで痛めつけてやるぅ……」

 お茶子ちゃん

「怖いよデクくん!? ヒーローがしていい笑顔じゃないよ!?」

 梅雨ちゃん

「落ち着いて出久ちゃん。作戦の目的はエリちゃんの保護よ」

 切島

「お前の怒りは分かるが……やり過ぎんなよ? 前科が付いたら元に戻るどころじゃなくなるだろ?」

 

 そして迎えた決行日。俺はコスチュームに身を包み、誰よりも早く集合場所につい──

 

 サーさん

「いくらなんでも早すぎるぞω……」

 

 サーさんがいた。俺が早く来る未来でも見たのだろうか。

 

 ω-99

「おはようございますサーさん。体温めてきますね」

 

 ストレッチから入り、軽いシャドーボクシングをして、軽くランニングをする。軽く汗をかくぐらい体を動かせばウォーミングアップ完了だ。

 

 サーさん

「やる気は認める。だが、目標はエリちゃんの保護だ。くれぐれも忘れるな」

 ω-99

「エリちゃんの保護のためにどうしても治崎を倒す必要が出たら教えてください。死んだほうがましなレベルの拷問をしますから」

 サーさん

「今回で一番心配するべきは君がやらかさないかどうかだな……」

 

 なんてことを話していたら今回の役者たちが集まって来た。様々なヒーローに雄英仮免ヒーロー、警察まで来た。敵を倒すのはヒーローでも捕まえるのは警察の役目のようだ。ということでAM8:30、皆で死穢八斎會の事務所に行く。警察がインターホンを鳴らすと同時に、黒いペストマスクっぽい仮面をした大男が扉を殴りながら出てきた。

 

 大男

「何なんですかァ、朝から大人数でぇ……」

 

 警察官が何人か巻き込まれ吹っ飛ばされたので黒鞭で助ける。大男の追撃をリューキュウさんが止めたのを見て一気に突入する。庭内の組員が抵抗するそぶりを見せたので黒鞭で首を絞める。

 

 ω-99

ASAP(エーイーサップ)*1でやんなきゃいけないんでな。あと警察のお墨付きだから俺は無罪だ」

 ファットガム

「やるやん自分、その調子で頼むで!」

 

 プロからの激励を受け事務所内に突入する。隠し扉だの隠し通路だの生きる迷宮だの分断だの面倒なことをしてきやがる。おかげで俺と澤先の二人きりになっちまった。これがカワイ子ちゃんと2人きりならともかく──

 

 ロックロック

「施錠!! 敵連……」

 

 分断された壁の向こうで何かあったらしい。壁を蹴り壊すと立っているロックロックと倒れているロックロックが2人いた。6の4乗で1296と言った所か。

 

 ロックロック

「緑谷そっちは大丈夫か?」

 ω-99

「ええ、はやく治崎の……」

 

 ロックロックが俺にナイフを構えて笑う。分かりやす過ぎる。澤先が一睨みし"変身"が解ける。

 

 ω-99

「だよねトガちゃん! 裸になるのはセクシーすぎるぜ! 抱いていい!?」

 トガちゃん

「相変わらずだね! でも会えて嬉しいなァ出久くん!!」

 

 澤先が捕縛布で捕まえようとしたが、逆にトガちゃんから一刺し貰った。本当にトガちゃんの動きは恐ろしい。次の瞬間、トガちゃんと壁で分断されてバイバイになってしまった。

 

 ω-99

「敵連合が関与しているとは聞きいたがトガちゃんがいたか……」

 

 壁や床が大いにうねって俺たちを圧殺しようとしてくる。早く本体を見つけないと面倒になりそうだ。上から叫び声が聞こえる。OFAS15%で声の発生元を蹴り飛ばす。男が姿を現した。澤先が男の"個性"を抹消し、サーさんが判子を投げて男の意識を奪った。

 

 ロックロック

「立ち止まってる場合じゃねえだろ! 早く行け!」

 

 言われなくてもそのつもりだ。壁を壊して進んでいくとルミリオンと治崎が戦っていた。ルミリオンはボロボロだった。勢いそのままに治崎の左肩を思いっきりぶん殴った。肩から先が千切れ飛んだがすぐに修復された。

 

 イレイザーヘッド

「ナイトアイ、確保を!!」

 

 澤先が治崎を"抹消"させてる間にナイトアイがエリちゃんを確保する。俺と澤先が治崎に向かって飛び掛かる。苛立った治崎が叫ぶ。

 

 治崎

「起きろクロノォ!!」

 

 澤先が俺を押して敵の攻撃から庇った。その瞬間治崎が部屋を分解し修復し、手下の1人を自分の下に引き寄せた。

 

 治崎

「音本本当によくやってくれたよ、お前なら俺のために死ねるだろう!?」

 

 そして手下と自信を融合させた。禍々しい四本の腕全てから"オーバーホール"を使えるようだ。

 

 ナイトアイ

「こいつの相手は私がする! 貴様はルミリオンとエリちゃんを!!」

 

 ナイトアイが判子を投げて怯ませた隙にルミリオンとエリちゃんを避難させる。そしてナイトアイの加勢に入ろうとして────ナイトアイが貫かれていた。

 

 ω-99

「────"不俱戴天"

 

 その言葉に反応しインカムからとある音声が流れる。

 

 卵(再現)

『お兄ちゃんは弱いよね?』

 

 目にもとまらぬ速さで黒鞭を部屋中に展開する。その際に治崎を貫いたがすぐに修復された。

 

 治崎

「諦めろ、この程度の傷──」

 

 その言葉は俺の金色領域(ゴールデンテリトリー)内で消えた。人体の反応速度を超えた俺の連撃によって治崎は全身開放骨折になったからだ。

 

 ω-99

「早く治せよ。そしたらまた折ってやる」

 治崎

「ば、バカな……」

 ω-99

「こっちはルミリオンとナイトアイを持ってかれたんだ。最低でも二回やんなきゃ割に合わない」

 

 治すだろうと予測し再び治崎に迫る。パリンと何かがはじける音がした。

 

 ???

「やれやれ……その程度の力で支配者になるとは……所詮半端者の長だな」

 

 黒い何かが治崎を守った。人の身体なら耐えられるはずもない連撃を耐えた。

 

 ω-99

「ウソだろ……何で……死穢八斎會にいるんだよ……!?」

 

 治崎への怒りより驚愕が勝った。黒い何かがムクリとこちらを見る。紅い髪、紫の瞳、そして黒い体──

 

 九玉

「我の理のためだ」

 

 九玉さんだった。

*1
As Soon As Possibleの略。できるだけ早くを意味する。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。