抜きゲーみたいな島に住んでいた狂犬はヒロアカ主人公に憑依したらどうすればいいんだ?   作:神剣狩刃

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OFAに関して独自の解釈が含まれております。ご了承ください。


7-16 アリアドネの糸はこの手に

 九玉さんが表に出れず、キャシーを介してでないと意思疎通ができない。はっきり言って面倒な事この上ない。まず、キャシーは必要な手続きをすっ飛ばしてここにいるから、いつ強制送還となるか分からない。しかもその中に世界中の注目を集めている九玉さんがいるから、どこかに捕らえられたらしばらくは出てこれない。ここまでくるとマイトの胃が溶けるのも無理はない。

 

 キャシー

「彼女曰く、この状況を理解出来て打破できるのはミセス土口だけらしい。うまいこと解決出来たら……アメリカンドリームを約束しようじゃないか」

 精

「とりあえずキャシーのグランドキャニオンを楽しむのは確定として、九玉さんの要望は何ですか?」

 

 キャシーが九玉さんと心の中で会話しだしたのか、目を瞑って頷いたり首を傾げたりと色々している。

 

 キャシー

「まずは理の会と接触したいらしい」

 精

「いきなり無茶難題ですね」

 

 事情を一番理解できている俺とキャシーが行くべきなのだが、俺達は雄英から出ることが出来ない。かといって他の人間が行った所で、理の会のメンバーの信用は得られない。

 

 キャシー

「そしてどこのアジトにいるのかも知りたいとのことだ」

 精

「それも無茶難題ですね」

 

 AFOのアジトはいくつかあるらしいが、何処に移動したかは"世界移動"の観測で特定するつもりだったという。九玉さんが表に出れない以上、知る術が無くなってしまったのだ。

 

 キャシー

「あわよくばAFOの野望も止めたいってさ」

 精

「最終的にはからだ中に塩をたくさんよくもみ込んでください、とか言い出すんじゃないでしょうね?」

 

 AFOは死柄木との融合を果たし、完全な魔王になるのが目標だという。そのために仮死状態になってまで様々な"個性"を定着させ、それに耐えられる体に改造した。しかし、予定より早い目覚めに九玉さんの乱入、果ては"新秩序"による"個性"の損傷でボドボドになったのだ。時間が経って完全体になったらかなり厄介な存在になるとのことだ。

 

 キャシー

「どうだミセス土口、出来そうか?」

 精

「できないって言って精神世界に閉じこもりたいですね。可愛い先人もいてカルビ食べ放題だし……でも、これぐらいの無理難題で諦めたら────金色の狂犬の名が廃ります

 

 故郷の友人はどう考えても不可能な状況を何度も覆してきた。俺はそんな友人に友情や嫉妬や憎悪、何よりも憧れを抱いた。そんな彼だったらこれぐらいどうにかしてしまうだろう。だったら俺も()()()()()()()()()()()()()()どうにかしてやろうじゃないか。

 

 精

「さて、頑張りますか」

 

 

 まずは最初の難題である理の会との接触だ。俺とキャシーが外に出れない以上、誰かを介する必要がある。しかも、その誰かはヒーローと理の会からの信頼を両方を得ている人物でないといけない。そんな奴────いる。No.2ヒーローにして理の会の上空撮影担当がいる。

 

 精

「ホークスだ! アイツなら理の会も顔パスで行ける!」

 マイト

「それはいい考えだね! 彼ならすぐにでも協力してくれるよ! 早速連絡を────」

 精

「連絡は待ってくれ! アイツでもアジトには行けない! あくまでメンバーに会えるだけだ!」

 

 次はアジトの場所を知る方法だ。これに関しては理の会メンバーしか知らず、口外するつもりもないだろう。メンバーを操ればできるかもしれないが、そんなの心操ぐらいしかできないだろう。

 

 精

「俺の意識だけでも外に出られたらなあ……」

 マイト

「……"OFA"を活用したらできるんじゃないかい?」

 

 "OFA"の歴代継承者は全員故人なのにもかかわらず、意識の中でなら俺と会話できている。つまり、"OFA"を誰かに継承させてから俺が死ねば俺の意識を誰かに渡せるかもしれない。

 

 精

「いや死ななきゃダメじゃ意味ないじゃ────」

 

 思い出せすと継承者の中にマイトらしき姿があった。そして俺が死柄木を救けたいと言った時、あのマイトは泣いていた。つまり、継承した段階で()()()()()()()()()()()かもしれない。

 

 キャシー

「そういえば何でMs.キュウギョクは表に出れないんだ? シガラキの体みたいに乗っ取ればいいじゃないか?」

 精

「それは多分、キャシーの体に九玉さんの"個性"だけがあるだからだと思います」

 

 そもそも死柄木の体に九玉さんの意識が宿ったのは"世界移動"による人格の入れ替えが原因で、その上で"OFA"に宿っていたOFAの意識と"崩壊"に宿っていた死柄木の意識が混在していたのだ。少し複雑だが、"個性"だけでは意識は乗っ取れず、()()()()()()()()()()()()()()()()()のだろう。これを前提に考えると、"OFA"を継承した俺の体があれば、俺の意識がそこに存在できるはずだ。

 

 精

「……無理じゃん! 俺の体が1つしかないから職場体験の時嘆いたんだよ!?」

 マイト

「オッパイはお預けってそういう意味だったのか……」

 精

「そもそも"OFA"を継承した段階で常人なら爆発四散サヨナラものだし、そもそものそもそもで"OFA"の継承はDNAを取り込む必要があるし──────」

 

 DNAの継承、無傷の継承、もう一つの俺の体──────もしかしたらイケるかもしれない。悪魔的発想に思わず邪悪な笑みが浮かぶ。

 

 精

「キャシー、マイト、ちょっと試したいことがある。協力してくれないか?」

 キャシー

「何かロクでもないことを思いついたんだな? 喜んで協力しようじゃないか」

 マイト

「君の発想力は"Plus Ultra"そのものだからね……誰も傷つかない範囲で頼むよ?」

 精

「それは……キャシー次第だな。アメリカNo.1の意地と力見せてくれよ?」

 

 俺は早朝過ぎて誰もいない寮の共有スペースに戻り、冷蔵庫から飯田のオレンジジュースを無断拝借した。

 

 精

「後でココアにして返してやるから許してくれよ……」

 マイト

「食の恨みは恐ろしいぞ緑谷少年?」

 

 オレンジジュースをコップに注ぎ、俺の指先をかじって血を数滴入れる。

 

 マイト

「ってオイオイ!? 何をしているんだい!?」

 精

「これぞホントのブラッドオレンジジュースってね……何か言われたらジャパニーズヤンデレスタイルだって言い聞かせてください」

 マイト

「……まさかキャシーで試す気かい!? いくら彼女でも────ハッ!?」

 

 マイトは俺の意図に気付いたようだ。今のキャシーには"崩壊"にすら耐えれる"超再生"があり、例え首だけになったとしてもすぐ再生するだろう。それなら"O()F()A()"()()()()()()()()()()()はずだ。これが上手くいけば俺の作戦がかなりやりやすくなる。

 

 精

「俺は他に行くところがありますので、後は頼みましたぜオールマイト!」

 マイト

「どんな結末になっても君に連絡するから、スマホは肌身離さず持っておくんだよ!」

 

 マイトの警告を背に、俺はエレベーターに向かった。

 

 

 緑谷少年から託された件をキャシーに伝える。それを聞いて彼女は手を叩いて大笑いした。

 

 キャシー

「彼の事だからのミルクを持ってくると思っていたよ!」

 

 オレンジジュースでも牛乳でも人間の血が入っている以上誤差でしかない気がする、と思っているうちにキャシーが喉をゴクゴク鳴らしながら飲み干した。

 

 キャシー

「いくらテストとはいえ、師が受け継いだ"個性"を受け継ぐなんてね……ヒーロー本免許試験ぐらい緊張しているよ」

 

 発言に対して顔は嬉しそうに笑っている。

 

 八木

「……怖くないのかい?」

 キャシー

「貴方に助けられた事件に比べたら何も怖くないさ。それに……あまり言いたくはないが、キュウギョクがいなかったらAFOに殺されていたんだ。あそこで散るかここで散るかの違いでしかないさ。もっとも、今回は死ぬと限らないけどね」

 

 個体である髪に比べて液体である血は消化吸収が早いはずだ。2~3時間どころか、1時間以内に発現してもおかしくない。

 

 キャシー

「……師、貴方から見てキュウギョクってどんな存在だ?」

 

 いつの間にか真剣な眼差しになっていたキャシーから難しい質問が来た。私は彼女の発言を思い返した。

 

 九玉

「我はこの世界の理になる。善も悪もない、我が絶対的な理になって世界を糺す」

 九玉

「我が名は九玉!!! この世界に理を(もたら)すものなり!!! 理を超える"個性"を持つ者達よ……次は貴様達だ!!!」

 

 彼女は彼女なりにこの世界を変えようとしている。常識外れの行動の数々に目を瞑れば、ヒーローを同じ心を持っているだろう。ただ、彼女を認めたら先人たちの築き上げた世界の意味がなくなってしまう。だから、こう答えるしかないだろう。

 

 八木

()()()()()()()()()()、かな」

 

 私の諦めにも近い答えに、同じくキャシーも諦めたように笑った。

 

 キャシー

「……私もそう思っていた。もし彼女が手段を選んでいたら────ぐっ!?」

 

 突如彼女が机やソファーを吹っ飛ばして悶えだした。"OFA"が継承されて体にかなりの負担がかかっているようだ。急いで緑谷少年に連絡をして、様子を伝える。緑谷少年は非常に落ち着いた様子で返事をした。

 

 精

「継承は出来たと。それでキャシーの容態はどうですか?」

 八木

「ものすごく苦しんで────」

 キャシー

「一度に話しかけないでくれ……! 同時に8人とは会話できない……!」

 

 どうやら力による体の負担よりも、歴代の継承者との会話による脳への負担に苦しんでいるらしい。次第に落ち着いていき、倒した机やソファーを元に戻していった。

 

 キャシー

「……すごい"個性"だ。これなら全世界No.1どころか、殿堂入り待ったなしだな」

 精

「……もしかしたらちょっと失礼しますよ」

 

 緑谷少年のスマホがポフリと柔らかい何かに置かれ、続いてもにゅりと生々しい柔らかなものに倒れ込む音がした。

 

 キャシー

「おお!? ミセス土口が精神世界に来たぞ!? でも師と同じでボヤっとした姿だ!」

 

 緑谷少年の精神世界に現れた私がそうだったように、生きている継承者だとそのような姿で現れるのだろう。するとキャシーが再び手を叩いて笑い出した。

 

 キャシー

「その曲と動きは何だミセス土口!? ポールダンスのつもりか!?」

 

 一体どんな動きをしているのだろうか。気になるところだが、電話越しにも聞こえる手を叩く音も気になる。

 

 八木

「緑谷少年? 何をしているんだい?」

 精

「……んあ? ああ、ちょっと意識を飛ばしましてね。でも、これぐらいじゃあ乗っ取るまでは出来なさそうだな……とりあえず、I'm cuming*1しますのでちょっと待ってくださいね」

 

 プツリと電話が切られる。本当に何をしていたのか気になるところだ。

 

 

 マイトにブラッドオレンジジュースを託した後、俺はミッ先を置いてきた百ちゃんの部屋にやってきた。その際に鍵などかけていないので難なく入れた。デカいベッドの上には2人の美女が眠っており、抱き枕にして寝たかったがそんな場合じゃない。俺はベットに静かに腰掛けマイトからの連絡を待ちながら、ミッ先に目覚めのキスをした。

 

 精

「起きてくださいミッドナイト、大チャンスですよ」

 ミッ先

「んぅ……? 出久くん……?」

 

 童貞が聞いたら射精するぐらいエロい声で返事してくれた。思わず襲いそうになる衝動を抑え、俺の計画を伝えた。そしたらミッ先は快く引き受けてくれた。

 

 ミッ先

「あれだけの体験をさせてくれたお礼をしないと出久くんに失礼だわ」

 精

「俺が寝てる間は好きにしてくれていいので」

 

 言い終わると同時に"危機感知"が作動する。まさかこの人寝ている教え子の横でやるつもりか。それもまた一興だろう。程なくしてマイトからキャシーが継承した報告を受けたので、ミッ先の"眠り香"を喰らい意識を手放す──────例のOFAの玉座に俺が座っていた。

 

 三代目

「意識を失えばここに来れると踏んだか?」

 五代目

「とんでもない事考えたな旦那?」

 四代目

「それに、必要とはいえ一時的に他者に"OFA"を託すとは……」

 二代目

「人を選ばなければ容易く死ぬぞ?」

 初代

「君が受け継いだ"個性"だから、うまく活用してくれればそれでいいけどね」

 六代目

「それにしても活用しすぎでしょう?」

 菜奈さん

「……その姿では私を口説けなさそうだな」

 

 菜奈さんの言う通りで、この場での俺はマイトと同じくぼやっとした姿で、身振り手振りが出来るぐらいだった。折角だからドスケベ音頭を踊ってやろう。俺に刻まれた青藍島魂が精神世界にドスケベ音頭を流し始め、継承者たちが一斉に吹き出させた。

 

 菜奈さん

「あははっ、まるで動物の求愛行動だね……! そうまでして私を口説きたいのかい?」

 

 俺の体が揺らぐぐらい激しく頷く。他の継承者からシバかれかけたが、実体がないためすり抜けた。

 

 菜奈さん

「その体じゃお楽しみは出来なさそうだね。もっと良い体になってから出直してきなよ」

 

 露骨に顔をしかめてから精神世界を出る────いつの間にか床に転がされ、ミッ先が絶賛お楽しみ中だった。

 

 ミッ先

「コレヤバ……♡これにハマったら戻れなくなっちゃう……♡」

 

 声も動きも抑えているが衝動は抑えきれなかったようだ。

 

 マイト

「緑谷少年? 何をしているんだい?」

 

 あまり長電話しているとバレそうだ。適当にはぐらかして電話を切ろう。

 

 精

「……んあ? ああ、ちょっと意識を飛ばしましてね。でも、これぐらいじゃあ乗っ取るまでは出来なさそうだな……とりあえず、I'm cuming*2しますのでちょっと待ってくださいね」

 

 電話を切ってからミッ先の衝動に止めを刺す。ミッ先はギリギリで声を殺したが、俺と床に衝動の余韻をぶちまけてしまった。

 

 ミッ先

「ああ……♡やってしまったわ……♡バレたらクビになっちゃう……♡」

 精

「……とりあえず俺の服で拭いて、匂いはアロマ炊いてごまかして、ミッ先は風呂入ってから職員室に戻ってくださいね」

 

 ミッ先は恍惚の表情を浮かべ、ピクピク震えながら部屋を後にしていった。俺も男子風呂に行って体を流してから行くべき──────共有スペースで実と上鳴にかち合ってしまった。

 

 上鳴

「……マジかよ生きて帰ってきやがった……」

 実

「流石の緑谷でも腹上死だと思っていたぜ……」

 

 多分、今の今まで1-AガールズWithミッ先とお楽しみだったと思っているのだろう。1-Aガールズの方は良いが、ミッ先との方がバレるとちょっと面倒だ。俺は2人に向かって脱いだ服を投げ渡した。

 

 精

「……この服やるから黙っててくれ」

 

 2人は力強く頷いて男子棟のエレベーターに消えていった。朝風呂が終わったら作戦と、1-Aガールズへの言い訳を本気で考えないとな。

 

 

 精

「ウッス! 俺、精! ついに俺と九玉さん、ヒーロー達と理の会の最後の作戦が始まる! 未来を掴むのは誰か!? その未来は希望か絶望か!? ファイナルシーズンもお楽しみにな!」

*1
誤字ではない。

*2
もう一度言うが誤字ではない。

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