抜きゲーみたいな島に住んでいた狂犬はヒロアカ主人公に憑依したらどうすればいいんだ?   作:神剣狩刃

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5-07【奇跡】我の敵無双【新メンバー追加!?!?!?】

 気月

「それにしても脆い理だったわね。まあ、歴史的に見ても暴君の圧政なんて革命で崩れて────」

 九玉

「バカも休み休み言え」

 

 我は焦げた屍の中からムクリと起き上がった。

 

 気月

「……数十人による一斉爆破よ? 人だったら耐えられるわけ────」

 九玉

「貴様は本編を見るべきだったな」

 

 我は気月に掌を向けエネルギー爆発を起こした。

 

 九玉

「蔓延っている切り抜きではミルコが裸になったシーンだけだが、その前にミルコが言っている。『てめェは()()()()()()()()知性も"個性"も飛びぬけていやがる』と」

 解放軍戦士達

「「「キュリオスさまァァァ!!!」」」

 

 戦士たちが爆破に包まれた気月を案じて叫びだす。我は一息ついてボロボロになったスーツを正す。

 

 九玉

「案ずるな。殺しはせぬ……が、丸裸にはする」

 気月

「……どういう意味かしら? 私がインタビューアーだから意趣返しをするのかしら?」

 

 煙の中から気月が現れる。多少煤がついているが、目立った傷はない。

 

 気月

「でも、あなたは私の何を知っているのかしら?」

 九玉

「乳の大きさぐらいだな」

 気月

「……は?」

 

 気月は気付いていないようだ。だから我は撮影しているジェントル達に呼び掛ける。

 

 九玉

「ジェントル、ラブラバ! サービスショットだ! どうせBANされるのだから撮りまくれ!」

 ジェントル

「到底紳士的とは言えないが、もうこのチャンネルの恒例行事になったからね!」

 ラブラバ

「BANされてもまたチャンネルを立てればいいわ! そういうのは慣れっこよ!」

 

 気月の後ろでジェントル達がスマホを構える。空気の膜で防御しながら撮影とは実に器用だ。

 

 気月

「……何を言ってい────まさか」

 

 気月が自分の体を触る。あるべきはずモノが無くなって焦りだしている。

 

 九玉

「言っただろう。丸裸にすると」

 気月

「きゃあああああ!?!?!?」

 

 気月が乳と股間を隠しながらヘタリと座る。これで今回もトレンド入りは間違い無しだろう。

 

 解放軍戦士A

「うおおお! キュリオス様の裸! アソコまで青いんだ! アソコの毛も髪と同じ色だ!」

 解放軍戦士B

「解放軍だから欲望も解放していいよな!? どうせ爆破されて死ぬぐらいならヤることヤってから死んでやる!」

 気月

「ちょ、ちょっとあなた達!? 何するつもり!?」

 

 異能解放軍としての忠誠心より、我という強大な存在への恐怖が勝ったのだろう。男共が目の前の裸の女に対して欲望をむき出しにしている。

 

 気月

「ひ、ひっ……! こ、こないで……!」

 

 気月は何度も地雷を起爆させるが一つ一つの威力が足りなく、足止めにすらなっていない。

 

 解放軍戦士C

「うへへへ……よくよく見たら上物の女じゃねえか……頂き────」

 九玉

「弁えろ色欲魔共が」

 

 男共を衝撃波で吹き飛ばす。気月は何が何やらという顔でこちらを見ている。

 

 九玉

「交渉だ。貴様が我々につくというなら、貴様の貞節を保証をしよう」

 気月

「あ、あなたがこの状況を作ったくせに……!」

 九玉

「なら我は蟻爛を助けに行くだけだ。そもそも貴様を助ける義理はどこにもない。さらばだ、行くぞジェント────」

 気月

「わ、分かったわ! あなた達についていくわ!」

 

 よし。

 

 

 このまま裸なのは流石に可哀そうだということになって、ジェントルが上裸になって気月にスーツとシャツを渡す。気月はひったくるようにスーツで上半身を隠し、シャツで下半身を隠した。

 

 気月

「せ、背に腹は代えられないからとはいえ……こんなの屈辱よ……!」

 九玉

「ミルコは堂々としていたぞ? 我も裸になったぐらいでは戦いは止めぬというのに……」

 ジェントル

「ううん……流石に気月くんに同情するね……」

 ラブラバ

「女性にとって裸を見せるっていうのはとっても神聖な行為なのよ! 堂々としているのはどうかと思うわ!」

 

 ジェントルとラブラバが言うのだからそうなのだろう。異能解放軍の戦士たちを蹴散らし真っ直ぐに進んでいく。

 

 ???

「すごい活躍だね。まあ、僕に勝てるとは思えないけど」

 

 突如、我の身体が大量の氷で覆われる。動くことも呼吸することもできなくなった。

 

 下典

「僕の名前は下典(げてん)。もう終わりだから言うけど僕の異能は"氷操"、氷を温度まで操ることが出来る」

 

 企画映えしそうな"個性"だ。ぜひとも味方にしたい。理の確立を発動し全身にエネルギーを送る。次第に氷が溶けていき、動けるようになったところで氷を砕く。

 

 下典

「……驚いた。かなり冷たくしたはずなのに」

 九玉

「熱量の扱いなら慣れているのでな。それに、温度に下限はあっても上限はないだろう?」

 

 例え"個性"で温度を下げられたとしても、絶対零度より下になることはない。"個性"といえど身体能力の一種でしかなく、この世の理を超えることは出来ない。瞬間移動をして下典の首を絞める。

 

 九玉

「貴様も我がチャンネルの一員だ。氷系の企画なら荼毘の奴も喜んで参加してくれるだろう」

 下典

「こうならないために全力で不意打ちしたのにな……」

 

 意識が落ちた下典を戦士達の服で拘束する。いくら氷が操れるといっても、両手両足が縛られてはまともに戦えないだろう。

 

 花畑

「皆さん見てください!! あの節操無き悪を!! アレがこの世の悪、敵連合の理の真の姿です!!」

 

 花畑がうるさく演説する。それに助長されて戦士たちが勢いづいていく。あの演説の才能も欲しい。

 

 ジェントル

「節操がないのは事実な気がするね……数字のためなら何でもしそうだもの……」

 九玉

「流石に人殺しはせん。数字のために人を殺したら終わりだ」

 ラブラバ

「数字のために人を社会的に殺すのはOKなの?」

 九玉

「命があればどうとでもなる。そうだろう?」

 

 命ある限り人は変われる。故に殺めるのは最終手段でしかない。その力説にジェントルとラブラバが黙った。我は花畑に向けて指を差す。

 

 九玉

「我を悪と決めつけるは貴様の自由だ。だが、我の真の姿はこれではない」

 

 ボロボロのスーツを破り捨て我の身体を露にする。

 

 解放軍戦士D

「裸になるのが真の姿なのかあ!?」

 九玉

「まさか。見てろ……ふん!」

 

 全身にエネルギーではなく力を込める。我の身体がミキミキ体が音を立てながら大きくなってく。180㎝にも満たない我の身体が、全身の筋肉の膨張によって2mを超える。

 

 解放軍戦士E

「な、なんだあ!? 体がでかくなりやがったあ!?」

 九玉

「これが我の新形態、相乗(そうじょう)摂理(せつり)だ」

 

 我はマキアと戦って、巨体というのはそれだけで脅威であると思った。また、ミルコと戦って、我の純粋な身体能力の低さを思い知らされた。だから筋トレで鍛えた。我の"超再生"によってトレーニングした傍から筋肉がついていき、この短期間で何とかアップという筋肉の膨張によって体格を変えられるようになった。

 

 気月

「パンプアップ*1かしら? この人のことだからバルクアップ*2と勘違いしてそうだわ」

 ラブラバ

「してそうじゃないわ、してたのよ」

 ジェントル

「何だったらパルクールアップって言っていたからね」

 解放軍戦士F

「何だっていい! コイツを止めろ!」

 

 戦士たちが我にしがみついて花畑への行進を止めようとする。しかし、10数人しがみついても我を止めることは出来なかった。

 

 九玉

「どうした? 我の鍛錬の手伝いか?」

 解放軍戦士G

「マジかよ……!? 車、いや、戦車を止めようとしてるみたいだ……!」

 

 最終的には20人ほどの戦士を身に纏って花畑の前に立った。あまりにもうっとおしいので全身から衝撃波を放って戦士たちを吹き飛ばした。花畑はその光景に言葉を失い呆然と立ち尽くしていた。

 

 九玉

「さて、蟻爛が何処にいるか教えてもらおうか。それとも、我の鍛錬用砂袋になるか?」

 花畑

「あ、あちらの大きな建物になります……」

 

 花畑が大きな塔の建物を指さす。おそらくどこかの階に捕まっているのだろう。

 

 九玉

「あちらと言われても我らには何も分からない。案内を頼もう」

 花畑

「か、かしこまりました……」

 

 よし。

 

 

 入り口にいた戦士たちを蹴散らし、エスカベーターに乗り込む。気月と下典と花畑は縛り上げて我が担いでいる。

 

 ジェントル

「九玉くん、エレベーターだよ。エスカレーターと混ざってるよ」

 九玉

「どちらも同じような物だろう。本質を見るべきだ」

 ラブラバ

「本質が同じだからと言って同じものとして扱っていいとは限らないわ」

 気月

「私こんな奴に裸にされたのよ……この屈辱は忘れないわ……」

 下典

「そう考えたら僕は首絞めだけで済んだのは幸いだったのかも」

 花畑

「私は何もされなかったが、流石に死の恐怖を目の当たりにしたよ……」

 

 チンと最上階に着き扉が開く。そこではやけに額が広く見える四ツ橋と、蟻爛にねちねちと詰め寄っている近属がいた。四ツ橋は我らに気が付くと顔を黒くして歓迎してくれた。

 

 四ツ橋

「まさかこうなるとは……まずは配信を切ってもらおうか。オフレコで本音で話がしたい」

 

 ジェントルに合図を出し配信を止める流れを作る。

 

 九玉

「んん……ということで今回はここまで♪ それではいつものじゃんけんターイム♪ 最初はグー、じゃんけんぽん♪ 我はチョキを出したぞ。ちなみに、相手に手の甲を見せてのチョキは『くたばりやがれ』のサインだ。人に向けてやるものではないぞ」

 

 配信が終わったことを確認し、出したチョキの手の甲をそのまま四ツ橋に向ける。

 

 九玉

「我の本音はこれだ。貴様の本音はどうだ四ツ橋?」

 四ツ橋

「正直な所……君にはがっかりしているといわせてもらおう」

 

 四ツ橋がカツカツと歩き回りながら語りだす。

 

 四ツ橋

「我々の目的は真の意味で自由に"個性"が使える社会を作ることだ。『"個性"の母』を知っているかね?」

 九玉

「知らないな。"個性"の始まりについての論文か?」

 四ツ橋

「まさか理を語る者が義務教育すら受けていなかったとは……デストロの手記の始まりだよ。デストロの母は異能を持った我が子の"個性"を受け入れてもらおうと訴えていった。しかし、その訴えは反異能の人々に殺され埋もれていったのだ」

 九玉

「たとえ正しくとも、力なき訴えは潰えていく……世の理だ」

 四ツ橋

「だから私はデストロの本懐を遂げる! デストロの末裔血を継ぐ者! 私がリ・デストロだ!」

 

 四ツ橋の理屈と動機はよく分かった。このヒーロー社会や"個性"社会に反発し、自由を求めているのだろう。だからこそ我は簡単に言い放った。

 

 九玉

「話にならないな。貴様の掲げる自由には何も分かっていない子供のような間違いがある」

 四ツ橋

「……何だと?」

 九玉

「自由とは規則や秩序────理があって初めて成り立つものだ」

 四ツ橋

「……今度は君の話を聞こうではないか」

 

 我はこの場にいる者全てにに言い聞かせるように話す。

 

 九玉

「自分に合っていない規則や秩序に縛られ従わされる事の辛さはよく分かる。だが、その規則や秩序がなくなり、本当に自由になったらどうなるか? その中で最も上に立った者が自分の自由のために他者を従わせるか、収拾がつかなくなり滅びる────これが我の見てきた世界の理だ」

 

 過ぎた力を力を持った者が悲惨な末路を迎えるのを、我は平行世界で幾度となく見てきた。だから我が理となって世界を糺そうとしてきたのだ。

 

 九玉

「四ツ橋、貴様の言う自由とは誰にとって自由なのだ? まさか異能解放軍の仲間だけが自由だと言う訳ではあるまいな? 全ての人にとって自由だろうな? 己に敵対する存在に対しても自由なのだろうな?」

 四ツ橋

「……義務教育は受けていないくせに、随分と分かったような口を利くじゃないか……!」

 

 四ツ橋の右腕がグググと太く大きくなっていく。

 

 九玉

「我は我の理に従う者は認めると断言し、従わぬ者には理を見せ判断を委ねている。対し貴様はどうだ? 自由を謳う割には我々敵連合を認めていないではないか? そのような破綻した自由は────────我の理を持って正さねばなるまい」

 

 我も対抗するように相乗の摂理を使い体をさらに大きくする。担いでいた三人をジェントル達に押し付ける。

 

 四ツ橋

「歴史もない愚連隊(チンピラ)(きれいごと)に我々以上の重みがあると思うか?」

 九玉

「破綻している異端者(イレギュラー)(げんじつ)から目を逸らして吐いた妄言よりは重いだろう」

 

 二つの巨大な拳がぶつかる。その衝撃波で窓ガラスが割れ飛び、建物全体が揺れ、天井の一部が崩れる。ジェントルが咄嗟に空気の膜を張ったことで事なきを得たが、このまま戦うのはお互いにとって良くないだろう。

 

 九玉

「……地上に降りて戦おう。我も本気で戦いたい」

 四ツ橋

「私は君を殺すつもりでいるんだがね……!」

 九玉

「我は誰も殺すつもりはないがな」

 

 我は異能解放軍から死者を出すつもりはない。この人数を従えれば、あっという間に登録者10万人越えの大きなチャンネルになるからだ。

*1
トレーニング直後に一時的に筋肉が大きくなる現象。

*2
継続的なトレーニングによって筋肉量そのものが増えること。

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