抜きゲーみたいな島に住んでいた狂犬はヒロアカ主人公に憑依したらどうすればいいんだ? 作:神剣狩刃
青山の一件から数日、再び1-Aに激震が走る。
澤先
「文化祭があります」
1-A一同
「「「ガッポォオォイ!!*1」」」
青春の極みみたいなイベントじゃないか。これは大チャンスだ────
切島
「いいんですか!? この時代にお気楽じゃ!?」
冷や水を差してきやがった。これだけは絶対にやらなきゃいけない。楽しい思いはしないといけない。
精
「こんな時ばっかり常識人ぶってんじゃねえぞ! だったら警備増やせばいいいだろ!」
澤先
「どちらの言い分ももっともだ。文化祭は
簡潔にまとめるとヒーロー科主体の動きの学校の動きのうさ晴らしをしましょうってことらしい。
澤先
「
精
「えっ!? その関係者ってもう決まっちゃいました!?」
それはよくない。なんとしてでも来てほしい人がいるのだ。じゃないと俺の計画が崩れてしまう。俺らしくなくガチに聞いてしまった。
澤先
「お前がそんなに焦るのは珍しいな……誰を呼びたかったんだ?」
精
「ワイプシの皆様と洸汰君を呼びたかったんです。合宿で多大な迷惑をかけたお詫びをしたくて……」
澤先
「なるほど……それだったら問題ないだろう。向こうの都合が付いたら呼ぼう」
それを聞いて一安心だ。確かワイプシは長期活動停止中だったはずだから、都合はいくらでも付くだろう。
澤先
「決まりとして一クラス一つ出し物をせにゃならん。今日はそれを決めてもらう」
クラスで一つの意見を決める。これはもう俺の独擅場だろう。傍らに百ちゃんを侍らせ教卓に着く。
精
「ここからは特待生兼A組委員長緑谷出久が進行をつとめさせてもらうぜ! 出し物はミュージカルライブだ!」
1-A一同
「「「いくら何でも強引すぎるだろ!?!?!?」」」
想定通りのブーイングが飛んでくる。メイド喫茶だのオッパブだの闇と光の宴ショーだのパック開封デスマッチだの意見が飛び交う。ここは俺の一喝で黙らせよう。
精
「一般生徒は黙っていろ! 俺は委員長である! 委員長の素晴らしい意見を聞かせてやろう!」
俺の気迫で一回黙らせたところで俺の論を展開する。
精
「まず意味不明な物や不適切な物は却下だ。つぎに飲食系はランチラッシュを超えられないから却下だ。そして他科がメインとなる以上俺たちだけが楽しんじゃいけない。エンターテイメントを提供できる形のものがいい。その上でヒーロー科らしいものと言ったら……"個性"による演出を使ったミュージカルライブだろう」
俺の論に皆が納得し黙る。
轟
「俺もそれに賛成だ」
三奈ちゃん
「超意外な援軍が!! でも私もダンスやりたい!!」
どこかの学級裁判並みに唐突な援軍だった。ダンスは三奈ちゃんが教えられるという。
精
「となると音楽は……響香ちゃんがいる! 楽器持ってるってことは演奏できるってことでしょ!」
響香ちゃん
「い、いや……ウチのは本当只の趣味だし……正直表立って自慢できるモンじゃないつーか……」
響香ちゃんがイヤホンジャックを指で合わせながらもじもじしている。ここは『金色の狂犬』として背中を押してあげよう。
精
「大丈夫。俺が認める。――だって響香ちゃんだもん」
上鳴
「そうだぜ! あんなに楽器できるとかめっちゃカッケーじゃん!!」
口田
「……耳郎さん、人を笑顔にできるかもしれない技だよ。十分ヒーロー活動に根ざしてると思うよ」
こちらからも援軍がやって来た。根負けした響香ちゃんが頭を掻きながら恥ずかしそうに口を開いた。
響香ちゃん
「ここまで言われてやらないのも……ロックじゃないよね……」
精
「よっ! 1-Aのエルヴィス・プレスリー*2! ジミ・ヘンドリックス*3が地獄でハンカチを噛んでいるぜ!」
響香ちゃん
「い、言いすぎだって……! あと勝手に地獄に落とすな……!」
さて、出し物も決まったし演出を考えるぞ。
演出を考える日々の中、俺は澤先に呼ばれてミリオ先輩と一緒にエリちゃんのお見舞いに行くことになった。入院生活以来初めての要望だそうなので、全力でおめかししていくことにした。
ミリオ先輩
「かっこいい金のジャージだね! 有名ブランド物かな!?」
精
「ドンキ・オオテ沼津店でニーキュッパーレイで買いました」
ミリオ先輩
「意外と安いね! 今度俺も買っちゃおうかな!」
ミリオ先輩にも似合うと思う。この人は元から金髪だし、体格もいい。それは一旦置いといて、エリちゃんと再会する。
精
「やあ。今日はミックスジュースを作っていくよ」
ミリオ先輩
「そこまでしちゃうか! 普通に食べてもらうつもりだったんだけどな! 桃好きそうだし!」
エリちゃんはミリオ先輩から渡されたフルーツバスケットを困ったように見つめている。
エリちゃん
「リンゴ」
ミリオ先輩
「だと思ったよね!!」
切り替え早すぎだろ。故郷の屑畜生女かよ。呆れながらリンゴを1つ空中に投げ、細くした黒鞭で六等分し皿に乗せる。ミリオ先輩は拍手喝采だったが、エリちゃんはいまいち浮かない顔をしている。まだ治崎から受けた傷が癒えていないようだ。
精
「こんな小さな女の子から笑顔を奪うなんて……あのゲス外道が……」
ミリオ先輩
「緑谷くん、抑えて抑えて……エリちゃんの前だから……」
治崎への怒りは一旦抑えるとして、どうすればエリちゃんを笑わすことができるだろうか? どんな人でも笑顔になるような物事が──あった。まさにさっきまで考えていたじゃないか。
精
「澤先! エリちゃんを文化祭に呼びたいんですが構いませんね!?」
澤先
「……なるほど」
エリちゃん
「ぶんかさい……?」
ミリオ先輩
「俺達の通う学校で行う楽しいお祭りさ! リンゴアメとか出るかも!」
エリちゃん
「リンゴアメ……?」
ミリオ先輩
「リンゴをあろうことかさらに甘くしたスイーツさ!」
エリちゃん
「さらに……」
エリちゃんが涎を垂らして反応している。
精
「あまいですよー」
エリちゃん
「あまいですよー……」
これは相当期待しているな。屋台で出すとは限らないから事前に砂藤シェフと一緒に作るとするか。
エリちゃん
「……私考えてたの救けてくれた時の……救けてくれた人のこと……ルミリオンさんたちのこともっと知りたいなって考えてたの」
なんていい子なんだ。もう10年早く産まれていれば1-Aガールズと一緒にお付き合いしただろう。
ミリオ先輩
「俺休学中だからエリちゃんとつきっきりデートできるよね!」
エリちゃん
「でぇと?」
ミリオ先輩
「蜜月な男女の行楽────」
精
「ミリオ先輩?」
ミリオ先輩
「──っていうのは冗談で、男性と女性が仲良くする事さ!」
俺は故郷の教えによってロリに手を出す奴は許さない。たとえ冗談であっても、そういうことは俺の前で口にしないで頂こう。
他のインターン組が補習を受ける中、俺はインターン停止処分を喰らっているためミュージカルライブの考案に集中できる。文化祭は一か月後に迫っているため早々と決めて練習をしたい。
精
「曲はこの二曲だ。一曲目は緩めにやって二曲目で一気に決める……まずは一曲目の演出だが、これは歌詞通りにやっていこうと思う」
共有スペースにいる皆に曲を聞かせる。
透ちゃん
「子供向けの曲かーって思ってたけど……めっちゃいい曲じゃん……」
常闇
「まさに"個性"社会に向けての曲だな……」
精
「まずは俺と青山が出て……ここは実と障子に出てもらおう。実はもぎもぎで、障子は木のコスプレと複製腕で頼む」
青山
「任せて☆入りからキラメいて汚名返上といこうじゃないか☆」
実
「いいけどよ、ここで出る木の実ってもっとナッツっぽい奴じゃないのか?」
障子
「『木』の『実』ということだろう……任せろ」
この調子でどんどん決めて行こう。
精
「ここは俺と口田が出て……これは梅雨ちゃんしかいないでしょ」
口田
「蛙吹さんは良い人だから難しいな……でも、演出上やる必要があるよね、頑張るよ」
精
「頑張って怖がってくれよ。ここで皆出てきて……次のは百ちゃんに作ってもらって、お茶子ちゃんに浮かせてもらうか」
百ちゃん
「実際に雲を作るのは難しいですから、綿で代用しましょう。あとで麗日さんにお伝えしないといけませんわね」
一曲目の大まかな演出は決まった。そしたら二曲目だ。再び曲を聞いてもらう。
瀬呂
「カッケェ曲だなあ……タイトルもシンプルながらいいな」
尾白
「でも、これをミュージカルにするって難しくないか?」
そこで俺はチッチッと舌と指を鳴らす。
精
「こっちはダンスだ。演出やライブもこっちのほうをメインにする」
三奈ちゃん
「ダンスの指導は任せて!」
響香ちゃん
「となると……ベースとかドラムやってた人いる?」
皆シーンと黙ってしまった。
精
「俺はできるけど……最後の演出で出たいから演奏には参加できないんだよな……爆豪、お前センスあるからできない?」
爆豪
「あ?」
次の瞬間、爆豪がプロ顔負けのロールを始めた。コイツに出来ないことは品性と素行を良くすることだけだろう。
精
「お前船乗れ」
爆豪
「ああ……雄英全員音で殺るぞ!!」
途中から合流したインターン組含め各々の要望と経験から続々とパートを決めて行く。
精
「イカれたメンバーを紹介するぜ! まずはバンド隊!! ボーカル兼ギター響香ちゃん! ギター上鳴、常闇! キーボード百ちゃん! ドラム爆豪! 続いて演出隊!! 俺、口田、切島、瀬呂、青山、轟! 残りはダンス隊! バンド名は……えー……Aバンド! さあ、死ぬ気で練習するがくれぐれも死ぬんじゃねえぞ!」
1-A一同
「「「おー!!!」」」
土曜日。世間一般では休日かもしれないが俺にとっては違う。
三奈ちゃん
「疲れたー! 出久マッサージしてー!」
お茶子ちゃん
「私もー! デクくんのマッサージはすっごく気持ちいいんだよ!」
梅雨ちゃん
「ケロケロ、それは楽しみね」
透ちゃん
「じゃあ私も私も!」
百ちゃん
「ここは皆で仲良く受けましょう」
響香ちゃん
「アンタには歌も教えなきゃいけないから。ほら早く早く」
精
「……異論はないさ、レディー」
何を隠そう1-Aガールズ皆と仲良くする日だ。女子にいいように扱われるのは最高に興奮するが、体はそうも言ってくれない。OFASだの黒鞭だの使える"個性"をすべて使ってマッサージをする。
お茶子ちゃん
「あ゛ー……これこれ……久しぶりや……」
梅雨ちゃん
「ケロ……確かに気持ちよくなれるわね……ちょっと出久ちゃん、触り方がいやらしいわよ」
透ちゃん
「ちょっと、出久! それ以上上やったら怒るから!」
三奈ちゃん
「変なトコ触ったら溶かしちゃうぞー?」
百ちゃん
「私は肩を重点的にお願いしますわ……凝って仕方がありませんの……」
響香ちゃん
「発育の暴力……ウチももうちょっとあったらなあ……」
精
「じゃあ胸が大きくなるマッサージを──」
1-Aガールズ
「「「
はい。そんなにぎやかな空間に来訪者がやって来た。
ミリオ先輩
「やあ! 前途ー?」
エリちゃん
「ターザン……?」
私服のミリオ先輩と可愛い服のエリちゃんだ。1-A一同からチヤホヤされるエリちゃんだったが、まだ人前に出るのは慣れていないらしい。ミリオ先輩の後ろに隠れてしまった。
ミリオ先輩
「と言う訳でこれから俺エリちゃんと雄英内を回ろうと思ってんだけど、緑谷くんもどうだい!?」
精
「ありがたい誘いですけど、俺はガールズと一緒にいなきゃいけないので──」
1-Aガールズ
「「「
はい。行ってきます。詰め込みすぎな演劇をやるB組、ミスコンに出るねじれちゃん、流石に風呂には入ってほしい明ちゃんと色々見て回り、食堂で休憩する。
精
「天高く俺肥ゆる秋……今日も飯が上手い」
ミリオ先輩
「すごい食べるね! 定食4つは俺でも厳しいかな!」
エリちゃん
「オメガさん、お腹空いてたの……?」
精
「ライブの練習に本気を出してね。流石にそろそろシメの担々麺だよ」
???
「それだったらこのチーズをお裾分けしようかな?」
ふと隣を見ると根津校ミッ先おるやんけ!!!
精
「ミッドナイト先生! 担々麵あーんしてください! 手が疲れて黒鞭で食べてるぐらいなんです!」
ミッ先
「分かりやすくていいわね。早く頼んできなさい」
担々麵を頼んでいる間に4人の会話が聞こえる。今回の文化祭は警察からいろいろ言われて、警備を増やして、警報が鳴ったら即座に中止と非難の上で何とか開催できたらしい。大変な事情だが、ミッ先からのあーんの前にはどうだっていい。
精
「ミッドナイト先生! あーん!」
雛鳥のように口を開けて待ち構える。
ミッ先
「汁なし担々麺にしたのね。あーんしやすくていいわ」
ミッ先がレンゲの上に起用に麺を乗せて俺の口に入れ────
精
「かっら!!!」
ランチラッシュ
「ごめんごめん、間違えて激辛用のスパイス入れちゃった。作り直すよ」
ギリギリで吐き出さなかった俺は偉いと思う。