抜きゲーみたいな島に住んでいた狂犬はヒロアカ主人公に憑依したらどうすればいいんだ? 作:神剣狩刃
5-01 【衝撃の展開!?】No.1ヒーロー倒してみた【ポロリもあるよ!!】
時は11月下旬、ビル登る茶なるものが発表された。誰がいたかはほとんど覚えていないが、一位がエンデバーという男だったのは覚えている。だが、それどころではない。我ら敵連合は未曽有な危機が訪れていた。
九玉
「金がない。ヒットする動画を取りに行くぞ」
荼毘
「当てがある。俺についてきてくれないか、九玉さん?」
金がない事情については後々話すが、我は荼毘についていき九州までやって来た。何でもハイエンドという凄い脳無のテストをして、それを投稿すれば大ヒット間違いなしということだ。撮影に良い場所を探すべく町を歩く。いいスポットはないかと歩いていると──────腹が減った。
九玉
「こちらナインボー、空腹のためどこかで食事を摂る」
ちなみにナインボーとは我のコードネームだ。我の見た目は異形系といえば特に詮索されないが、名前を言うと流石にバレる。なのでこの作戦ではコードネームを使って会話している。
荼毘
「こちら荼毘、余裕があったら俺の分も買ってきてくれ。蕎麦が良い」
持ち帰りができる蕎麦屋など近くにあるだろうか。しかし、悠長に探していると我が空腹で判断が鈍くなる──────我の目にヨリドリミドリという店が入った。この名前なら何でも売っているだろう。15Fと少々高い階層だが、食前の運動にはいいだろう。カツンカツンと階段を昇っていく。
店員
「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」
九玉
「1名様だ。空いてる席ならどこでも──────」
窓辺の広い席に2人の男が座っていた。一人は文字通り顔から火が出ている大男で、もう一人は背中から翼が生えている軽薄そうな男だ。最近どこかで見たような気がする。気になるから話しかけてみるとしよう。
九玉
「失礼、ちょっとお聞きしたいことがあるのだが……」
炎の大男
「っ!? なぜ貴様がここに!?」
我を見て炎の大男が慌てて立ち上がる。どうやら我のファンのようで、握手をしたいらしい。
九玉
「撮影前の腹ごしらえをしようとな」
羽の生えた男
「撮影……まさかこの町で何かするつもりすか?」
こちらもファンのようだ。ファンサは大切だとジェントルとラブラバに教えてもらったからしっかりしよう。
九玉
「この町でハイエンド脳無の性能テストをしようと思っていてな。危なくなるからこの町から離れた方が良いぞ」
炎の大男
「……ホークス、貴様の噂は本当のようだな?」
炎の大男がホークスと言った。確かNo.2ヒーローの名前がそんなのだったような気がする。
ホークス
「エンデヴァーさん!! 窓!!」
羽の生えた男がエンデヴァーと言った。No.1ヒーローの名だ。つまり、我の前にはNo.1と2のヒーローがいる訳で────窓を割ってハイエンド脳無が入って来る。
ハイエンド脳無
「どレが一番強イ?」
九玉
「我だ、と言いたいがそこのエンデバーという大男が一番ということにしてほしい」
我が言い終わると同時にエンデバーが左拳から炎を噴き出し、脳無を吹き飛ばす。
エンデヴァー
「ホークス! 避難誘導を────」
言い終わる前に脳無がエンデバーを掴んで、ビルの壁を貫いて押し出す。大した力だ。流石ハイエンドというだけある。脳無がそのまま腕を振るいビルを横に両断する。このままだとビルが大通りに落ちて大惨事だ。
九玉
「……仕方あるまい。『破壊の──」
ホークス
「被害部分の76名全員避難完了!」
九玉
「理』」
両手からエネルギーを放ち倒壊していく上部を灰燼に帰した。ホークスのおかげで被害者は出なかったようだ。
九玉
「ほう、気が合うな」
ホークス
「お前の目的はなんだ……!?」
九玉
「金だ。いい動画を取るためには犠牲者はエンデバーのみにしたい」
我は懐にしまっておいたスマホを取り出す。タップ1つでライブ配信ができるようになった。これで我も立派な配信者になった。
九玉
「んん……こんぎょく~♪ 突然のライブ配信だよ~♪ 題して、『No.1と脳無戦わせてみた!』だよ~♪」
ホークス
「くっ……! だったら俺があなたを止めて────」
九玉
「我の配信の邪魔をするな♪」
カメラを空高く放り投げ、『世界移動』を利用した瞬間移動でホークスを背後から組み伏せる。
ホークス
「お、俺の"剛翼"で感知できなかった……!?」
九玉
「なんだ、No.2の力はそれだけのもの────」
瞬間、全身が羽で貫かれる。体の力が抜けて拘束が緩む。再生の一瞬の隙を突かれて蹴り飛ばされる。
ホークス
「あなた、戦い方がなってないっすよ」
ホークスが羽でスマホを受け止めこちらに向ける。我が地に這う姿を収めたかったようだ。
ホークス
「でも……配信の邪魔をしなければ手を出さないってことでもありますよね?」
スマホを投げ渡される。何とか掴みスマホの無事を確認する。
九玉
「……我に二言はない。貴様がエンデバーの手助けをしようと、我は撮影するだけだ」
ホークス
「流石『敵連合の理』っすね。その真っ直ぐさだけは褒めますよ」
そう言ってホークスはエンデバーの手伝いに飛んで行った。その後は脳無が首を千切って投げてエンデバーに一撃喰らわせたものの、再び焼かれて敗北するという結果になった。これでは企画倒れだ。荼毘に相談しよう。
九玉
「こちらナインボー。見えているか?」
荼毘
「ああ。脳無の回収に行くぞ」
2人でエンデバーとホークスの下に現れる。
荼毘
「初めましてかな? エンデヴァー」
九玉
「脳無の回収に来ただけだ。貴様らに手出しをするつもりはない」
荼毘が青い炎で周りを囲う。その隙に脳無の回収を────空からタンッと何者かが間に割って入る。
???
「ニュース見て"跳んで"きたぜ! 面白れぇ事になってんなエンデヴァー! ホークス!」
長くて白い長髪、褐色の肌に筋肉質の身体、何より兎の耳が目立つ女性だ。
兎の女性
「てめェら連合だな! 蹴っ飛ばす!」
誰だ? 最近見たような気がするが思い出せない。件のビル登る茶でみたような────
荼毘
「ミルコ……!? ったくいいとこだったのに……氏子さん」
荼毘の身体からごぽりと異臭のする泥が噴き出る。氏子の下に行くようだ。
荼毘
「また今度なNo.1ヒーローさんよ、また話せる機会が来るだろう。その時まで……精々頑張れ死ぬんじゃねえぞ轟炎司!!」
ミルコ
「今話してけ!」
なら我は────
九玉
「荼毘、動画編集の準備をしておけ」
ルミコの蹴りを左手で受け止める。
九玉
「────えー、緊急で企画を変えます♪題して『うさぎ鍋作ってみた』♪実は……我はお昼ご飯を食べてなくて、お腹ペコペコなの♪」
ミルコ
「てめェは相手してくれるようだな……! なら話を聞かせてもらう……ぜ……?」
そして右手でルミコの身体を舐め回すようにスマホで撮影する。
九玉
「鍛え抜かれた良い体だ。蹴りの強さも、跳躍力も、この強靭な脚から放たれているのだな」
ミルコ
「……何してんだてめェ?」
九玉
「恵まれた女性の体を撮影すると再生数が伸びる。やり過ぎるとBANされるから気を付けろと言われているが……企画倒れになった手前、視聴者にサービスシーンを作ろうと思ってな」
ミルコ
「そういうのに手を出したらそれでしか伸びねェぞ!」
掴んでいた足が引き剥がされる。荼毘の炎で焼かれて我のエネルギーも補充できた。ここからが始まりだ。
九玉
「どうせいつかBANされるのだ、その前に貴様の裸の無修正動画を残すのも敵らしいだろう、
ミルコ
「"個性"関係無しの犯罪じゃねェか! あと
ミルコの蹴りを避け────想像以上の速さに避けきれず顔面に一発貰う。そのまま蹴りで滅多打ちにされる。
ミルコ
「配信者としても敵としても引退してもらうぜ!」
九玉
「成程……加減の必要なしか。我も少し本気を出そう」
そして我は全身にエネルギーを巡らせる。細胞一つ一つに送り込み、まるで緑谷のOFASのように。
九玉
「名付けて────『
ミルコの蹴りを頭突きで受け止める。そしてミルコの足からじゅっと焼ける音が響いた。咄嗟にミルコが後ろに飛び退く。
ミルコ
「アッツ!? 何しやがった!?」
九玉
「我は今、全身にエネルギーを巡らせている。それは全身に熱を帯びるということ……帯び続ければ人の組織を焼くこともできるだろう」
我の身体は脳無だ。ただの人の組織ではなく、相当な高温でないと炭にならない。
九玉
「そして単純に身体能力も上がる」
ミルコの蹴りに合わせて我も蹴りを放つ。ゴジュっと凄まじい音共に衝撃波が広がる。
ミルコ
「ぐっ!? 追いついてきやがった!?」
九玉
「追いつくではない、追い抜くだ」
瞬間移動も合わせた予測が困難な連撃を浴びせる。前から蹴りを、後ろから拳を、横や下から撮影を。兎の本能的な感知ができるミルコと言えど、現れる場所までは予測できないようだ。
ミルコ
「────ッ、コイツ……!」
九玉
「では止めだ」
上空を撮るようにスマホを置く。そして瞬間移動でミルコを掴み、再び瞬間移動で上空に連れ去る。
九玉
「ここなら人を巻き込まなくていいな」
ミルコ
「まさか────」
空中でミルコを投げ飛ばす。
九玉
「『プルトラ・プロパン』」
先のエンデバーの必殺技を我なりに模倣して全身からエネルギーを放つ。エネルギー効率の面から言って最悪な技だが、動画になった時はかなり映える技だろう。
着地してスマホの無事を確認する────と当時に我の頬に何かがめり込む。
ミルコ
「火を通すにしちゃあぬるいぜ!?」
ちょっと煤が付いたぐらいのミルコの拳だった。
九玉
「……兎を焼いたのだから我が糧になると思ったのだがな」
ミルコ
「てめェの倒し方が分かったんでな! くたばってられねぇんだよ!」
我の倒し方が分かった? 超再生にエネルギー変換を持つ我を、近接攻撃のみで倒す? どうすればできるというのだ。
九玉
「苦し紛れの嘘にしてはつまらない。もっと盛り上がる嘘を────」
ミルコ
「
瞬間、我の首が潰れる程絞まる。我の目の前でミルコが逆立ちをして四の字固めの要領で我の首を絞めている。
ミルコ
「てめェの瞬間移動は厄介だが……何で連発しねぇんだ? 今も瞬間移動すりゃあ逃げれるだろうによ」
九玉
「かっ……ぐっ……!」
息ができない。これでは────
ミルコ
「瞬間移動する前に息を吸う音が聞こえたんだよ。それも毎回だ────『瞬間移動には呼吸をする必要がある』ってことだろ?」
この短時間で我の数少ない弱点を見抜いたというのか。
ミルコ
「しかも大技も連発せずに、放つのは決まって私から攻撃を受けた後────『エネルギーは外部から受けたものを由来としている』……違うか?」
これが本気のプロヒーローか。
ミルコ
「てめェは他の脳無と違って知性も"個性"も飛びぬけていやがる……気に入らねぇが生け捕りにさせてもらうぜ!」
侮っていた。ならば我も抗わせてもらおう。ミルコのコスチュームを乱雑に剥ぎ取る。かなりの力が必要だったが、破いて裸にすることができた。
ミルコ
「ハッ! 裸になったぐれぇで私が緩めると思ったか!?」
九玉
「い、いや……コレが必要だった……」
コスチュームを解き細い糸にする。そして我の首に巻きつけ────一気に引っ張って首を切り離す。
ミルコ
「なっ!?」
九玉
「これで呼吸できる」
超再生によって呼吸器ができた瞬間に呼吸をする。そして瞬間移動を駆使し、スマホを回収してミルコの裸体を撮影する。
九玉
「んん……と言う訳で今回は大失敗に終わっちゃいました♪ ミルコのサービスショットを撮るから許してほしいな♪ では、じゃんけんターイム♪」
ミルコ
「ぐっ! 逃すかよ!」
九玉
「我の撮影を邪魔するな♪」
空いている手で衝撃波を放ちミルコを吹き飛ばす。
九玉
「……パーを出してしまったな。まあ、そういう時もある。では、またどこかで会おう」
スマホでの配信を切り、瞬間移動でジェントルの家に戻る。ジェントルとラブラバがPCを前にうなだれている。
九玉
「どうだ? 企画倒れにはなってしまったが────」
ジェントル
「どうだじゃないよ!? またBAN確定じゃないか!?」
ラブラバ
「女性のセンシティブな動画はダメって何回言ったら分かるの!?」
2人にものすごい勢いで詰められる。
九玉
「だが、普通の企画ではもう再生数が伸びなくて────」
ジェントル
「切り抜きの転載が蔓延るような展開はダメなんだって!」
ラブラバ
「あー!? 言ってる傍からもうBANされちゃったわ!?」
どうやら我の配信者としてのスキルはまだまだのようだ。もっと腕を磨いて敵連合の広告活動がしっかりできるようにならないと。