抜きゲーみたいな島に住んでいた狂犬はヒロアカ主人公に憑依したらどうすればいいんだ? 作:神剣狩刃
バカ三人でエロ本を書いて、最高速度でブチ抜いた俺は絶賛賢者タイムだった。そうなると意外と頭は冴えて、妙案が思い浮かぶものだ。
精
「九玉さん達の情報を手に入れるならホークスが知っている。ホークスに喋らせないで情報を得る手段は暗号だけじゃない……ホークスの"未来を視る"ことが出来れば情報が手に入るな」
翌日、俺はエンデヴァーに思いついた妙案を提案した。
エンデヴァー
「なるほどその手があったか……ホークスには俺から掛け合ってみよう」
精
「サーさんには俺から掛け合ってみます。前のインターンで連絡先は知っていますので」
ということで後日、実践訓練という形でホークスとサーさんがエンデヴァー事務所にやってきてくれた。
精
「むさくるしい事務所ですが、ゆっくりしていってください」
ホークス
「君が言うのか……こりゃ将来が不安だよ……」
ホークスが分かりやすく落胆する。すかさずサーさんがホークスの肩を叩いて励ます。
サーさん
「アイツはあの態度をとるだけの力はある……だからといってあの態度のままでいいとは言えないがな」
サーさんの目の色が変わって
精
「サーさんは前に勝っているから……ホークスと訓練したいですね。よろしいですか?」
ホークスが豆鉄砲を喰らった様に驚いて、マジで?と言わんばかりにサーさんの方を見る。
サーさん
「"個性"の相性が悪くてな……お前もエンデヴァーとは相性が悪いだろう?」
ホークス
「そりゃそうですけど……まあ、態度矯正も兼ねてご指導しちゃいますかね」
ということでエンデヴァーが焦凍用に作ったであろう戦闘訓練室を借りる。流石No.1ヒーローの訓練部屋なだけあり、雄英の体育館に勝るとも劣らない広さだ。俺は早速OFAS50%を発動し、ストレッチを始める。
精
「実を言うと……No.1にも勝ってるんですよね」
ホークス
「それは口喧嘩の話でしょ? でも……実際に戦っても勝っちゃうかもしれないね。君にはそう思わせるだけの何かがある」
ホークスは今も九玉さん達に盗聴されている事だろう。下手のことを口走らず、全力を出し切らず、かといって負けたくはない。非常に複雑な訓練になるだろう。
精
「さてさてさーて……早すぎる男は倒されるのも早かったりして?」
ホークス
「いやいや、倒すのが早すぎるんだって」
早速後ろを取られた。すかさず浮遊で空中に────その先には羽根が展開されていた。黒鞭で打ち払う。
ホークス
「ほらね」
咄嗟に腕を前に交差して防ぐ。猛禽類のような強烈な蹴りが刺さる。脚まで鳥だったら腕を持っていかれたであろう威力だ。
ホークス
「へー……結構本気で蹴ったんだけど、耐えるかあ……」
精
「先日の地獄に比べたら微笑ましいものですよ。俺もちょっとだけ本気を出しますね────
蹴りを喰らう直前に極点領域を切る。何とか防御できたが、またも攻略されてしまった事実は覆らない。もしかして俺、強くないのかな……
ホークス
「いやいや、君が強くなかったら雄英の子ほとんど弱いってことになっちゃうよ」
精
「ですよね。んじゃ、いっちょ"Plus Ultra"しますか。"危機感知"+極点領域」
流石に反応が多すぎる。脳が焼き切れそうだ。領域を切らざるを得ない。
ホークス
「その歳で俺に追い付くって相当なものだよ。これだけ広いからどうにかなったけど、路地裏とかの狭い所だったら捕まってたかも」
精
「となったら俺の課題は開けた場所での拘束力か……これ以上広げるとしたらもっと根本から変えないといけないか……」
ホークス
「自分で言うのもアレだけど、俺より速い敵はいないと思うよ?」
精
「いえ、あの人、九玉さんが本気を出したらホークスより早く動くと思います」
あの規模の街を破壊できるエネルギーを推進力に使えば、ジェット機並みの速さで移動できるだろう。いくら直線的な動きだからといって、ジェット機を止められる"個性"は中々ないだろう。九玉さんを止められないと元の世界には帰られないと思った方が良い。
精
「だからといって……現状止められるとは思えないんですよねえ……」
ホークス
「あー……あの瞬間移動は俺でも止められないからねえ……」
九州で実感し今なお身近で見ているホークスが言うのだから間違いないだろう。全盛期のマイトなら止められるだろうか。だとするとOFASを100%で扱えるようにならないと話が始まらなさそうだ。あと1年はかかりそうだが、その前に九玉さん達が決起して何かが始まってしまう。いや、さらにその前にヒーロー達が先手を打つだろう。
精
「……あれっ、もしかして俺結構ヤバいのでは──────」
ホークス
「戦いに心配事を持ち込んじゃダメだよ?」
ホークスの羽にシバかれる。ここがリアルな戦場だったら死んでいただろう。しかし、今回の心配事は今までとは訳が違う。本気になって考えないといけない。
精
「……すみません。ちょっと今日はもう戦えそうもないです……」
ホークス
「もしかして結構マジな心配事だった? よろしかったら相談のるけど……」
俺のは異能解放軍の本を取り出してホークスをけん制する。
精
「……
俺はニヤリと笑いながらホークスに言い放つ。
精
「でも、そんなホークスに対しても言えない悩みはあるんです。これは俺の問題ですから」
ホークスは何かを悟ったように引き下がった。
ホークス
「……インターン、頑張ってね」
精
「No.1と2から激励されたら誰でも頑張っちゃいますよ」
とりあえず今は頑張るしかない。もっとも、何をどう頑張ればいいかは分からないから、筋トレと"個性"伸ばしと実戦経験をするしかない。
あれから日が経ち3月上旬、インターンでサーさんの事務所に行くことになった。しかも、学徒総動員でホークスを除いた大勢のプロヒーローや警察もセットだ。いつぞやのように会議室に集まって話し合いが始まる。
サーさん
「今回お集り頂いたのは……敵の本拠地が分かったからです」
俺の想定通り、サーさんはホークスの未来を見て九玉さん達の居場所を掴んだようだ。それに加えて、ホークスも情報を集めていたらしい。九玉さん達は蛇腔病院と群訝山荘という場所で、前者では殻木というドクターがアルティメットガラキングを作る準備をしていて、後者では九玉さん達『理の会』の定例会議を開いているという。
塚内
「我々には保須や神野のトラウマがある。殻木、脳無、死柄木、九玉……『理の会』の一斉掃討が我々の命題だ」
俺に戦慄が走る。普通に行動していたら、この作戦が成功しても失敗しても碌なことにならないからだ。まず失敗したらヒーロー社会が崩壊するだろう。だからと言って成功させたら九玉さんが捕まり、いや、最悪は殺されて俺が元の世界に戻れなくなる。いくら世代を重ねるごとに強力な"個性"を持つ子供が産まれてくるとはいえ、"世界移動"を持つ子供が産まれてくるかどうかなんて分からない。最悪、不老不死みたいな"個性"の人にOFAを渡して俺がもう一度貰えば待つことは出来るかもしれない。しかし、その人に事情を説明して納得してもらうのは至難の業だろうし、そもそもOFAを返してもらえなかったらその時点で詰みだ。
塚内
「今回の作戦で警戒するべきは"ワープ"と九玉だ。"ワープ"の発動者は病院側にいるが、その護衛として九玉がいる可能性が高い。九玉は今まで以上に強力になり、再び泥花市のような大規模破壊を行いかねない」
サーさん
「……このため、異例中の異例だが……緑谷出久をプロヒーローと同時に前線に投入したいと思っている」
あまりにも唐突な使命に会場がどよめく。いくら優秀とはいえ仮免ヒーローを死線の真っただ中にぶち込むという、暴挙ofベストイヤーものの発案だから無理もない。
サーさん
「皆様の反応はごもっともです。しかし、彼は1年生にしてプロと同等、ややもすればそれ以上の実力を持っているのです。それは私やエンデヴァーを始めとした、何人かのプロヒーローが本気で思っていることなのです」
おそらく、俺が緑谷出久ではなく土口精であると知っている人間が色々考え抜いた末、この作戦を決行することになったのだろう。その発言に会場の全員が俺の顔を見る。後は俺次第ですってことか。俺は両手で頬を叩いて気合いを入れ、勢いよく立ち上がる。そして大きく息を吸い込み、覚悟を表明する。
精
「やります──────俺は『やりたい』と思っちゃいましたから。『やりたい』って思っちゃったら……『やりたいようにやる』しかないじゃないですか」
当の本人がこう言っているから認めるしかない、といった感じで皆が渋々納得した。
サーさん
「作戦決行日は我々がもう一度集まるその時です。それまでは各自万全の状態で挑めるように体調を整えてください。本日はお集まりいただきありがとうございました」
サーさんの一礼で会議が終わる。俺は背負った使命感に、ではなくどう立ち回るべきかに頭を抱えていた。
悩んでいたって仕方がないのでそのまま澤先に話をする。
澤先
「緑谷か……丁度話がしたかったんだ。ちょっと付き合ってくれるか」
精
「奇遇ですね。俺もです」
またもいつぞやのように男子トイレに2人で入る。
澤先
「……今回の作戦でお前は元の緑谷と入れ替わるつもりだな」
精
「ええ。これを逃したらチャンスはないです。そのためには……間違いなく澤先の力が必要です」
九玉さんの倒し方として、澤先の"抹消"をかけるという方法がある。"個性"が無くなった九玉さんなら、ただの力の強い人間ぐらいで済む。九玉さんが個性消失弾を破壊した理由もここにある。
精
「九玉さんは『元の世界に帰りたくば我を止めて見せよ』と言っていました。澤先がいれば簡単に止められると証明できれば、俺も元の世界に戻れると思います」
澤先
「……正直な所、俺一人で九玉を止められるかと言ったら怪しいが、誰かと組めば止められるとなれば問題ないだろう」
九玉さんは九州の一件でミルコさんに負けかけていた。あの時、ミルコさんが最初から裸だったら勝っていただろう。つまり、理論上では澤先とミルコさんがいれば九玉さんは簡単に止められることになる。
精
「……ただ、引っかかる事があるんですよねえ……」
澤先
「今回の作戦の主役はお前なんだ。言える内に言っておけ」
俺の疑問点に澤先が担任の先生らしく気にかけてくれた。俺はそれに甘んじて疑問点を開示した。
精
「一つ目は俺と緑谷の約束です。
澤先
「この作戦が成功すれば世界は平和になる。教師である俺がこう言っちゃあ問題かもしれないが、誤差として考えるべきだ」
九玉さんの無力化=理の会の崩壊と考えていい。そうなれば、平和が訪れるのは時間の問題だろう。それまでは緑谷にも少しは頑張ってもらうべきかもしれない。それじゃあ次の引っかかることも開示しよう。
精
「もう一つは……九玉さんの『荼毘を殺す』宣言です」
先日の九玉さんの配信を澤先に見せる。澤先はため息をついて面倒くさそうに話し始めた。
澤先
「お前には特別な事情があるから九玉の動向に過敏になるのは分かる。だが、敵の内輪揉めにまで気をかける必要はない。敵が仲間割れする事なんかよくある話だ」
燈矢さんが九玉さんに殺されたところで、緑谷に対してはこれといったダメージはないだろう。だが、結末がどうあれどうなったかを知れないのは、俺にとっての心残りになる。伏線や謎を張っておきながら回収せずに終わる作品のように後味が悪い。
澤先
「色々ごちゃごちゃ言ってしまったが……お前は何も気にせず元の世界に戻って平和に暮らせ。この世界にはヒーロー飽和社会なんて言われるぐらいヒーローがいるからな」
澤先がここまで言うのだから、難しい事は考えないでそうするとしよう。
精
「そうしたら……この後、1-Aの皆でお別れ会をしないといけませんね。澤先も付き合ってくださいよ」
澤先
「……そうだな。お前の問題発言や行動の数々もこれで最後だと思うと、肩の荷が下りて気が楽になるよ」
そりゃないっすよと笑いながら2人でトイレを出る。たまたま女子トイレから出てて鉢合わせになった梅雨ちゃんがキラキラケロケロしだした。俺と澤先はそういう関係じゃないからね?
と言う訳で数日後、1-Aの寮でささやかな告別式が開かれた。
お茶子ちゃん
「送別会だよ! 勝手に死んじゃイヤだよデクくん!」
梅雨ちゃん
「こんな時でも出久ちゃんは出久ちゃんらしいわね。安心すら覚えるわ」
百ちゃん
「でも、この緑谷さんとこうやってお話しできるのもあと少しだと思うと……少し寂しくなってしまいますわ」
三奈ちゃん
「ダメだよヤオモモ! 出久は女の子の涙より笑顔で送ってもらいたいはずだよ! だから笑って笑って!」
透ちゃん
「もし笑えないんだったら……X²-4X+4=0を満たすXは~?」
耳郎ちゃん
「えーっと……解の公式ってどうだっけ……」
精
「(X-2)²=0だから2だね」
1-A一同
「「「分かりづらいわ!!!」」」
精
「それを聞きたかった」
このネタはこうやって突っ込まれるまでがお約束なのだ。見事誘導通りの展開になったところで、俺は砂藤シェフのサンドイッチを食べる。ふわっとした食パンパンパンパンからじゃりじゃりというクリーム状の中身に当たる。
精
「中身はなんだ?」
砂藤
「知らないほうがいいぜ? ……なんて冗談だ。食パンで作ったじゃりパン*1だ。お前こういうの好きだろ?」
精
「話が分かるな……BLTだのクラブサンドだのホットサンドだの色々あるけれど、結局こういうシンプルな奴が一番なんだよなあ……」
凝ったスイーツもおいしいが最低限の要素で構成されたシンプルなスイーツもまたおいしい。このパンのように深く考え過ぎず、シンプルに元の世界に戻ることを考えるべきだろう。
精
「……この世界の平和は託しますぜ、未来のヒーロー達」
俺の激励に皆が頷く。これでこの世界に思い残すことは────この世界の女性たちとドスケベセックスできなかったことぐらいだ。その欲求不満は故郷に帰って発散するとしよう。