第1話: ある平凡な少年
眩しい朝陽がカーテンの隙間から差し込み、部屋の壁を淡く照らしている。アラームの電子音が鳴り響き、悠真は目を細めながら手を伸ばし、スマホを止める。
「……もう朝か。」
眠気の残るままベッドに横たわり、しばらくぼんやりと天井を見つめる。外からは鳥の鳴き声と、近所の通学路を走る車の音が聞こえ、今日も変わらない日常が続いていく。
ゆっくりと起き上がり、ベッドの傍に置いてあるクローゼットの扉を開く。その中には学校用の制服がかかっているが、それとは別に、カラフルな服が並んでいた。
レースがあしらわれたブラウス、フリル付きのスカート、シックなワンピース。
「どれにしようかな……」
悠真は、選びながら微笑む。
女装をするのに特別な理由はない。ただ、服のデザインを楽しむのが好きだったし、可愛いものを身に纏うのが心地良かった。
誰に何を言われるわけでもない、自分の自由な感性としての趣味。
学校に行くときは制服だが、休みの日は気分次第でこうした服を選ぶ。
鏡の前に立ち、薄いクリーム色のブラウスを羽織ると、襟元のフリルが揺れた。悠真は特に嬉しそうな様子もなく、ただ落ち着いた気持ちで鏡を見つめた。
「まあ、今日も変わらない日になるんだろうな。」
そう思いながら、制服に着替え、学校へ向かった。
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「なあ、昨日のアニメ見たか?」
「お前も『呪術廻戦』好きだったのか?」
「いや、どっちかって言うと『マギ』派だな。」
昼休み、悠真は友人たちとアニメの話をしながら昼食をとる。教室の窓から見える青い空と、グラウンドを走る生徒たち。どこか穏やかな風が流れ、日常の風景が広がっている。
「お前ってさ、なんか変わった趣味あるよな。」
突然の言葉に悠真は目を上げる。
「何のこと?」
「いや、服とか。休みの日にたまに違う雰囲気の格好してるじゃん。」
「ああ、それ? 別に何か特別な理由があるわけじゃないよ。」
悠真は苦笑する。実際、女装が趣味であることは隠しているわけでもない。ただ、「自分が好きだからやっているだけ」なので、そこに深い意味はない。
「まあ、自由だよな。」
「そういうの、なんかいいよな。」
友人たちはそれ以上何も言わなかった。
そして、悠真は改めて思う。
「俺はこの平凡な日々を、ただ過ごしていくだけだ。」
ーーー
夕方、学校帰りの道。
空はオレンジ色に染まり、悠真はスマホをいじりながら歩いていた。
交差点に差し掛かったとき、ふと目の端に幼い子供の姿が映る。
横断歩道の中央で立ち止まっている——
そして、遠くからトラックの音が迫っている——
「——やばい!」
反射的に足が動く。思考するより先に駆け出し、子供の腕を掴んで突き飛ばした。
その直後——。
ゴッ——
衝撃が背中から走り、視界が一瞬で暗転する。
身体が空中を舞い、頭の中で何かが弾ける音が響く。
「……俺の人生、ここで終わるのか。」
そう感じた刹那、漆黒の闇の中に光が差し込んだ。
そして、その瞬間から、すべてが変わり始める——。
初めての投稿なので分からない事が多々ありますが、ご自愛くださいm(_ _)m