抜きゲーみたいな島に住んでいた狂犬はヒロアカ主人公に憑依したらどうすればいいんだ? 作:神剣狩刃
緑谷
「えっと……クソ親父、じゃなくて……ベンドバーか」
緑谷
「だがもっと可哀そうなのは────その託した夢が俺によってぶっ壊されることだな。手前の息子を慰める準備をしておきな」
あまつさえこの俺に対して傲岸不遜な態度をとる始末だった。しかし、その態度を裏付けるだけの実力はあり、"半冷半熱"の両方の力を使った焦凍を倒した。奴の宣言通りで気に入らなかったが、治癒を終えた焦凍に慰めをかけに行った。
エンデヴァー
「子どもじみた駄々を捨ててようやくお前は完璧な"俺の上位互換"となった!」
焦凍
「何でもかんでもお前と結び付けるんじゃねえよ。あの時あの一瞬はお前を忘れて、俺の『やりたいようにやった』んだ。それが良いのか悪ィのか正しいのか……少し考える」
俺が慰めるまでもなく焦凍は立ち上がっていた。次に奴と会ったのは職場体験の時だった。規則違反の行動であり焦凍の力を借りながらも、
緑谷
「亀甲縛りされてる変態がかっこつけるんじゃねえよ」
さらにプロのヒーローすら立ち竦むステインの威圧の中でも奴は立ち向かった。あまりにも常人離れした何かを持つ奴のことを焦凍に聞いてみた。
焦凍
「緑谷か……女好きで、やべえことする奴で、あんまヒーローっぽくなくて……よく分からねえが、悪ィ奴ではないと思う」
結局何者なのかは分からなかったが、俺達とは違う何かを持つものではないかとなんとなく思った。そして先日のインターンで再会した。
緑谷
「手前のことは焦凍から聞いている。はっきり言ってクソだ。クソ度合いなら爆豪といい勝負できる、いや、爆豪よりクソだ。人間として下の下の下、最低ラインを大きく下回っている」
緑谷
「手前は全て間違っている。正せる所は今の内に正しておきな」
相変わらずの態度で言ってきた。しかし、ただの見下した発言というにはあまりにも俺の心に残った。
緑谷
「俺は燈矢さん=荼毘の証拠を出した。今度は手前が燈矢さん≠荼毘の証拠を出す番だぜ、エンデヴァー」
そして荼毘の、いや燈矢の真相を言われ何も言い返せなかった。その後に夏雄が敵に捕まっても動けなくなるほどの衝撃があった。
緑谷
「逸らすんじゃねえよ!!! そうやって逸らし続けてきたから学生でも分かることが見えなかったんだろうが!!!」
緑谷
「手前の!!! 責任だろ!!!
その言葉はあまりにも正論過ぎた。俺が今までやってきたことは、No.1ヒーローになれないという現実から目を逃げ続けてきただけに過ぎなかった。そのせいで燈矢は荼毘になり、冬美や夏雄は苦労をして、焦凍は自分のなりたいものを押し殺して、冷は心を壊してしまった。
エンデヴァー
「俺は……何も為していないのだな……」
その事実をはっきりと認めた。だからこそ、今まで犯してきた間違いを正していかなければならないと思った。その始まりとして、俺は病院に行って何度も頭を下げて面会の許可を頂き、冷の病室へ足を運んだ。冷は以前俺が渡した花をベッドに腰を掛けて朧気に見ている。その花のように儚い姿を見て、俺はすぐに土下座をした。
炎司
「…………本当に、申し訳なかった」
冷がどんな顔をして、どんな反応をしているかは全く分からない。それでも俺は言葉を続ける。
炎司
「俺の野望に付き合わせて、そのために出来た家族も顧みないで、燈矢や冬美や夏雄や焦凍……何よりお前に全てを押し付けてしまって……本当に申し訳なかった」
冷
「……私が何を望んでいるか本当に分かっていますか?」
冷が返してきた言葉はとても冷たいものだった。だが、俺には受け止めるしかない。それが俺に出来る償い────
冷
「私は謝ってほしいのではありません。向き合ってほしいんです。私だけでなく冬美や夏雄や焦凍にも、逃げないで向き合ってほしいんです。私だって逃げてしまいました。親である私が止めるべきだったのに、あなたの目に怯えて、燈矢を見殺しにして、焦凍に煮え湯をかけ、心を壊して逃げてしまいました。あなた一人だけ向き合うのはおかしな話です。私も皆と向き合います。だから……皆をここに連れてきてください」
思わず顔を上げた俺の目には、儚く朧気な冷の姿はもうなかった。氷の様に冷たく毅然と、しかしながら花のように優しく立ち上がった冷の姿が映った。後日、どうにかなんとか都合をつけて燈矢を除く轟家が病室に揃った。
炎司・冷
「……まずは、すまなかった」「……まずは、ごめんなさい」
誰かが何か合図を出したわけではないが、俺と冷が同時に謝った。冷と目を合わせ俺から謝ると話を始める。
炎司
「謝ってどうにかなるとは思っていない。だが、俺は過去を受け止め、お前達にやってきた所業の報いを受けていくつもりだ。だから……全て明らかにする」
夏雄
「────っざけんなよ! そうしたら俺や姉ちゃんや焦凍はどうなるんだよ!?」
夏雄が俺の胸ぐらを掴んで揺さぶる。今の生活が激変することに対しての不安や焦躁の表れだろう。
炎司
「お前達の身の安全を守れるよう最善を尽くす。今まで通りの生活が送れるようにも便宜を────」
夏雄
「今更父親面してんじゃねえよ! 全部お前のせいで────」
冬美
「夏……全部お父さんのせいじゃないと思うよ」
焦凍
「姉さんの言う通りだ。こうなったのは……俺達が止められなかったからだと思う」
冬美と焦凍が夏雄の肩を叩いて止めに入った。
冬美
「私だって……壊れてるのを知りながら怖くて踏み込めなかった……上っ面で繕うことしか……してこなかった」
焦凍
「俺も全部親父の言う通りにしてきちまった。少しでも親父に歯向かうべきだった」
2人の言葉を聞いて夏雄が俺から手を放してうなだれる。
夏雄
「……そんなこと言ったら……俺がぶん殴って燈矢兄と向かい合わせてやれてたら……こんなことにはならなくて、皆で盛り蕎麦を仲良く食べれたかもしれないだろ……」
冷
「私だって子どもあなた達に炎司さんの面影を見て怯えてしまった……本当にごめんなさい。だから、この責任は炎司さんだけじゃなくて、皆で背負う必要があるのよ。誰かの心が砕けても、皆で支えながら立ち向かっていくのよ」
俺が目を逸らしていた間に、冷はこんなに強くなっていた。
冷
「私たちよりよっぽど辛いハズの子が、恨んで当然の私を再びお母さんと呼んでくれた……雄英高校でお友だちを作って私たちを繋ぎとめてくれた、焦凍が
ああ。俺はなんてバカなことをしていたんだ。No.1というものに囚われて本当に大切な物が見えていなかった。家族の一員として本当に情けない。情けなさのあまりに膝から崩れ落ちて涙が出る。
焦凍
「泣き終わったら立てよ。皆でこの危機を"Plus Ultra"しよう」
炎司
「オオオショオトオオオ!!! ミンナアアア!!!」
一家を抱きかかえて大泣きする。
冷
「……あなたが大泣きする所、初めて見ました」
冬美
「……こうやって皆で抱き合うのも初めてだね」
夏雄
「……加齢臭だけは一丁前じゃねえかよ……目に染みるぜ……」
焦凍
「緑谷なら臭いのケアとか完璧にできそうだな」
緑谷────彼ならこの問題に対して協力してくれるかもしれない。家族を守るためにも頼れる力は可能な限り頼っていくとしよう。
轟家の闇にメスを入れてから一ヶ月が経とうとしていた。その間もエンデヴァーの事務所でインターンをしていたが、ちょくちょくエンデヴァー無しでやることがあった。サイドキックの皆様が手取り足取りチン取りマン取り教えてくれるのは嬉しいが、今日もいないエンデヴァーの奴は何をしているのだろうか。
爆豪
「チン取りマン取りってなんだよ手前の頭の中はエロい事しか詰まってねェのか」
精
「おかしいな……俺の記憶の中ではバーニンさんとアツい一夜を過ごしたはずだが……」
爆豪
「戦闘訓練をエロく言い換えるんじゃねェ失礼だろ」
焦凍
「まあ、コスチューム越しに滅茶苦茶熱がってたからな」
爆豪
「だからよォ────」
爆豪の発言を遮るように焦凍のスマホが鳴る。
焦凍
「親父からだ……どうしたんだ親父? …………緑谷、代わってくれねえか」
焦凍から差し出されたスマホを受け取りエンデヴァーと話をする。
精
「インターンをサイドキックに任せて何してんだ」
エンデヴァー
『……全てを打ち明けることにした』
その発言を聞いて冷や汗が流れる。No.1ヒーローが個性婚で子供を作り、その長男が敵になって、三男に虐待をしていた、なんて言ったら世間は大きく揺れる事だろう。もしかしたら、ヒーロー社会が揺らぐかもしれない。
精
「まさかもう言ったなんてことはねえだろうな……!?」
エンデヴァー
『流石にそんなことはしない……この一ヶ月で様々な事態を想定して、そのための備えをしていた』
そこまでバカじゃなくてよかったと胸をなでおろす。
エンデヴァー
『家族の皆にも話をした。あまりいい反応ではなかったが……止められなかった自分達にも非があるとさえ言っていた』
精
「……貰った給料の全てを家族サービスに使えよ。普通だったら全部手前のせいだからな」
エンデヴァー
『……そこで君に頼みたいことがある。ほとぼりが冷めるまで我が家を守ってくれないか?』
エンデヴァーの真実発表によって一番懸念するべきは轟家の安全だ。犯罪者の妹や弟とか敵を生み出したヒーローの子供とか、非難轟々を喰らうのは火を見るより明らかだ。本来はエンデヴァーが守るべきだが、エンデヴァーはNo.1ヒーローとしての仕事が多すぎる。ヒーローが家族を守って仕事をしませんなんて公言しようものなら、敵が喜んで犯罪を起こすだろう。そこで俺を頼ったというわけだ。
精
「報酬は何回でも高級焼肉を腹一杯奢るで手を打とう」
エンデヴァー
『……君には何度も迷惑をかけて申し訳ないな』
精
「手前なりに変わろうとしてんだろ? だったら渋々で嫌々ながら協力してやるぜ。ただ、取んなきゃいけねえコマがある日は流石にカバーしきれねえぞ? どうすんだ?」
結構な問題だと思っていたが、その解決策は背後から爆発的にやってきた。
爆豪
「人前でセンシティブな密約を堂々と交わすんじゃねェ丸聞こえだ。エロ金髪が行けねェ日は俺が行く。コイツ一人に任せると碌なことにならねェからな」
焦凍
「待て、爆豪が関わると悪化する可能性がある。俺も参加する」
爆豪
「俺が関わると悪化するだぁ!? 寝言は寝て死ね!」
精
「……爆豪には適当な焼肉食べ放題店でも連れて行ってやってくれ」
爆豪
「俺も高級焼肉にしろや!」
精
「だそうだ。財布が持つなら爆豪も雇え。家守だけじゃインターンのレポートも真面な物が書けねえ。良い感じにローテを組んで、実践と家守を上手く均等に回してくれ」
エンデヴァー
『……ありがとう。公表は明日の予定だ。今日は学校に帰って準備をして、明日の朝に我が家に来てくれないか? 送迎は車田*1に頼んである』
精
「
エンデヴァー
「……それでは失礼する」
電話を切って焦凍にスマホを返す。俺は両手で頬をパチンと叩き気合いを入れる。
精
「行くぞ、
爆豪
「そのテンションで行けるかバカ」
焦凍
「だが、落ち込んでたってしょうがねえだろ。ここは空回っても明るく行くべきだ」
爆豪
「だから何だっててめェはエロ金髪に従順なんだ弱みでも握られてんのか?」
焦凍
「……俺に『やりたいようにやれ』って教えてくれたからだ」
体育祭の時に俺が言った言葉だ。この言葉は思い悩んでいる人間を動かす、魔法のような言葉らしい。
爆豪
「エロ金髪のことだから女に手ェ出す時の言葉だろそれ」
精
「俺を救ってくれた人の大切な言葉だよ。まあ、女に手を出す時に使ったことがないと言ったらウソになるが」
爆豪
「使ってんじゃねェかよ大切な人泣くぞ」
精
「その大切な人とのエッチの時に毎回使ってるけど? そのたびに喜んでくれてるけど?」
爆豪
「……俺が悪かったもう何も言わねェでくれツッコミ疲れた」
精
「エッチだけに?」
爆豪が俺を無視して出口に向かい始めた。俺と焦凍も続く様に出口に向かう。そこには車田さんが待ち構えていて、あれよあれよと車に乗せられた。
車田
「待たせたなジャリンコ! これまで以上に長い付き合いになりそうだな!」
精
「No.1専属運転手をアッシー君に出来るなんて……悪くねえな」
車田
「ケェ────! アッシー君なんていつの時代の言葉だ!? アンタ幾つだいジャリンコ!?」
ううん、ジェネレーションギャップを感じてしまう。これは最近のトレンドを掴まないと冬美さんを攻略できなさそうだ。
爆豪
「……分かってンだろうなエロ金髪?」
精
「大丈夫大丈夫、俺からじゃなくて冬美さんから手を出させればセーフだから」
焦凍
「もしもし八百万? 緑谷が俺の姉さんを狙ってるんだが、セーフか?」
精
「待て待て待て! 俺なりの作戦があるんだって!
違うからね百ちゃん!? 本当に違うからね!?
後で作戦言うから他の1-Aガールズには言わないでね!?」
車田
「ケェ────! ただのジャリンコじゃないと思ったが、マセガキだったか! こりゃエンデヴァーさんも不安になるわけだ!」
ここからが本当の地獄だ。