抜きゲーみたいな島に住んでいた狂犬はヒロアカ主人公に憑依したらどうすればいいんだ?   作:神剣狩刃

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今更ですが結構な下ネタ注意です。


6-02 地獄の釜の蓋

 インターンが始まって一週間が経過した。俺達は一回もエンデヴァーより早く事件を解決することは出来なかったが、そんなことよりもはるかに重大な問題があった。エンデヴァー事務所には宿泊施設があり、野郎三人で泊まっていた。故に常に爆豪と焦凍の目があり、俺一人になれるまとまった時間が存在しない。つまりオナニーができないのである。おかげさまで意図せず禁欲生活を送る羽目になった。ああ、しないとどうにかなってしまいそうだ。

 

 エンデヴァー

「いくぞ!!」

 精

「はい!!」

 

 ということで和の豪邸である轟家に行くことになった。

 

 爆豪

「何でだ!!!」

 焦凍

「姉さんが飯食べに来いって」

 精

「姉さんを食べていいの!?」

 エンデヴァー

「焦凍!!! 今すぐコイツを氷漬けにしろ!!! 絶対に冬美に会わせるんじゃないぞ!!!」

 焦凍

「大丈夫だ親父。何かあったら緑谷の彼女達に連絡するから」

 エンデヴァー

「彼女達!?!?!? 貴様何人の女を侍らせているんだ!?!?!?」

 精

「6人だよ! 何が悪い!?」

 エンデヴァー

「その体たらくで俺を見下せると思ってたのか!?!?!?」

 精

「1人の女しか愛せない手前の6倍凄いんだよ!」

 エンデヴァー

「女性関係においては俺の1/6未満のようだな!!!」

 

 エンデヴァーに掴まれてギャーギャー騒いでいると、玄関がガラガラと開いて一人の女性が慌てたように現れる。所々に赤色が混じった白い髪をポニーテールでまとめ、可愛さ7割美しさ3割の顔にアンダーリムの眼鏡をかけており、薄紫のタートルネックセーターの上にエプロンを着ており、巨乳だ。ヤバイ。禁欲していたの俺には刺激的すぎる。俺の股間のOFASが100%を超えてしまう。

 

 女性

「なになに!? どうしたの!?」

 精

「っ────すみませんお姉さん! お手洗い貸してもらっても良いですか!? もう我慢できなくて!」

 冬美さん

「そ、そうなの!? 離してあげなよお父さん! 友達の家でお漏らしなんて死ぬほど恥ずかしいと思うよ!」

 精

「ううっ、お漏らしとかそんなこと言われたら……出る出る出る……!」

 

 エンデヴァーの間の手から離れて、冬美さんに引っ張ってもらって、暴発しながらお手洗いに入る。俺のおちんちんから白い放物線が描かれ、和式トイレにバチャバチャと着水する。一度出しきって落ち着いて被害状況を確認する。パンツを通り越してズボンにまでシミが出来ている。俺はエンデヴァーへの嫌がらせのため、大の方向にレバーを捻ってトイレから出る。耳を塞いで顔を赤くした冬美さんを見てもう一回トイレに入った。再び大の方向に捻るようなことをしてからもう一度トイレから出る。やっぱり冬美さんが気まずそうに立っていた。

 

 精

「……その……失礼しました……」

 冬美さん

「だ、大丈夫だよ! 見てないし、聞こえてないからね!」

 精

「…………下、汚しちゃって……」

 冬美さん

「あっ……き、気にしなくていいよ! お父さんが悪いから! 新しいの買ってあげるよ!」

 

 俺達の騒ぎを聞いてか障子が開いて、白い髪の目つきの悪い男性が現れる。

 

 男性

「なんだまたエンデヴァーがやらかしたのか……?」

 冬美さん

「あっ、夏くん! 見ちゃダメ!」

 

 夏といわれた男性が俺の下半身を見る。シミが出来たズボンとトイレの前に立っているのを見て、何か察したように目を逸らす。

 

 夏さん

「あー…………俺からも謝るよ、ごめん」

 精

「……洗面所ってどこにあります?」

 夏さん

「……俺が案内するよ。姉ちゃんは飯の準備しててくれ」

 

 これによって轟家の俺への第一印象がチビッた人になってしまった。後でエンデヴァーに恥をかかされた代を請求しよう。

 

 

 とりあえず衣類が乾くまではコスチュームで過ごすことにして、轟家の食卓に着く。腹いせにわざと行儀悪く飯を食ってやる。ガツガツガチャガチャ音を立てながら色々口にかきこむ。非常に美味しいがそれどころではない。

 

 焦凍

「緑谷、もっと静かに食った方が良い。学校の食堂でテーブルマナー完璧にできてただろ」

 精

「うるせえ! 俺は友達の姉ちゃんの前で暴発して、友達の兄ちゃんに洗面所に連れてってもらったんだぞ!? お前にこの気持ちが分かるか!?」

 焦凍

「俺も子供の時に2人の前で漏らしたことはあるから気持ちは分かるぞ」

 爆豪

「食事中に汚ェ話すんじゃねェ。マズくなる」

 精

「あーそうですか! 分かりました! 冬美さん! おかわり下さい!」

 冬美さん

「……気にしないでどんどん食べてね」

 爆豪

「ちったぁ遠慮しろや。我慢できなかったてめェにも非があるだろうが」

 精

「俺は悪くねぇ! 全部エンデヴァーが悪い!」

 夏さん

「俺もそう思う。謝ったのかエンデヴァー?」

 

 エンデヴァーがものすごく申し訳なさそうに竜田揚げを俺に差し出してきた。

 

 エンデヴァー

「……すまなかった……まさか本当に我慢できないとは思っていなかったんだ……」

 

 竜田揚げをバリバリ貪りながらエンデヴァーにまくしたてる。

 

 精

「ヒーローがその言い訳していいと思ってんのか!? まさかこんなことになるとは思いませんでしたで人が納得すると思うか!?」

 エンデヴァー

「……本当に申し訳ない……」

 精

「食後のデザート買ってこい! チョコレート味のカップアイスクリームだ! アイスミルクとかラクトアイスとか買ってくるなよ!?」

 

 エンデヴァーがふすまを開けて出て行き、ガラガラと玄関が開く音が聞こえた。

 

 精

「……さて、本人がいなくなったことですし、皆様の本音を色々聞きましょうか」

 爆豪

「そのために演技してたのかよ。回りくどい奴だな」

 精

「暴発したのは演技じゃなくて本心だがな。とりあえず、言い出しっぺの俺から言いましょうか。オブラートに包んで超絶爆裂ドグソ親父ですね」

 

 あまりのキレキレの罵倒に夏さんが噴き出した。

 

 夏さん

「ま、まあ、あんな目に遭わされたら仕方ないけど……超絶爆裂ドグソって……ぶふっ……」

 精

「先の件だけじゃ無いですよ。焦凍君から轟家の闇を色々聞きました。アイツ一片死ねばいいですね」

 冬美さん

「私にそういう気持ちが全くない訳じゃないけれど……他人様の父親をその子供たちの前でそこまでひどく言うのはどうかと思うよ?」

 精

「自分の夢が果たせないからといって子供に夢を押し付けて、素質を持って生まれてきた子供には虐待まがいの事をして、幸せな家庭を崩壊させた……父親として失格どころか親権はく奪ものですよ」

 

 俺がエンデヴァーが嫌いな理由はこれだ。俺は故郷で特殊戦闘部と2児を持つ家庭を両立させている。この世界と俺の故郷では"個性"の有無という違いがあるとはいえ、人間による社会構築という点では同じだ。その中で家庭を顧みずに己の欲望だけを果たそうとしていたエンデヴァーがどうしても好きになれない。

 

 精

「仕事ができるという点は認めますが、それと同時に家庭を幸せにするというのが父親の責務だ、と俺は思います」

 

 俺の力説に夏さんがヒューヒューと盛り上がる。

 

 夏さん

「そうだそうだ! エンデヴァーにも言ってやれ!」

 精

「今のエンデヴァーに言ったら立ち直れなくなりますので、後日言うつもりです」

 冬美さん

「……緑谷くんって、家族関連で何かあったの?」

 

 冬美さんの質問に場の空気が止まる。俺は焦凍と爆豪に話を合わせるように、とそっと耳打ちをする。

 

 焦凍

「……ああ、分かった」

 爆豪

「あァ、そうかい」

 

 2人が賛同してくれたので俺は話を始める。

 

 精

「何もなかったと言えばなかったですよ。なにせ……俺は交通事故で家族を亡くしましたから」

 冬美さん

「あっ……その……ごめん……」

 精

「だから、エンデヴァーが許せないですし、家族で揉める事にも憧れがあるりますし……もっといえば家族で仲良くすることにはもっと憧れがあります」

 夏さん

「……もしかして、本音を打ち明けようとか言いだしたのは俺達のため、なのか?」

 精

「事情が事情ですから仲良くなるのは難しいと思います。でも、家族である以上不可能ではないと思います。死んだ家族とは二度と一緒に仲良くすることが出来ないですから」

 

 その発言に冬美さんと夏さんが同じ方向を見る。まるでその目線の先に誰かがいるようだ。

 

 精

「……もしかして、もう仲良くできない人が……?」

 冬美さん

「……夏くん、緑谷くんには言った方が良いかな」

 夏さん

「……ああ、もしかしたら轟家を変えるかもしれない」

 

 食器の片付けを爆豪と焦凍に任せ、俺は冬美さんと夏さんに連れられて一室に入る。そこには大きな仏壇があり、その中の学ランを着た白い髪の男の子の遺影と目が合った。

 

 冬美さん

「……私の1歳上のお兄さん、燈矢(とうや)っていうの。燈矢兄、焦凍のお友達だよ」

 夏さん

「……11年前、山火事に巻き込まれて死んじゃったんだ」

 

 11年前といったら焦凍が5歳の時で、エンデヴァーから地獄のような教育を施されている時期だ。子供が火事に巻き込まれているというのに、自分の夢を押し付けて助けに行かなかったのか。思わず歯ぎしりをして手を強く握りしめてしまう。

 

 精

「どこまでクソなんだよエンデヴァー……!」

 冬美さん

「すごい山火事で遺体も骨もほとんど残らないで……灰になっちゃったんだって」

 夏さん

「赤い炎から蒼い炎になって、もっと強くなるために山で訓練してたのにさ……酷い話だぜ……」

 

 仮にでもヒーローである父の姿を見て憧れを持ったのにもかかわらず、父親は一番下の焦凍にしか目を向けなかった。子供としてどれほど辛い事なのか、どれほど父が憎かったか、俺には全く想像がつかない────想像はつかないが、閃きの電球が点きそうになる。

 

 精

「……蒼い炎?」

 

 夏さんの蒼い炎という発言が引っかかった。俺は蒼い炎を何度か見たことがある。最初は敵連合に攫われた時で、次は九玉さんの配信のアーカイブで、どちらも荼毘が出していたものだ。

 

 精

「……冬美さん、失礼ですけど今おいくつですか?」

 冬美さん

「えっ……? 23だけど……」

 

 何かが繋がりかけている。自分の推理力が恨めしい。

 

 精

「……まさか、な………………もしこれが本当だとしたらクソなんて話じゃなくなるぞ…………エンデヴァーが帰ってきたら皆で話したいことがあります」

 冬美さん・夏さん

「「えっ?」」

 

 

 座敷に戻って5人でエンデヴァーを待つ。

 

 焦凍

「……なあ緑谷、2人で何の話をしたんだ?」

 精

「……お前の一番上の兄ちゃんの話だよ」

 爆豪

「まるで通夜みてえな雰囲気じゃねえか。メシの後でよかったな」

 精

「……通夜どころじゃないさ。間違えて葬式をやっちまったかもしれないんだからな」

 

 一同が頭にハテナを浮かべて首をかしげる。スーッと襖が開いてエンデヴァーがコンビニの袋片手に現れた。

 

 エンデヴァー

「すまない、遅くなってしまった。皆の分もある────」

 精

「エンデヴァー、今日は夜通しで話す覚悟をしておけ」

 エンデヴァー

「ああ、そのつもりだ。君に許してもらえるまで誠意をもって謝罪──」

 精

「まずはアイス食わせろ。話はそれからだ」

 

 エンデヴァーが買ってきたのはレディーボーデンのパイントサイズ*1だった。悪くないセンスだが、1人1つは食後には多くないか? まあいい。これから話すことはこのアイスよりも冷たい空気になるだろう。今は甘味に現を抜かすとしよう。

*1
470mlサイズ。意外とデカくてびっくりする。




地獄の轟くん家編開幕です。
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