抜きゲーみたいな島に住んでいた狂犬はヒロアカ主人公に憑依したらどうすればいいんだ? 作:神剣狩刃
3下旬、ついに作戦決行日が来た。俺はプロヒーロー達と一緒に蛇腔病院に突入することになった。この世界での最後の任務となると、流石の俺も思うところがある。
ω-99
「……流石に緊張するなあ。いくら何でもこれは初体験だぜ」
イレイザーヘッド
「……プロヒーローとして助言する。お前はお前のやるべきことをやれ。俺達が全力でサポートしてやる」
ω-99
「じゃあミルコさんのおっぱい────」
エンデヴァー
「真面目にやれ」
エンデヴァーが炎を出して牽制してきた。めっちゃ熱い。こんなところで熱くなってるんじゃないよ。
ω-99
「……緊張を解すためのジョークっすよ」
ミルコさん
「話には聞いていたがとんだエロガキだな! まあ、私の胸ぐらい好きなだけ揉みな! こちとら全世界に裸晒されてるから、胸揉まれるぐらい今更どうったことないぜ!」
文字通りミルコさんの胸を借りる。揉んだらほとんど同じ力が返って来るバルンバルンの弾力だ。日々の激しい活動に適応したおっぱいなのだろう。
ω-99
「……ありがとうございます。おかげでリラックスできました」
ミルコさん
「作戦が始まったら揉めなくなるからな! 心置きなく揉んでおけよ!」
ω-99
「そしたらベッドの上で揉む必要が出てくるので……作戦が終わったら病室を一室借りましょうか」
これで作戦が終わったら緑谷はミルコさんにおいしく頂かれるだろう。羨ましいったらありゃしない。
ミルコさん
「ハッハッハ! 随分なお誘いじゃねえか! 十分リラックスできたみたいだな!」
エンデヴァー
「行くぞお前達……ミルコとωはひたすらに霊安室の先を目指せ!」
俺とミルコさんは脱兎の如く駆け出して病院に突入し、霊安室の扉をぶち抜いた。その先にはあからさまな通路が続いており、すでに脳無が蠢いていていた。
ω-99
「こちらω! すでに脳無が起動しています! ミルコさんと一緒にぶちのめします!」
ミルコさん
「しっかりついて来いよωぁ! 置いてけぼりになっても知らねえぞ!」
OFAS50%で脳無たちを倒していく。ここに配置しているのは大した脳無ではないらしく、俺とミルコさんで簡単に突破でき────奥から紅い光が見えた。
ω-99
「ミルコさん!」
ミルコさん
「分かってる!」
俺は脳無の一体を黒鞭で引き寄せて盾にして伏せた。直後に紅いエネルギーが通路を焼いていった。盾にしていなかったら、辺りに転がる脳無のように丸焦げになっていただろう。
???
「ヒーロー達が来たか……都合がいいな」
通路に溶け込むように黒い人影がこちらに向かって歩いてきている。間違いない、九玉さんだ。
ω-99
「九玉さん! 頼みがあります!」
九玉
「その声は……緑谷か。丁度いい、我に協力してくれないか?」
ミルコさん
「オイω! 敵の話なんかまともに聞いてんじゃ────」
九玉
「氏子は"ワープ"と"二倍"の脳無を所有している! ハイエンドまで起動したら取り返しがつかなくなる!」
九玉さんは別世界の脳無で、脳無の生みの親であるAFOを死ぬほど憎んでいた。それに加担している殻木に対しても同等の感情を抱いているだろう。なら、交渉の余地は十分にある。
ω-99
「協力したら俺を元の世界に戻してくれますか!?」
九玉
「よいだろう! 即席のチームアップミッションだ! 殻木の野望をここで止める!」
横のミルコさんは不機嫌そうに頷いた。交渉成立だ。この三人ならかなりの戦力だろう。そのまま殻木の研究所に飛び込む。その拍子に小さな脳無が潰れたが、コラテラル・ダメージという奴だ。それを見た殻木がゴーグルいっぱいに涙を流す。
殻木
「ジョンちゃあああん!!!」
ω-99
「先に言っておくがなあ! 俺は外道のジジイが大っ嫌いなんだよ!
九玉
「我がどうにかしよう」
その言葉と共に九玉さんの姿が消え、ロボットみたいな頭をした脳無の上に現れた。
九玉
「我の新技のお披露目だ──────
九玉さんの紅く光った拳が脳無の頭を殴り抜け、同時に爆発を起こした。ロボットのような装甲が無くなり、継ぎはぎの脳が露になった。
九玉
「今度はミルコをリスペクトした技だ──────
九玉さんの脚が紅く光り脳無の頭に踵落としを炸裂させる。そのまま脳無の頭が爆発し、力無くどさりと地に伏した。それを見た殻木がゴーグルから溢れんばかりに泣き喚く。
殻木
「きいやあああ!!! ロボットちゃん!!! 何をするんじゃ九玉ウウウ!?!?!?」
九玉
「先に言っておこう──────我は貴様が憎い」
九玉さんから身を凍てつかせるような殺気が放たれる。俺は思わず黒鞭を展開して防御の構えを取ってしまった。
九玉
「OFAがある程度関与していたとはいえ、脳無が生まれたのは貴様の研究のせいだろう? 世界違えど、それによって我が生まれたのに変わりはない。貴様のおかげで楽しい思いはできた……だが、その何十倍も何百倍も! 否! 比にならんほどの苦しみを味わってきた!」
殻木
「そんな逆恨みでこんなことをしておるのかあああ!?!?!?」
九玉
「逆恨みでいい! 我は敵で理だ! 我を苛立たせるのであれば何人たりとも容赦せぬ!」
俺は忘れていた。九玉さんは決して善人でないことを。そして、ただの敵でないことを。何より、自分の理でしか動かないと。
ミルコさん
「ハッハッハァ! なんだお前そんなにおもしれえ奴だったのかよ!」
立て直したミルコさんが象っぽい脳無を蹴り飛ばしながら笑う。
ミルコさん
「ωァ! ぼさっとしてたら九玉が片付けちまう! 私達も戦やるぞ!」
その一喝に俺は右の拳を突き上げ笑って答える。そして殻木に指をさす。
ω-99
「殻木ぃ! 今日が命日でここが墓場だぁ! 脳無纏めて──────手前等全員地獄送りにしてやらぁ!」
俺はそのまま殻木に向かっていこうとしたが髪の生えた女性っぽい脳無が立ちはだかった。
殻木
「ウーマンちゃん! そいつを殺すんじゃあああ!」
顔に目を瞑ればナイスバディなのでレディーちゃんって呼ぶべきだと思う。そんなくだらない事は後回しだ。恐らく今まで戦ってきたどんな相手よりも強いだろう。俺は久々に愛刀チューベローズを抜き身にする。
ω-99
「お待ちになっても据え膳の花、けれどお預けもそろそろ終わり────さァ、鯉口切っていざ睦言交わし、交わり乱れて狂いましょう?」
ウーマンちゃん
「コイツ……どんな"個性"?」
俺はOFAS50%で切りかかる。脳無は見てから後ろに飛び退いた。並外れた反射神経とそれを活かせる身体能力を持っているようだ。俺はそのまま────危機感知が反応すると同時に脳無の尻が大きくなる。そのまま尻が破裂して液体が飛んでくる。
ω-99
「見えれば十分」
飛んできた液体をチューベローズで撥ね、辺りの設備を破壊する。刀身が欠けたり溶けたりしていないから、あの液体はチューベローズで対処できる。
ウーマンちゃん
「コイツ、ワタシをキモチ良くサセてくれソうっ」
ω-99
「熱烈なアプローチ痛み入るぜ。ただ、他人様の女を奪うわけにはいかないんでな」
ゴーグルとインカムのソナーを起動して戦況を確認する。方向と反応数から九玉さんが2体、ミルコさんが1体の脳無と戦っている。そして俺とミルコさんがぶち明けた突入口からプロヒーローが来ている。そして聞きなじみのある繊維が擦れる音が聞こえてきた。
ω-99
「それじゃあ、一方的に蹂躙される気持ちよさを教えてやるか────必至の渡し賃」
一度"浮遊"で飛び上がり脳無の視線を俺に向け、空中で指を弾き六文銭を放つ。容易く跳んで交わされ、六文銭が地面に突き刺さる。すかさず結び付けた糸を引っ張り素早く地面に着地し、空中にいる脳無を指差す。
ω-99
「まずはコイツをお願いします!
指差した先から黒鞭を出し脳無を捕縛する。脳無はすさまじい力で暴れ抵抗しているが、0.5マイトの俺の前では泣いている赤子を抱いているようなものだ。故に結構辛いものがある。瞬間的に75%まで引き上げ、黒鞭を締め上げて全身の骨を砕いてから地面に叩きつける。それでも脳無はまだ暴れている。
ω-99
「……美人さんだから顔は止めてやろうと思ってたんだが、もう潰すしかなくなっちゃったよ」
俺は脳無を思い切り引き寄せ、限界の80%の力で頭を蹴り抜く。グチャパアンと輪ゴムを巻き付けたスイカのように弾け飛んだ。しっかり"消失"が効いているようで、再生することなく脳無は動かなくなった。確認した俺はイレイザーヘッドに次の指示を────
イレイザーヘッド
「新人に言われるまでもない。ミルコと戦っている奴を"抹消"した。お前は九玉との接触を図れ」
流石我らのイレイザーヘッドだ。合理的で話が早い。先のソナーの反応から九玉さんは────探る間もなく紅い光が右奥から放たれた。そこに向かって一気に駆けだす。そこでは九玉さんが口がいっぱいある脳無と象みたいな脳無と戦っていた。誰も俺に気付いていないようなので、高く跳びあがって象っぽい脳無の頭に着地と同時にチューベローズをぶっ刺し、そのままぐちゃぐちゃとかき回して脳姦を施す。死ぬほど気持ちいい事間違いないだろう。
九玉さん
「此奴らは全員"超再生"持ちだ。一撃で仕留めぬと厄介だぞ」
九玉さんが口数の多い脳無を蹴り飛ばしながらアドヴァイスをくれた。それに笑顔で答えて、両手の指を噛み合わせるように組んで力を込める。
ω-99
「エロイナの
刺したチュベローズを撃ち込むように拳を振り下ろす。ずちゅずちゅとチューベローズがめり込み、ごちゅりと拳が脳に達し、脳無がピクピクしながら倒れた。じゅぽんとチューベローズを引き抜いて血糊を払う。
ω-99
「心配ゴム用ってね」
九玉
「ふっ、杞憂だったか。となるとミルコの方が────」
あばら骨が飛び出て頭をなくし、凄惨な末路を迎えた脳無が吹っ飛んできた。
ミルコ
「私の心配より手前の心配をしな!」
九玉
「こちらも杞憂だったか。なら──────言葉通り我の心配を片付けよう」
九玉さんの背後からやってきた口数の多い脳無が、大きな口を開けて九玉さんに噛みついたが、脳無の歯の方が砕けた。
九玉さん
「所詮貴様はハイエンド……我とは出来が違う。破滅の波動」
九玉さんがその口に右手を突っ込んだ。その瞬間、脳無の体が大きく膨れ上がっていき、ついには空気を入れ過ぎた風船のように破裂した。しかし、九玉さんの手元の頭はまだ蠢いていて、再生しつつある。
ミルコ
「一撃で仕留めねえと再生して────」
九玉
「だからこうしたのだ」
九玉さんが再生しつつある頭を殻木に向かってぶん投げ、瞬間移動で追いついて右手でキャッチした。
九玉
「遺言ぐらい聞いてやろう。言え」
殻木
「わ、ワシが死んだら死柄木が目覚めんぞ……?」
九玉
「彼奴は力を持ち過ぎた。あの力は死柄木自身を亡ぼす。その前に我が殺す」
殻木
「き、キサマはどこまで知って──────」
九玉
「地獄でAFOと一緒に死柄木を待つんだな──────破壊の理」
頭ごとかざした右手から煌々とした紅いエネルギーが頭と殻木を包んだ。頭は灰となり、殻木は溶けるように消えた。これで、殻木の野望は終わっ──────奥の大きな培養管の近くに、先ほど溶けたはずの殻木がいた。ということはさっきの殻木は偽物だったのか。それに気付いた九玉さんがエネルギーをジェットのように吹かし飛んでいった。
殻木
「目覚めるのじゃ死柄木!!!」
九玉さん
「させるか!!!」
九玉さんが柄木を爆発させたが、僅か前に先の九玉さんと同じレベルの怒気と殺気を感じた。それと同時に施設が破壊されていく。これはガラキングの"崩壊"だが、規模がおかしい。まるで"崩壊"が伝播していくようだ。
ω-99
「九玉さん!」
俺は九玉さんに向かって黒鞭を伸ばす。だが、黒鞭が届く前に、九玉さんが崩壊に巻き込まれて溶けた。
精
「──────嘘だろ」
その光景は俺の脚を止めるのには十分すぎた。崩壊が目前に迫っているというのに全く足が動かなかった。というか、動かそうという気にすらなれなかった。なのに視界がぐらりと動く。まるで誰かに抱えられたみたいだ。
ミルコさん
「聞こえるかヒーロー共! 死柄木の奴が目覚めやがった! 辺りがどんどん"崩壊"していってやがる! それと……九玉が死んだ! そのせいで緑谷が使い物にならなくなっちまった!」
じゃあ今の俺はミルコさんに担がれて呆然としているのだろう。でも、言い訳をせて欲しい。あの瞬間に俺が元の世界に戻る手段がなくなってしまったのだ。任務の最中だというのは分かっている。でも、今まで築いてきた全てを失ったと理解して、まともに動けるわけないだろう。礼、セレン、レイラ、郁子先輩、桐香様、淳之介君、NSNSの皆。もう、戻らない。二度と戻らない。ああ。結局俺は失うだけなんだ。