抜きゲーみたいな島に住んでいた狂犬はヒロアカ主人公に憑依したらどうすればいいんだ?   作:神剣狩刃

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6-04 土口精の日常その7

 

 俺はいつかこの世界からいなくなる。だから俺が居た証として日記をつけている。大事件を書き記すのも大切だが、何気ない日常も書き記すべきだろう。これまでにあった日常をページをめくりながら思い出す。

 

 とある平日の午後9時、俺はとある男子の部屋をノックする。

 

 精

「天麩羅ー? おるかー?」

 

 珍しく眼鏡をはずした飯田が出てきた。

 

 飯田

「緑谷くんか。何の用かな?」

 精

「すっかり天麩羅呼びも馴染んできたな。命名者である俺も鼻が高いぜ」

 飯田

「俺は緑谷くん以外が俺のことを天麩羅と呼んでいるのを聞いたことがないが……」

 精

「夜食にオレンジゼリーはどうだ?」

 飯田

「勉強の合間の間食に悪くないな。ぜひとも頂こう」

 

 真面目な部屋だが壁一面の眼鏡が全てを持っていく。金の縁の眼鏡を拝借して早速二人でゼリーを食べる。

 

 飯田

「おお! 噛んだ瞬間にゼリーが弾けたぞ!」

 精

「ゼラチンじゃなくてイナアガー*1を使っているからな。俺の努力の末見つけた秘密の配合でこの食感になるんだ」

 飯田

「なるほど……緑谷くんの強さの秘密が垣間見えた気がするな……」

 

 人目につこうがつかまいが努力は怠らない。努力したからといって成功するとは限らないが、努力しなければ成功しない。

 

 精

「……そういや、勉強の合間って言ってたな。邪魔しちまったか?」

 飯田

「いや、少し休憩しようと思っていたところだったから丁度よかった。良い休憩になりそうだ」

 

 言うまでもないが天麩羅は頭が良い。頭が良いから勉強できるのか、勉強できるから頭がいいのか。どちらが正しいのか未だに答えは出ていないが、とにかく頭が良い。

 

 精

「今度の期末に向けて勉強教えてくれないか? ヒーローの法律関連の所が怪しくてな……」

 飯田

「そう言えば緑谷くんはヒーロー基礎学の筆記試験が苦手と言っていたな」

 

 俺は良い歳で頭もいい方だから普通の科目は余裕でトップを取れる。ヒーロー基礎学も実技の方はトップなのだが、筆記に関しては勉強不足感が否めない。元々なかった知識をゼロから叩き込んでいるというのが大きいだろう。

 

 精

「俺の故郷の条例なら完璧にイケるんだけどな……」

 飯田

「緑谷くんの故郷……とんでもなく破廉恥な場所だと聞くが、どんな条例なんだ?」

 精

「正式名称青藍島観光資源化に係る条例……通称"ドスケベ条例"だな」

 飯田

「ドス……!? そんな名前がまかり通っていいのか!?」

 精

「正式名称で言ってる奴ほとんどいないぜ? 何だったら大手政治家もドスケベ条例呼びだからな」

 

 飯田がカルチャーショックに頭を抱えている。

 

 精

「俺の故郷は離島で人口問題が結構ヤバくて、これといった資源もなく、その中で思いついた奇策中の奇策でな。途中まではよかったんだけど、某所から圧力をかけられて……ついには知る人ぞ知る幻の島になっちまった」

 飯田

「条例の名前からは想像もできないほど困っている状態なんだな……」

 精

「そんな島だから治安はいいんだがよ、ちょっとした揉め事や揉む事が多くて多くて……」

 飯田

「……今のは聞かなかったことにしよう。そろそろ休憩時間も終わりだ。一緒に勉強しよう」

 

 ということで天麩羅と一緒に勉強をする。分かりやすく真面目に教えてくれるから、まるで卵子に精子が進んでいくように身に入っていった。

 

 飯田

「……上手く身に入っているという風に捕らえていいんだな?」

 精

「ああ、これで期末もばっちりだろうぜ。ありがとうな天麩羅」

 飯田

「俺も緑谷くんを知ることが出来て、復習できた。感謝する」

 精

「今後ともご贔屓に……じゃあな、天麩羅」

 

 

 別の平日の午後9時、俺はある男子の部屋をノックする。

 

 精

le()*2 青山ー? おるかー?」

 

 紫と白の横縞パジャマにトリコロールのナイトキャップをした青山が出てきた。

 

 青山

「おや、緑谷くんじゃないか☆どうしたんだい☆」

 精

「いつぞやのチーズのお礼参りにレアチーズケーキ作ったんだ」

 青山

「それは嬉しいね☆ぜひとも頂くよ☆」

 精

「それと……まあ、食いながら色々話そうじゃないか」

 

 ということでle 青山の部屋に入る。ミラーボールにスポットライトと眩い部屋だ。早速二人でレアチーズケーキを食べていく。

 

 青山

「うーん☆プルプルのレモンが効いたチーズ生地とサクサクのクッキー生地が合わさって……美味☆」

 精

「レアチーズケーキにはレモンが効いていないとな」

 青山

「ぜひともワインと合わせて頂きたいね☆飲めないけど☆」

 精

「ワインは止めとけ。人に酔っちゃあ一口二口で酔うからな*3

 

 チーズケーキもほどほどにして、俺は青山に本題を切りつける。

 

 精

「……学校生活、楽しんでるか?」

 青山

「……楽しんでるよ。皆あの事件がなかったように、ただのクラスメイト青山優雅として接してくれている」

 

 話し方から言って嘘ではなさそうだ。これで何かあったら委員長として対策を打っていたから、杞憂で済んで良かった。

 

 精

「ならいい。あの件で嫌がらせを受けたらすぐ俺に相談してくれ。ASAP目に対応する」

 青山

「……本当にキミは優しいね。その優しさの理由を聞かせてくれるかい?」

 精

「理由は三つ。一つは俺も優しくしてほしいから」

 

 自分がやったことを許してほしいなら、誰かがやったことも許すべきだ。自分はよくて他人はダメなんて誰も認めてくれなくなる。だから、よほどのことでもない限り俺は許す。

 

 精

「もう一つは……俺は俺の大切な人を裏切っちまったことがあるからだ」

 

 かつて自分がやった裏切りを許してもらっておいて、他人の裏切りは許さないなんて筋が通らない。だから、致命的な裏切りでもない限り俺は許す。

 

 精

「最後は……妹に裏切られたことがあるから、お前の裏切りなんて大したものじゃない」

 

 俺は全てを捨ててまで守ろうとした妹に裏切られて、あまつさえ殺されかけたことがある。それに比べたら青山がやった裏切りなんて可愛いものだ。とやかく言うほどのことじゃない。

 

 青山

「……君も壮絶な人生を送ってきたんだね」

 精

「40近くも生きてりゃな。そのおかげで愛する人と幸せな家庭を築くことが出来たんだから、色々経験や体験を積んでおくことは悪くない……無論、許される範囲でだがな」

 

 許せることと許せないことは人によって違う。俺が許すからといって他の人が許すわけではないし、逆もまた然りである。だからこそ許し合える範囲で認め合うことが大切なのだ。

 

 青山

「……緑谷くん、君に出会えて本当に良かった。もし君に出会えていなかったら……もっとひどい結果になっていたかもしれない」

 精

「……かもな。だが、今こうやって皆から許してもらえた。そのありがたみを噛みしめて、雄英生活を楽しみな」

 青山

「そうさせてもらうよ……さて☆湿っぽい話はここまでにして、僕の感謝のオペラを聞いてくれるかい☆」

 精

「夜の9時だぜ? 聞くに決まってるだろ! 夜明けまでカーテンコールさせねえからな!」

 

 こうして夜が明けるまで青山劇場が続いていった。今後ともご贔屓に……青春楽しめよ、le 青山。

 

 

 また別の日の午後9時、俺はある男子に呼ばれ、バスケットを持って部屋をノックする。

 

 精

「実ー? 来たぜー?」

 

 実の部屋をノックして呼び出す。邪な横縞のシャツを着た実が出てきた。

 

 実

「待ってたぜ緑谷ー! 早く色々味わいてえよー!」

 精

「ティラミスと新作同人誌とマッサージどれからが良い?」

 実

「まずはティラミスだ! 夜遊び前にはティラミスだよな!」

 精

「分かってるじゃねえか。んじゃ、失礼するぜ」

 実

「オイラの秘蔵のコレクションも見せてやるからな!」

 

 実の部屋はこれでもかとミッ先のポスターとかタペストリーが飾られている。

 

 精

「ブラックライト当てていいか?」

 実

「分かってねえなあ……部屋にあるのは観賞用だぜ? 実用(じつよう)はしまってあるに決まってるだろ?」

 精

実用(みのるよう)実用(じつよう)ってか?」

 実

「翻訳したら伝わらなそうなギャグ言うなよ。ティラミスが凍っちまうから早く食おうぜ」

 

 早速ティラミスを食べる。

 

 実

「んー! 濃厚なチーズにココアとコーヒーの苦みがマッチしてんなー!」

 精

「俺の十八番はココアだが、スペシャリテはこっちなんだ」

 実

「女子達が必死になってリクエストを狙う理由が分かったぜ……小腹も満たしたし、早く緑谷の新刊を見せてくれよ!」

 

 実に急かされたので、バスケットからこんじきわんこ先生の新刊『夜の女王と下僕たち』と取り出す。

 

 実

「うおおお!? 表紙からがっつりヤッてるじゃねえか!?」

 精

「こんじきわんこ先生は表紙にも実用性を求めるんだ。表紙だけで盛り上がっていたら……本編は読んでるだけで達するかもな」

 

 実が網膜に焼き付ける様に本を読んでいる。

 

 実

「す、すげえ……今までのどのエロ本よりもすげえ……!」

 精

「全部ミッ先監修だからな。ミッ先は自分の身体の価値を分かっているから、そりゃもう生で見せてくれたよ」

 

 食い入るように見ていた実だが、ページが進むごとに顔が険しくなる。

 

 実

「……すげえけど……男の方、なんか見覚えがあるんだよな……」

 精

「当たり前だろ。だって男のモデルは故郷の俺だもん」

 

 それを聞いた瞬間、実が俺の胸ぐらを掴んで揺さぶってきた。もしかしたら地雷ジャンルだったのかもしれない。

 

 実

「ふざけるんじゃねえよ! 何が悲しくて同級生と先生のエロ本で抜かなきゃいけないんだよ!」

 精

「えっ、普通に抜けない?」

 実

「エロ本で男に個性を出すんじゃねえよ! もっとモブっぽくしろよ!」

 精

「ミッ先は気に入ってくれたけどな……『緑谷くんとイケないことしてるみたい』って」

 実

「ミッ先のお墨付きかよ! じゃあしょうがねえな!」

 

 実は不服そうに俺を放した。チン差マン別、十九人十九色、人の性癖へ必要以上に踏み込んではならない。実もその辺りは理解しているようだ。

 

 実

「じゃあマッサージだ! この不機嫌なオイラをマッサージで気持ちよくしてくれよ!」

 精

「ミッ先にオイルマッサージをリクエストされていてな……お前で試すから風呂場まで来てくれ」

 

 ということで俺と実で男子風呂に入る。

 

 精

「マットを敷いて、オイルを人肌に温めて……あ、実はバスケットに入っている紙パンツに着替えてくれ」

 実

「いや結構ガチじゃねえか……嬉しいけどよ? もっとお手軽な奴でもよかったんじゃねえか?」

 精

「これを1-Aガールズにやったらアウトだろ」

 実

「男子達にやっても絵面がアウトだと思うぜ?」

 

 とは口で言いってるものの、実は紙パンツに着替えて上裸になってマットに仰向けになる。

 

 精

「んじゃ、始めていくぜ。お前は体が小さくてツボが分かりにくいけど……多分この辺りかな?」

 実

「んんん……良い感じだぜ……こりゃ女子達も骨抜きになるわ……」

 精

「股間の周りはですね、リンパが集中しているんですよ」

 実

「マッサージモノみてえなこと言うな、おふぅ……

 

 実の鼠径部を手の甲で撫でてやると意外と可愛い声が出た。

 

 精

「気持ちよかったら声を我慢しなくていいんですよ。皆さんもやっていますから」

 実

「だからそういうセリフを、おひょぉ……

 精

「一度にやり切らないと意味がありませんから」

 

 言うまでもないが俺はエロイマッサージを施している。実は性欲に忠実すぎる所がある。俺のように笑える範疇*4で抑えてもらいたいが、おそらく無理だろう。なら倒錯的な快楽に溺れて、一般的な癖の檻から放ってしまえば逆に安全だ。

 

 精

「……はい、施術完了だ」

 実

「……へ? もう終わりなのかよ?」

 精

「これ以上やったらお前のリトルミネタがバンザイしちまうだろ」

 実

「なっ……お、オイラが男で気持ちよくなるわけねえだろ!? もっとやってみろよ!」

 

 典型的な負け台詞だ。吐いた唾飲むんじゃねえぞと念押ししてから、『絶頂小夜曲(エクスタシー・セレナーデ)』を奏でる。お茶子ちゃんにやった健全版ではなく、故郷でやってる成人版だ。

 

 実

「──────ッ!」

 

 実の小さな体がびくりと大きく跳ねる。実は何が起きてしまったのかを理解して、仰向けのまま呆然としている。

 

 実

「嘘だろ……オイラともあろうものが……」

 精

「初体験は何時だって唐突な物さ。それを受け入れたら……新しい世界が見えてくる────こっち側に来いよ実。お前はその素質がある」

 

 実に床ドンを決める。奴の目には緑谷の顔を最大限に生かした、優しい笑顔が焼き付いている事だろう。

 

 実

「お、オイラは……いや、そうはいかねえぞ緑谷! オイラはこれぐらいじゃ屈しねえ!」

 

 実が俺を押しのけて立ち上がった。コイツッ! 性に関しては俺と同等かそれ以上の覚悟を持っていやがるッ!

 

 実

「気持ちよかったのは事実だが、それはお前のテクニックによるものであって、お前その物に興奮したわけじゃねえ! オイラの性癖を歪ませようったって、そう簡単にはいかねえぞ!」

 精

「おもしれェ……! いつかお前の性癖を歪ませてやるぞ、実ぅ……!」

 実

「でも、今のマッサージは無しだ! 次やったら女子達に言うからな!」

 精

「それはホントに勘弁してください……魔が差しただけなんです……」

 実

「……もう一度言うけど、気持ちよかったからミッ先にもやれよ! やったら感想聞かせろよ! どこをどう揉んだとか、どんな声だったかとか!」

 精

「……分かった。今後ともご贔屓に……よろしく頼むぜ、実」

 

 

 日記帳を閉じて思い耽る。

 

 精

「色々あったなあ……また飯田と勉強したいな。青山はこれからも定期的に聞いていたほうだ良さそうだな。さて、実を唸らせる一品を描きますか」

 

 この日記帳の中身ももっと面白くなっていくだろう。俺の青春はまだまだ続いていく。

*1
海藻由来の寒天を主原料とした植物性ゼリーの素。高温にも強く、常温でも溶け出しにくい安定性がある。

*2
フランス語の男性名詞。

*3
精はグラス一杯のワインで出来上がるほど酒に弱い

*4
1-Aガールズ「「「本当に?」」」




実の部分は深夜テンションで描きました。改めてみると酷いですね。
???「出久ちゃんと峰田ちゃんのカップリング……盲点だったわ」
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