抜きゲーみたいな島に住んでいた狂犬はヒロアカ主人公に憑依したらどうすればいいんだ?   作:神剣狩刃

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4-10 土口精の日常その2

 

 俺はいつかこの世界からいなくなる。だから俺が居た証として日記をつけている。大事件を書き記すのも大切だが、何気ない日常も書き記すべきだろう。これまでにあった日常をページをめくりながら思い出す。

 

 

 今日は日曜日。神様は休むかもしれないが俺は休んでいられない。なにせ、今日はお茶子ちゃんと一緒にいる日だからだ。AM6:30、朝ごはんの仕込みが終わったのでお茶子ちゃんを起こしにいく。

 

 精

「お茶子ちゃーん。朝ご飯の時間ですよー? 早く起きないと学校に遅刻するわよー?」

 

 ドアをノックするとジャージ姿のお茶子ちゃんが眠たそうに出てきた。

 

 お茶子ちゃん

「おかんか……あと日曜日やから遅刻はせえへんやろ……」

 精

「ナイスツッコミ。やっぱりお茶子ちゃんのツッコミはいいなあ。俺もいつかお茶子ちゃんにツッコミたい」

 

 準備したらすぐに行くからとお茶子ちゃんは部屋に戻っていった。その間に共有スペースのオーブンで仕込んでおいたものを温める。女性の朝の身支度は一日を決める大切な儀式で、時間がかかるのは当然だ。まして今回お茶子ちゃんに振舞うのは餅料理、出来立てを提供できるようにきっちりと時間を合わせないといけない。

 

 精

「レンジはチンするっていうけど、オーブンはなんて言えばいいんだろう? ブン? それともオー? いっそのことオーブンするでいいのかも?」

 お茶子ちゃん

「そんなこと考えてないで私に構ってよ!」

 

 意外と早くお茶子ちゃんが来た。服は整ってるが髪がまとまってない。櫛を押し付けてきているからそういうことだろう。焼けるまで髪を梳いてあげよう。ぽわっとした髪に反してするすると櫛が通る。

 

 お茶子ちゃん

「デクくんのシャンプーいい奴だね……女子達皆が驚いてたよ……」

 精

「緑谷の髪がすごいくせっ毛でな……故郷の先輩にもお勧めしたいぜ、百ちゃんがCMやってたシャンプー」

 

 そうしている間にオーブンがオーブンした。焼き加減はばっちりだ。ミトンで持ってお茶子ちゃんの前に置く。

 

 精

「お待たせしました。『明太餅チーズグラタン~豆乳仕立て~』です。飲み物は濃いめに水出しした冷たい緑茶です」

 お茶子ちゃん

「わあ! 朝からご馳走やね! 火傷しないように気を付けないと……いただきまーす!」

 

 お茶子ちゃんがフーフーしながらグラタンを食べる。それでも熱かったらしくハフハフしている。すごく可愛い。

 

 お茶子ちゃん

「めっちゃ熱い! でも、おいしい! 明太子のピリ辛とチーズのまろやかさが合ってる!」

 精

「チーズとホワイトソースは豆乳で作ってあるんだ。牛乳の物よりも優しくてマイルドな仕上がりになるんだ」

 お茶子ちゃん

「これを冷たいお茶で……くーっ! コレコレ! デクくんのお茶はおいしいね!」

 精

「それは市販のティーパックを倍量入れただけだけどね。はい、お茶子ちゃん、あーん」

 

 お茶子ちゃんからスプーンを貸してもらってあーんをする。お茶子ちゃんは恥ずかしそうにパクリと頬張った。頬を赤く染め、モチモチと喜んでいる。とってもかわいい。

 

 精

「ところでカロリー聞きたい?」

 お茶子ちゃん

「それは絶対に言わないで」

 精

「……はっぴゃ」

 お茶子ちゃん

「デクくん?」

 

 はい。

 

 

 朝ご飯も終わって二人でお茶子ちゃんの部屋で何しようかという流れになる。シンプルな部屋で落ち着くお茶子ちゃんの部屋だが、故に何をしようか悩ましい。

 

 精

「これはもう『自主規制』するしかないのでは?」

 お茶子ちゃん

「そういうことは女子から誘われた時だけって言ったでしょ!」

 精

「冗談冗談。そうだ、お茶子ちゃんって近接格闘を主軸にしようって言ってたよね」

 

 確かウルトラガンヘッドスーパーマーシャルデラックスアーツだかを職場体験で習っていたはずだ。

 

 お茶子ちゃん

「そんな派手な名前じゃないよ!? G(ガンヘッド)M(マーシャル)A(アーツ)だよ!?」

 精

「じゃあそのガンシャを見せてくれるかな?」

 お茶子ちゃん

「今度は略しすぎや! 何か分からんくなっとる!」

 

 お茶子ちゃんのINTでは何の単語かのアイデアロールに失敗したようだ。真実を教えたらなんて言われるだろう。『私じゃなくてデクくんが見せるべきやろ!』と言うだろうか。ともかくそのンヘッシャアーを俺にかけてもらう。

 

 お茶子ちゃん

「ワザとだよね!? ツッコミ待ってるよね!?」

 精

「なるほど……俺の技術とはちょっと方向性が違うな……」

 

 お茶子ちゃんのGMAは素手を前提としているが、俺のSQCは武器を扱うことも視野に入れている。尾白丸の尻尾ように武器があればいいのだが、お茶子ちゃんにはそれがない。戦闘の型が多いのはいいことだが、不必要に浅い型を増やしても枷にしかならない。お茶子ちゃんにSQCを教えるのは止めよう。

 

 精

「でも、いいと思うよ。しっかり体と技術を鍛えれば間違いなく武器になる」

 お茶子ちゃん

「やったあ! デクくんのお墨付きなら問題ないね!」

 

 お茶子ちゃんは俺を組み伏せながら喜んでいる。ここから返そうと思ったら"個性"を使わないといけないので十分だろう。一度解いてもらって自由を手に入れる。

 

 精

「お礼をしなきゃね。お茶子ちゃんの絵を描いてあげるよ」

 お茶子ちゃん

「そういえば高いパソコン持ってたもんね……折角だからデクくんが描いてるところみたいな!」

 

 ということで俺の部屋に案内する。

 

 お茶子ちゃん

「わ、甘い匂いがする……バニラとココア?」

 精

「俺が思う休まる匂いなんだ。ちょっときつかったかな?」

 お茶子ちゃん

「ううん、そんなことはないよ。でも、意外だったかも」

 

 ちなみに故郷では鼻を鈍らせないためだったが、ここでは俺の『自主規制』の後の匂いをごまかすためだったりする。寮生活だからそういう匂いは残さないようにしている。早速PCを起動して絵を描いていく。

 

 お茶子ちゃん

「わわ、早い! って何書いとるんデクくん!?」

 精

「あ、ごめん。つい癖で裸差分から描いちゃった。局部の描写はぼかしておくね」

 

 レイヤーを分けて描くのは当然だが、R-18差分も描くのは当然だ。今度1-Aガールズの絵を描く時は気を付けよう。そこからすらすらと筆を進め絵を描いていく。

 

 精

「お茶子ちゃんは可愛くて活発的だから……こうやって手足を配置して……」

 お茶子ちゃん

「いや、もうプロやん……売り物レベルやん……」

 

 実際故郷で偶に本島のイベントに委託販売をすることもある。こんじきわんこ先生は俺だ。お茶子ちゃんには冷蔵庫の中身と本棚の本は自由にどうぞと伝え、ちょっと集中して描く。

 

 精

「……こんなもんかな? どうかなお茶子ちゃん?」

 お茶子ちゃん

「あ、できた? 見せて見せて……わあ……!」

 

 コスチュームを着たお茶子ちゃんが青空から降りてきているイラストだ。仰向けに寝ている所を横から見た構図で、両手をやや後方に伸ばし、右足はやや膝を曲げて上に伸ばし、左足は膝までは上向きでそこから曲げてつま先は下に向けている。

 

 精

「名付けて『ウラビティデイズ』って所かな。お茶子ちゃんのケータイに送るからメアド教えて」

 お茶子ちゃん

「あ、うん……待ち受けにしてもいい?」

 精

「もちろんさ。裸差分いる?」

 お茶子ちゃん

「いらない」

 

 はい。

 

 

 夕食を終え、再びお茶子ちゃんの部屋に行く。夜になって男女が1つの部屋に2人、何が起きてもおかしくない。

 

 精

「ぶっちゃけお茶子ちゃんは俺とどこまでの関係を期待している?」

 お茶子ちゃん

「うえええ!? きゅ、急に何を!?」

 精

「お互いがどこまでを望むかはっきりさせておかないと、熱量の違いから関係が悪くなっちゃうかもしれないじゃん?」

 お茶子ちゃん

「あー……そうだよね……」

 

 俺とのお付き合いは限定的なものだ。終わりを見据えて付き合う必要がある。だからここではっきりと聞いておきたいのだ。

 

 精

「俺としては……将来を見据えてのお付き合いはできないからさ。身も蓋もないこと言うけど、身体の関係以上は無理だと思う」

 お茶子ちゃん

「直球すぎる……でも、それが現実だよね……うーん……」

 

 しばらく悩んだ後お茶子ちゃんは覚悟を決めたように────俺の唇を奪った。急すぎてお互い一瞬フリーズした。そこからお茶子ちゃんが顔を真っ赤にしながら口を開いた。

 

 お茶子ちゃん

「……私はデクくんのことが好き。でも、私が好きなデクくんはいつかいなくなっちゃう────だから私がするのはここまで。これ以上はしない」

 

 どんなに好きでも別れることが前提ならコレ以上の行為はしない。かなり現実的な決断だろう。だから最終確認をする。

 

 精

「伝えられなかった思いは一生伝わらない……お茶子ちゃんが思うままにしたっていいんだよ?」

 お茶子ちゃん

「大丈夫。しまっておくの」

 

 その決意は固い様だ。それを押しのけてまで迫るつもりはない。

 

 精

「……俺はお茶子ちゃんを尊重するよ。でも、他の子が迫ってきたらどうする?」

 お茶子ちゃん

「…………私もデクくんを尊重する。デクくんが『やりたいようにやれ』ばいいと思うよ」

 

 好きな人だからこそ幸せになってほしい。たとえそれが自分以外の誰かがその人を幸せにすることになったとしても。その思いは痛いほどよく分かる。

 

 精

「……ありがとう、お茶子ちゃん」

 

 俺はお茶子ちゃんを優しく抱きしめ、頭を撫でる。お日様のように温かい。でも、俺の胸では雨が降っている気がする。

 

 お茶子ちゃん

「…………やっぱりデクくんはデクくんやね…………入試試験の時からそうだった」

 精

「懐かしいね……あの日お茶子ちゃんが俺を助けてくれなかったら、俺はここにいなくて、いや、どこにもいなくなる所だった。本当にありがとう、お茶子ちゃん」

 

 一度離れ、今度はキスをしながら抱き合う。顔は見ない。コレ以上はできない。それでいい。これだけでも十分思いは伝わる。

 

 お茶子ちゃん

「……これで私が一番やね」

 精

「…………うん、そうだね」

 

 無粋なことは言わない。俺のファーストキスはお茶子ちゃんだ。お茶子ちゃんは雨上がりの虹ような笑顔を見せてくれた。おかげで俺の胸の雨も晴れた。

 

 

 日記帳を閉じて思い耽る。

 

 精

「……お茶子ちゃんは本当にいい子だ。将来はきっと良い人を見つけられるはずだ。でも、他の子とエッチな事をしてもいいなんて許可が出るとは思っていなかったな……お茶子ちゃんなりの配慮だ、その時は遠慮なく楽しむとしよう」

 

 この日記帳の中身ももっと面白くなっていくだろう。俺の青春はまだまだ続いていく。




思ったよりもしっとりとした感じになってしまいました。でも、お茶子ちゃんだったら一歩引く感じの子だと思うんですよね。
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