抜きゲーみたいな島に住んでいた狂犬はヒロアカ主人公に憑依したらどうすればいいんだ? 作:神剣狩刃
時は12月24日。人によっては無くなればいいなんて言う奴がるかもしれない日だが、今の俺にとってはこの日以上に楽しみな日はない。皆でサンタのコスプレをテンションが高まってきた俺は高らかに歌う。
精
「ジングルベ~ルジングルベ~ル鈴が鳴る~♪ 森に~林に~火を放て~♪」
お茶子ちゃん
「物騒すぎる!?」
精
「ファーッファッファッファ! 歳の数だけ十字架に火を灯せ!」
梅雨ちゃん
「確かにクリスマスはキリストの誕生日だけれど、火を灯すならキャンドルじゃないかしら?」
精
「キャンドルも十字架も愛に力を与えるだろ!? だったら実質キャンドルだ! 実質キャンドル! 実質キャンドル!」
耳郎ちゃん
「放電しまくった上鳴みたいなテンションになってる……ウチ達も緑谷に負けないくらい盛り上がっていくよ!」
1-A一同
「「「Merry christmas!」」」
まずは食前の一杯としてココアを皆に渡し、グラスがチンと鳴り響き楽しい宴が始まる。なのにどこかの現実を忘れきれてない人がインターンという単語を口に出す。それにつられてクソ真面目な天麩羅が俺に話題を振って来た。
天麩羅
「緑谷くんはどうするんだい? 確かインターンへの参加は禁止になっているはずでは……」
精
「今年度中じゃなくて今年中の禁止だから、来年からは参加するさ。でも、サーさんやグラントリノに世話になる心算はないな」
切島
「まあ、緑谷ならどこにでも行けるだろ」
精
「女性プロの所以外はな」
実
「おォい!!! 清しこの夜だぞ!! 何時までも学業に現抜かしてんじゃね──!!」
実の言うとおりだ。エロシコの夜なのだから現実を頭を空っぽにして楽しまなければ────カチャと玄関が開く。
精
「ちっ誰だよ人がたのしんでるトキに侵入してくるバカはよォ~~?」
澤先
「俺をバカ呼ばわりするのはいいが、この子をバカ呼ばわりすると後悔するぞ」
こんな時にまで教員服の澤先と────
エリちゃん
「とりっくおあとりとー……?」
サンタ服を着たバチギャンに可愛いエリちゃんだった。お茶子ちゃんもスライディングで駆け寄るほどの可愛さだ。
澤先
「違う混ざっ────」
精
「大丈夫大丈夫! お祝いしながらお菓子食べるから実質ハロウィンだよ! 実質ハロウィン! 実質ハロウィン!」
透ちゃん
「さっきジングルベルって言ってなかった?」
百ちゃん
「あまつさえ森や林や十字架に火を付けようとしていましたわね……本当に自由なお方ですわ……」
三奈ちゃん
「私は出久らしくていいと思うなー。ハチャメチャだけど、全力で楽しんで楽しませようって感じじゃん?」
イベントを楽しむ際はルールとそれなりのモラルを守り、後は粉骨砕身で楽しめばいいのだ。
ということで俺と砂藤シェフの集大成のクリスマスディナーフルコースを振舞っていく。
精
「まずは
弁当箱に入れるようなギザギザの紙の器には、まるっとしたたこ焼きが串刺しにされている。
障子
「生地にかなりの出汁が効いているな。確かにこれはソースよりも塩で頂きたい一品だな」
砂藤
「次は
お子様サイズの丼に収まったばくだん丼をすする~! うますぎるぞ~! うまくすすれない人の為にはスプーンが提供されており、思わず俺も厨房に入っていてしまいました! *2
上鳴
「このかきこみたくなる感じ! たまんねえな!」
精
「続きましてスープ、『煮~静岡おでん*3仕立て~』だ」
給食で使われるような安っぽいお椀の中には、糸こんにゃくや黒はんぺんや大根や牛筋が黒の出汁に浮いている。
轟
「色んな具材の出汁が出ててウマいな。蕎麦入れてえ」
常闇
「漆黒に揺蕩う数々の供物……視覚でも楽しませてくるとはな」
砂藤
「次は魚料理、鮭の塩焼きだぜ。ソースは九州醤油を意識したものだ」
ほっかりと焼き上げられた鮭はジューシーで脂が一杯なのに臭みがない。甘めのソースとよく合う。
瀬呂
「甘めの醤油って魚に合うんだな! もっとソースかけてえ!」
精
「続きましては一旦口直し、『オレンジのソルベ~
白い小皿にエーデルワイスをかたどった、おしとやかなオレンジのソルベがたたずんでいる。口直し用故に少量だが、それでも確かな存在感を放っている。
天麩羅
「すっきりとした甘さと酸味の清涼感が口直しにピッタリだ。ピールの苦みもアクセントになっていておいしい」
砂藤
「さあ、お待ちかねメインの肉料理は若鳥の丸焼きだ! しかも俺と緑谷で二羽分焼いたぜ!」
精
「砂藤シェフのはシンプルに塩胡椒で焼いた奴で、俺のは香草や香味野菜で焼いた奴だ!
庭には一羽もいないがここには二羽鶏がいる。食べやすいようにナイフや黒鞭で切り分けて皆に配っていく。
切島
「んめー! かぶりつくと肉汁がほとばしってすげえ!」
口田
「シンプルな塩胡椒も、香り豊かなスパイスも、どっちもおいしいよ」
爆豪
「チッ……スパイス効かせるならもっと辛くしろや……」
精
「そんな爆豪くんには追いスパイスをどうぞ。俺のオリジナルブレンドの洋風七味唐辛子だから気に入ると思うぜ?」
飲食店にあるような小瓶に入った七味を爆豪が不機嫌にかっさらう。そしてチキンがサンタのように赤くなるまでかけてかぶりついた。目を瞑って不機嫌そうに咀嚼している。
爆豪
「……レシピ教えろ」
精
「"お願いします、教えて下さい、何でもしますから"だろぉ?」
爆豪
「調子に乗ってんじゃねえぞ? てめェに頭下げるぐらいなら自分で見つけるわ」
明らかに気に入ったって顔してるのに。本当にコイツは素直じゃないな。
精
「デザートに入る前にフロマージュ*4タイムだ。ポン・レヴェックとバックトニック*5でお楽しみください」
チーズを砂藤シェフに運んでもらっている間にパンチボウル*6でバックトニックを作り、氷たっぷりのグラスに入れて皆に配る。
青山
「これは……嬉しいサプライズだね☆」
精
「それでは皆様グラスを拝借……この聖夜に、チンチン」
実
「緑谷なら絶対に言うと思ったぜ」
チーズはマイルドで穏やかながらもしっかりとしたコクがあり、ミルクや木の実のような風味が鼻を抜けていく。それをバックトニックの炭酸と苦みとライムの香りがキュッと締めてくれる。悪くないペアリングだ。
砂藤
「それじゃあ最後にクリスマスケーキだ! 俺と緑谷の渾身の合作だから楽しんでくれよ!」
精
「それではご覧ください! 『ブッシュドノエル~ショコラパイコルネ仕立て~』だ!」
1人当たり350mlのペットボトルぐらいの大きさのパイだ。ココアの練り込んだパイ生地には丸太のような筋が入っており、中のクリームもチョコレートクリームで、その上から粉砂糖が振られていて、これぞクリスマスといわんばかりのデザートだ。
尾白
「サクサクでしょっぱめのパイ生地に甘いクリームが合うな。ココアの風味もブワッときて凄いな」
精
「ココアはバンホーテンの物を使用しているからな。最後は紅茶でシメさせてもらうぜ」
熱め濃い目のデザート用の紅茶を振舞う。先日に百ちゃんからお裾分けしてもらったゴールドティップスインペリアルだから、味やら香りやら何もかもが違う。
エリちゃん
「最後までおいしかった! オメガさん! ありがとう!」
精
「どういたしまして。砂藤シェフにもお礼を言ってあげてね。俺一人じゃここまでできなかったから」
澤先
「ここまで洒落たことが出来るのは大したものだが……それ故に普段の言動が惜しまれるな」
精
「それも含めて俺なんですから。以上、俺と砂藤シェフによるクリスマスディナーフルコースでした」
食後にはお楽しみのプレゼント交換会だ。俺はリクエストスイーツとマッサージ券の3枚回数券を準備し────誰だよあのかっこいい大剣用意した奴!?イカサマしてでも絶対手に入れてやる!
精
「んじゃ、俺が紐を結び付けるから────」
澤先
「待て。お前はイカサマをしかねない。公平になるように俺が結び付ける」
してやられたぜ。澤先が結んだ紐を引っ張る。俺の手元には綺麗にラッピングされたMt.レディーの写真集がやって来た。これ絶対実のヤツだろ。
実
「ひょー! 緑谷のスイーツとマッサージ券じゃんか! ガールズにしかやらねえから羨ましかったんだよなー!」
お前の下に行くのかよ。こうなったら仕方ない。男の手によって気持ちよくさせられる倒錯的な快楽を覚えさせてやる。ちなみに俺の欲しかった大剣はエリちゃんの下に行った。羨ましい。いらなくなったら俺が引き取ってあげようかな。
常闇
「願ったとしても望みの物が手に入るとは限らない……これもこの世の理だ。来年もいるならまた準備してやるから、今は聖夜を楽しもうじゃないか、緑谷」
青山の写真を片手に常闇が俺を慰めに来てくれた。あの大剣お前が準備したのかよ。いいセンスしてるじゃねえか。常闇の言う通り聖夜を楽しむとするか────宴も終わって皆で片付けをしていると、轟が俺と爆豪に話しかけてきた。
轟
「緑谷、爆豪。もし行く宛が無ェなら……来るか?
このイケメン自分が何を言っているのか分かるのか? 自分の父親に誰かを紹介するんだぞ? 俺が女だったら轟家への嫁入りを前向きに検討するぞ? これだから無自覚系イケメンは困る。
精
「美人いる?」
爆豪
「女で選ぶなエロ金髪」
轟
「サイドキックの人が沢山いるから一人ぐらいはいるんじゃねえか?」
爆豪
「てめェもてめェで答えんな舐めプ野郎」
精
「やはりいるか……喜んで同行しよう」
爆豪
「他人様の所の女に手ェ出したら……分かってんだろうな?」
精
「心配するな。お前やロゼショットがいない所で手を出すから問題ない」
爆豪
「……あァそうかい。話すのがメンドくなってきた、勝手にしやがれ」
爆豪からも許可が出た*7し、来年のインターンは楽しみしかないな。
我は人間が許せなくなってきた。なぜ人間はよく知らない人間の誕生日を盛大に祝うことが出来るのだろうか。なぜ人間はそのイベントをやらないと寂しい人間だと揶揄するのだろうか。なぜ人間はそのイベントを開かせておいて来ないのだろうか。なぜ人間はオフ会の参加者が0人だとネタにするのだろうか。
マグネ
「九玉ちゃんがナイーヴになっちゃってるわ……」
トガちゃん
「折角アカウントを犠牲にしてまで宣伝したのに誰も来ないなんて……かわいそうです」
ラブラバ
「大丈夫よ九玉さん、アカウントはスケプティックに作らせるから問題ないわ」
理の会の女子達が我を慰めてくれる。少し心が温かくなったような気がする。
ジェントル
「野生動物しかいない辺境の地の海辺でやっているからではないかな……? コートがなかったら凍え死んでしまうよ……」
トゥワイス
「コートは人数分用意できるから何人来てもいいのにな! 来るんじゃねえぞ!」
コンプレス
「折角準備したチキンも潮風で冷めちゃったからねえ……そろそろ日も変わるし皆で食べようか?」
荼毘
「冷めたなら俺の炎で温めてやるよ。焦げるかもしれねえがな」
スピナー
「だったらその辺の木で火を起こしたほうが良くないか? 雰囲気も出そうだ」
男子達はチキンに夢中のようだ。やっぱり寂しい。
九玉
「こうなったら死柄木を叩き起こしてでも呼んでくるか……」
???
「その必要はないっすよー!!!」
海から声が聞こえる。海でさえ反応してくれるというのに、チャンネル登録者たちは何をしているのか。
ホークス
「海の声じゃないっすよ、俺ですよ。画像から特定してやってきましたよ」
ホークスがほんのり温かいカフェオレの缶を差し入れてくれた。きっとオフ会を知って自販機で買ってくれたのだろう。その心遣いに涙が出る。
九玉
「ホークス……流石No.2ヒーローだ……夜が開けるまで付き合ってもらうぞ」
こうして理の会のクリスマスオフ会が静かに幕を開けた。
精
「ウッス! 俺、精! クソ親父ことエンデヴァーの所でのインターン! その中で轟家にお邪魔したり、ついにアイツと対決したり! シーズン6もお楽しみにな!」