ゴーレム操縦TS転生者の、全自動成り上がり計画   作:メギストス

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ゴーレムと”私”の成り立ち

 私が生まれ落ちたのは、それはもう山奥の秘境の中の秘境だった。

 周囲に両親と思しき”存在”はおらず、一人で森の中に佇んでいた感じだ。

 そんな私だが、転生と同時に自分にある力が宿っていることを感じ取る。

 

 ”ゴーレムマスター”。

 

 いわゆるチートのようなそれは、自由自在にゴーレムを生み出すことができた。

 生み出したゴーレムは私のざっくりとした指示でイメージ通りに動き、非常に優秀。

 どころか、意識を中にインストールして、さながらロボットアニメのロボを操縦する感覚も味わえた。

 体の上からゴーレムをまとって、パワードスーツみたいにすることも可能だ。

 そんな、とにかく優秀なゴーレムを使って、私は生まれた当初、拠点の建築に勤しんだ。

 周囲から木材を切って集め、加工し、建築。

 それらをゴーレムにやってもらう。

 ありがたいのは、私に建築の知識がなくともゴーレムがそれらしく土台とかを作ってくれたこと。

 お陰で、秘境に現代日本の一軒家が完成した。

 

 素材を集める最中には、魔物との戦闘も発生する。

 そこでもゴーレムは大活躍で、凶暴そうな魔物をばったばったとなぎ倒――すことはできず。

 大半は割と普通にボコられた。

 どうも、操作を外部から入力するタイプは、そこまで戦闘力が高くないらしい。

 スペックを極限まで上げれば無限に耐久することはできるけど、決定打がなくなる。

 意識をインストールしないと、複雑な操作ができないのだ。

 そして私は元現在人なので戦闘はクソ雑魚だった。

 魔物を安定して倒せるようになるまで、本当に大変だったぞ。

 そもそもゴーレムって、指示に従っていい感じに動くものじゃないのか?

 行け! ゴーレムロボ! って言ったらその指示だけでいい感じに戦って欲しい。

 

 ともあれ、そんな風に秘境で拠点を作ったり、ゴーレム操作の習熟をしていたらあっという間に時間は過ぎた。

 しかし、どんなことにも飽きというものはやってくる。

 人外になったからか、メンタルは前世よりも明らかに強靭になったものの。

 暇にはどうしても勝てないものだ。

 そうして私は、外に出ることを考えた。

 

 ただ、ここで一つ問題がある。

 お外が怖いという問題だ。

 実は私、さっきから言っているけど結構な人外なのである。

 なんとなく自分のことを”エルフの一種”と認識してはいるものの、少し自信がなくなる人外美少女っぷりだった。

 迂闊に外へ出たら、なんか人さらいとかに狙われそうじゃない?

 みたいな心配をどうしてもしてしまうのである。

 

 

 ――なら、人を模したゴーレムに自分の意識をインストールして冒険者させればよくない?

 

 

 と、そこで思いつく。

 自分を人間……この場合はエルフか、エルフらしくしたゴーレムボディを作るのだ。

 それを人里まで向かわせ、私本体は一軒家に引きこもる。

 せっかく作った夢のマイホームを捨てるのも惜しい。

 んで、そのうえで更にゴーレムを自動操縦して冒険者をさせるのだ。

 ややこしいけど、まず私という本体がいて、その本体が操るエルフゴーレムボディがある。

 周囲にはこのエルフゴーレムボディが本体だと思わせつつ。

 そのエルフゴーレムボディがゴーレムを自動操縦させていることにして、普段は自動操縦ゴーレムに仕事をさせるのだ。

 その間、エルフゴーレムボディは街の宿に引きこもっている。

 そんな、二重引きこもりシステムを思いついた。

 

 名付けて、「全自動成り上がり計画」。

 

 エルフゴーレムボディは意識インストールで動かさないと行けなかったり。

 そもそも人とのコミュニケーションは私自身がやらないといけないから、全然全自動じゃないんだけど。

 気持ちだけは全自動ということで、私の冒険者生活は始まったのだ。

 

 

 □

 

 

 ――ゴーレムの周囲とゴーレムの姿を映し出す”通信魔術”によって、私は現在ゴーレムの戦闘を鑑賞していた。

 映像の無効では、全長二メートルくらいのゴーレムが、その三分の一ほどの背丈の魔物とやり合っている。

 緑色の肌をした、ちょっと醜悪な見た目の魔物。

 いわゆる”ゴブリン”と呼ばれるそれは、徒党を組んでゴーレムとやりあっている。

 

 ゴーレムの見た目は、一言でいうと量産型の雑魚敵ロボ。

 瞳はモノアイだし、どことなくディティールも地味な感じのロボだ。

 これは私がこのゴーレムに雑魚敵ロボみたいな量産型のイメージを抱いている、というのもあるが。

 この世界のゴーレムのデザインとそこまで乖離がないからこうなっている、という理由もあった。

 私が最初に作ったゴーレムは、明らかにツインアイでアンテナがあってトリコロールな主役機だったからね。

 この世界のゴーレムはかなりデザインが自由なのだけど、流石にそこまで行くと奇抜扱いされるだろう。

 量産型タイプなら、少し独特程度で誰も何も言わないのは冒険者ギルドでのやり取りが証明している。

 

 で、そのゴーレムは現在、迫りくるゴブリンを斧で叩き切っていた。

 サイズ差の関係で、ロボット戦闘っぽくはないものの。

 ゴーレムの動きは大迫力の戦闘シーンだ。

 魔物の強さが私の故郷と比べるとだいぶ弱いものの、その分ゴーレムのスペックも抑えているので良い感じのバトルが繰り広げられている。

 

『ゲギャギャ!』

 

 やがて、ゴブリンが何事かを叫ぶと一部が逃げ出し始めた。

 残ったゴブリンはそのまま突撃を行っており、どうやらこのまま囮となって彼らを逃がすらしい。

 逃げたゴブリンが、この徒党の中でのリーダー格なんだろうな。

 とはいえ、逃がすつもりはない。

 ゴーレムは即座に斧で飛びかかってくるゴブリンを切り飛ばすと、武器を斧から銃に持ち替える。

 ファンタジー世界で銃はどうかと思うが、中から発射されるのがビームなら光魔術の一種で言い訳できるのがファンタジーのいいところ。

 銃も、特殊な発射機構の杖とでも説明すれば問題ない。

 

 ビシュン、ビシュンと、ビームのライフル的なものが発射され、逃げたゴブリンも一撃で倒される。

 

「ふう」

 

 画面越しに、何もしていないけれど吐息をこぼす。

 戦闘終了だ。

 

「いやぁ、いい戦闘だった」

 

 毎度毎度、ゴーレムの戦闘をこうして通信魔術で鑑賞していると、どこか興奮したものを感じてしまう。

 もう今のボディに転生して結構経つというのに、ロボットモノにたいするワクワクは消えていないようだ。

 こういう人間性は大事にしていきたい。

 

「じゃあ、このまま素材を採取して、よろしく」

 

 ゴーレムに指示を出して、のんびりとそれを見守る。

 映像の無効では、結構なグロ画像と化したゴブリンがいつの間にか消滅。

 後にはドロップ素材だけが残っている。

 こういう時、この世界がライトなファンタジーで良かったと思う。

 いや、ゴーレムに解体させるだけなんだから、解体で気が滅入ることはないんだけどね。

 そもそも、もう転生して随分経つからか、ちょっとのグロ画像くらいじゃ動じなくなってしまった。

 冒険者になってから、結構な頻度でエルフゴーレムボディを狙われるので、倫理観どうこう言ってられる状況でもないし。

 さて、そんなことを考えているとゴーレムお回収が終わる。

 

「回収はできたかな? じゃあ、もう少し探索――」

 

 そして新たに指示を出そうとした所で――

 

 

「うわあああああっ!」

 

 

 なにやら、声が聞こえた。

 若干幼い感じがするけど、おそらく少年の声。

 ダンジョンのどこかで襲われているのか?

 少し遠いな、今の量産型ゴーレムじゃ間に合わないかもしれない。

 こういうのを見なかったことにするのが、一番寝覚めが悪いんだよな。

 そのせいで厄介事に巻き込まれるとしても、見過ごす気にはなれなかった。

 なので――

 

「ゴーレム、”転送”」

 

 私は量産型ゴーレムのいる場所に、別のゴーレムを転送する。

 これはゴーレムマスターの能力の一つで、自分が操作しているゴーレムがいる場所に、別のゴーレムを転送することができるというもの。

 これを用いて私が転送したのは――

 

 一言で言えば、シャープなフォルムのパワードスーツだった。

 

 この世界でもギリギリフルプレートメイルと言えば通るようなデザインの、それでいて若干近未来的なスーツである。

 仮面のヒーローと比べるとどことなくロボに近く、某社長の着込むスーツに近い。

 そんなパワードスーツの中に――

 

「意識インストール完了。……行くか」

 

 私の意識がインストールされた、エルフゴーレムボディが入っている。

 パワードスーツの中に、美少女!

 そんな、ロマンあふれる装備でもって、私は声のした方へと飛び出した。




ロマンとロマンとロマンで出来てる感じのロボゴーレムです。
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