抜きゲーみたいな島に住んでいた狂犬はヒロアカ主人公に憑依したらどうすればいいんだ?   作:神剣狩刃

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再始動です。


第2期 ~そして青春が動き出す~
2-01 体育祭?体イク祭の間違いではなくって?


 臨時休校が開けた翌日の朝、俺は机に突っ伏して夢の中にいた。

 

 精

「うーん……まだ食べられるだろ……?」

 お茶子ちゃん

「寝言で提供する側のことがあるんや……」

 天麩羅

「朝のHRが始まるというのになんということだ! 起きるんだ、緑谷くん!」

 

 天麩羅が俺を揺さぶって起床を促す。昨日は一日かけてモモパイセンの裸婦スケッチを描いて眠いんだ。故郷での俺の活躍の夢を見ているんだからもう少し寝させてくれ──

 

 澤先

「おはよう」

 1-A一同

「「「相澤先生復帰早えええ!!!!」」」

 

 寝惚け眼で澤先を見る。木乃伊(ミイラ)かよ。じゃあ見えてないだろうから寝させてもらうぞ──

 

 澤先

「起きろ特待問題生。戦いはまだおわってねぇ……雄英体育祭が迫ってる!」

 精

「体イク祭!?!?!? 俺実行員会と選手宣誓やります!!! 競技の考案も任せて────」

 澤先

「静かに起きろ特待問題生。やる気は認めるが迷惑だ」

 

 澤先の捕縛布でシメられる。おかげで目が覚めた。敵襲撃直後だがむしろ開いて、危機管理体制が盤石なことをなんたらかんたら澤先が説明する。なんか規模がおかしい。俺の故郷の体イク祭レベル以上だ。後ろの席の実に聞いてみる。

 

 精

「実、雄英体育祭ってそんなスゲーの?」

 実

「見たことないのかよ緑谷!? 『かつてのオリンピック』って言われるぐらいスゲーのに!?」

 モモパイセン

「当然全国のトップヒーローも観ますのよ。スカウト目的でね」

 

 自分はこれだけの力がありますよって見せつける場と考えるべきか。三年間で三回あるからと言って一回目を疎かにしていい訳がない。昼休みになって1-Aが盛り上がる。

 

 お茶子ちゃん

「デクくん飯田くん……頑張ろうね、体育祭」

 

 お茶子ちゃんがうららかじゃない顔で言っている。

 

 実

「生……」

 

 おいコラ実、女性の不機嫌をすぐに生理扱いするんじゃねえ。あれは本当に大変なんだ。不機嫌になったってしょうがないんだ。俺が腹パンすると同時に梅雨ちゃんにも舌でシバかれる。ザマアミロ。

 

 うららかじゃないお茶子ちゃん

「皆!! 私!! 頑張る!」

 

 お茶子ちゃんが左手を掲げて宣言する。顔がどうあれ本気になって頑張る女性は美しいものだ。とはいえ動機が気になる。聞いてみたところお金のためだという。だったら俺がお茶子ちゃんを買ってあげるから俺の専属H EROに──

 

 お茶子ちゃん

「私は絶対ヒーローになってお金稼いで父ちゃん母ちゃんに楽させたげるんだ」

 

 お茶子ちゃんは本心から言っている。故郷のあの子を彷彿とさせる澄んだ瞳が何よりもの証拠だ。

 

 精

「うおおお!!! 感動したあああ!!!」

 天麩羅

「うおおお!?!?!? 緑谷くん!?!?!?」

 

 俺の目から噴水のように涙が出る。コイツの体どうなってるんだ。

 

 精

「俺なんか女の子にモテたいからヒーローなりたいって思っていたのにいいい!!!」

 お茶子ちゃん

「あー……デクくんらしいなあ……」

 マイト

「おお!! 緑谷少年が──うわ!? 廊下が水浸し!?

 

 マイトが異常事態に驚きながらやって来た。

 

 精

「なんですかあああ!!! オールマイトオオオ!!!」

 マイト

「ごはん……一緒に食べよ?」

 麗日

乙女や!!! でも抱えてる量が男前すぎる!!!」

 

 6段ぐらいのお重箱を抱えていた。故郷のアイツもそんな感じだったな。勿論ご同伴しよう。何とか涙を止めて向かった先は仮眠室だ。一緒に入って友達に噂とかされると恥ずかしいし、下手すればスキャンダル疑惑もありうる。

 

 マイト

「その顔はロクなことを考えていないね?」

 精

「何のことでしょうか? とりあえず入って、どうぞ」

 マイト

「お弁当箱を抱えて開けられないからね……ありがとう」

 精

「お礼にお茶淹れてください。出来れば茶柱三本ぐらいたてて淹れてください」

 マイト

「……善処するよ」

 

 マイトが淹れたお茶はおいしかった。しかも2回目で茶柱を3本たてたのだから流石No.1ヒーローだ。OFAの出力調整は頑張っていますよ。30%ぐらいなら耐えられるので1年で100%を耐えられるようになりますね。

 

 マイト

「ぶっちゃけ私が平和の象徴として対いていられる時間って実はそんなに長くない──」

 精

「そうですか。ごちそうさまでした。おいしかったですよ。でももうちょっと野菜多い方が健康的かと」

 マイト

食べるの早いな!? よく噛んで食べないと体に悪いよ!?

 精

「時間が惜しいんですよ。この世界に"俺がいる"と証明したくてうずうずしているんですから」

 マイト

「……余計な心配だったか! その調子で頑張れよ! ……ところで雄英体育祭のシステムは知ってるかい?」

 精

「知らん!」

 

 がっくりとうなだれるマイトから説明を受ける。学年ごとに予選を行って勝ち抜いた生徒が本選で競う、いわゆる学年別総当たりのシステムだ。

 

 精

「故郷では向上心と上昇志向の塊と箔を押されたので大丈夫ですよ」

 マイト

「それだったら頼もしい限りだな。HAHAHA」

 

 

 放課後、アホほどザワ……ザワ……していたので廊下に出ると、めちゃ生徒がいると言っても過言ではなかった。

 

 精

「なんだ? 俺からサインがほしいのか? 一列に並んで──」

 爆豪

「敵情視察だろクソデク。敵の襲撃を耐え抜いた連中だから、体育祭前に見ときてえんだろ」

 精

「ふーん……俺、と、緑谷出久! 気取らない性格だからデクくんって呼んでくれ!」

 

 一同がぽかんとしている。俺のこと知りたかったんじゃないの? だから名乗りを上げたというのに。

 

 紫ワカメ

「どんなもんかと見に来たがずいぶんアホっぽそうだなぁ……」

 

 群衆の中から目立つ紫ワカメ髪が前に出てくる。なんか言い方が刺々しくてムカつく。

 

 紫ワカメ

「こういうの見ちゃうとちょっと幻滅するなぁ」

 精

「勝手に期待して勝手に失望するとか厄介オタクかよ……なにが言いてぇ?」

 紫ワカメ

「普通科とか他の科ってヒーロー科落ちたから入ったって奴──」

 精

「めんどくせえな。じゃあ(コレ)で決めよーぜ?」

 

 要は落ちて悔しいから煽りに来ましたってことだろう。格の違いを分からせてやれば失せるはずだ。

 

 精

「ヒーロー科に落ちたのは手前の実力がなかったから他ないだろ? だったら俺より実力があると証明して──」

 紫ワカメ

「"特待生がこれじゃあヒーロー科も大したことないね"」

 精

「あ゛あ゛?」

 

 体が動かなくなる。コイツの"個性"か? 金縛り? きっかけは何だった? 特に変なモーションはなかった。としたら会話がきっかけか。初見殺しもいい所な"個性"じゃねえか。どうやったら解け──

 

 爆豪

「ビビッてんならどけクソデク!」

 

 爆豪が俺を横に突き飛ばす。体が動くようになった。なるほど、外部からの衝撃が解除のきっかけか。

 

 紫ワカメ

「調子のってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞっつー宣戦布告しに来たつもり」

 

 調子に乗っている、か。この馬鹿にはそう見えるらしい。

 

 ギザ歯まつ毛

「隣のB組のモンだけどよぅ!! 敵と戦ったっつうから話聞こうと思ってたんだがよぅ!! エラく調子づいちゃってんなオイ!!!」

 

 また一人馬鹿がわめきたてる。あの死線を超えて調子に乗ってると見えるか。なら、ちょっとだけ『金色の狂犬』らしくいこう。軽く一息吸う。

 

 ギザ歯まつ毛

「本番で恥ずかしい事ん──」

 精

「誰が調子乗ってるように見えるって?」

 

 怒気と殺気を全開にして低く声を響かせる。

 

 精

「俺たちは敵の襲撃を乗り越えたのは事実だ。だが、あの場で恐怖を覚え、死の覚悟をして、命からがらに助かったんだ。そんな出来事から大して時間もたっていないのに……『敵と戦った』と調子に乗っているだと?」

 

 そして一番思ったことをぶちまける。

 

 精

「そんな風に見えるなら手前ら人を見る目ねえぞ? 少なくとも、"ヒーローにはなれない"」

 

 宣戦布告に来たなら言い返されるのも想定してもらわないと困る。俺の宣言に一同がざわつくが構わない。

 

 精

「反論があるなら、本番で俺を倒してみろ。調子に乗っている奴に負けたら手前らはそれ以下だ」

 

 そして右手でサムズダウンをする。

 

 精

「負けたその時は手前ら──雄英から失せろ(○ァック・オフ・ヒーロー)

 紫ワカメ

「な……」

 ギザ歯まつ毛

「あ……」

 

 俺のとどめの一言に一同が沈黙する。そして、お茶子ちゃんに話しかける。

 

 精

「一緒に訓練したいから付き合ってくれない?」

 お茶子ちゃん

「え、あ、う、うん、ええよ……」

 

 お茶子ちゃんの手を引いて人ごみを抜けていく。

 

 紫ワカメ

「……"ちょっと煽ったぐらいで随分お怒りだな"」

 精

「……」

 紫ワカメ

「"なんだよ? 図星でだんまりか?"」

 精

「……」

 

 本番でコイツと当たったら全力でぶちのめしてやろう。二度と俺の前で口が開けないようにしてやる。

 

 

 お茶子ちゃん

「さっきのデクくん……本気で言ったの?」

 

 お茶子ちゃんと訓練している中でお茶子ちゃんが尋ねてきた。

 

 精

「流石に○ァック・オフは冗談だけど……それ以外は本気だよ」

 

『仲間』をバカにされて黙っていられるほど大人ではない。まして今の体は高校生、多少荒っぽくやった方がそれっぽいだろう。

 

 精

「女の子にモテるためにヒーローを目指してるのも本当だけど、だからこそ本気でヒーローを目指しているんだ。俺がかわいいとか美しいとかエロイとか思った女の子を、俺の守りたいと思った女の子を守れるようになりたい」

 

 右手をぎゅっと握り締める。俺の根幹をなしているのはそこだ。『やりたいようにやれ』。故郷の先輩から受けた大切な言葉だ。

 

 お茶子ちゃん

「……男の人も助けなアカンよ?」

 

 お茶子ちゃんが困ったように笑う。勿論そのつもりだ。老若男女問わず助けて、その名声で女の子からモテモテになるんだから。

 

 精

「まずは体育祭で優勝しないとな。そのためにも一緒に頑張ろうね、お茶子ちゃん」

 お茶子ちゃん

「うん! 私もデクくんに負けないように頑張る!」

 精

「お茶子ちゃんがお嫁さんになってくれるなら負けちゃうなー?」

 お茶子ちゃん

うえええ!? そ、そういう方法で勝ちたくはないよ!?」

 

 お嫁さんになるのはいいのか。お茶子ちゃんの好感度はかなり高めと考えていいな。

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