抜きゲーみたいな島に住んでいた狂犬はヒロアカ主人公に憑依したらどうすればいいんだ?   作:神剣狩刃

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Q.黄泉戸喫って何?
A.よもつへぐいで調べてください。


6-07 同じ地獄の釜の飯を黄泉戸喫する仲

 運命の日がやってきた。俺は現在、轟家で色々な仕込みを終えてテレビを見ている。そのテレビの中ではスーツ姿のエンデヴァーが真実を話している。

 

 エンデヴァー

『敵連合の荼毘は私の死んだ息子、轟燈矢である可能性があります』

 

 そこから話される轟家の闇はすさまじかった。記者の質問全てに丁寧に答えて、何度も頭を下げて、ただ粛々とこなしていった。

 

 エンデヴァー

『最後に……これは全て私の責任です。私の家族やサイドキックの方に迷惑をかけないで下さい。あらゆる批判や批難は私が受けます』

 

 最後に深々と頭を下げるエンデヴァーが、皮肉にも一番父親らしく、ヒーローらしく見えた。その会見から1時間もたたない内に轟家の玄関にマスコミがやってきた。

 

 マスコミA

「ご家族の方! 情報をお聞かせ下さい!」

 マスコミB

「あの発言の真偽はどうなんですか!?」

 

 やかましくてかなわないので俺は玄関に出た。

 

 精

「人の話聞きました? 家族に迷惑をかけるなって────」

 マスコミA

「お話を聞かせてください!」

 マスコミB

「あれ、ω-99さんじゃないですか!?」

 マスコミC

「なぜこちらにいるんですか!?」

 

 元々マスコミは嫌いだが、雄英に不法侵入されてから一層嫌いになった。だから俺は秘策を放つ。

 

 精

()()()()()()()()()()()()()なんです」

 

 時は昨日の夜に遡る。帰ってきた俺に1-Aガールズが詰め寄ってきたのだ。

 

 梅雨ちゃん

「百ちゃんから聞いたわよ。轟くんのお姉さんを狙っているらしいわね?」

 精

「ちょっと待って……冬美さんを狙っているのは事実だけど、どうしても狙わなきゃいけないんだ」

 お茶子ちゃん

「じゃあその理由を聞かせて欲しいな?」

 精

「……轟家にやって来るであろうマスコミを追い払いたいんだ」

 

 エンデヴァーの衝撃的会見によって、轟家にマスコミがやってくるのは確定的に明らかである。いくら迷惑をかけるなと言っても、奴らは数字のためなら平気で迷惑をかけてくる。

 

 耳郎ちゃん

「……マスコミに対しての偏見はともかく、追い払うのに何でお姉さんを狙うのさ?」

 精

「轟家側に立って守るためには、轟家とのそれなりの繋がりが必要なんだ」

 百ちゃん

「確かにただの轟さんの友人より、相応の関係者として言った方が影響力はあると思いますが……」

 精

「だから、冬美さんと結婚する予定だと言うつもりなんだ」

 三奈ちゃん

「けけけ、結婚!? そこまで行く!?」

 精

「結婚という幸せを踏みにじってまで奴らが数字を取ったら……出るとこ出て訴えて退けられるでしょ」

 透ちゃん

「その結婚に真実味を持たせるために狙うと……すごいこと考えるなあ……」

 

 俺の作戦に1-Aガールズはふむふむと納得してくれた。その後、焦凍経由で冬美さんにこの作戦を説明した。

 

 冬美さん

「この一ヶ月でそこまで考えてたんだ……ごめんね、色々巻き込んじゃって」

 精

「とりあえず話を作りましょう。出会いは子供の頃、焦凍の家に遊びに行って……そこで俺が漏らして介抱してくれたってことにしましょう。混ぜれるなら真実を混ぜた方が良いですから」

 

 その後はいい感じに仲良くなって、将来結婚すると子供らしく約束して、冬美さんを守れるようにヒーローになると決めたということにした。

 

 精

「……とりあえずこれなら初日は乗り切れるかと思います。夏さんにも伝えておきますので、しばらくはお世話になります」

 冬美さん

「ううん、こちらこそ色々考えてくれてありがとう。しばらく迷惑をかけちゃうけど……」

 精

「なあに、女性からされたなら大体のことは許せます。例え殺されかけてもね」

 冬美さん

「ふふっ、緑谷くんは頼もしいなあ。一緒に頑張ろうね」

 

 この電話の後に夏さんにも伝えたが、およそ同じ反応だったので省略させてもらおう。

 

 精

「たとえどんな境遇で育ってきたとしても、俺は冬美さんが好きですし、冬美さんを守りたいんです! だから────轟家に迷惑をかけないでください!」

 

 俺の故郷で培ってきた迫真の演技力に、マスコミたちは少したじろいでいる。俺は咄嗟にスマホを取り出して110番通報をする。

 

 精

「もしもし警察ですか!? 俺と冬美さんに迷惑をかける集団ストーカーに襲われています! 助けてー! 早く来てー、早く来てー!」

 

 必至になって通報する俺を見て、マスコミ達が蜘蛛の子を散らすように逃げだす。ちなみに通報はマジでしており、やってきた警察に真面目に説明した。しばらくはお世話になりそうと頭を下げてお願いした。

 

 

 そんなこんなで夜になった。玄関がガラガラと開く音がしたので甘い声でお迎えをする。

 

 精

「おかえりなさい♪ 冬美さ」

 炎司

「…………その、冬美でなくて済まない……」

 

 そこにいたのは冬美さんではなくめっちゃ複雑な顔をしたエンデヴァーと、

 

 爆豪

「今のは傑作だったぜエロ金髪ゥ! ギャハハハ!」

 

 アホほど爆笑している爆豪と、

 

 焦凍

「親父と姉さんってそんなに似てたか?」

 

 いまいち理解していない焦凍だった。クソ気まずいが、引っ込むわけにはいかない。無理矢理続ける。

 

 精

「……冬美さんはどこかな♪」

 冬美さん

「う、後ろにいまーす……」

 

 ひょっこりと冬美さんが出てきた。ならよかったと俺は仕切り直す。

 

 精

「……んん、おかえりなさい♪ 冬美さん♪ お風呂にする? ご飯にする? それとも……あ・ー・し?」

 炎司

「待て待て待て!? 何時から冬美とそんな関係になったんだ!?」

 

 そういえばエンデヴァーには説明をしてなかった。俺と冬美さんで諸々説明をする。

 

 炎司

「……そういうことだったのか。取り乱して済まなかった」

 精

「ということで……お義父さんからの許可も得ましたし、一緒にお風呂入りますか?」

 冬美さん

「えっ!? い、いや、そ、そこまでするのはまだ早いんじゃないかなあ!?」

 炎司

「まだだと!? ダメだ冬美! コイツにはすでに6人の女がいるんだぞ!」

 精

「そういう関係っぽく振舞っているだけっつっただろ! 取ってつけたような親バカになるんじゃねえ!」

 冬美さん

「ろ、6人もいるの!? だったら夏くんにアドバイスしてあげてよ! ゼミで彼女が出来たって────」

 夏さん

「言うなよ姉ちゃん!? てか、緑谷くんに6人も彼女いるって本当!?」

 

 いつの間にか夏さんも参戦してきた。後々聞いた話だがあの会見での影響を考えて、しばらく大学は休むことにしたらしい。

 

 焦凍

「本当だぞ夏兄。毎週土曜日と日曜日に色んなことしてる」

 夏さん

「色んなコト!?」

 爆豪

「度々やらかして絞られてるがなァ」

 夏さん

「絞られてる!?」

 精

「ナニ想像してるんですか夏さん。俺はまだ高校生だからやってもキスまでですよ」

 冬美さん

「人数に目を瞑れば節度はしっかりしてるね」

 炎司

「その人数が大問題だがな」

 

 俺の人間関係のおかげで雰囲気もだいぶ良くなった。早速晩御飯を作っていくとしよう、と言っても仕込みはもう終わっているので後は焼くだけだ。フライパンにごま油を引いて温め、豆板醤を炒める。次に一口大に切って昼間から塩麹に漬けておいた鶏モモ肉を炒める。そこにニンニクの芽を気が済むまで入れる。ある程度炒めたらコチュジャンを入れ、最後に塩胡椒で味を調える。大皿に盛ったら完成だ。

 

 精

「お待たせしました。『鶏肉とニンニクの芽炒め~二種の醤仕立て~』です。汁物は適当に作った油揚げとワカメのみそ汁です」

 

 早速みんなで食べていく。

 

 夏さん

「なにこれウマッ!? 辛いんだけど止まらねえ!?」

 冬美さん

「ジューシーな鶏肉ともきゅもきゅのニンニクの芽が合う~!」

 炎司

「……ふ、冬美の料理には劣るが、なかなか旨いじゃないか……」

 爆豪

「……これが適当に作ったみそ汁の味かァ? 気に入らねェ……」

 焦凍

「気に入らねえなら俺が貰うぞ。旨いからな」

 

 どうやら皆様に好評のようだ。あっという間に空になったのでおかわりの分を作る。

 

 夏さん

「こりゃ6人彼女出来るのも納得の料理の腕だわ」

 冬美さん

「料理の腕が全てじゃないけど……おいしい料理を作れる人っていいよね~」

 炎司

「大丈夫だ冬美。お前の料理の方が俺は好きだ」

 焦凍

「俺はどっちも好きだな。姉さんの料理は懐かしくて、緑谷の料理はシンプルに幅が広い」

 爆豪

「……認めたくねェが、飯だけならエロ金髪の方が上だな」

 精

「まあまあ、味の好みは人それぞれだから。デザートはフルーツ一杯の牛乳寒天ですよ」

 

 プルンと甘い牛乳にシロップにつけられた缶詰の果物が組み合わさって、どこか懐かしい風味が駆け巡る。

 

 夏さん

「これ小学校の頃食った気がするわ」

 冬美さん

「学校の子供達と食べたな~……この味だからいいんだよね」

 炎司

「……緑谷、葛餅は作れるか?」

 精

「スイーツなら和洋問わず一通り作れますよ」

 焦凍

「緑谷が本気出したら店開けるんじゃねえかな」

 爆豪

「内外装のセンスが悪くて客が寄り付かねェだろうよ」

 

 楽しい夕食の時間が終わり、お風呂の時間となる。俺は冬美さんと一緒にお風呂に────

 

 爆豪

「何自然と女と2人きりで入ろうとしてんだコラ」

 炎司

「冬美はまだ早いと言っただろう?」

 

 監視役2人に捕まった。仕方がないので諦め────

 

 冬美さん

「そ、その……目を閉じていてくれるなら……いいよ?」

 

 俺すらも想像していなかった返答に場の時が止まる。

 

 炎司

「何を言っているんだ冬美!?!?!? コイツはロクでもない男だぞ!?!?!?」

 爆豪

「今だけは賛同してやるよNo.1!!! コイツなにしでかすか分かんねェぞ!?!?!?」

 精

「無理しているなら諦めますので!!!」

 炎司・爆豪

「「「だったら最初から言うな!!!」」」

 冬美さん

「まってまって……説明するから……」

 

 冬美さんが怒りの臨界点に達している二人を宥め、焦凍と夏さんが熱くなった部屋を冷やして、話ができる空気を作る。

 

 冬美さん

「焦凍から聞いたけど、緑谷くんは夏くんを敵から救って、お父さんに思いっきり説教したんだよね? そのおかげでお父さんは皆と話し合って、皆でまとまっていこうってなったと思うんだ。それに、焦凍がお母さんと話したのも緑谷くんの影響だよね?」

 

 唐突に話題を振られた焦凍が驚きながら話す。

 

 焦凍

「あ、ああ。俺のなりてえもんになるためには、『やりたいようにやる』ためには、母さんとしっかり向き合わなきゃいけねえと思ってな」

 冬美さん

「お母さんは焦凍が轟家(ウチ)のヒーローになったって言ってた。その通りだと思うけど、焦凍をヒーローにしてくれたのは緑谷くんだと思うんだ。だから……そのお礼にだったらいいかなって……」

 

 風俗が流行れば桶屋が儲かるとはよく言うが、巡り巡ってこうなる事ってあるのか。焦凍と体育祭で戦ってよかった。

 

 冬美さん

「それに……家族を亡くして、お姉ちゃんとのふれあいの経験がないから、私が緑谷くんのお姉ちゃんの代わりになろうかなー、なんて……」

 爆豪

「その話だがよォ、緑谷の家族は死んでねェぞ」

 

 お前どんだけ俺と冬美さんを引き離そうとするんだよ。それ言い出したら説明が大変だろ。

 

 爆豪

「女には噓をつかねェんだよなァ!?」

 

 コイツホント性格が屑畜生ゲロゴミカスクソ下水煮込みの1000年熟成だ。

 

 精

「……分かったよ、白状するよ。今から話すことは他言無用でお願いします」

 

 ということで俺こと土口精の身の上とこの世界に来てしまった経緯を話す。焦凍を除いた轟家の皆様は眉が唾でビシャビシャのテラテラだったが、焦凍が何も言わないのを見て納得してくれた。

 

 炎司

「……年の割に物怖じせず強気な発言が多いと思ったらそういうことだったのか……」

 精

「歳は手前より若干下、見た目は子供、頭脳は大人、心は青春真っ盛りだぜ」

 夏さん

「だからいろいろ経験豊富なんだな……緑谷さん、って呼べばいいのかな?」

 精

「普通に緑谷くんでいいですよ。この体の年齢に合わせて呼んだ方が自然でしょうから」

 冬美さん

「……つまり、本来の緑谷くんの家族は大丈夫だけれど、土口さんの家族はもう亡くなっているってことだよね……?」

 精

「そうなりますね。紛らわしい言い方してすみませんでした」

 爆豪

「で、この上でもコイツと風呂入りてェってんならもう止めねェ」

 冬美さん

「それじゃあ……一緒に入ろうか、緑谷くん♪」

 

 やったあ。

 

 

 ということで何重にもアイマスクをして冬美さんと一緒にお風呂に入る。いやもう、いい匂い過ぎる。良い石鹸とか入浴剤とか、そういうのじゃなくて冬美さんがいい匂い過ぎる。視覚が遮られてるから嗅覚が鋭くなってしょうがない。

 

 冬美さん

「ねえ、緑谷くん」

 精

「な、何でしょう────」

 

 俺の体にもにゅんっと温かい何かが触れてギュッと何かが絡みつく──────冬美さんが俺に抱き着いたんだ。

 

 冬美さん

「……私ね、幸せな家庭を持つことが夢だったんだ。先生をやっていて、子どもたちにもそう教えていて……だから、さっきみたいに玄関先で騒いだり、皆で楽しくご飯食べるのとか、すっごく嬉しかったの」

 精

「……心中察します。俺も、大切な人と作った家庭が何よりもの支えですから」

 

 経緯や事情が違えど、真っ当な家族を味わえなかった俺だからその気持ちがよく分かる。

 

 冬美さん

「お母さんはもうすぐ帰って来るけど……できれば燈矢兄もこの家に帰って来てほしいんだ」

 

 冬美さんは本当に家族思いな人だ。例え敵になった兄であっても、家族として受け入れるつもりでいた。しかし、家族がそう思っていても世界がそれを許すとは思えない。

 

 精

「……難しいでしょうね。誘拐、殺人、場合によっては放火や放火殺人もあり得ます。良くて終身刑でしょうね」

 冬美さん

「……だよね……」

 

 明らかに冬美さんが落ち込んでしまった。ここは『金色の狂犬』として盛り上げないと。

 

 精

「……でも、難しいであって不可能ではありません。難しいだけなら努力次第でどうにでもできます」

 冬美さん

「…………そんな緑谷くんだから、轟家(ウチ)をどうにかしちゃうんだろうね。そうだよね、みんな頑張ってるんだから、私も頑張らないと……!」

 

 冬美さんの声に元気が戻った。うまく話せたよう────────チュッっと唇に柔らかい何かが触れる。

 

 精

「……今のって……」

 冬美さん

「今までのお礼だよ♪ もっと頑張ったら……私を食べれちゃうかもね♪」

 

 来た初日の騒ぎを聞いていたんだ、どころじゃない。一気に血の気が引いてきた。一緒に風呂入ったことはリクエストスイーツとマッサージで手打ちになるかもしれないが、キスがバレたら何されるか分かったものじゃない。1-Aガールズ一人一人から半殺しにされて三殺しにされるかもしれない。

 

 

 ウキウキな姉さんが出てきて、少し遅れてから緑谷が風呂から出てきた。風呂から上がったというのに、カタカタ震えて顔が少し青白かった。

 

 焦凍

「大丈夫か緑谷? 目隠しで風呂入って怖かったか?」

 緑谷

「……ちっとお前の炎貸してくんねえか……薄ら寒くてよ……」

 爆豪

「そのまま燃やし尽くしてやれ。来世でまともな貞操観念になる事を願ってワンチャンバーニングだ」

 

 爆豪の言う通りにするわけにはいかないので、ほどほどの炎を出して震える緑谷を温める。

 

 緑谷

「…………俺の恥骨は拾ってくれ、焦凍兄義さん……」

 爆豪

「拾うなら遺骨だろ女と風呂入ってエロイことしか考えれなくなったか」

 緑谷

「…………ああ、そうだったな……」

 

 緑谷の演技力は本当にすごい。まるで姉さんと一線を超えてた関係になって、あらゆる覚悟をしたみたいだ。これなら姉さんと結婚するって誰でも信じると思う。

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