意識が覚醒する。
あれから、どれくらいの時間が経ったのだろうか?
「やあ、おはようリムル」
声が聞こえた方を見ると、そこには長髪のイケメンがいた。
ヴェルダ……だよな?
「うん。そうだよ」
恨めしいほどにイケメンだなチクショウ。
「そう言うリムルだって、美人だよ?」
「男に対して美人って褒め言葉じゃないからな!!!……ん?あれ?俺声帯あったっけ?あと……なんか視線が高い気が……」
「あの進化による影響だと思うけど、今の君は僕と同じ人型だよ?」
「そうなのか?」
魔力探知で視点を変え、自分の姿を見てみると、そこには薄く青みがかった銀髪のどこかヴェルダと似た雰囲気を感じる美少女がいた。
そう……美少女である。
「なんでだーーーーー!!!!!」
「落ち着いたかい?」
「ああ、まあね……………」
あれから少し経ち、なんとか気持ちを落ち着かせることが出来た。
見た目は美少女だけど、性別は無かったし、完全に女性になった訳じゃ無かったから、なんとか平静を取り戻せた。
「ところでさ、ここどこ?進化前は俺たち何も無い空間にいた気がするんだけど?」
辺りを見渡しながら、ヴェルダに尋ねる。
今俺がいる場所は、進化前に居たところとはかけ離れているように見える。
辺り一面には花が咲き渡り、空は青く澄んでいる。
「ここかい?ここはあの無の空間を僕なりにアレンジしてみた空間さ」
「え?ここって無の空間だったの?」
「うん。あのままじゃ殺風景過ぎたからね。どうだい?良い場所でしょ?」
「ああ、心が安らぐな」
「それは良かった。さて、それじゃあ早速、君の居た元の世界のことを教えてくれないかい?」
「ああ、もちろん良いぞ」
〈提案があります。
『大賢者』か?
こんな流暢に喋ってたっけ?
〈解、究極能力『智慧乃王』に進化した影響です〉
究極能力?
〈解、ヴェルダナーヴァの持つ
あ、そうなんだ。
それで、提案って?
〈ヴェルダナーヴァに直接映像として主様の記憶を見せることが可能です。記憶の投影を提案します〉
それは良いな!!!
「俺のスキルが俺の記憶の投影が出来るらしい。それで見るので良いか?」
「映像で見れるのか!良いねそれ!」
よし、頼む『智慧乃王』!
〈了解しました。記憶の投影を開始します〉
その声と共に、空間に半透明のディスプレイのようなものが現れ、俺の記憶が投影され始始めた。
大体俺が居た世界の世界観や文化、歴史などが投影された。
「こんなに沢山の生命体がいるのか……世界……良いかもね」
「ん?」
「世界……創ってみようかなって」
「え?出来るの?」
「出来るよ。でも、多分一回きりだ」
「一回か」
「うん。僕の能力に『虚無崩壊』って言うのがあってね。この能力は大きな世界を創るなら一回しか使えない。この空間みたいな小さい範囲だったら何回か創れるんだけどね」
「あー、ここはその能力で作ったのか」
「そうだよ」
「なるほどね。うん……とりあえず、世界を創るならまずどんな世界にするかを考えなきゃな」
「そうだなぁ……あ、そうだ!リムルの記憶にあったようなファンタジーな世界観にしたいな。ほら僕はドラゴンで、ファンタジーそのものみたいなものだし」
「確かに、それ良いな!」
「あ、でも世界を創る前にリムルに強くなって貰わなきゃ」
「え?なんで?」
「だってさ、僕が創る世界では、強大な存在が誕生するかもしれない。そしたら、リムルが殺されちゃうかもしれないでしょ?それは嫌だ。だから、リムルには強くなって欲しいんだ」
「なるほどね。分かった!でも、修行って何すればいいんだろう?」
「うーん。とりあえず僕の戦おうか。僕は全知全能だから、リムルの動きの完全点とかを指摘していくよ。あとは……まあ、なんとか強くなってよ。僕、他人を強くする方法分からないから」
「全知全能なのに?」
「全知はあくまで世界の仕組みとか概念とかに限った話だからね」
「なるほどね」
「それじゃ、ここが壊れたら嫌だし、外に出ようか」
「外?」
「そう。ここは、無の空間を切り取って作った空間なんだ。だから、まだ無の空間は余ってるんだ」
「よっしゃ、それじゃ行こう!!!俺も強くなりたいし!!!」
こうして、俺の修行が始まった。
結論から言おう。
地獄を見た。
力の差が大き過ぎた。
なんとかヴェルダに手加減を覚えてもらって、なんとか修行になりはしたが、300年ほどは力の差を痛感する毎日だった。
そして、その300年が経ったある日、ようやく俺の攻撃はヴェルダに通じた。
やっと追いついた……と思ったら……
「おおっ!やったねリムル!!!じゃあ、もう僕も手加減はいらないね!!!」
本気を出し始めたヴェルダに圧倒的な敗北を味わうことになった。
そして、この世界に転生しておよそ500年が経った頃……
「アハハッ!!!すごいすごい!!!すごいよリムル!!!僕も本気を出してるのに、攻めきれない!!!」
「大分努力したからね!!!」
俺は、ヴェルダとなんとか互角に戦えるようになった。
俺は、ヴェルダとの修行の中でスキルを進化させた。
転生時に獲得した『捕食者』が『
『智慧乃王』は、統合前にシエルと名付けることで
らしいというのは、スキルの統合などは全部シエルがしてくれるため、俺は詳しく知らないのだ。
っと、こんな悠長に昔語りしてる場合じゃ無いな!!!
「『
ヴェルダの攻撃を受け流し、『虚無崩壊』を纏った拳で殴りつける。
そう、『虚無崩壊』である。
『虚空乃神』には、『虚無崩壊』があるのだ。
更に、これには『虚数空間』という特殊な空間が付いており、『虚無崩壊』は虚数空間の中で増殖させることが可能だった。
そう、俺の『虚無崩壊』は何度使っても尽きないのだ。
ちなみに、この能力を知ったヴェルダは自分の『原初能力』を変質させ、『虚数空間』を獲得し、俺と同様に『虚無崩壊』を使い続けることが可能になっていたりする。
「さて、それじゃあ次の一撃で終わりにしようか!!!」
「そうだな!!!」
お互いに『虚無崩壊』を圧縮し、1つの珠を創り出す。
「「『
2つの『虚無崩壊』を圧縮した珠がぶつかり合い、弾ける。
「もう、決着つかなくなっちゃったね」
「ああ、まさか俺もここまで強くなれるとは流石に思って無かったよ」
「そういえば、シエルは出さなくていいの?」
「そうだった!シエル出てきて良いぞ!」
俺がそう言うと、俺の体が一瞬光りが放たれ、その光が寄り集まり、俺とそっくりな人型になった。
「
シエルが嬉しそうに俺に抱きついて来た。
シエルが神智核となって少し経った時に、シエルから告白され、付き合い始めたのだ。
今では、恋人というかもう夫婦みたいな関係になっている。
戦闘時はシエルを取り込み、シエルに戦闘のサポートをしてもらうのだが、普段はこうして実体化している。
「さて、それじゃあリムル、そろそろ始めようかと思うんだ」
「始めるって……世界創造?」
「うん!!!」
こうして、やっと世界創造が始まった。
今作のリムルは、シズさんとの出会いを経ずに人化したため、シズさんの姿ではなく、ヴェルダナーヴァを女性よりにした見た目となっております。