郊外に浮浪してたら都市伝説になってた侍   作:白骨

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続きました





感想と高評価、ありがとうございます。

最近繁忙期に入り執筆時間も削られてきましたが、なるべくモチベを維持しながら妄想を執筆していきますので宜しくお願いします。




ああッ!!!(繁忙期に対して思い切り拳をぶち込むアームストロング上院議員)


知り合いとの会合

 

俺はいつも通りにベットから降りて冷蔵庫にあるペットボトルの水を手に取りキャップを開ける。

 

 

「あー……なんだよバーニス」

 

 

いざ口に乾いた喉を潤すオアシスの一滴を堪能しようとしたが、燃え盛る煉獄を纏う有頂天お気楽女であるバーニスが水を飲もうとした右腕を掴み阻止した。

 

 

「私が先に飲んでいい?」

 

「んぐっんぐっ」

 

 

即座にもう片方の腕でペットボトルを掴み喉を潤す。馬鹿が、寝起きの喉の乾燥舐めんなよ……?ましてや郊外の気温考えたら熱中症になりかねん。

 

 

「もー!!!サみゅッ……んむっ……」

 

「……ふぅ、これでいいか、バカニス」

 

 

仕方なく口移しで水を飲ませ、キャップを閉めると掴まれている腕が更に締まった。

 

バーニスが両腕を絡ませて胸を押し付けながら上目遣いをしてでろでろの満面の笑みを作っていた。

 

 

「えへへ〜、サミュっち好きぃ〜」

 

「俺はそうでもねぇ」

 

「えーーー!!!なんでーーー!!?」

 

 

さて、今日の業務の確認でもしておくか。

 

騒がしくくねくねしているバーニスから離れ、デスクに置いておいた書類を確認し指定地に油田の情報を送んねぇと行けないんだが……あ?

 

 

「新エリー都のルミナスクエアだァ?」

 

 

 

ルーシーの野郎、俺を私物のパシリに使う気じゃねえか。新エリー都にはあんまし行きたくねぇって言ってんのによ……

 

まぁ、俺の本当の名前を知ったのは昨日だから急遽変更するにも手続きが面倒な訳だ。

 

 

 

「……久々の帰省だな」

 

昔の事を思い出しつつ黄昏ていたら後ろからバーニスが乗っかり、視線は書類へ向けて目を輝かせていた。

 

多分新エリー都の土産を期待している目だ。

 

 

「ん?おー!サミュっち、お土産よろしくねー!」

 

「期待すんなよ?」

 

「うん!」

 

 

 

……カリュドーンの奴らにも買って来ねぇとなぁ、世話になってる訳だし。

 

 

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 

 

 

黒が強めの赤が混じったツートンカラーのジャケットを羽織りながらヘアゴムで長ったらしい黒髪を纏めた。

 

 

「……まぁこんなもんで良いか、顔はバレてねぇ訳だし」

 

 

 

世間には公表されてねぇからバレる筈もない。が、星見家や特定の人物には割れてんだよなぁ…

 

 

「新エリー都に申請してる偽造の身分証には……コレが俺の名前になるのか?」

 

 

サム・ジェット……おいまんま過ぎるだろバレるわ。いや寧ろ都市伝説が名前に組み込まれてるから逆に隠れ蓑みたいな感じなのか?

 

 

「誰もが都市伝説の名前を本名にする馬鹿はいねぇ、だからこれにした訳か。……流石は会計担当」

 

 

会計担当じゃありませんわよッ!と幻聴が聞こえた気もしたが煙草を咥えて火を付けたらどうでも良くなった。

 

 

 

「さてと……行くかァ」

 

 

 

欠伸混じりに煙も吐き出しながら腕を空へ伸ばし、パキパキと骨が鳴る。重たい腰を椅子に下ろし、郊外から新エリー都近くまで移動出来る列車へとバイクで向かった。

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

「親父さん、悪いな」

 

 

「構わねぇぜ、サム。だが期日に遅れたら延滞料金はきっちり払ってもらうからな?」

 

 

「分かってる、何かあれば連絡よこしてくれ」

 

 

駅へと到着した後、本来であれば駐車場が存在するがここは郊外、そんなセキュリティなぞ存在する筈もなく放置しか出来ない。

 

だが放置したら馬鹿共に盗まれるのは目に見えている。その対策として顔馴染みのスタンドへ停めさせて貰う事にした。

 

 

ここならば荒くれ者共も客の目を気にして盗めねぇし店主はおっかねぇから荒事も起きないで有名な場所だからな。

 

 

「しっかしお前が新エリー都に行くなんぞ珍しいな、もう何年も行ってねぇだろうに」

 

「まぁな、今回なんぞ仕事でちょっくら行くだけだ。大した事じゃねぇよ」

 

 

モサモサに生やした髭を擦りながら感慨深い顔をしている親父さんは腰掛けていた木箱から何かを取り出し俺に投げる。

 

 

「持ってけ、非常事態用のキャロットだ」

 

 

俺は薄型のチップをキャッチし、頭を軽く下げた。

 

 

「助かる、有難うよ」

 

「但し、ルミナスクエア限定で過去のパターン推測分だけだ。万が一であれば新エリー都のプロキシにでも頼め」

 

「侮られて集られて終わりだな、今はプロキシも厳しい世間だ」

 

「カカッ!違いねぇ」

 

 

親父さんから受け取ったデータチップをポケットに突っ込み、新エリー都行きの電車へと乗り込んだ。……相変わらず揺れの酷ぇ電車だこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 

 

暖かい日差しが、身体を包み込む。

 

 

『サミュエル、当主ってどうすればなれる?』

 

 

あぁ、コレは夢ん中か。

 

屋敷の端で昔よく組手や稽古の時に使われていた庭を眺めている。

 

隣には星見雅が座っていた、小さく幼い。そしてまだ母親が居た時だ。

 

 

『そんなもん、成り上がるしかねぇよ』

 

『成り上がる?』

 

『結果を残して、周りの奴らを引っ張って、世間に認められる。簡単な事だ、悩む必要はねぇ』

 

 

そう、案外単純なのだ。上に立つ者はこれが出来るから立てる、でもその過程は厳しいがコイツだったら余裕で駆け上がれる。

 

その時の俺は確信出来た。

 

このガキは、星見雅は上に立てる人間だと。

 

 

『その時は、サミュエルも隣に居るか?』

 

 

少し緊張しながら俺を見つめる雅をみて笑いながら頭を撫でてやった。

 

 

『どうかな、居るかもしれんが…敵になるかもしれねえ』

 

 

俺は、快楽主義者だ。

 

強い奴と戦えればそれでいい、だからどんな奴だって手を組める。体を弄ってまで強さを求める俺にとっては星見家はいずれ出て行く場所でもある。

 

 

この会得している剣術すら、人殺しの為に作ったような『裏太刀』だ。この頃はそこまでの技量は無かったが、モノに出来る感覚がすぐそこにあった。

 

その時には、人を殺す覚悟も出来ていた。

 

 

『だが此処を離れたとしてもお前の事は忘れねぇ、それだけは約束してやる』

 

 

撫でる手に力が入り、雅の髪がぐしゃぐしゃになり、それに伴い雅も涙で顔がぐしゃぐしゃになる。

 

 

『嫌だ……サミュエル離れちゃ、いやぁあ!』

 

 

『おいおい、当主になるんだったら別れも経験だぞ?おーい雅の親父!メロン取ってきてくれー!雅が愚図ったぞー!』

 

 

『なにィ!?またお前が泣かしたのかサミュエル!!』

 

『勝手に泣き出したんだよ俺のせいじゃねぇ!』

 

 

 

あぁ、そうだ、この後星見の親父と喧嘩して雅の母親に成敗されたんだ。

 

笑っちまうぜ、こんな夢の中でもこんな記憶に浸れるなんてな。

 

 

 

 

あれから何年かした後、俺は悪人で強者と言える人物を殺した。

 

 

 

『お前を破門とする、サミュエル』

 

『悪ぃな、雅に宜しく伝えて置いてくれ』

 

 

……あん時の雅の親父の顔見て、ちょっと後悔したんだよなァ

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 

 

 

『次は、ルミナスクエアです。お荷物のお忘れが無いようお気を付け下さい』

 

 

「……到着か」

 

 

電車を乗り継いで新エリー都へ到着、乗り継ぎに疲れたのか軽く寝てしまったみたいだ。

 

開いたドアから出て行き、改札口に切符を通し街並みを見渡す。

 

 

「……久しぶりに都会って感じだな。人が多過ぎる」

 

 

人の多さにげんなりしながら、目的地である場所を目指し歩いて向かう、が。

 

「(小腹も空いたしどっかで飯でも食うか)」

 

 

電車の乗り継ぎや睡眠を取った為かお腹の中が空っぽで美味いご飯でも食べなければ腹と背がくっついちまいそうだった。

 

そんな空腹の思考に銃弾がぶち込まれる。

 

少し歩き、暗い路地裏に移動し煙草を吸おうとした時後ろから声を掛けられた。

 

 

「おやおや、君はもしかして都市伝説のジェットストリーム・サムかい?」

 

 

 

いきなり身バレしちまったか、こりゃあ殺すしかないなと指をゴキリと鳴らしながら声の方に振り返ると緑髪のロングヘアーで胸が大きい女が凄いビビった様子で此方に両手を上げていた。

 

 

「やだなぁ、殺気を向けないで?明けの明星だよ。何年振りだい?」

 

 

ビクビクした彼女を見ながら俺は思い出すように顎髭を擦る。

 

……あー、アイツか。

 

 

「……以前仕事仲間で前気になる男が居たけど処女拗らせてて相談に乗った女か」

 

 

「あ、アレは忘れてッ!」

 

 

どうやら合っていたらしい、見ない間に美人になったなコイツ。……以前利用してた事があるプロキシだったな。

 

 

 

「全く、亡くなったと思いきや生き返っていたとはね」

 

「アレは偽造の情報だ。お前まで引っ掛かってるって事は流石だなアイツ。」

 

「…君…色々と人脈太過ぎじゃない?」

 

 

昔の間柄で情報を隠蔽して貰っていた奴が居たがプロキシやハッカー相手でも情報を防いでくれてるとは思わなかった。

 

そのまま死んだ事にされてるのであれば好都合だ、情報更新されないよう明けの明星には口止めと情報隠蔽を頼むと首を縦に振り、肯定した。

 

 

「で、明けの明星だったか?ちょっと腹が空いててよ、良ければ飯の場所教えてくんねぇか?」

 

「構わないよ、寧ろ久々に会ったから奢ってあげる」

 

「そらぁ助かるな、有難うよ。因みに今の俺はサム・ジェットって名前だ、サムでいい」

 

「……都市伝説の名前を取って名乗れるの本人の君ぐらいだよ、サム」

 

 

 

久々の新エリー都だ、うめぇ飯でも食ってさっさと仕事を済ますか。

 

 

 

 

 

 

 

「……まさか、な」

 

「どうしましたか?課長」

 

「いや、なんでもない……懐かしい家族の顔に似ていた男が居てな」

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 

 

「……うめぇな、鍋なんて久々だ」

 

「それは良かった、で、ここに来た理由は仕事かい?」

 

 

あれから少し歩き、火鍋専門店へと入店しキムチ鍋を注文。食事が提供され少し箸が進んだ位で会話を明けの明星は切り出した。

 

 

「まぁな、郊外の油田関係の仕事だ。スポンサーを付けて他の出社の提供資金増やしたいんだと」

 

「なるほどねぇ…君、困らないぐらいのお金持ってなかったかい?」

 

 

都市伝説として語られているサムであれば端金に過ぎないのではと明けの明星は踏んでいたが彼は笑いながら首を横に振る。

 

 

「慈善活動って訳じゃねぇが悪人から殺して奪った金は孤児院に流してる。彼処には妹分が居てな」

 

「ほー、意外だね、悪人みたいな顔してる割には」

 

「よく言われる」

 

 

今まで悪人だけを殺して来た彼は裏金や闇金の蓄えをそのまま懐に入るが、彼のポリシーなのかほとんどが孤児院に流れ、後は衣食住だけだったらしい。

 

 

「穢れた奴が持ってた金なんぞ俺まで汚れちまうからな、それだけはゴメンだ」

 

 

「殺人はいいんだ?」

 

 

そう、誰もが思う疑問。

 

殺しは悪なのか?というもの、彼は息を軽く吐いたあと笑いながら話を続ける。

 

 

「……殺す事に快楽があるのは否定出来ねぇ、だがそんなんでもこんなナリで生きれる、それだけで儲けもんだろ?」

 

 

活人剣と呼ばれる言葉がある。

 

1人の悪を殺し大勢を生かす、という正義の塊のような言葉が。

 

彼はその言葉が嫌いだ、殺しは殺し、正当化しようが事実は変わらない。

 

 

「殺し殺される、そのギリギリが堪らく好きなんだよ俺は、悪人殺しはそのついでのようなもんさ。善人はなるべく殺したくねぇ、全力を出すのは悪人だけにしたいしな」

 

 

「……難儀だねぇ、君は」

 

 

「おう、なんせ俺はジェットストリームサムだからな」

 

 

都市伝説の名前を嬉々として口にする都市伝説本人を見て、明けの明星は少し微笑んでお冷を口にした。

 

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

食事後、明けの明星と別れて会談まで時間がまだあるのを確認したらウインドウショッピングとでも洒落こもうとサムはその場を歩いていた。

 

 

「おぉっ!サムじゃねぇか!?ルミナスクエアに来てるとかどんな奇跡だよ!」

 

 

 

聞き覚えのある声がサムへ届き、その方を振り向くと元カリュドーンの子のチャンピオンの役職に就いていたビリーが女を3人ほど連れて此方に声を掛けてきたのだ。

 

 

 

「おぉ、ビリーじゃねぇか!久しぶりだな!……やすもんの身体ケアしてるみてぇだが」

 

「流石サム、やっぱ分かるか…」

 

「腕は訛って……るなその調子じゃあ」

 

 

ボディのコーティングや間接接続部が少し調整不足なのが目に見えて分かる、相変わらず俺達が見てねぇとズボラになるのは変わってねぇみてぇだ。

 

 

「ん?あぁ、悪いなアンビー、社長、猫又!コイツは俺の親友、サムだ!」

 

 

 

「ようお嬢さん達、サム・ジェットってんだ。よろしく頼むぜ」

 

 

軽く手を上げ笑いながら自己紹介をするとアンビーと呼ばれる人物は警戒は見えないが殺気を隠さない瞳を、社長と呼ばれた俺の昔の妹分は驚愕を、猫又はほーっと感心したような顔を、皆バラバラの表情を浮かべていた。

 

 

「…貴方、何者?」

 

「あ、あ、アンタッ!!?生きてたのッ!?」

 

「ほー、初めましてだな、猫又だ!」

 

 

「おう、よろしく猫又」

 

手を差し出してきた猫又の手を握り、言葉を返すと実に重たそうなアタッシュケースが俺の顔面へ向かってきた。

 

俺はそれを首を少し横に動かし避けて投げた張本人へと視線を向ける。

 

 

「おいおい、せっかく可愛い猫のシリオンと親交を深めてんのによぉ」

 

「そんなのどうでもいいわっ!なんで連絡を何年も寄越さなかったのよ!私、てっきり死んだと思って……」

 

 

突然のアタッシュケースとニコの声に動揺した猫又を押し退け、彼女の腕が背中に回され抱き締められる。胸元には啜り泣く妹分の声が聞こえてきた。

 

頭をそっと撫で、申し訳ない気持ちで俺は声を掛けた。

 

「…悪かったな、ニコ」

 

「うっさい、ばかぁ」

 

「社長と知り合いだったのか?」

 

「ま、色々とな」

 

 

アンビーはその光景を見て、先程の殺気を納め警戒を緩めた。瞬間、彼女の前に先程ボスと居たはずの男が立っていた。

 

「…ッ!」

 

 

即座に武器に手を伸ばすがその腕は届かず、彼の手に阻まれる。

 

油断した瞬間を狙われた、じゃあさっきの感動の再会は演技だったのか?

 

思考をぐるぐる回すアンビーに対して、ほぉ…っと感心したような表情で顎髭を擦りながら笑う。

 

「油断すんな、だが警戒の仕方は見事だった…バンビーだったか?」

 

「私は鹿ではないわ。初めまして…でいいのよね、サム」

 

 

アンビーはこの男を見た事がある、あれは確か任務で────

 

 

「この場ではそうだ、初めましてアンビー」

 

 

この場では詮索するなと、彼の圧から察した。

 

この場では聞かない方が良さそうだとアンビーは警戒を少しだけ引き上げつつ、いつも通りの対応を行うことと判断する。

 

 

「ええ、宜しくサム」

 

 

 

 

 

 




自分、これから仕事しながら就職活動を行うので更に投稿速度が落ちるかもしれません。




許してヒヤシンス。
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